青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< July 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

「松方コレクション展」を単眼鏡で細部まで楽しもう。

上野、国立西洋美術館で大好評開催中の「松方コレクション展

単眼鏡による「松方コレクション展」美術鑑賞術


https://artexhibition.jp/matsukata2019/

展覧会レビュー自体は早々にブログに書きました。

もう一本、さらに詳しい「松方コレクション展」の鑑賞術について、以前「美術鑑賞を劇的に変えてくれる必携アイテム単眼鏡」でお世話になったケンコートキナーさんから依頼を受け、書いてみました。

単眼鏡による「松方コレクション展」美術鑑賞術



今回の展覧会では壁に横一列に展示するだけでなく、ヨーロッパの美術館のように絵を上下2段、3段と重ねての展示がなされている箇所があります。

最近、目を患い眼科医に通っていることもあり、コンタクトレンズよりも視力が落ちる眼鏡での鑑賞を余儀なくされているので、どうしても単眼鏡が欠かせないアイテムとなります。


Kenko 単眼鏡 ギャラリーEYE 4倍 12mm口径 最短合焦距離19cm BLACK 日本製 001462

新色のブラックを借りていざ展示室へ!



戦争で夫であり父親である主を亡くし茫然とする未亡人や残された子供たちの表情も単眼鏡があるおかげでバッチリ観ることが出来ます。


リュシアン・シモン《墓地のブルターニュの女たち》1918年頃 水彩・グアッシュ、紙 
国立西洋美術館(松方コレクション)

今回の展覧会のひとつの目玉である長らく行方不明だったクロード・モネ《睡蓮、柳の反映》。

初公開となるモネの睡蓮は、破損は激しいものの、逆に普段は絶対に観られない細部の筆致は色の重なりなどが確認できます。


クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》1916年 油彩、カンヴァス 
国立西洋美術館(旧松方コレクション)※修復前



これは是非、単眼鏡を使って観たい箇所です。

松方が手土産にブランデーを持ち、モネの住むジヴェルニーまで出向き、依頼して描いてもらったといわれる作品です。

全世界中のモネファンがこの作品を観たいと思っていることでしょう。なにせ約60年の長きにわたり行方知らずだったのですから。

誰もが初めて目にするクロード・モネ《睡蓮、柳の反映》をはじめ、松方幸次郎が50歳になってから爆買いした名画の数々を、単眼鏡でしっかりと一枚一枚観てみましょう。



単眼鏡による「松方コレクション展」美術鑑賞術

美術鑑賞を劇的に変えてくれる必携アイテム単眼鏡

「松方コレクション展」は9月23日までです。巡回はしません。上野国立西洋美術館へ是非!!


国立西洋美術館開館60周年記念
「松方コレクション展」


会期:2019年6月11日(火)〜2019年9月23日(月・祝)
開館時間:9:30〜17:30
毎週金・土曜日:9:30〜21:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、(ただし、7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開館)、7月16日(火)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/
主催:国立西洋美術館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
協賛:清水建設、損保ジャパン日本興亜、NISSHA、三井住友銀行
協力:日本航空、西洋美術振興財団
https://artexhibition.jp/matsukata2019/


『美しき愚かものたちのタブロー』
原田マハ(著)

日本に初めて「美術館」という概念をもたらした破天荒な実業家、松方幸次郎。戦火のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り、日置三郎。そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。

こちらも開催中です。

日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち

2019年6月18日(火)〜2019年9月23日(月・祝)


『松方コレクションのすべて』 (時空旅人別冊)

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5550

JUGEMテーマ:アート・デザイン



続きを読む >>
その他 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

「アール・ブリュット展」

テレビ朝日本社ビルで開催中の
「アール・ブリュット展 in テレ朝夏祭り」に行って来ました。


https://www.tv-asahi.co.jp/summerstation/special/art_brut/

テレビ朝日福祉文化事業団が支援する「アール・ブリュット」の展覧会が、「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」にて開催中です。

独特の感覚や発想、方法によって生み出された4名の作家によるアート作品がテレ朝本社ビル内に展示されています。


佐藤朱美(1981年生まれ 北海道在住)

母親の勧めにより絵を描き始めた佐藤さんは、約20年に渡りほぼ毎日絵筆を握っているそうです。

頭の中に浮かんだイメージとして見えたものを重ね合わせていき、動物などの形あるものとしています。

全体として観てもよし、ぐっと近寄って細部のイメージを凝視するのもよし。1枚で2回の楽しみが得られる作品です。


澤田真一(1982年生まれ 滋賀県在住)

テレビ朝日夏祭り開催期間中は、通常は社員さんが使うエレベーターで7階まで上がることができます。

7階にある社員食堂をこの期間だけバラエティ食堂として一般に開放しています。普段タレントやアナウンサーが利用する社食に入れるチャンスでもあります。

その周辺に残りの3名の作品が展示されています。


西田裕一(1974年生まれ 東京都在住)

テレ朝夏祭りでドラえもんやプリキュアを目当てに来られた人たちには足を止めてもらえないような場所に展示されていますが、美術館に畏まって掛けられているより自由度があり気軽に観られます。

アール・ブリュット、アウトサイダー・アートというと、とかく見る側が構えてしまうものです。


岡元敏雄(1978年生まれ 滋賀県在住)

素早く力強い筆致が上手い下手といった概念を飛び越えて、目の中に飛び込んできます。

墨汁と割り箸一本で書き上げているとは思えない出来栄えではありませんか。思わずぐっとくるものがあります。



「アール・ブリュット展」独自の展示スペースではなく。通路の壁に展示されているので、ちょっと扱いがヒドイのでは?と初めは感じました。

しかし、逆に人の往来が激しい通路にさり気なく展示することで、100人に1人でも「おっ!これは!!」と思ってもらえるはずです。

展覧会でなく、こうしたイベント会場における展示も「あり」なのだな〜と感じました。

「アール・ブリュット展 in テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り」は8月25日までです。


「アール・ブリュット展 in テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り」

会期:2019 年7月13日(土)〜8月25日(日)
開館時間:10:00〜19:00
会場 :テレビ朝日本社1F、7Fの壁面4カ所
https://www.tv-asahi.co.jp/
主催:テレビ朝日
特別協力:森ビル


日本のアール・ブリュット: もうひとつの眼差し

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5549

JUGEMテーマ:アート・デザイン



展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

草間彌生のスノドーム

ニューヨーク近代美術館MoMAのミュージアムショップ、MoMA Design Storeにて、草間彌生のアートがモチーフのスノードームが販売となります。


2019年8月31日(土)まで、MoMA Design Store先行販売
http://www.momastore.jp/shop/g/g0497608090142/

スノードームは以下の3種類。やはり狙いは南瓜ですかね、それともYAYOIちゃん?!


草間彌生:スノードーム PUMPKIN

草間彌生の代表的なモチーフのひとつ“PUMPKIN”のスノードーム。振るときらびやかな金粉が舞い上がります。


草間彌生:スノードーム YAYOI

ドット柄のドレスを身にまとった草間彌生がモチーフの、チャーミングなスノードーム。振ると、彼女の代表作品のひとつ Narcissus Garden をイメージした球体が舞い上がります。


草間彌生:スノードーム Hi,Konnichiwa!

草間彌生の2004年の作品 Hi, Konnichiwa! がモチーフのスノードーム。キュートな女の子と、かわいらしい表情の犬のまわりに、ハッピーカラーのドットが舞い上がります。

中身(作品)が違うだけでなく、舞う「雪」もそれぞれ違うのがポイントです。

表参道のお店に行けなくても、MoMA Design Store(オンラインストア)からも購入可能です。
http://www.momastore.jp



「マンモス展」でもオリジナルグッズのスノードームが話題となっているように、巷ではちょっとしたスノードームブームが起こっているようです。

スマホや電子ゲーム全盛の中、ノスタルジックな趣のスノードーム。現代人の心が自然と欲するアイテムなのかもしれません。



草間彌生:
草間彌生の作品は、巨大な絵画や彫刻から、パフォーマンス、社会的要素を含んだデモンストレーションまで多岐に渡ります。幼少の頃より、草間彌生は水玉と網模様をモチーフとして、様々なメディアで作品を制作してきました。1950年代から1960年代にかけては、ニューヨークのアバンギャルドなアートシーンで重要な役割を果たし、MoMAのスカルプチャー・ガーデンで1969年に予告なしのパフォーマンスを行うなど、数多くのハプニングアートに参加しました。その後、現在も暮らし、製作の拠点とする日本に帰国した草間彌生は、私たちの時代における最も著名な美術作品を作り続けています。


不思議の国のアリスWith artwork by 草間彌生

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5548

JUGEMテーマ:アート・デザイン



その他 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」

三菱一号館美術館で開催中の
「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」に行って来ました。


https://mimt.jp/fortuny/

展覧会は知識ゼロで行ってもそれなりに楽しめるものですが、できれば少しだけでも事前に調べたりしておくともっともっと深い感動を得られます。

ましてや、絵画だけでなく写真や服飾を展示する「マリアノ・フォルチュニ展」となると猶更です。「素敵だったわ〜」で終わってしまうにも勿体ない内容なのです。

では、何を予習しておけばよいでしょう。なるべく少ない方がよいですよね。大丈夫です。「マリアノ・フォルチュニ展」を10倍楽しむために知っておくべき単語はただ一つ。

デルフォス」のみです。


マリアノ・フォルチュニ「デルフォス」1910年代 絹サテン、トンボ玉 
島根県立石見美術館 展示期間8/20〜10/6

「デルフォス」について解説されているサイトのリンクを張っておきます。どれでもよいので一読しておけばOKです。

ユニークなガウンの誕生: デルフォス — Google Arts & Culture
デルフォス - 杉野学園衣裳博物館
ドレス「デルフォス」 - 京都服飾文化研究財団



解説読んで「デルフォス」について、もっともっと知りたくなってしまった方は、こちらのPDFを。

「デルフォス」にみるフォルチュニイの美意識について
「デルフォス」は,ヴェネチアで活躍したマリアノ ・ フォルチュニイ(FORTUNY, Mariano 1871-1949)が古代ギリシア彫刻「デルフォイの御者」に想を得て制作したドレスで,全体に施された波打つプリーツが特徴とされる.
 筒状のワンピース型という単純な構造でありながら,このプリーツの効果によって,着用者の身体に沿って官能的なフォルムを描き,微妙な陰影を生み出す.デルフォスが世に出た当時,コルセットを用いた女性のドレスが一般的であり,自然な身体の線を表すデルフォスは極めて斬新であった.また,従来の服の概念にとらわれない造形美や複雑な色彩と陰影をたたえた優美さは,ファッションのみならず舞踊や文学等の分野でも熱烈な支持者を得た.その後の 20 世紀モードを予見したかのようなシンプルなデザインは,後世のファッションに多大な影響を与えている.

※「フォルチュニ展」こちらの展示スペースは写真撮影可能です。

イッセイ・ミヤケもビックリの「デルフォス」が作られたのは今から約100年前のこと。

ガチガチのコルセットから女性たちを解放し、自身の身体のラインを生かせる自由な服を考案した人物こそ、今回の主役マリアノ・フォルチュニィ(Mariano Fortuny 1871-1949)です。


作者不詳「マリアノ・フォルチュニ」制作年不詳 
フォルチュニ美術館 © Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny

ヴェネツィアを生活と制作の拠点としていたので、てっきりイタリア人かと思いきや、スペインのグラナダ生まれ。父親は著名な画家であり、母親は高貴な家(祖父と父がプラド美術館館長)の出という申し分のない環境で育ちました。

ポートレート写真からは自身の実力以上の自信と矜持が垣間見られます。絶対自分をカッコイイと思い込んでいたタイプですよね。でないと、この展覧会で観られるマルチな活躍は到底不可能です。



父親、マリアノ・フォルトゥニ・イ・マルサルの作品と息子マリアノ・フォルチュニの絵画が同じ展示空間に展示されています。

2015年に一号館美術館で開催された「プラド美術館展」にもマリアノ・フォルトゥニ・イ・マルサルは出ていました。スペインでは名前を知らない人はいないほどメジャーな画家です。

そんな偉大な父の影響を受け早くからフォルチュニ自身も絵筆を握り作品を描いています。10歳に満たない時に描いた作品も今回出ています。



父親の作品だけでなく、ティントレットやルーベンスなどの模写も積極的に行い古画から多くのことを吸収したようです。

展覧会後半にフォルチュニのドレスを着せ、写真を撮ったものが数点展示されていましたが、さり気なくポーズを取らせるのにも古画から得たエッセンスが出ているように思えました。



ドレスの展覧会だと思われている方も多いようですが、実際は絵画や版画、写真といった平面作品の方が多く展示されています。

万能の天才は言い過ぎとしても、建築や舞台装置、照明など実に幅広い活躍をみせたのが、マリアノ・フォルチュニィ(Mariano Fortuny 1871-1949)という人物です。

展示会場の天井に吊り下げられているオリエンタルな要素を含んだ照明器具も彼がデザインしたものです。お見逃しなきように!



「マリアノ・フォルチュニ展」展覧会の構成は以下の通りです。

序章:マリアノ・フォルチュニ ヴェネチアの魔術師
第1章:絵画からの出発
第2章:総合芸術、オペラ ワーグナーへの心酔
第3章:最新の染織と服飾 輝く絹地と異国の文様
第4章:写真の探究
第5章:異国、そして日本への関心と染織作品への応用
終章:時代を超えるデザイン




作品点数がかなり多いのでここまで見てくると疲れてしまうのですが、「第5章:異国、そして日本への関心と染織作品への応用」はやはり見逃せません。

日本の型紙も多くフォルチュニは持っており、それを実際に服飾のデザインとして用いているのです。影響を受けたというレベルではなく、まんま用いているのですぐに関連性は見て取れます。



そして「終章:時代を超えるデザイン」では、現在もまだフォルチュニが世に送り出した「デルフォス」は、ファッション界における金字塔のような存在として輝き続けていることを紹介しています。

こちらの記事や画像も事前に要チェックです。

裸足の女神が纏う究極のリアリティクチュール Valentino (ヴァレンティノ)2016年春夏オートクチュールコレクション
https://fashionpost.jp/news/53919

他にも映画「鳩の翼」やテレビドラマ「情熱のシーラ」、「ダウントン・アビー」でもデルフォスがその存在感を示しています。



5年前どころか、去年の服ですら時代遅れ感を覚えてしまうほど目まぐるしく変わる流行を尻目に、100年の間ひたすらトップランナーとして君臨するデルフォス。

2009年に東京都庭園美術館で開催された「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」展以来、実に10年ぶりにフォルチュニの「デルフォス」に東京で出会えます。

マリアノ・フォルチュニのマルチナ才能や興味関心が、デルフォスを生み出したことが、自然と分かる今回の「フォルチュニ展」。ドレスの展覧会だと思いこみパスしたら、それこそ一生後悔しますよ。


The Birth of a Unique Gown: The Delphos

ヴェネチアにあるフォルチュニ美術館から多くの作品が今回来ています。

個人的には版画が一番才能があるように見えました。それと写真も。フォルチュニの才能を探りながら観るのも面白く、この展覧会を楽しめる秘訣かと思います。

「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」は10月6日までです。是非是非!


「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」

会期:2019年7月6日(土)〜10月6日(日)
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、8月12日〜15日、会期最終週平日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜休館(但し、祝日・振替休日の場合、9月30日とトークフリーデーの7月29日、8月26日は開館)
会場:三菱一号館美術館
https://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、毎日新聞社、フォルチュニ美術館、ヴェネツィア市立博物館群財団
後援:イタリア大使館
協賛:大日本印刷
協力:アリタリア-イタリア航空

【参考】
神戸芸術工科大学「20世紀のファッション環境デザイン年表」


Mariano Fortuny: His Life and Work

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5547

JUGEMテーマ:アート・デザイン



続きを読む >>
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

「三国志展」

東京国立博物館で開催中の
日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」に行って来ました。


https://sangokushi2019.exhibit.jp/

展覧会にどんなに良い作品を集めてきても、物語が伴わないとその魅力は半減してしまいます。それとは逆にしっかりとした物語があれば2倍、3倍、10倍増しになるものです。

「三国志展」はそれを最も成功させている好例と言えます。


一級文物「五層穀倉楼」後漢時代・2世紀
1973年、河南省焦作市山陽区馬作出土 焦作市博物館

例えば、日本の国宝にあたる一級文物に指定されている今から1800年も昔に中国で作られたこの土製の大きな作品。

「三国志」の登場人物とは直接関係している作品ではありませんが、「リアル三国志」という文脈の展示に置かれるとひと際輝きを増してきます。


一級文物「酒樽」後漢時代・2〜3世紀
1969年、甘粛省武威市雷台墓出土 甘粛省博物館

東京国立博物館では何年かに一度、中国からお宝を借りてきて特別展を開催しています。「中国 王朝の至宝」(2012年)、「誕生!中国文明展」(2010年)などはまだ記憶に新しいところです。

ところが、仏像展や日本美術展に比べると中国文化を紹介する展覧会は全くと言っていいほど人気がありません。「中国 王朝の至宝」、「誕生!中国文明展」とも内容は素晴らしかったにも関わらず。。。

両展ともめっちゃ周りに勧めたのですが反応はいま一つでした。一級品が揃っているにも関わらず何が足りなかったのでしょうか。それが冒頭で記した「物語」に他なりません。


一級文物「銅鼓」三国(呉)〜南北朝時代・3〜6世紀
1964年、広西チワン族自治区藤県和平区古竹郷出土 広西民族博物館

翻って今回の中国古代文化を紹介する同じような展覧会ですが、「三国志」という圧倒的な知名度の物語が主軸として存在しています。

普段滅多にお目にかかれない中国からやってきた素晴らしい作品に誰もが知る「物語」が加われば、まさに鬼に金棒です。私たちは作品を見ながらその裏にある物語を常に求めているのです。

展覧会の構成は以下の通りです。

プロローグ 伝説のなかの三国志
第一章 曹操・劉備・孫権―英傑たちのルーツ
第二章 漢王朝の光と影
第三章 魏・蜀・呉―三国の鼎立
第四章 三国歴訪
第五章 曹操高陵と三国大墓
エピローグ 三国の終焉―天下は誰の手に



儀仗俑」後漢時代・2〜3世紀
1969年、甘粛省武威市雷台墓出土 甘粛省博物館

章立てもよく考えられ物語性を高めるのに一役買っています。たとえ「三国志」を読んだことがない人でもワクワクしながら作品を見ていけるような工夫が随所になされてもいます。

上手いな〜と思ったのは、要所要所にNHK「人形劇 三国志」で実際に使用された、川本喜八郎さんが手掛けた人形が展示ケースに鎮座している点です。


甘寧
長野県・飯田市川本喜八郎人形美術館

遺物や資料を並べるだけでなく、視覚的に分かりやすい人形を配置することで「リアル三国志」の世界にさらに没入できるのです。

またこれだけではありません。合戦の様子も視覚効果を存分に生かした展示で、臨場感を演出しています。



弩(クロスボウ)から的に向け一斉に放たれた矢を、現代アートのインスタレーション顔負けの展示で見せてくれます。

一点一点は決して派手でない(地味な)一級文物にちと飽きたかな〜というタイミングで、こうした特殊展示を挟んでくのは脱帽です。

「あっこの展覧会来て良かった」と思わせることに見事成功しています。尚、「三国志展」写真撮影全作品OKです。この弓矢の嵐の中に立ち写真を撮っている方何人もいました。


曹操の墓室をまさか、平成館の会場内に実寸で作り上げるとは…

展示作品、物語性、そして見せ方の三拍子が全て揃った「三国志展」。これまで中国関連の展覧会を敬遠されていた方でもこれなら存分に楽しめるはずです。

勿論、根っからの「三国志」マニアにとっては、まさに夢のような展覧会です。

個人的にこれは!と思う作品数多あった中で、あえて最後にこちらを紹介しておきます。


鎮墓俑」後漢時代・1世紀
1999年、重慶市巫山県麦沱47号墓出土 重慶中国三峡博物館

超能力で邪気や盗賊から墓を護るために副葬された俑。有名な兵馬俑と比べるととてもコミカルな表情をしています。

左手に毒蛇を握り、長い舌を胸の部分まで垂らしており、よく見ると牙や角まで生えています。

今の我々の目から見てもちっとも恐ろしくありませんが、2000年近くも土の中で墓を護っていたことを思うと見た目とは違う「恐ろしさ」を感じました。


一級文物「揺銭樹」後漢時代・2世紀
1983年、四川省広漢市新豊鎮獅象村出土 広漢市文物管理所(広漢市博物館)

英雄たちが駆け抜けた時代の文物から曹操高陵発掘レポまで見どころ満載の特別展「三国志」。きっと想像しているよりも何倍も楽しめるはずです。

「三国志展」は9月16日までです。是非是非!(個人利用にかぎり展示室内で写真撮影ができます。)


日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」

会期:2019年7月9日(火)〜9月16日(月・祝)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間:9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜・土曜は21:00まで開館)
休館日:月曜日、7月16日(火)
(ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)は開館)
会場:東京国立博物館 平成館
https://www.tnm.jp/
主催:東京国立博物館、中国文物交流中心、 NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
後援外務省、中国国家文物局、中国大使館
協賛大日本印刷、三井住友海上火災保険、三井物産
協力飯田市川本喜八郎人形美術館、 コーエーテクモゲームス、日本航空、光プロダクション

展覧会公式サイト:
https://sangokushi2019.exhibit.jp/


三国志 全60巻箱入 (希望コミックス)
横山光輝(著)

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5546

JUGEMテーマ:アート・デザイン



続きを読む >>
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)