青い日記帳 

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「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」

横浜美術館で開催中の
「横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展に行って来ました。


https://artexhibition.jp/orangerie2019/

ルーヴル美術館は広すぎるし、オルセー美術館は長蛇の列だし…折角パリまで行っても二大美術館はいつも大混雑。

そこでオススメなのが、クリュニー中世美術館。パリ市内の美術館の超穴場です。

でも、中世美術でなくどうしても印象派の作品が観たい!という方にうってつけなのが、ルーヴル美術館の正面に広がるチュイルリー公園の緑に囲まれた小さな美術館。オランジュリー美術館です。


Musée de 'Orangerie
https://www.musee-orangerie.fr/

オランジュリー美術館には、クロード・モネが82歳の時に依頼を受け死の直前まで国家的大作の製作にあたった「睡蓮」の超大作があることで知られています。

元々は、このモネ「睡蓮」連作を収めるため広く公開する美術館として1927年に開館しましたオランジュリー美術館。

自分も訪れた際に撮影した写真をTwitterのバナーとして長く用いています。


https://twitter.com/taktwi

その後1965年からはフランス政府に購入されたジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクションも加わり、非常に見ごたえのある芸術の都パリに相応しい美術館となりました。

上下入れ替えオランジュリー美術館

こうした工事を経て現在に至ります。丁度この時にBunkamuraザ・ミュージアムで「パリ・オランジュリー美術館展」が開催されました。


「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展示風景

あれから21年。再び印象派とエコール・ド・パリの名品揃いのジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクションが日本にやって来ています。

因みに21年前は東京と京都で開催されましたが、今回は日本国内では横浜美術館だけ。フランス近代絵画が花開いた19世紀末から20世紀前半の極上の名画が横浜美術館で観られます。

展覧会タイトルは「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」ですが、分かりやすく言うなら「オランジュリー美術館展2019」です。


アメデオ・モディリアーニ「新しき水先案内人ポール・ギヨームの肖像」1915年

画商でありコレクターそして同時代の若きアーティストの佳き理解者であったポール・ギヨーム。まだまだ当時陽の目を見ていなかったモディリアーニやスーティンを扱い時の人に仕立て上げます。

バーンズコレクションで有名なアメリカ人アルバート・C・バーンズに彼らを紹介したのもポール・ギヨームでした。

惜しくも42歳の若さで他界してしまいますが、彼の意志を妻であるドメニカ(ジュリエット・ラカーズ)が引き継ぎ紆余曲折を経て(ここの話が超面白いので是非会場で!)現在のオランジュリー美術館に収まることに。


アンドレ・ドラン「ポール・ギヨームの肖像」1919年
アンドレ・ドラン「大きな帽子を被る ポール・ギヨーム夫人の肖像」1928-29年

ゆえに、展覧会の冒頭は、ドランが描いた二人の肖像画から始まります。

オランジュリー美術館の中核を成すジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨームコレクションから13作家の名品が一堂に会しています。

展覧会の構成も画家毎になっています。(上野で開催中の「コートールド美術館展」とコレクション蒐集の違いを比べる楽しみもあります。)

アルフレッド・シスレー
クロード・モネ
オーギュスト・ルノワール
ポール・セザンヌ
アンリ・ルソー
アンリ・マティス
パブロ・ピカソ
アメデオ・モディリアーニ
キース・ヴァン・ドンゲン
アンドレ・ドラン
マリー・ローランサン
モーリス・ユトリロ
シャイム・スーティン



「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展示風景

自分の好きな作家の前で好きなだけ時間を使い鑑賞できるのはいつもながらとても幸せな気分になります。仕事や日常生活の嫌なことも展覧会に来ると嘘のように忘れられるものです。

大好きなセザンヌはさておき、「オランジュリー美術館展2019」で個人的にこれは!と唸ったのが、ルソー、マティス、ドラン、そしてスーティンです。

特に、日本国内の展覧会でまずまとめて観る機会のないドランとスーティンは必見です。


アンドレ・ドラン「アルルカンとピエロ」1924年頃

ドランはフォーヴィスムの画家に分類されますが、展示されている作品からは言うほど野獣的な面は見受けられません。

それもそのはず、1921年のイタリア旅行を境に古典的な絵画へ回帰していった時代の作品だからです。「アルルカンとピエロ」はその時代を代表する大作です。

「座る画家の姪」は是非観ておきたい彼が描いた肖像画の傑作であり、個人的に大好きな一枚です。この絵が来ているなんて横浜に行くまで知らなかったのでまさかの邂逅に驚きました。


アンリ・ルソー「婚礼」1905年頃

ルソーのコレクションも超充実しています。そして看板作品が惜しげもなくさり気なく展示されているのです。「婚礼」「ジュニエ爺さんの二輪馬車」も来ているのです!

この2作品はオランジュリー美術館の顔とも言える名品であり、こうして揃いで観られる機会この先きっとないでしょう。


アンリ・ルソー「ジュニエ爺さんの二輪馬車」1908年

鑑賞ポイントはルソーですから沢山ありますが、何と言っても2作品に描かれた犬たちに注目せざるを得ません。

「婚礼」の足元に描かれた黒い大きな物体が犬です。遠近法がめちゃくちゃだとかルソーには通じません。これはまぁありです。

問題は、「ジュニエ爺さんの二輪馬車」の犬たちです。


ジュニエ爺さんの二輪馬車」(部分)

馬車の下に描かれた轢かれないか心配で心配でドキドキの黒いワンコ。でも大きさ的にはこれはOKです。

画面右端に目を転じると…

未確認動物UMAが!!!!!


ジュニエ爺さんの二輪馬車」(部分)

しかし、展覧会のキャプション解説はいたって冷静です。馬の大きさを表すためにわざと犬を小さく描いた的な説明が。そうか〜天然でしょう、これ。ルソーならではの。

そうそう、もう一匹この作品には犬が描かれています。探してみて下さい。

「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展なのにスーティンやルソーばかり取り上げていて申し訳ないので、最後にルノワールの一枚で〆ます。


オーギュスト・ルノワール「桟敷席の花束」1878-80年頃

「コートールド美術館展」に出ている「桟敷席」よりもこの「桟敷席の花束」の方が自分的には好きです。ルノワールが得意とする人物を敢えて描かずに花束だけでそこにいるはずであろう人の存在を現す。

日本美術の「誰が袖屏風」に通づる趣きが感じられる一枚です。不在により醸し出される圧倒的な存在を強く感じる一枚です。

こんな名作に出会える「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」(「オランジュリー美術館展2019」)は2020年1月13日までです。

会期も半ばとなりかなりの人で賑わっています。横浜美術館は木曜日休館ですのでお気をつけて。ということは…月曜日が狙い目ですね!是非是非〜


「横浜美術館開館30周年記念
オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」

会期:2019年9月21日(土)〜2020年1月13日(月・祝)
開館時間:10時〜18時
*会期中の金曜・土曜は20時まで開館(ただし2019年9月27日[金]〜28日[土]、2020年1月10日[金]〜12日[日]は21時まで)
*入館は閉館の30分前まで
休館日:木曜日(2019年12月26日[木]は開館)、2019年12月28日(土)〜 2020年1月2日(木)
会場:横浜美術館
https://yokohama.art.museum/
主催:横浜美術館、オルセー・オランジュリー美術館、読売新聞社、テレビ朝日
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:損保ジャパン日本興亜、大日本印刷、野村総合研究所、みずほ銀行
協力:日本航空、ルフトハンザカーゴ AG、東急電鉄、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FM ヨコハマ、首都高速道路株式会社
公式サイト:https://artexhibition.jp/orangerie2019/


『アンリ・ルソー』 (RIKUYOSHA Children & YA Books)
ミシェル・マーケル (著), アマンダ・ホール (イラスト), 志多田 静 (翻訳)

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「デザインミュージアムをつくろう!キックオフ公開会議」開催!

「デザインミュージアムをつくろう!キックオフ公開会議」が11月16日(土)に虎ノ門ヒルズフォーラム「ホールB」で開催されます。


https://peatix.com/event/1360444

2012年に三宅一生さんと青柳正規さん(前文化庁長官、当時国立西洋美術館長)が「国立デザイン美術館をつくる会」を設立されたのが2012年。

2012年11月に東京ミッドタウンで第1回パブリック・シンポジウム、第2回パブリック・シンポジウムが4月にせんだいメディアパークで行われました。



お二人の「日本にデザインミュージアムをつくろう!」という声を引き継ぎ、2019年7月に「デザインミュージアムをつくろう準備室 vol.01」、9月に「「デザインミュージアムをつくろう準備室 vol.02」が開かれ、そしてついに夢が実現する日がやって来ました。

それぞれの会議の議事録もnoteに公開されています

2019年10月16日に「一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM」が設立されたのです!


一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM

「一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM」の本格的な活動を機に開催されるシンポジウムが、「デザインミュージアムをつくろう!キックオフ公開会議」です。

日本にあるべきデザインミュージアムはどんなものなのか、そもそも“館”の姿が必要なのでしょうか。

そのようなことから議論を重ね、関心のある方々の意見を集め、心から必要とされ愛されるミュージアムの実現を目指していきたいと願い開催される「デザインミュージアムをつくろう!キックオフ公開会議」。


https://peatix.com/event/1360444

この活動は、多くの方の参加と賛同によって前進すべきものだと考えているそうで、11月16日のシンポジウムも広く一般に公開し、誰でも参加できる形式となっています。

デザインミュージアムをつくろう!キックオフ公開会議

日時:2019年11月16日(土)14:30〜19:00(13:30開場)

会場:虎ノ門ヒルズフォーラム「ホールB」
(東京都港区虎ノ門1-23-3 虎ノ門ヒルズ森タワー4階)

スピーカー:
佐藤卓(グラフィックデザイナー)、中村勇吾(インターフェースデザイナー)、川村真司(クリエイティブディレクター)、齋藤精一(クリエイティブディレクター)、田根剛(建築家)、林保太(文化庁 文化経済・国際課 課長補佐)、矢島進二(公益財団法人日本デザイン振興会)、横山いくこ(香港M+デザインキュレーター)ほか


詳細なスケジュールおよびお申込みは↓から。
https://peatix.com/event/1360444

定員:350名 ※事前申込制
主催:一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
特別協力:森ビル株式会社




途中参加、途中退席しても怒られませんので、土曜日ご都合のつく方是非ご参加下さい!!


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「竹工芸名品展」

東京国立近代美術館工芸館で開催中の
「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵」に行って来ました。



メトロポリタン美術館にて2017年6月から開かれ、47万人以上を動員し大きな話題を呼んだ展覧会「Japanese Bamboo Art:The Abbey Collection(日本の竹工芸:アビー・コレクション)」が、東京国立近代美術館工芸館で里帰り展として開催されています。

竹工芸にどうしてそんなに人が集まるのか不思議に思うかもしれません。でも、「竹工芸名品展」の会場に一歩足を踏み入れればその理由はすぐに分かります。


生野祥雲斎「白竹一重切花入 くいな笛」1960-70年代

NYからの単なる里帰り展に終わらせてはいません。このように工芸館所蔵の名品とコラボさせた展示を随所で展開しています。

神業としか言いようのない竹工芸の数々と抜群の相性で作品それぞれを高め合っています。



展覧会の構成は以下の通りです。

日本各地の竹の特徴
東日本
煎茶と竹
西日本
現代の竹工芸
九州




手先が決して器用ではないので、仮に毛糸や紙でこれと同じものを作れと言われてもまずこんな細かな仕事はまず無理です。

それを扱いが難しい竹でやってのけるのですから、もう開いた口が塞がりません。



コタツの上に蜜柑をいれる籠として使う類のものではないと分かっていても、どこか身近さも感じられるのが竹工芸品の良いところです。

逆にそれが「芸術品」として捉えられてこなかった理由でもあります。

ニューヨーク在住の美術コレクター、ダイアン&アーサー・アビー夫妻が1990年代から日本の竹工芸の魅力に惹かれ蒐集したコレクションをまとめて観られる好機です。



名の知れた作家の絵画を集めることはお金さえあれば誰でも出来ますが、自分たちで良いと思い惚れ込んでこうして蒐集した物は、コレクターの愛情が作品を通して鑑賞者にも伝わってきます。

歴史ある西洋絵画の名品を紹介する展覧会が数多く都内では開催されていますが、たまには近代に入ってから日本人の手で作られた竹工芸品と向き合うのも悪くありません。



東京国立近代美術館工芸館について 2020年、石川県金沢市へ移転します。

工芸館は、日本で最初の国立美術館である東京国立近代美術館の分館として、建築家・谷口吉郎が改修を手がけ、昭和52(1977)年に開館しました。総数約3,860点(平成31年3月31日現在)を収蔵し、近現代の工芸およびデザイン作品を全般にわたって幅広く収集をおこなっています。工芸館の赤レンガの建物は、明治43(1910)年に建てられた旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したもので、現在、重要文化財に指定されています。

「竹工芸名品展」は12月8日までです。これはとってもおススメの展覧会です。是非是非〜(写真撮影も可能です)


竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵

会期:2019年9月13日(金)〜12月8日(日)
開館時間:10:00〜17:00
※入館時間は閉館30分前まで
休館日:月曜日(9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日[火]、9月24日[火]、10月15日[火]、11月5日[火]
無料観覧日:10月22日[火・祝](「即位礼正殿の儀」に際する慶祝行事として)
会場:東京国立近代美術館工芸館
https://www.momat.go.jp/cg/
主催:東京国立近代美術館、NHK、NHKプロモーション
企画協力:Ueki & Associés
協力:日本航空


かご編みの技法大全: 編む・かがる・組む・巻く・結ぶ、編み方の技法を網羅した決定版

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障害・表現・共生を考える5日間「ここから展4」

国立新美術館にて「ここから4 ―障害・表現・共生を考える5日間」が12月4日(水)〜12月8日まで開催されます。


https://www.kokokara-ten.jp/

2016年秋の「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」にあわせて開催した,障害者のアートやスポーツ 義足などのデザインに関する展覧会,それが「ここから」展の始まりでした。

それ以来,共生社会や文化 の多様性について関心を深めることを目標として毎年開催し,今回が「ここから4」となります。


和田淳《マイ エクササイズ》2017年〜2019年 ©Atsushi Wada, New Deer

文化庁主催の「ここから ―アート・デザイン・障害を考える3日間―」展 (平成28年10月)と「ここから2 ―障害・感覚・共生を考える8日間」展(平成30年3月),「ここから3 ―障害・年齢・共生を考える5日間」(平成30年12月)を継承する展覧会です。


萩尾望都《半神》1984年 ©HAGIO moto/shogakukan

今回の「ここから展4」では,障害のある方たちが制作した「表現の持つ根源的なよろこび」が感じられる作品に加え, 障害・障壁への気づきをうながすマンガ・アニメーションや,身体感覚を際立たせる映像・メディアアートなども合わせて紹介。

鑑賞支援の取り組みを進めることで,より多くの人に「ひらかれた」展覧会とすることを目標としています。


鵜飼結一朗《妖怪》2019年

展覧会構成:
1 「いきる‐共に」
2 「ふれる‐世界と」
3 「つながる‐記憶と」
4 「あつまる‐みんなが」
5 「ひろげる‐可能性を」

これら5つのキーワードを通じアート,デザイン, マンガ,アニメーションといった多様な分野にわたる作品を紹介。

障害の有無にかかわらず選ばれた約20組の作家が出展します。


本多達也《Ontenna (オンテナ) 》2019年 Innovated by FUJITSU


佐々木華枝 《ヘリコプター》

「ここから4 ―障害・表現・共生を考える5日間」

会期:2019年12月4日(水)〜12月8日(日)
会場:国立新美術館 1階展示室1A(東京都港区六本木7-22-2)
https://www.nact.jp/
時間:10:00〜18:00 ※6日(金)・7日(土)は20:00 まで ※入場は閉館の30分前まで
入場料:無料
主催:文化庁
共催:国立新美術館
制作:アートインプレッション
公式サイト:https://www.kokokara-ten.jp/

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『マンガで教養 はじめての西洋絵画』

朝日新聞出版より刊行となった『マンガで教養 はじめての西洋絵画』を読んでみました。


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』
川瀬佑介(監修)、にしうら染 (イラスト)

子供の頃は「漫画なんて読んでないで勉強しなさい!」とよく叱られたものです。その悪者の「マンガ」もひと昔前とくらべると漫画の社会的ポジションは随分と高くなってきました。

大学入試 マンガで日本史が面白いほどわかる本』こうした大学入試の参考書今では書店で沢山めにしますし、東大合格の勉強法まで漫画で読む時代となりました。


マンガでわかる 東大勉強法

気軽に見ているだけの動画コンテンツが彼らの生活の主体となっている昨今、漫画でさえも「読む」という能動的な手段、つまりちょっと面倒なものになっているのです。

要は、今の時代、漫画であってもひと昔前の蔑みの感は微塵もないどころか、逆に若者にとってはそろそろ敷居の高いコンテンツとなりはじめているのです。


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』より。

少々前置きが長くなりましたが、今回発刊となった『マンガで教養 はじめての西洋絵画』は、「マンガで教養」と謳っているものの、漫画部分は導入に過ぎず、中身は超骨太な本格的な西洋美術本となっています。

それもそのはず、文章や絵画選定を行ったのは、国立西洋美術館主任研究員絵画・彫刻室長の川瀬佑介氏なのです。

川瀬佑介(かわせ・ゆうすけ)
1977年生まれ。国立西洋美術館主任研究員絵画・彫刻室長。東京藝術大学大学院博士課程修了後、メトロポリタン美術館、長崎県美術館学芸員などで美術史研究を重ねた。専門は17世紀を中心とするスペイン・イタリア美術史。2016年の「カラヴァッジョ展」「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」などを監修。



「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
2020年3月3日(火)〜2020年6月14日(日)

来年(2020年)に開催される西洋美術の教科書「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の担当学芸員を務めるのが、この本の監修者である川瀬氏なのです。

『マンガで教養 はじめての西洋絵画』の執筆を川瀬氏に依頼した時から、既に完成度の高い本が出来上がることは明々白々であったわけです。

そして、実際に手にしてみるとまた想像の更に上をいく出来栄えに驚かされました。この分量そしてこの細かい執筆作業をひとりで行うとは!図版に解説を限られた字数で入れることが如何に大変なことか!!

西洋美術史の流れをポンペイの壁画から20世紀絵画まで約70作品を取り上げ、一点一点見開きで(時に3ページ以上!)丁寧に紹介・解説して行きます。



『マンガで教養 はじめての西洋絵画』【目次】
1作目 西洋絵画の変遷をたどる
西洋美術史年表/西洋絵画の誕生

2作目 時代の名画を観る
<絵画の起源>
『ポンペイ壁画 ディオニュソスの秘儀』/『ナイルモザイク』/『テオドラと従者たち』 ほか

<ルネサンス>
マザッチョ『貢の銭』/ピエロ『キリストの笞打ち』/マンテーニャ『美徳の勝利』/ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』/ダ・ヴィンチ『モナ・リザ』 ほか

<北方ルネサンス>
ファン・エイク『アルノルフィーニ夫妻の肖像』/ファン・デル・ウェイデン『十字架降架』 ほか

<マニエリスム>
ブロンズィーノ『愛の寓意』/パルミジャニーノ『首の長い聖母』/ティントレット『最後の晩餐』 ほか



<バロック>
カラッチ『バッカスとアリアドネの凱旋』/カラヴァッジョ『聖マタイの召命』/スルバラン『聖ペドロ・ノラスコの幻視』/ベラスケス『ラス・メニーナス』 ほか

<ロココ>
ヴァトー『シテール島の巡礼』/フラゴナール『ぶらんこ』/シャルダン『パイプと水差し』

<新古典主義・ロマン主義>
ダヴィット『ホラティウスの誓い』/アングル『グランド・オダリスク』/ゴヤ『1808年5月3日』 ほか

<写実主義>
クールベ『画家のアトリエ』/ミレー『落穂拾い』/マネ『草上の昼食』

<印象派>
モネ『睡蓮』/ドガ『バレエのレッスン』/ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』

<ポスト印象派>
セザンヌ『リンゴとオレンジのある静物』/ゴーガン『かぐわしき大地』/ゴッホ『ひまわり』/スーラ『グランド・ジャット島 日曜の午後』ほか

<象徴主義・世紀末美術>
モロー『出現』/ロセッティ『プロセルピナ』/クリムト『接吻』/ムンク『叫び』

<現代美術のはじまり>
マティス『ダンス』/ピカソ『アヴィニョンの娘たち』/ミロ『農園』/カンディンスキー『コンポジションVIII』

3作目 西洋絵画をもっと楽しむコツ
絵画の機能と役割/絵画のディスプレイと観客/絵画の裏側/日本の美術館




セザンヌのどこが革新的であったのかも、絵画の部分図やこうしたイラストなども交えて解説しています。これだと混在する様々な視点が一枚の絵の中にあることがとてもよく理解できますね。

各章の冒頭部分に数ぺージ漫画が配置され、ナビゲーションの役割を果たすと共に、いい感じで本文とのメリハリを出すことに成功しています。

西洋美術史の入門書として今出ている書籍の中では最もとっつきやすくもあり、そしてまた本格的な内容のバランスの取れた一冊ではないでしょうか。


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』より。

自分は古い人間なので、流行りの動画や画像ではなく文字コンテンツを通してではないと頭の中に入って来ません。逆に若い人たちには簡単そうに見えて実は奥が深いこうした本はある意味で新鮮に感じるのではないでしょうか。

オジサンから学生さんまで幅広い層に読んでもらえる一冊だと思います。

そうそう、『マンガで教養 はじめての西洋絵画』に取り上げている作品の中には国立西洋美術館の常設展で観られるものも含まれています。


クロード・モネ「睡蓮、柳の反映」1916年
旧松方コレクション


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』より。

これを読んだら、もうすぐでも西美に実物を観に行きたくなりますよ!

そして知識としての西洋美術史を少しでも身に付けられたら、これから足を運ぶ展覧会や美術館で出会う作品も違って観えてくるはずです。

川瀬学芸員が世界の名画を語り尽くす、『マンガで教養 はじめての西洋絵画』。最後の章「西洋絵画をもっと楽しむコツ(絵画の機能と役割/絵画のディスプレイと観客/絵画の裏側)」も目から鱗情報満載ですよ!


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』
川瀬佑介(監修)、にしうら染 (イラスト)

西洋の名画を楽しむための見方や、おおまかな西洋美術史の流れがわかる西洋絵画の入門書。
古代、ルネサンス、バロックから現代美術のはじまりまで、時代別に代表的な画家と作品をマンガ+解説文で丁寧に紹介します。



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