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国立美術館クラウドファンディング「12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクト」

国立美術館のクラウドファンディング:国立工芸館 石川移転開館記念事業「12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクト」がスタートしました。


https://crowdfunding.artmuseums.go.jp/

東京国立近代美術館、国立西洋美術館、国立新美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館、国立映画アーカイブの6つの美術館から成る独立行政法人国立美術館

2019年3月15日より、新たな試みとして、国立美術館独自のクラウドファンディングサイトを立ち上げ、クラウドファンディングによるプロジェクトを始めたのは以前お伝えした通り。

第1弾として資金を募った「国立西洋美術館開館60周年記念事業 クロード・モネ 《睡蓮、柳の反映》 デジタル推定復元プロジェクト」は大成功を収めました。


クラウドファンディングで60年ぶりに発見されたモネの「睡蓮」を甦らせよう!

独立行政法人国立美術館クラウドファンディング第2弾は、今年7月に予定されている国立工芸館(通称、正式名称は東京国立近代美術館工芸館)の石川移転・開館を記念し2020年4月1日(水)より開始となりました。

「12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクト」と題された、これからの工芸・美術界を担う才能溢れる作家の活動を支援するプロジェクトです。

https://crowdfunding.artmuseums.go.jp/

東京国立近代美術館工芸館は、2020年夏、石川県金沢市に移転し「国立工芸館」(通称)として開館します。明治以降今日までの工芸作品を所蔵する、日本海側初の国立美術館です。
 開館記念事業のひとつとなる本プロジェクトは、多岐に渡る工芸分野の中から工芸の文化を長い間支えてきた「茶の湯」をテーマに据え、日本各地の気鋭の作家12名が茶器などの茶の湯に関連する道具を制作します。完成した作品は国立工芸館が開催する展示や呈茶等の各種イベントで使用。本物の作品の形や質感、その卓越した技術を実際に手に取り体験することのできる貴重な機会を、お客さまに提供します。
 この機会にひとりでも多くの方に工芸に興味をお持ちいただき、工芸を好きになっていただきたい。そんな思いのもと、本プロジェクトを企画しました。これからの工芸・美術界を担う作家たちの活動を支えるとともに、工芸・美術の未来そのものを支援し、発展させる活動にぜひご参加ください。
プロジェクトの内容と目的

国立工芸館の石川移転・開館を記念し、日本各地で精力的に活動する気鋭の現役工芸・美術作家(69年〜81年生まれ)に新作の制作を依頼。現役作家を支援、工芸の魅力を多くの人に伝えることを目的としたプロジェクトです。

【参加作家】内田鋼一(陶磁)、津金日人夢(陶磁 青瓷)、新里明士(陶磁 白磁)、和田的(陶磁 白磁)、今泉毅(陶磁 天目)、見附正康(陶磁 色絵)、坂井直樹(金工 鍛金)、三代 畠春斎(金工 鋳金)、安藤源一郎(漆芸 蒟醬)、松崎森平(漆芸 蒔絵)、水口咲(漆芸 髹漆)、須田悦弘(木彫)   
※順不同・敬称略・( )内は分野




プロジェクト概要
「12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクト」


目標達成金額:3,000,000円
期間:2020年4月1日(水)から6月22日(月)までの83日間
支援方法:国立美術館のクラウドファンディングサイト内専用フォームに必要事項を入力。支援金の支払いはオンラインでのクレジットカード決済、または、郵便局・ゆうちょ銀行の窓口・ATMからの振込み。
国立美術館のクラウドファンディングサイト
https://crowdfunding.artmuseums.go.jp/
支援額は3,000円・5,000円・10,000円・30,000円・50,000円・100,000円・300,000円・500,000円の8区分で、返礼品の異なる全16コース。返礼品として全てのコースの支援者にプロジェクト記念リーフレットを贈呈し、お名前をホームページや国立工芸館に設置されるパネルに記載します。また5,000円以上のコースには、開館記念展招待券や国立工芸館年間パスなどが、さらに50,000円以上のコースには、参加作家が本プロジェクトのために特別に制作する作品が含まれます。
<50,000円>
内田鋼一(粉引酒呑)、津金日人夢(青瓷酒盃)、新里明士(引出し黒ゆのみ)、今泉毅(窯変天目盃)、坂井直樹(侘びと錆びの花器/イーゼルタイプ)、松崎森平(螺鈿のしおり)
<100,000円>
内田鋼一(引出黒酒呑)、津金日人夢(青瓷振出)、新里明士(光盃青皿)、和田的(銀彩ぐい呑み)、坂井直樹(侘びと錆びの花器)、水口咲(小菓子盆)
<300,000円>
新里明士(光蓋器)、見附正康(盃 赤絵細描盃)
<500,000円>
新里明士(器)・見附正康(絵付け)のコラボレーション作品

※それぞれ申込可能数や先着/抽選など受付方法が異なります。詳細は国立美術館のクラウドファンディングサイトをご確認ください。

「国立工芸館」
2020年夏、東京国立近代美術館工芸館は通称「国立工芸館」として石川県金沢市に移転・開館します。

日本海側初、かつ日本で唯一の近現代工芸を専門とする国立美術館となる同館は、工芸振興のナショナルセンターとしての役割を果たします。

なお同館の建物は、国登録有形文化財である旧陸軍第九師団司令部庁舎と旧陸軍金沢偕行社を移築・活用したものです。

東京国立近代美術館工芸館で最後の展覧会となった「パッション20 今みておきたい工芸の想い」展


東京国立近代美術館の名作: 国立美術館初の公式ガイドブック (国立美術館ガイド)


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しりあがり寿「コロナ退散」

本来であれば、国立新美術館で「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」が開催され、しりあがり寿さんと葛飾北斎のガチンコ対決が観られたはずなのですが、にっくき新型コロナのせいでいつ開館できるか不透明な状況です。


「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」
https://kotengendai.exhibit.jp/

北斎×しりあがり寿
いつの時代も人は、遊びや 諧謔の精神を通じて、生きる力を活性化させてきた。葛飾北斎(1760〜1849)の鋭い観察眼に支えられた軽妙な人物描写は、この希代の浮世絵師のユーモアの感覚を、ことのほか豊かに伝えている。北斎は、自ら「画狂人」と号し、天真爛漫に描くことに没頭して長寿を全うした。北斎を敬愛するしりあがり寿は、かつて自作のなかで、踊る北斎のキャラクターに「絵を描くのが好き そして北斎は生きることが好き」と歌わせた。この言葉が示唆するように、遊びは、生を肯定し、創造力を高める基本的な態度である。

本展覧会では、しりあがりが「ゆるめ〜しょん」と呼ぶゆるいタッチの映像の新作を、北斎へのオマージュとして捧げる。また、北斎の代表作〈冨嶽三十六景〉とともに、これに着想を得たパロディ、〈ちょっと可笑しなほぼ三十六景〉(2017年)が出品される。富士山を望む巧みな構図に庶民の姿を生き生きと描いた浮世絵版画の傑作と、奇想天外な現代風刺画が並ぶことで、時代を超えた笑いの創造力が伝わってくる。


葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 江戸時代・19世紀 大判錦絵 25.2×38.5cm 和泉市久保惣記念美術館 展示期間:5月8日〜6月1日


しりあがり寿《ちょっと可笑しなほぼ三十六景 太陽から見た地球》 2017年 和紙にインクジェットプリント 32.0×47.0cm 作家蔵 展示期間:5月8日〜6月1日

しりあがり寿さんが、一刻も早い収束を祈念し、北斎作品(「朱描鍾馗図」)を元にした「コロナ退散」図を描いて下さいました。

鍾馗(しょうき)図は中国で疫病神を祓って魔を除くと信じられ、日本でも古くからよく描かれた画題です。



鍾馗がコロナを足で踏みつけています。

元絵はすみだ北斎美術館所蔵のこちらの作品です。


葛飾北斎「朱描鍾馗図」すみだ北斎美術館

朱描きの鍾馗図は、流行病の疱瘡除の祈りを込めて制作されたもので、朱だけでなく、目や口、髭などに墨が用いられており、細かな工夫がされています。

5月5日の「端午の節句」厄除けとして鍾馗図を家々に飾る風習も中国から伝わったものです。

この鍾馗図も公開される展覧会「大江戸歳事記ー北斎と楽しむ四季のイベントー」は4月21日より、すみだ北斎美術館で開催予定となっています。

連休明けまで展覧会を開けるのは難しいでしょうが、鍾馗の力でコロナをやっつけてもらい、端午の節句近くには実際に観に行きたいものです。


「大江戸歳事記」 

会期:2020年4月21日(火)〜6月14日(日)
前期 4月21日(火)〜5月17日(日)
後期 5月19日(火)〜6月14日(日)
※前後期で一部展示替えあり
休館日:毎週月曜日 
※開館:5月4日(月祝) 休館:5月7日(木)
開館時:9:30〜17:30(入館は17:00まで)
主催:墨田区・すみだ北斎美術館
https://hokusai-museum.jp/


北斎になりすました女 葛飾応為伝
檀 乃歩也 (著)

「おうい」「おーうい」
仕事の合間、繰り返される呼び声。北斎の口ぐせ。
天才絵師の壮大な画業を支えた共作者、三女お栄の画号はここからきた。
光と影の女絵師・葛飾応為。
「美人画を描かせたら俺より上手い」と言わしめた、もう一人の天才。
署名を持たない絵を世界の美術館に探し、歴史の闇に隠れた女性の鮮やかな生涯を描き出す。
「おうい、どこいった」



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『タマ、帰っておいで』

講談社から刊行となった横尾忠則(著)『タマ、帰っておいで』を読んでみました。


タマ、帰っておいで
横尾 忠則 (著)

ペットを飼っている方なら、ご自身のスマホに何枚も可愛いペットの写真が残されているはずです。うちも2匹の愛犬の写真を暇さえあれば撮っています。

Instagramも専ら同じ犬種の写真を見るためだけに使っていると言っても過言ではありません。恋以上にペットは人を盲目にさせます。

それは、世界を股にかけ第一線で活躍するアーティストも同じであるということを、教えてくれる一冊が『タマ、帰っておいで』です。


横尾忠則「タマ、帰っておいで 082 自宅にて」2019年

横尾さんの愛猫「タマ」の絵だけで一冊になった画集です。

タイトルからお分かりのように、その「タマ」はもうこの世にはいません。2014年に天に召されました。

15年もの間、横尾さんと共に過ごした愛猫に捧げたいわば鎮魂歌のような作品集です。



絵描きとしての仕事ではなく「愛」で描き続けたタマ作品の数は91点もあるそうです。横尾さんの愛を独り占めした日本一、否世界一幸せな猫。

「この絵はアートではない。猫への愛を描いた」―横尾忠則

ところで、横尾さんの作品を多少なりとも目にしたことのある方なら、この画集が如何に普通でないかが分かるはずです。

広く知られている絵としてはユーミンのアルバムのこれとか、「戦場の昼食」のような灰汁の強い絵柄が横尾作品の真骨頂とも言えます。


『ザ・ダンシング・サン』松任谷由実


横尾忠則「戦場の昼食」1990 / 2019年 カンヴァスに油彩 178.0×212.0cm 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託) 撮影:上野則宏

国立新美術館「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」出品作品
https://kotengendai.exhibit.jp/

それがどうでしょう、『タマ、帰っておいで』に掲載されているタマの絵はどれもみな可愛らしくInstagramで「いいね!」したくなるものばかりです。

ある日ノラ猫として横尾家の裏庭に忽然とやって来たタマ。それから15年間、横尾さんと同じ屋根の下で暮らしました。

タマがこの世を去った2014年から今年2020年にかけて描かれた連作は、「生まれ変わったら、また一緒の家族になろう」というタマへの想いを胸に描いたそうです。

作品の一枚一枚からタマがどれだけ愛されていたのかが如実に伝わってきます。と同時に合わせ鏡のように、自分が飼っているペットの姿をそこに投影して浮かびあがらせます。



絵だけではなく、タマに関する記述を集めた日記も掲載されています。これが猫好き(動物好き)なら、涙なしには読めないものとなっています。

2014年6月1日
「タマ」の名で始まる朝はもう来ない。
五時起床。
タマの祭壇にはインドのお香の匂いがたち込めている。
すでに妻がお香を焚いてくれている。
半日、公園でタマを想う。


「初夏」「インド」の2つのキーワードですぐさま江國香織さんの小説の一説が頭に思い浮かびました。こんな台詞があります。

「古代インドはいつも初夏だったような気がする」

江國香織の『つめたい夜に』に収録されている短編小説「デューク」で亡くなった愛犬の化身と美術館に行った主人公が二人でインドの細密画を観る場面で語られます。



亡くなったタマやデュークはもう帰ってきませんが、季節が巡り四季折々の花を咲かせるように、その時過ごした思い出は心の中に深くいつまでも刻まれるものです。

アート好きだけでなく、猫好き(動物好き)の心を直撃するヤバイ本です。


横尾忠則「タマ、帰っておいで 007 東宝スタジオにて」2014年

本来ですと、この本の刊行に合わせ西村画廊で「横尾忠則 REQUIEM タマ、帰っておいで」展が開催される予定でしたが、新型コロナの影響で開催が延期となってしまいました。

西村画廊
http://www.nishimura-gallery.com/

テキストも読みごたえ十分の画集『タマ、帰っておいで』とりわけ、最後の文章は涙腺崩壊します。

横尾さんにこれほどまでに愛されたタマ。91点も描いてもらったタマ。世界中のどんなモデルよりもダントツで幸せな猫であること間違いありません。



新型コロナウイルス感染拡大の影響で美術館・博物館が閉館を余儀なくされ、展覧会に足を運べない日々がまだまだ続きそうです。

座して落ち着いて本をとり、感性を研ぎ澄ましながら美術館で展覧会を再び観られる日を気長に待ちましょう。ジタバタしても仕方ありません。こんな時こそ読書です。


タマ、帰っておいで
横尾 忠則 (著)

横尾さんの愛にあふれた「タマ」にまつわる文章や日記は、すべての読者に、「愛」とは、「生きる」とは、「死」とは、いったいなんなのかを問いかける、人生にとって大切で、そしてなにより可愛くて仕方がない画集です!

猫好きのあなた、アート好きのあなた、この本はいつまでもあなたの人生に寄り添うことでしょう。

横尾 忠則
1936年兵庫県生まれ。72年にニューヨーク近代美術館で個展。その後もパリ、ヴェネツィア、サンパウロ、バングラデシュなど各国のビエンナーレに出品し世界的に活躍する。アムステルダムのステデリック美術館、パリのカルティエ財団現代美術館での個展など海外での発表が多く国際的に高い評価を得ている。2012年、神戸に横尾忠則現代美術館開館。2013年、香川県豊島に豊島横尾館開館。2015年、第27回高松宮殿下記念世界文化賞受賞。作品は、国内外多数の主要美術館に収蔵されており、今後も世界各国の美術館での個展が予定されている。


『横尾忠則さんへの手紙』
酒井忠康 (著)

冒険王・横尾忠則氏へ捧げる、美術評論家・酒井忠康氏からの11篇のエール。


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自宅で楽しむ「澄川喜一 そりとむくり」展

横浜美術館で開催中の「澄川喜一 そりとむくり」展。



澄川喜一って誰??と思われる方も多いかと思います。


東京スカイツリーと澄川氏

東京スカイツリー®や東京湾アクアライン川崎人工島「風の塔」のデザイン監修を務めた方であり、都市の巨大構造物に関わる多彩な仕事を手がけてきました。

しかし、建築畑の人では決してありません、澄川氏は、藝大卒後、戦後日本の抽象彫刻を牽引してきたパイオニア的存在なのです。

「澄川喜一 そりとむくり」展は、首都圏の公立美術館で開催される初の大規模個展です。最新作を含む約100点の作品・資料によって、60有余年におよぶ澄川の創作活動の全貌を回顧しています。


平山郁夫氏もデザインに加わった、川崎人工島「風の塔」

ただし、例により、横浜美術館は現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために全館臨時休館中で観に行けません。

そこで、横浜美術館さんが、自宅でも展覧会を楽しめるようなコンテンツを特設サイトにたくさんご用意して下さいました!

知れば知るほど好きになる澄川喜一作品の魅力や楽しい特別企画を本展特設サイト「スペシャル」ページも要チェックです!!


「澄川喜一 そりとむくり」特設サイト「スペシャル」ページ

展覧会・イベントレポート

1.展示解説と会場風景
横浜美術館副館長(澄川店担当主席学芸員)による展覧会の見どころダイジェストと会場風景。


「展覧会の見どころダイジェスト」

2.CINRA.NET「小谷元彦が紐解くかたちの芸術。澄川喜一の時代と現代彫刻の課題」
澄川喜一が学長も務めた東京藝術大学の彫刻科にて学び、現在准教授として後進を担う彫刻家・小谷元彦。彼の目に、先達の仕事はどのように映ったか?近代以降の彫刻家の多くが直面しているという課題を語ります。

「CINRA.NET」記事

3.記念対談「澄川喜一×深井蓮彳芦
2020年2月22日(土)に開催された記念対談「澄川喜一×深井蓮廖澄川喜一氏と東京藝術大学で彼に師事した彫刻家・深井六瓠陛豕藝術大学名誉教授)が、木を素材に制作を続ける両者の作品や、大学時代のエピソードなどについて語りました。


「澄川喜一 そりとむくり」展 記念対談「澄川喜一×深井隆」

4.ワークショップ「抽象彫刻の魅力『澄川喜一の世界』」
2020年2月23日(日・祝)に、澄川喜一氏を講師として迎え開催した、市民のアトリエ主催のワークショップのイベントレポート。


市民のアトリエワークショップ「抽象彫刻の魅力『澄川喜一の世界』」

展覧会によせて
澄川喜一と親交のある、デザイナー・森英恵さん、樂直入(十五代・樂吉左衛門)さん、彫刻家・深井呂気鵑らメッセージが届いています。

メッセージはこちら

アトリエ訪問記
展覧会準備のため、澄川喜一氏のアトリエを訪問したレポート。普段は公開していない貴重な制作現場の様子を紹介しています。


「アトリエ訪問記」(前編)はこちら 
「アトリエ訪問記」(後編)はこちら 

教えて澄川先生
幼少期から現在までの思い出や体験談、作品の話、制作の話、プライベートな話がてんこ盛り。彫刻家としてだけではなく、普段の澄川喜一氏の素顔にも迫る見応えあるページです。


「教えて澄川先生」はこちら

展覧会開催される日をこれらを読んだり観たりしてじっくり待つことにしましょう。


「澄川喜一 そりとむくり」

会期:2020年2月15日(土)〜5月24日(日) 
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、横浜美術館は現在臨時休館中です。開館については、横浜美術館ウェブサイトをご覧ください。
休館日:木曜日
開館時間:10時〜18時 、5月の金曜・土曜は20時まで
*入館は閉館の30分前まで
会場:横浜美術館
https://yokohama.art.museum/
主催:横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)、日本経済新聞社、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
協力:みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社



澄川喜一 プロフィール

戦後において彫刻および公共造形の分野を牽引してきた彫刻家。島根県鹿足郡六日市町(現・吉賀町)に生まれ、山口県立岩国工業高等学校在学中に美術を志す。東京藝術大学彫刻科で平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)および菊池一雄に学び、具象彫刻から抽象彫刻、さらには新たな創作領域としての野外彫刻をはじめ、公共空間における造形の分野も切り拓いた。

1970年代後半より「そりのあるかたち」シリーズを展開。自然と対話し、日本の伝統と美意識に根ざしたその造形は、澄川芸術の真骨頂となる。東京藝術大学学長(1995年〜2001年)をはじめ、教育者としても多大な業績を残すとともに、公共プロジェクトや文化行政にも貢献。文化功労者に顕彰され、1998年紫綬褒章、1999年紺綬褒章など授章。


『てりむくり―日本建築の曲線』 (中公新書)
立岩 二郎 (著)

【関連エントリ】
伊東さんは「てりむくり」


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「ふつうの系譜」

府中市美術館で開催中の
春の江戸絵画まつり「ふつうの系譜 「奇想」があるなら「ふつう」もあります─京の絵画と敦賀コレクション」展に行って来ました。


https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
http://fam-exhibition.com/futsu/

毎年恒例となった府中市美術館の「春の江戸絵画まつり」今年で何回目となるのでしょう。

毎回、金子信久学芸員をはじめとするスタッフの皆さんの展覧会にかける意気込みが感じられます。


岸駒「白蓮翡翠図

今年は、辻惟雄先生の『奇想の系譜』のカウンターとして「ふつうの系譜」と称した展覧会。まずはネーミングで美術ファンの心をつかむことに成功しています。

展示されている作品は、一部を除きほぼ全てが敦賀市立博物館所蔵品です。でも「敦賀市立博物館所蔵 江戸絵画コレクション展」ではインパクトに欠けるので、「ふつうの系譜展」としたわけです。


円山応挙「狗子図

そもそも、「奇想の系譜」という言葉がどれだけ認識されているのでしょう。我々が当然だと思っていても、一般的には知名度は決して高くないはずです。

昨年(2019年)に東京都美術館で開催された「奇想の系譜展」も美術ファンには大好評でしたが、タイトルをもう少し工夫する余地があったと思います。だって美術に詳しくない方にしたらどんな展覧会なのか皆目見当がつきません。

と言うことで、「ふつうの系譜展」も普通の人にとっては何の展覧会なのかさっぱり内容の分からないタイトルです。

「奇想」と「ふつう」を会場内でも殊更解説に用いていましたが、そんなことをせずとも敦賀市立博物館の江戸絵画コレクションはとても素晴らしいものなので、少々勿体ない気がしました。


原在中「嵐山図

さて、タイトルについてはこれくらいにして、肝心の展覧会の中身を見ていきましょう。

大きく2つのパートに分かれており、第1章で土佐派から明治に至るまでの日本美術の流れを捉えられるようになっています。狩野派の作品が少し弱いのですが、原在中や岸駒などの優品が出ているのは見応えあります。

展覧会の構成は以下の通りです。

「ふつう」ではないもの
I ふつう画の絵画史
1:専門は「まろ画」土佐派とやまと絵
2:専門は「中国」を見せること 狩野派
3:「斬新」から、あっという間に「ふつう」へ 円山応挙と円山四条派
4:パーフェクトな形 原在中と原派
5:「奇想」と「ふつう」の間 岸駒と岸派
6:「ふつう画」のゆくえ 明治以降の画家
II ふつう画の楽しみ方
1:「精密さ」と「たゆたう感じ」
2:「絵の具の美しさ」と「墨の深さ」


円山応挙の扱いが「ふつう」として良いのかどうか疑問ですが、3D作品ではなくワンコの絵などが目立っていたのでまぁそれはそれでありかなと。長沢芦雪の扱いも同様に。

土佐派や冷泉為恭の作品をまとめて観られたこと、また土佐光孚「花丸文様屏風」のような若冲も吃驚のデザインセンスに長けた花の絵に出会たことは大きな収穫でした。


土佐光孚「花丸文様屏風

また、塩川文麟「柳汀飛蛍図」の縦長の画面左面三分の一に、このように柳の枝葉を配置するパッと目に留まる巧みな構図を用いた作品もあり非常に新鮮でした。

蛍を描いているので夜の情景です。でも不思議と昼間のようにも見えるのです。塩川文麟(1808〜1877)の作品はこれ一点だけしか出ていませんですが、何点かまとめて観たくさせるそんな技量の絵師です。


塩川文麟「柳汀飛蛍図

明治から大正時代に活躍した円山四条派の絵師、鈴木松年のちょっと変わった対象をモチーフにしたこんな作品も出ていました。


鈴木松年「朝陽蟻軍金銀搬入図

蟻が描かれているだけでも珍しいのですが、タイトルに従うなら蟻たちが運んでいるのは金銀のようです。残念ながらそんな場面に一度も遭遇したことありません。

鈴木松年はどんな意味をこの絵に込めたのでしょうか。風刺画として、現代風の解釈が可能な一枚なのかもしれません。

敦賀市立博物館所蔵の質の高い江戸絵画コレクションを存分に味わえる展覧会です。紹介したように奇妙でユニークな作品も多くあります。勿論、美しい作品も。

四季の美し花々よりも、葉や茎(緑色の部分)の割合が多い、岸恭「四季花卉図屛風」も加えておきます。

「ふつうの系譜展」は5月10日までです。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため臨時休館となる場合があります。webや042-336-3371(文化スポーツ部美術館)で確認してから出かけましょう。


「ふつうの系譜」

会期:2020年3月14日(土)〜5月10日(日)
休館日:月曜日(5月4日は開館)
開館時間:午前10時〜午後5時(入場は午後4時30分まで)
会場:府中市美術館
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
主催:府中市美術館
公式サイト:http://fam-exhibition.com/futsu/


『日本おとぼけ絵画史 たのしい日本美術』 (講談社ARTピース)
金子 信久 (著)


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