青い日記帳 

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敬文舎の美術シリーズ「くらべてわかる」

歴史書を扱う出版会社・敬文舎より今年(2019年)に美術シリーズが刊行になりました。


http://k-bun.co.jp/

本好きとしては不覚にもつい最近までこのシリーズの存在をしらず、慌てて取り寄せた次第。

既に2月、7月、10月にそれぞれ1冊ずつ、計3冊が刊行となっています。


『くらべてわかる 若冲VS応挙』
安村 敏信(著)


『くらべてわかる 北斎vs広重』
内藤 正人(著)


『くらべてわかる 国芳vs芳年』
日野原 健司(著)

敬文舎の「くらべてわかる」シリーズは、これまでありそうでなかった美術書です。

普通は絵の全図を掲載し魅力を紹介するものですが、「くらべてわかる」では、部分図を大きく掲載し、二人の絵師の細部の描き方を比べることで、言葉では説明してもピンとこない表現の違いをダイレクトに伝えます。


若冲:裏彩色を多用した変幻自在の楽しさ。
応挙:表面からの彩色一本で変化をつける超絶技法。
『くらべてわかる 若冲VS応挙』より。

一冊だけでなく、三冊の中から同じテーマのものを比べると都合、四人の絵師、場合によっては六人の絵師の技法を見比べることも出来たりします。

若冲が好んで描いた鶏を、応挙はどう描いたのか?そして人気浮世絵師、北斎と広重は如何にして表現したのでしょう。


北斎「軍鶏図」と広重「朝顔に鶏と傘」
『くらべてわかる 北斎vs広重』より。

「絵は並べ見れば、良し悪しがわかる」と普段から仰っている安村敏信先生が著者に名を連ねているだけあり、実に面白い!

でも、クローズアップされた絵の一部しか掲載されていないと、全体がどんな作品なのか分からない…と心配になりますよね。

そこはご安心下さい。まずは何点か対決形式で(「対決展」なんてありましたね〜)部分で見比べてもらい、そのあとまとめて全図をこのように掲載しています。



鶴なら鶴の羽の描写や形のとらえ方。それらが二人の画家でどう違うのか。その部分を延々と見比べてゆくうちに、二人の画家が同じ対象を描いてもまったく違うということが、なんとなくわかってくるのではあるまいか。そうしたうえで全図を見ると、二人の画家のとらえ方の違いというものが、おのずと見えてくる。それこそが絵の見方につながるのだ。
『くらべてわかる 若冲VS応挙』安村敏信(著)より。

3冊に共通している幾つかの対象物から「波(波濤)」を取り上げてご紹介しておきます。六人の絵師による波濤比べとくとご覧あれ!


『くらべてわかる 若冲VS応挙』より。


『くらべてわかる 北斎vs広重』より。


『くらべてわかる 国芳vs芳年』より。

同じ「波」の表現であっても江戸時代の六人の絵師ではこれだけ大きな差が出るものです。こうして比べて見ることで、確かに今まで見逃していた、気が付いていなかった描写や表現の特徴がリアルに分かります。

そして更にそれぞれの絵師たちが、波を通して何を描きたかったのかという、向こう側まで透かして観える気がしてきます。

敬文舎の美術シリーズ「くらべてわかる」かなり優秀であり、これまでなかったアプローチで新たな江戸絵画の面白さ、愉しさを教えてくれます。

3冊で終えることなく、これからもシリーズ継続させて下さい!



新書本とくらべてわかるように、かなり大きなサイズの本です。美術館では不可能な細部の比較をたっぷりと楽しんで下さい。江戸絵画、浮世絵がますます好きになること間違いなしです。

両者の個性の違いがはっきりと伝わるよう、絵の一部分をトリミングしたり拡大したりするなどして、その表現の特徴を際立たせている。作品を鑑賞する場合、作品全体を眺めることが一般的であるが、あえて細部に注目することによって、表現の面白さをより深く実感することができる。
『くらべてわかる 国芳vs芳年』日野原 健司(著)より。

安村 敏信(やすむら・としのぶ)
1953年、富山県生まれ。東北大学大学院修士課程(日本美術史)終了。1979年より板橋区立美術館に勤務。同館館長。現在、北斎館館長。主な著書に『若冲BOX FIVE COLORS』(講談社)、『絵師別 江戸絵画入門』(東京美術)、『江戸絵画の非常識』)(敬文舎)など多数。

内藤正人(ないとう・まさと)
1963年、愛知県生まれ。慶應義塾大学大学院修了(美学美術史学)、博士(美学)。一九八八年より出光美術館に勤務し、同館主任学芸員を経て、現在慶應義塾大学文学部教授、同大学アート・センター所長、ほかに国際浮世絵学会常任理事など。美術史家として、江戸時代の絵画史と版画史を専門とするが、特に浮世絵と風俗画全般、琳派などをおもな研究テーマとしている。

日野原健司
(ひのはら・けんじ)
1974年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科前期博士課程修了。現在、太田記念美術館主席学芸員、慶應義塾大学非常勤講師。 太田記念美術館にて「没後150年記念 破天荒の浮世絵師 歌川国芳」(2011年)、「没後120年記念 月岡芳年」(2012年)、「月岡芳年 月百姿」(2017年)などの展覧会を担当。著書に『月岡芳年 月百姿』(青幻舎、2017年)、『北斎 富嶽三十六景』(岩波書店、2019年)などがある。

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多摩美術大学アートアーカイヴシンポジウム「アートアーカイヴとは何か」

多摩美術大学アートアーカイヴシンポジウム「アートアーカイヴとは何か」が、12月7日(土)八王子キャンパス レクチャーホールにて開催されます。


シンポジウムフライヤーデザイン:加藤勝也(本学グラフィックデザイン学科准教授)メインビジュアル:瀧口修造「リバティ・パスポート」photo by Kenji Takahashi
https://k.tamabi.ac.jp/activity/kikaku/2378040/

今回のシンポジウムは2018年4月に設立した多摩美術大学アートアーカイヴセンター主催によるもので、2回目の開催となります。

この春に行われた第1回シンポジウムでは、展覧会単位だけではなく、日々研究や制作に取り組む教員・学生らとともにある美術大学が成すべきアートアーカイヴについて議論がなされました。

この議論を出発点として、今回は「アートアーカイヴの現状」「写真アーカイヴのこれから」「言語と美術のアーカイヴ化」という3つの方向からアートアーカイヴの可能性を展開します。


Hiroshima in Tasmania – The Archive of the Future by Masao OKabe & Chihiro Minato ©Chihiro Minato 2011

【プログラム内容】
第1部では、多摩美術大学アートアーカイヴセンターが重点的に取り組んでいるプロジェクトの成果報告をいたします。佐賀一郎(グラフィックデザイン学科准教授)からは、ポスターや様々なマテリアルを含むデザイン領域のアーカイヴに関する取り組みについて、久保田晃弘(情報デザイン学科教授)からは、タイムベースドメディアの後に考えるべきインタラクションのアーカイヴについて、小泉俊己(絵画学科油画専攻教授)と芸術学の上崎千氏からは、美術写真家の安齊重男氏と映像作家の中嶋興氏が撮影してきた「もの派」の写真とそのアーカイヴ化についてお話しいたします。

第2部は、港千尋(情報デザイン学科教授)と金子遊(芸術学科准教授)が、人類学から考えたアーカイヴと写真について論じ、第3部では、川村記念美術館で開催された「言語と美術―平出隆と美術家たち」展を企画し、その展覧会のアーカイヴ化に取り組んできた平出隆(芸術学科教授)と、同展の会場構成を行った青木淳(環境デザイン学科客員教授)が対話を行います。


平出隆『言語と美術 平出隆と美術家たち』(港の人、2018)

【関連イベント】
1)多摩美術大学図書館
ゲーテ・インスティテュート主催の写真集展を開催。
12月4日(水)〜7日(土)9:00〜20:00、土曜のみ16:30まで
河原温コレクションと青木淳「透明梁」を12月4日より公開。

2)アートテークギャラリー201
「河原温 LANGUAGE and ARTブックアート・コレクション創設記念展」
12月4日(水)〜7日(土)10:00〜18:00、入場無料
https://k.tamabi.ac.jp/activity/kikaku/2451917/

【関連情報】
多摩美術大学アートアーカイブセンター創設記念シンポジウム(2019年3月29、30日に実施)
https://k.tamabi.ac.jp/activity/kikaku/2096487/


「竹尾ポスターコレクション・ベストセレクション13」展(多摩美術大学アートテーク、2019)

第2回多摩美術大学アートアーカイヴシンポジウム「アートアーカイヴとは何か」

日時:2019年12月7日(土)10:00〜17:00(9:30開場)
会場:多摩美術大学 八王子キャンパス レクチャーホールBホール
(〒192-0394 東京都八王子市鑓水2-1723)
参加費:無料・申込不要(先着順200名)
主催:多摩美術大学アートアーカイヴセンター、多摩美術大学図書館、多摩美術大学芸術人類学研究所
協力:多摩美術大学美術館、メディアセンター
https://k.tamabi.ac.jp/activity/kikaku/2378040/


『言語と美術 平出隆と美術家たち』
平出 隆 (著)

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三菱一号館美術館で「クリームソーダ」と「純喫茶パフェ」

美術館・博物館に併設されたカフェの中でもダントツの人気を誇るのが、三菱一号館美術館ミュージアムカフェ・バー「Café 1894」です。


三菱一号館美術館Café 1894
https://mimt.jp/cafe1894/

元々銀行の窓口であった開放感のある空間では、しばしばドラマの撮影にも使われています。

編集・執筆を担当した『カフェのある美術館 素敵な時間をたのしむ』でも本の顔としての表紙に使用しました。


カフェのある美術館 素敵な時間をたのしむ
青い日記帳 (監修)

三菱一号館美術館Café 1894の人気のおかげで、この本も現時点で何度も重版となり現時点で5刷となりました!感謝感激です。

さてさて、現在三菱一号館美術館では「印象派からその先へ−世界に誇る吉野石膏コレクション展」が開催されています。


https://mimt.jp/ygc/

ルノワールの初期から晩年までの重要な作品から、モネの《睡蓮》や、ピサロ、シスレー、セザンヌの詩情豊かな風景画、ルノワール、ドガ、カサットによるパステル画、ピカソの肖像画、国内有数の質と量を誇るシャガールの油彩画など、他では見られない選りすぐりの72点!

アート初心者や、たまにしか美術館には行けないという方でも、気軽に名画を楽しめる展覧会となっています。


クロード・モネ《サン=ジェルマンの森の中で》1882年
油彩/カンヴァス 81.0×65.9cm  
吉野石膏コレクション

さて、展覧会との毎回素敵なタイアップメニューが話題となるカフェ1894ですが、今回はそれとは別にもうひとつ特別メニューを期間中提供しています。

それが、このスペシャルメニュー、「クリームソーダ」と「純喫茶パフェ」です。いずれも数量限定!



印象派の画家たちが活躍した時代、日本で誕生した喫茶文化にちなみ、「純喫茶」をテーマとしたメニューです。10月30日(水)より期間限定で販売され既に話題となっています。


特製 “クリームソーダ”(税込650円)
喫茶の王道でもある「クリームソーダ」。爽やかなテイストのメロンソーダに大ぶりのバニラアイスクリームがのり、飲みごたえ満点。

サクランボのトッピングが彩りをそえ、見た目も可愛らしく、昔懐かしい仕上がり。
・数量限定 【平日のみ14〜17時(L.O.16時)】 15食/日 【土日含む20時〜23時(L.O.22時)】 15食/日


特製 “純喫茶パフェ”(税込980円)
こぼれ落ちそうなほど贅沢に盛られた「純喫茶パフェ」は、14種類もの層で彩られる、渾身の一品。

トップにはシガレットクッキー、バニラアイスをはじめ、メロン、りんご、キウイ、オレンジ、とフルーツを盛り合わせ、上段中央には自家製プリンの上に、チェリーとホイップクリームをのせました。中腹にはフルーツカクテル、スポンジケーキが混ざりあい、下段はチョコレートソース、コーンフレークとラズベリーソースを重ねています。



最後まで飽きのこない美味しさの「純喫茶パフェ」で、大人の夜の時間にロマンある至福の味わいを。
・数量限定 【販売期間中の20〜23時(L.O.22時)】12食/日

販売期間は、2019年10月30日(水)〜11月30日(土)です!急がなくちゃ!!



上記のメニューを注文すると可愛らしい限定オリジナルコースターが付いてきます。今回の特別デザインです。

カフェメニューに華を添えますね!ノベルティとしてお持ち帰りいただくこともできるだけでなく、コースターを美術館へ持って行くと、「印象派からその先へ展」が何と200円割引になります。


「Café 1894」について

銀行営業室として利用された空間を復元した、ミュージアムカフェ・バー。三菱一号館美術館 「Café 1894」は、かつて銀行営業室として利用されていた場所です。

この空間の復元にあたっては、1894(明治27)年の三菱一号館竣工時に撮影されたと思われる写真の他、図面、保存部材から、可能な限り忠実な復元を目指しました。クラシカルな店内は、TVや雑誌などの撮影にもよく使用されています。

<Café 1894 店舗情報>
営業時間:11:00〜23:00
(ラストオーダー22:00)
定休日:不定休
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
TEL:03-3212-7156
Webサイト:https://mimt.jp/cafe1894/


「印象派からその先へ−世界に誇る 吉野石膏コレクション展」

会期:2019年10月30日(水)〜2020年1月20日(月)
開館時間:10:00〜18:00 
※入館は閉館の30分前まで(1月3日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで)
休館日:月曜日(但し祝日・振替休日の場合、1月20日、トークフリーデーの11月25日と12月30日は開館)、年末年始(12月31日、1月1日)
会場:三菱一号館美術館
https://mimt.jp/


クリームソーダ 純喫茶めぐり


純喫茶レシピ: おうちでできるあのメニュー

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「線の迷宮<ラビリンス>掘<憩2蠕犬肇侫蹇璽蕕凌静臓

目黒区美術館で開催中の
「線の迷宮<ラビリンス>掘<憩2蠕犬肇侫蹇璽蕕凌静臓彭犬帽圓辰突茲泙靴拭


https://www.mmat.jp/

これまで「細密版画の魅力」展(2002年)、「鉛筆と黒鉛の旋律」展(2007年)とシリーズ展開されてきた「線の迷宮展」の第三弾が目黒区美術館で開かれています。

1回目、2回目と「線」の魅力に迫る非常に見ごたえのある展覧会でした。今回は初めての「個展形式」となります。


徒花園

斎藤芽生さんの作品と「線の迷宮」は少々組み合わせ的にどうなのかな〜と感じるはずです。特に1,2回目の「線の迷宮展」に感銘を受けた方なら猶更に。

シリーズ物の推理小説や映画が次回作では新たな試みに果敢に挑戦していくように、「線の迷宮展」も内容・意味を今回でかなり拡大したのではないでしょうか。


齋藤芽生《徒花図鑑「斜陽葵」》2008年 個人蔵
Photo (C)Ken Kato
Courtesy of gallery Art Unlimited

女性初の東京藝術大学美術学部油画科常勤講師に就任した齋藤氏が、広くアートファンに「斎藤芽生」の名前を知らしめたのが、この『徒花図鑑』シリーズです。

『徒花図鑑』は、作家が思いつくままに空想を働かせ、それら空想のものたちがこの世に存在するかのように図像で網羅した、架空の博物誌。


徒花図鑑 齋藤芽生作品集

作家が作りだした空想の花の精緻な絵とその奇妙な花の名前と、ウィットに富み少々ブラックな解説文が添えられています。

文学的な才能が如何なく発揮されているのがこの『徒花図鑑』シリーズなのです。これをまず展覧会冒頭の章に持ってきています。


齋藤芽生《徒花図鑑「間男蔓」》 2008年 個人蔵
Photo (C)Ken Kato
Courtesy of gallery Art Unlimited

尚、第1章は大学2年時の作品《毒花図鑑》(1993年)、大学4年時の卒業制作以来、初の展示となる《日本花色考》(1995年)及び、これらの作品群を展開させた《徒花図鑑》(2008年)から成っています。

徒花図鑑 齋藤芽生作品集』でしか目にしたことの無かった作品の実物に出会える幸せ。

ほとんどは個人蔵となっているため、再びこうしてまとめて実物を観る機会はないはずです。


R. J.ソーントン編、ライナグル(花)とペザー(風景)画 ダンカートン版刻《フローラの神殿「夜の女王」》1800年 
町田市立国際版画美術館蔵

学生時代の齋藤氏に強い影響を与えた、19世紀に記された植物図鑑の名作『フローラの神殿』(1798-1807年刊行)

ロバート・ジョン・ソーントンにより編集された『フローラの神殿』の大きな特徴として、植物だけを緻密に描くのではなく、その背景に急峻な山岳や渓谷、古城など、趣向を凝らした世界各地の風景が描写されている点があげられます。

無地の背景ではなく、この一種独特なシュールささえも感じる『フローラの神殿』無くして、『徒花図鑑』は確かに誕生しなかったかもしれません。

30点も『フローラの神殿』が展示されています。これ今回の展覧会の大きな見どころのひとつと言って間違いありません。



展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:花の迷宮ー齋藤芽生とフローラの神殿
第2章:窓の光景
第3章:旅をする魂



齋藤芽生《晒野団地四畳半詣「姥捨小町鉄の浮橋」》2006年 個人蔵
Photo (C)Ken Kato
Courtesy of gallery Art Unlimited

竹橋の東京国立近代美術館では「窓展」が開催されていますが、齋藤氏も窓枠、それもみな同じサイズで縦横に配置された団地の窓に固執しそこに見え隠れする人間模様を描いています。

ほぼ正方形の窓枠の中には一体どんな人たちの、どんな物語が存在するのでしょう。

それは知りたくても知ることの出来ない、近くて遠い世界。団地やマンションのお隣さんがどんな暮らしぶりをしているのか覗いてみたくありませんか。


齋藤芽生「野篦駅」2012年
絹谷幸二氏蔵

第3章:旅をする魂では、作家自らが旅先で感じた光景を作品としています。

《密愛村掘Ν検奸2011・16年)、《獣道八十八号線》(2011年)、《野火賊》(2015年)、《暗虹街道》(2018年)などのシリーズが展開されています。

個人的には徒花や団地の窓枠を描いていた作品に比べ、この頃の作品は惹かれるものが正直乏しかったです。齋藤芽生氏の画集を読み耽りイメージが固まり過ぎてしまっていたからかもしれません。



目黒区美術館の展示室は主に2階なのですが、1階にも今回こうした齋藤氏の作業場が再現されています。

ここに展示されている写真資料などを具に見て行くと「野篦駅」をはじめとする作品の原点を見つけ出すことが出来ます。



第3章:旅をする魂がピンとこなかった方は一度、1階の資料コーナーを観てから再度作品と向き合うと違った感想が持てるはずです。

齋藤芽生(さいとう・めお)
1973年東京都生まれ。現在東京在住、東京藝術大学准教授。おもな展覧会に、「VOCA展 現代美術の新しい地平―新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、2005・2010 年)、「アーティストファイル2009―現代の作家たち」(国立新美術館、2009年)、「祝祭と祈りのテキスタイル」(熊本市現代美術館、2010年)、「大原美術館 秋の有隣荘特別公開 齋藤芽生 密愛村」(大原美術館、2016年)他がある。また、おもな出版物に、作品集『徒花図鑑』(芸術新聞社、2011年)、『四畳半みくじ』(芸術新聞社、2014年)、絵本『吸血鬼のおはなし』(福音館書店、2009年)、絵本『カステラ、カステラ』(福音館書店、2013年)などがある。



齋藤芽生《密愛村掘嵬輸される乙女たち」》2011年 個人蔵
Photo (C)Ken Kato
Courtesy of gallery Art Unlimited

「線の迷宮<ラビリンス>掘<憩2蠕犬肇侫蹇璽蕕凌静臓彭犬12月1日までです。画集だけでは決して得られない感動に出会えます。


「線の迷宮<ラビリンス>掘<憩2蠕犬肇侫蹇璽蕕凌静臓

会期:2019年10月12日(土)〜12月1日(日)
時間10:00〜18:00(入館は17:30まで)休館日月曜日 ただし、10月14日(月・祝)及び11月4日(月・休)は開館し、10月15日(火)及び11月5日(火)は休館。
会場:目黒区立美術館
https://www.mmat.jp/
主催:公益財団法人目黒区芸術文化振興財団 目黒区美術館
協力:ギャラリー・アートアンリミテッド、町田市立国際版画美術館


『四畳半みくじ』
齋藤芽生 (著)

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「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」

東京都現代美術館で開催中の
「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展に行って来ました。


展覧会特設サイト:https://mina-tsuzuku.jp/

2015年に青山・スパイラルで開催された「ミナカケル展」、長崎県美術館での「1∞ ミナカケル ―ミナ ペルホネンの今までとこれから」展から早5年。

リニューアルオープンして間もない東京都現代美術館にて皆川明の「ミナ ペルホネン」の展覧会が開催されています。待ち望んでいた方さぞかし多いのではないでしょうか。



創立当初から2020年春夏コレクションまでの25年分の服、約400着を一堂に集めた「洋服の森」。

年代順に並んでいるかと思いきや、展示されている服が制作された年はバラバラ。ランダムに飾られています。

それにも関わらず、「古さ」「新しさ」を感じさせない点が凄いですよね。普遍性のある服たち。



「ミナ ペルホネン」の理念がこの部屋だけで体感できます。

流行り廃りがファッションには常に付きまといます。時としてそれを逆手にとり利益追求だけに走るブランドも散見する中、ミナの哲学は決して揺るぎません。


実:タンバリン

ただし、洋服だけが全ての展覧会では決してありません。

皆川氏がミナ ペルホネンの前身となる「ミナ」を立ち上げた1995年から現在に至るまで、そしてその先を見据えた展示内容となっています。

「せめて100年続くブランド」という想いで皆川氏が始めた活動も、来年2020年に25周年を迎えます。しかしまだ四分の一。まだまだこれから「つづく」のです。

これについては、最後の展示室にある皆川氏へのインタビュー映像を是非じっくりとご覧あれ。


種:アイデアと試み

展覧会は8つのエリアから成っています。それぞれに冠された言葉について皆川氏はこう述べています。
ミナベル ホネンのものづくりの営みを自然界に例えて各章の名称としています 。
活動の要素をその名称の意味合いと重ねてご覧いただきます。
ものづくりに在る「つづく」と人の心に繋がる「つづく」を様々な視点から感じる中でミナベル ホネンのデザインがつくり手とつかい手を繋ぎ、どのように関係しながら循環と継続をしていくかをご覧ください。
展覧会の構成は以下の通りです。

実:タンバリン
森:洋服の森
風:生活とデザイン
芽:テキスタイルのためのデザイン
種:アイデアと試み
根:挿画
土:洋服と記憶
空:インタビュー映像



根:挿画

皆川明氏が朝日新聞「日曜に想う」(現在も連載中)の為に描いた挿画や、日本経済新聞の「森へ行きましょう」(川上弘美)の為の挿画がまとめて公開されています。


『森へ行きましょう』

テキスタイルデザインから離れたより自由な発想で描かれた作品たち。ついつい一点一点何か意味を見出しながら魅入ってしまいます。

パナソニック汐留美術館で開催中の「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」での感覚に似ているものがあります。


shell house(シェルハウス)」2019年
構想:皆川明
設計:中村好文
施工:羽根建築工房
協力:LIXIL,鳥取CLT

建築まで皆川氏は構想していると知り驚くと同時に、衣服だけでなく住居空間にも理想の心地よさ、快適さを追い求める姿を垣間見ました。

将来の夢として構想している「簡素で心地よい宿」のプロトタイプがこの「shell house(シェルハウス)」だそうです。

家の中にも入ることが出来ますので皆川氏が目指す心地よさを是非体感してみて下さい。


風:生活とデザイン

ミナの服を着て生活する人の日常を綴った映像作品コーナー(制作:藤井光)。注目は椅子まで全てミナのもの!さて、どれに腰かけて鑑賞しましょう。

「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展は2020年2月16日までです。とても人気を博す展覧会になるはずです。なるべくお早めに!いや〜良かったわ。もう一度必ず行きます。

因みに、ミナ ペルホネン(minä perhonen)の「ミナ」はフィンランド語で「私」。「ペルホネン」は「蝶」を意味しているそうです。


「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」

会期:2019年11月16日(土)〜2020年02月16日(日)
休館日:月曜日(2020年1月13日は開館)、12月28日ー2020年1月1日、1月14日
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
会場:東京都現代美術館 企画展示室3F
https://www.mot-art-museum.jp/
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、朝日新聞社
展示デザイン:田根剛 (Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
グラフィックデザイン:葛西薫
展覧会特設サイト:
https://mina-tsuzuku.jp/


特設ミュージアムショップはお宝の山です!オリジナルグッズお早めに!!


『皆川明100日WORKSHOP』 (スペースシャワーブックス)

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