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「工藝2020」

東京国立博物館表慶館で開催中の
特別展「工藝2020−自然と美のかたち−」に行って来ました。


https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kogei2020/

灯台もと暗しと同じ意味を持つ表現が英語でもあるそうですが、日本人ほど身近にあるものの価値を見過ごしがちな民族は他に類をみません。

とりわけ自国の文化に対する評価はとってもへたくそで、海外から認められてようやく「良さ」に気付くのんびり屋さんです。



吉田博は「ダイアナ妃が愛した日本の版画」、川瀬巴水は「ジョブズが愛した新版画家」といった具合に海外からのお墨付きを表す枕詞が必要となります。

浮世絵なんてその最たる例です。

昨年(2019)東京国立近代美術館工芸館で開催された「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵」を拝見し、日本の竹工芸の素晴らしさを初めて認識した自分が言えた義理ではありませんが…


武関翠篁「花籃『来光』」2016年
個人蔵

我々と同じ時代を生きる工芸家82名の豊かな感性により生み出された82点の作品が、明治42年に建てられた表慶館に集結しています。

1970年以降に生まれた12人の若手作家の展覧会「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」(パナソニック美術館)とは、まるで別の感動がここにはあります。

それらは物静かで強い自己主張を伴わないように一見思えます。しかしやはり第一線で活躍しているベテランたちの作品は外連味を排除した直球勝負のものが大半を占めます。


樂直入

工芸と日本人の自然観」これこそがこの展覧会を観る上での大事なキーワード。展示された52作品は、奇抜さを求めず、古来自然と共に泣き笑いしながら暮らしてきた日本人の姿を象徴的に表しています。

会場構成自然とそれにまつわる色による、4つのセクションから成ります。

展示構成は以下の通りです。

第1章:金は永遠に光り輝き、銀は高貴さに輝く
第2章:黒はすべての色を内に吸収し、白はすべての光を撥する
第3章:生命の赤、自然の気
第4章:水の青は時空を超え、樹々と山々の緑は生命を息吹く




さらに、信じられないことにガラスケースを取り払い露出展示に。会場全体のデザインを建築家の伊東豊雄さんに依頼。その結果、会場全体が大きなひとつのアート作品となっています。

この曲線が美しい展示台も勿論特注品。

伊東氏曰く「床と展示台は連続したものと考え、床と垂直面は曲線によって連続させて展示台を盛り上がった床と想定しました。言い換えれば大地に渦巻いている自然のエネルギーが上昇して、作家の手を介して作品となり、展示台の上に並べられていることを象徴的表現しようとしたと言えます。」(展覧会カタログより)



展示台の天板は濃紺の特殊インクを施されたアクリル板。作品を際立たせ魅力的に見せるための最良の方法の答えがこれだそうです。

東京国立博物館デザイン室長の木下史青氏自身が、照明を担当(何年ぶりでしょう)したとあればまさに鬼に金棒状態。



展示室内に数か所設置された休憩用のベンチも伊東豊雄さんによる「工藝2020」展のためだけの特製品です。必ず座りましょう。

工藝2020で展示されているのは、焼物ばかりではなく、着物や彫刻、竹細工に絵画など実にバラエティーに富んでいます。


伊藤裕司「赤富士」2015年
漆工:色漆、金箔、蒔絵
個人蔵

この「赤富士」など画像だけだとベタな絵のように見えるでしょう。でも近くで見るとその手の入れように目を見張るはずです。柴田是真もびっくり漆芸。是非間近で!

「日本伝統工芸展」とは展示作品も展示空間および照明もまるで違います。

現代の工芸品に対して抱いているイメージを一度鞘に納めて、素直な気持ちで向かい合いましょう。


今泉今右衛門「色絵雪花薄墨墨はじき雪松文蓋付瓶」2019年
陶磁」陶器、プラチナ、色絵、墨はじき
個人蔵

数点を除き、そのほとんどが個人蔵。つまりこうして優品が一堂に会する機会はあり得ないことなのです。

このコロナ禍の状況の中で、展覧会開催に向け諦めることなく尽力された方々に感謝しながら、日本が世界に誇る工藝品の数々をじっくりと堪能しましょう。



グローバルな視点を身に付けるためには、まず自分の足元の文化をしっかりと捉え理解することから始めねばなりません。

海外に行けない時期だからこそ「工藝2020」展の重要性や意義が際立ちます。

特別展「工藝2020−自然と美のかたち−」は11月15日までです。事前予約制。一部写真撮影可能です。是非是非〜


特別展「工藝2020−自然と美のかたち−」

会期:2020年9月21日(月・祝)〜11月15日(日)
開館時間:9:30〜17:00(会期中の金曜・土曜は21:00まで開催)
休館日:月曜日(※ただし、9月21日(月・祝)は開館、9月23日(水)は休館)
会場:東京国立博物館表慶館

主催:文化庁、独立行政法人 日本芸術文化振興会、 東京国立博物館、読売新聞社
特別協賛:キヤノン、JR東日本、日本たばこ産業、 三井不動産、三菱地所、明治ホールディングス
協賛:清水建設、眦膕亜竹中工務店、三井住友銀行、 三菱商事
協力:田島ルーフィング、竹尾、トキ・コーポレーション
会場構成:伊東豊雄建築設計事務所
展覧会公式サイト:
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kogei2020/

展覧会図録は一般書籍としても販売されています。


工藝2020 -自然と美のかたちー
青幻舎

10月からは平成館でいよいよ「桃山展」もスタートです!

特別展「桃山―天下人の100年」

前期展示:10月6日(火)〜11月1日(日)
後期展示:11月3日(火・祝)〜11月29日(日)
展覧会公式サイト

https://tsumugu.yomiuri.co.jp/momoyama2020/



『花鳥の夢』 (文春文庫)
山本兼一(著)

安土桃山時代。足利義輝、織田信長、豊臣秀吉と、権力者たちの要望に応え「洛中洛外図」、「四季花鳥図」、「唐獅子図」など時代を拓く絵を描いた狩野家の棟梁・永徳。ライバル長谷川等伯への嫉妬、戦乱で焼け落ちる己の絵、秘めた恋。乱世に翻弄されながら大輪の芸術の華を咲かせたその苦悩と歓喜の生涯を描いた長篇。


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「大津絵展」

東京ステーションギャラリーで開催中の
「もうひとつの江戸絵画 大津絵」展に行って来ました。


http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

夏に佐倉市にある国立歴史民俗博物館で観て来た「大津絵と江戸の出版」展は、大津絵とは何ぞや?から始まり、作品の種類や受容などを紹介するベーシックな内容でした。

それとは対照的にステーションギャラリーで始まった「大津絵展」は、まるきり違うアプローチで大津絵について紹介しています。



東海道大津宿の追分周辺で旅人のお土産として販売され人気を博していた大津絵を展覧会でどう紹介すべきか。

「東海道五十三次」と関連付けた展示にしようか…といった案もあったそうですが、採択されたのは大津絵蒐集家(コレクター)にスポットを当てる方法でした。

だから、展覧会ポスターに「欲しい!欲しい!欲しい!何としても手に入れたい! 誰がための画かー民衆から文化人へ」と記されているのです。


猫と鼠》『古筆大津絵』より 
笠間日動美術館蔵

美しい浮世絵(錦絵)は江戸時代から蒐集の対象でしたが、大津絵はあくまでも土産物にすぎません。扱いもぞんざいとなり後世に遺されたものは多くはありません。

数百年後にまさか美術館で展覧会が開催されるとは、大津絵を描いていた職人や店の旦那さんが知ったらきっと腰を抜かして驚くことでしょう。

「大津絵」とは?
大津絵は大津宿の追分付近で江戸時代初期から描かれ始めたと考えられています。芭蕉の句「大津絵の筆のはじめは何仏」が知られているように、初期には仏教的な画題が主流でしたが、次第に世俗的で戯画性や風刺画的なものが増えていきます。江戸末期には次第に「大津絵十種」と呼ばれる代表的な画題へと絞られ、それ以外のものが見られなくなっていきます。大津絵は近代になって描かれなくなりますが、その諧謔や素朴な味わいを愛する文化人も少なくありませんでした。近年では海外でも注目を集めつつあります。

青面金剛
静岡市立芹沢げ霹術館蔵

青面金剛(しょうめんこんごう)は江戸時代に流行した庚申信仰の本尊。大津絵でも人気が高く作例も多くみられます。今回の展覧会でも何点か出ています。

初期の作品はこの画像のように表情や持仏などを比較的丁寧に描いていますが、これは珍しい方で、次第に簡略化が進み同じ仏様とは思えないゆるいものもあります。

大津絵鑑賞の楽しみの一つとして、同じ画題のものを見比べられる点があげられます。


鬼の念仏

「大津絵十種」と称される定番の画題(外法の梯子剃り、雷公、鷹匠、藤娘、座頭、鬼の寒念仏、瓢箪鯰、槍持奴、釣鐘弁慶、矢の根五郎)は、今回の展覧会でも何種類も見られるので、まず見比べることから始めるとよろしいかと。


鬼の行水
日本民藝館蔵

ただ同じ画題の作品を見比べるだけではなく、コレクターの好みや審美眼を比較するのが出来る点が、今回の展覧会の一番大きな要となります。

展覧会の構成は大津絵が描かれた時代順や画題毎ではなく、蒐集家別の展開となっているのです。

したがって、キャプションも普段の美術展とはちと趣きが異なります。



大津絵は全て作者不詳であり和紙に泥絵具という決まった技法が用いられているのでそれらは割愛し、代わりに旧蔵者名や所蔵者が明記されています。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:受容のはじまり〜秘蔵された大津絵〜
2:大津絵ブーム到来〜芸術家のコレクション〜
3:民画としての確立〜柳宗悦が提唱した民藝と大津絵〜
4:昭和戦後期の展開〜知られざる大津絵コレクター〜


明治期以降、大津絵に美術的な価値を見出し、コレクションすることでその価値を決定付けたのは当時の画家や文化人たちでした。

富岡鉄斎、浅井忠、梅原龍三郎、柳宗悦、山村耕花、吉川観方そして小絲源太(展覧会にはまだまだたくさんの収集家が紹介されています)。



民藝運動を推進した柳宗悦が、忘れ去られていた大津絵に興味関心を抱いたのは理解できます。しかし梅原龍三郎、小絲源太といった洋画家が大津絵に魅了されたのは何故なのでしょう。

展覧会図録にはその理由について「西洋の視点」を身に付けていたからと説明されています。(マティスやピカソからの影響も考えられます)

吉田憲司によると「ヨーロッパでの滞在の経験を経て、いわば西洋の視点を身に付けた後に、大津絵を『発見』した」のだと。


藤娘」《大津絵図鑑》より 
福岡市博物館蔵

これは大津絵を今我々が鑑賞する上でとても重要な視座であることは間違いありません。

ただのゆるキャラ、キモカワ系の江戸絵画などと単眼で捉えるのではなく、結果的に深い考察が可能な展覧会となっています。

「東海道五十三次」や他の江戸絵画作品と展示したのでは見過ごしてしまっていたでしょう。


鬼の念仏》(看板)北王子魯山人旧蔵
笠間日動美術館蔵

初公開となる作品も多く、大津絵にこれだけまとめて触れられる機会は初めてのことです。

難しく考えなくても大丈夫です。ご自宅にある旅の思い出の何気ないお土産品と同じかそれ以下だった(長屋の壁に空いた穴を塞ぐのに使われたこともあったはずです)大津絵。

日本に残る大津絵を総動員しあまさに「大津絵名品展」という側面もあります。肩の力を抜いて東京駅まで参りましょう。

もうひとつの江戸絵画 大津絵」は11月8日までです。是非是非〜


もうひとつの江戸絵画 大津絵

会期:2020年9月19日(土) 〜 11月8日(日)
休館日:月曜日[9月21日、11月2日は開館]
開館時間:10:00〜18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
会場:東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
主催:東京ステーションギャラリー[公益財団法人 東日本鉄道文化財団]
企画協力:公益財団法人 日動美術財団
特別協力:公益財団法人 日本民藝館


大津絵 民衆的諷刺の世界』 (角川ソフィア文庫)
クリストフ・マルケ (著), 楠瀬 日年 (イラスト)

江戸時代、東海道の土産物として流行した庶民の絵画、大津絵。鬼が念仏を唱え、神々が相撲をとり、天狗と象が鼻を競う―。奇想天外な世界をいきいきと描くその伝統は、いかに人気を博し、そして消えてしまったのか。多彩な78種の画題をオールカラーで掲載し、愛すべきヘタウマに込められた諷刺と諧謔の精神を解き明かす。柳宗悦や梅原龍三郎、河鍋暁斎、ピカソさえも魅了された大津絵の全貌が文庫オリジナルで今よみがえる。


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「北斎の肉筆画」

岡田美術館で開催中の
特別展「生誕260年記念 北斎の肉筆画―版画・春画の名作とともに―」展に行って来ました。


https://www.okada-museum.com/

今年は葛飾北斎(1760〜1849)生誕260年目に当たる年で、展覧会や映画など様々な北斎関連のイベントが予定されていました。

東京オリンピックと共に北斎イヤーで盛り上がるはずでしたが、新型コロナウイルスにより雲散霧消。


葛飾北斎「堀河夜討図」(部分)
岡田美術館蔵

そのような中で、4月5日より岡田美術館で始まった「北斎の肉筆画展」も一時は休館を余儀なくされていましたが、5月30日に復活を遂げほぼ予定通りに開催されています。

浮世絵版画展は都内でも多く開催されていますが、こと肉筆画(一点物)となるとまず滅多に展覧会としてまとめてお目にかかれません。

しかも、一人の絵師の肉筆画をそれぞれの時代の変遷を辿りながら観られる機会は稀有の事。数多い「北斎展」の中でも特別な意味を持った展覧会です。


葛飾北斎「夏の朝」(部分)
岡田美術館蔵

一点物とか限定品にそれでなくても弱いので、肉筆浮世絵は大の御馳走です。

その大きな魅力は印刷(版画)ではなく、絵師である北斎が実際に筆を握り細部に至るまで描いた点でしょう。この点に尽きると言っても過言ではありません。

例えば、北斎肉筆画の傑作「夏の朝」の足元に置かれたものに注目してみましょう。



今まさに左手に持ち自分の顔を見ている鏡の蓋が置かれています。その上には朝顔を添えた水盤が重ねられ、傍らには房楊枝(現代の歯ブラシ)も確認できます。

手前にあるのは歯磨き粉の入った袋のようです。読解まで出来てしまいそうなほど精緻に描かれています。

たった足元のもの一つとってもこの描写力ですので、主たる女性の描写となれば細部に至るまで、髪の毛一本一本まで神経質なまでに描き込まれているのです。


葛飾北斎「美人夏姿図
個人蔵

同じ「浮世絵」でも版画と肉筆画では一枚にかける鑑賞時間がまるで違います。それは絵師がその一枚にかけた時間に正比例しているかの如く。

今回は特別に北斎美人画の二大傑作「夏の朝」(岡田美術館蔵)と「美人夏姿図」(個人蔵)の競演が成立しています。

さてさてどちらの作品が好みでしょうか。顔では選ぶわけにはいきませんので、着物の描写にそれぞれ注目してみると面白いと思います。絵が描かれたのは夏であることを念頭に置いて。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:春朗から北斎へ
北斎の系譜
北斎春画の名作
第2章:北斎美人画の二大傑作ー「夏の朝」と「美人夏姿図」−
第3章:戴斗・為一時代
第4章:「冨嶽三十六景」誕生
第5章:画狂老人卍
肉筆美人画の名品



葛飾北斎「四季耕作図屏風」(部分)
岡田美術館蔵

美人画ばかりが北斎の肉筆画展の見どころではありません。こんな激レアな北斎の屏風絵、しかも農村風景を描いた作品も出ています。

北斎40代後半の作品だそうですが、当然誰かに依頼されて描いたものでしょう。嘗てジョサイア・コンドルが所蔵し、コペンハーゲンに秘蔵されていたそうですが、2007年に日本に里帰りし今こうして観ることが出来ます。

ふと、ピーテル・ブリューゲル「穀物の収穫」が思い浮かびました。北斎もブリューゲルも実りの秋(収穫の喜び)をそれぞれ描いている点はとても興味深い点です。

コロナ禍が収まったらメトロポリタン美術館から借りてきて並べて見せて下さい。そうそう海外コレクションとのコラボ展示として、ひとつ下の階で歌麿の3作品が同時展開されています。


喜多川歌麿「深川の雪」(部分)
岡田美術館蔵

「吉原の花」(ワズワース・アセーニアム美術館蔵:複製)「品川の月」(フリーア美術館蔵:複製)との3作揃い踏みは必見です。

因みに、北斎の描く美人画は一時、歌麿美人画を凌ぐほどの人気があったそうです。

「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」のイメージが強烈に北斎という人物を印象付けていますが、実はそれは晩年の作品であり、30代から40代の脂ののった時代は肉筆美人画の絶頂期であり、その名声は江戸中に知れ渡っていました。

そんな北斎肉筆画に加え、酒井抱一など他の絵師が描いた肉筆美人画の名品も同時に展示されている実に贅沢な空間です。

特別展「北斎の肉筆画」は9月27日までです。箱根の町が空いている今がチャンスです!是非是非〜


特別展「生誕260年記念 北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―」

会期:2020年4月5日(日)〜9月27日(日)
開館時間:午前9時〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日:12月31日、1月1日、展示替期間
会場:岡田美術館
https://www.okada-museum.com/

北斎クイズで予習!岡田美術館「北斎の肉筆画」展

ジグソーパズルで知る新たな北斎の魅力


オンラインイベント「北斎の夕べ」

日時:9月12日(土)19:00〜20:00
主催: 国立アジア美術館(フリーア美術館、アーサー・M・サックラー・ギャラリー)
協力: 岡田美術館
参加費:無料
参加方法:オンライン(ZOOMでのライブ配信) 
定員:先着100名(定員に達し次第、応募を締め切らせていただきます)
申込方法:岡田美術館のウェブサイトからお申込みください。

岡田美術館開館以来館長を務める小林忠先生の新著も要チェックです!


教えてコバチュウ先生! 浮世絵超入門
小林忠(著)

今年公開予定だった映画「HOKUSAI」(出演:柳楽優弥、田中泯、阿部寛、永山瑛太、玉木宏)は2021年に延期となっています。
https://www.hokusai2020.com/


映画『HOKUSAI』予告90秒(2021年公開予定)


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「月岡芳年 血と妖艶」

太田記念美術館で開催中の
「月岡芳年 血と妖艶」展に行って来ました。


http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年(1839〜92)作品の魅力に迫る展覧会が原宿の太田記念美術館で開催されています。

4月1日から5月27日までの予定で始まった芳年展ですが、新型コロナウイルスの影響で4月7日で休館に。僅か数日間しか開催されない幻の展覧会となるところでしたが、この夏見事復活!


月岡芳年「古今比売鑑 薄雲」明治8〜9年(1875〜76)
個人蔵

歌川国芳に12歳で弟子入りし美人画や武者絵を多く手掛けた芳年。しかし時代が動きます。

芳年30歳の時に明治維新を迎え、大きな時代の転換期に遭遇します。泰平の世からまさに激動の時代へ。

戊辰戦争や西南戦争などの戦が起こり、きな臭い「浮世」に移行した時期にまさに絵筆を揮ったのが芳年であることを念頭に置いておく必要があります。


月岡芳年「魁題百撰相 駒木根八兵衛」慶応4年(1868)8月
太田記念美術館蔵

このような江戸時代の浮世絵には見られなかった主題や構図の作品も多く描いています。

新しい生活様式に転換することを強いられて日々どこか悶々としている今の私たちの目から、あらためて芳年作品を観る機会がこうして与えられたことは非常に大きな福音です。

芳年没後120年の節目にあたった2012年に関連書籍や展覧会が開かれ、それまで顧みられてこなかった芳年に新たな光があたり、広く魅力が知られるようになりました。

そして、コロナ禍の今年(2020年)、再び「月岡芳年展」がこうして開かれるのは、決して偶然ではないような気がしてなりません。


月岡芳年「新撰東錦絵 佐野次朗左衛門の話」明治19年(1886)2月
太田記念美術館蔵

江戸から明治に以降すると、それまでの浮世絵の持っていたメディアとしての役割に陰りが生じます。

そんな中にあって芳年は「最後の浮世絵師」として、精力的にあらゆるジャンルの作品を数多く残しています。

弟子も相当数いたそうですが、浮世絵だけでなく洋画なども積極的に学ばせたそうです。浮世絵の終焉を悟っていたかのように。因みに幼い頃の鏑木清方は父親の仕事の関係で芳年との接点があったそうです。

清方の「大蘇芳年」という作品は、芳年を描いた肖像画です。


月岡芳年「英名二十八衆句 福岡貢」慶応3年(1867)4月
太田記念美術館蔵

色使い(特に朱色・赤色)は発色のよいものが入ってきたことにより、江戸時代の浮世絵とは雰囲気がだいぶ変わりました。

派手派手しい赤色を「血」の表現も用いることに着目した芳年。これが彼の名を更に広げるものとなりました。

当時から「血みどろ絵」「無惨絵」と呼ばれ今日に至ります。


「月岡芳年ー血と妖艶」展 スライド・トークその1 「英名二十八衆句」

太田記念美術館さんのTwitterアカウントは日本のみならず世界中の美術館アカウントの中でもトップ5に入る高い人気を誇っています。それはなによりも発信している内容が濃いからに他なりません。

そんな太田記念美術館さんが今度はYouTubeチャンネルを開設し、コロナで開催出来なくなってしまったスライドトークを無料で配信しています。

予習復習にこれ以上のものはありません。凄いな〜と感心していた矢先、今度はnoteまで始めました!
https://note.com/ukiyoeota


月岡芳年「月百姿 はかなしや波の下にも入ぬへし つきの都の人や見るとて 有子」1886年

平安時代の悲しい恋のお話ー月岡芳年の浮世絵より

間違いなく日本で一番SNSを含むwebを上手く活用している美術館であること相違ありません。素晴らしい!!

さて「月岡芳年展」は以下の三部構成となっており、1階、2階、地下展示室がそれぞれ割り当てられています。

第1章「妖艶」
第2章「闇」
第3章「血」


後期(9月4日〜10月4日)展示にはこの強烈な恐ろしい作品も出ます!


月岡芳年「奥州安達がはらひとつ家の図」明治18年(1885)9月
太田記念美術館蔵

芳年は写生を怠らず、血なまぐさい事件現場や戦地に取材に出かけたそうですが、この作品は想像を駆使して描いたものです。「黒塚」を検索してみてください。

こうした血みどろ絵は地下の展示室にあります。芳年は決して鮮血だけを得意としていたわけではありません。


月岡芳年「月百姿 嫦娥奔月」明治18年(1885)10月
太田記念美術館蔵

晩年の傑作であり、芳年の古画の研究や古典文学への関心の高さを窺い知れるのがこの「月百姿」シリーズです。

「月百姿」の魅力は以下の動画でたっぷり味わえます。


「月岡芳年ー血と妖艶」展スライド・トークその4「月百姿」

尚、芳年について書物でしっかりと学びだいという方は、菅原真弓 (著)『月岡芳年伝 幕末明治のはざまに』(中央公論美術出版)がおススメです。

第8章「月百姿」とその時代は必読。個人的には9章の戻れない「江戸」への回帰が、芳年作品を知る上で最も参考となりました。



太田記念美術館で販売されている「月岡芳年 血と妖艶」の図録は1200円と超お買得です。前後期全ての作品がカラー掲載されています。

「月岡芳年 血と妖艶」展は10月4日まで開催しています。YouTubeやnotoでしっかり予習してから出かけましょう!!

江戸時代の浮世絵師にはない悲哀を感じさせるのが芳年作品の大きな魅力のひとつです。


「月岡芳年 血と妖艶」

会期:2020年8月1日(土)〜10月4日(日)
前期 8月1日(土)〜8月30日(日)
後期 9月4日(金)〜10月4日(日)
休館日:月曜日
開館時間:午前10時30分〜午後5時30分(入館は午後5時まで)
会場:太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/


『国芳vs芳年』 (くらべてわかる)
日野原健司 (著) 太田記念美術館学芸員

歌川国芳、月岡芳年。血みどろ、豪快…、そして男前、色気…。武者絵対決、動物対決、人物描写対決、妖怪・幽霊対決、自然現象対決など、師匠と弟子のガチンコ勝負!!


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「美の競演」

静嘉堂文庫美術館で開催中の
「美の競演−静嘉堂の名宝−」展に行って来ました。


http://seikado.or.jp

静嘉堂文庫美術館も他館同様、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、臨時休館・休業していました(2020年3月2日から)。

緊急事態宣言解除され、ようやく「美の競演―静嘉堂の名宝―」から美術館再開となりました。


特別出品 国宝 曜変天目「稲葉天目」
建窯 南宋時代(12〜13世紀)

三菱創業150周年となる今年、絵画から刀剣まで幅広く質の高いコレクションで知られる静嘉堂のまさにお蔵出し特別展。

蔵が深い美術館ほど、コロナ禍に強い美術館であることを感じさせられること多いですが、静嘉堂の「美の競演展」はその中でもトップレベル。

これまでのテーマごとの展覧会とは違い、良い物ジャンルを問わずどーんと出しているので見応え十分。しかも中々お目にかかれない名品揃いと来ているのですから眼福以外の何物でもありません。



酒井抱一「波図屏風」江戸時代 文化12年(1815)頃
静嘉堂文庫美術館蔵

上品で時にうっとりするような繊細な作品を多く手掛けた抱一にあって、この「波図屏風」は異色の存在といえます。

しかも金色ではなく、扱いの難しい銀色を屏風前面に用いている大胆さ。現在、東京国立博物館所蔵の「夏秋草図屏風」も銀地が目にとまりますが、それを遥かに凌ぐ勇ましさを感じる作品です。

「夏秋草図屏風」は私淑・敬愛していた尾形光琳「風神雷神図屏風」の裏面に描かれていたことはよく知られていること。そう光琳の金に対して、抱一は銀を用いたのです。


尾形光琳「波濤図屏風」1704-09年
メトロポリタン美術館

銀地に黒墨で波を揮毫した抱一の「波図屏風」は、この光琳作品からかなりの影響を受けているものです。そしてここでも金と銀。

抱一自身渾身の作品であり出来栄えも上々だったとみえ、そのことを誇らしげに語る書状も残されています。

ところで、銀箔が一枚一枚貼られているように見えますが、箔足を「描いて」いるのではないでしょうか。銀地といっても色合いが所々違います。

その違いを上手く利用し抱一が「月夜の海」を見事に描き上げているのです。この作品観ずして抱一を語ること出来ません!超必見です。(椅子も作品の前に置いてあるので腰かけてどうぞ心行くまで)


狩野探幽 重要美術品 「波濤水禽図」右隻 江戸時代(17世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵

そうそう、大事なこと言い忘れていました。この展覧会は名品同士を「競演」させながら見せています。さながら「対決−巨匠たちの日本美術」展のようです。

2008年に東京国立博物館で開催された「対決展」を担当されたのが、河野元昭館長だと分かれば納得納得でしょう。

河野館長のブログ「饒舌館長」はコロナをもろともせず絶好調(舌好調?!)です。


重要美術品 「三彩獅子」 一対
唐時代(8世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵

対決展さながらの美の競演展の構成は以下の通りです。

1:岩崎家 深川別邸(清澄園)洋館の、古伊万里、清朝陶磁の競演!
2:岩崎家 麻布鳥居坂本邸の、前田青邨「獅子図」と「唐三彩獅子」との競演!
3:茶道具名品の競演!天目と天目台/茶入/墨跡と青磁花入
4:東アジア山水画の競演!(前期)
5:信仰の造形・祈りの競演!
6:旧襖絵、屏風の競演!〈大和絵系〉土佐派と〈漢画系〉狩野派と琳派
7:同一モチーフの競演!中国と日本、師と弟子など
8:刀剣・漆芸・絵画・刊本・浮世絵ー美と技の競演&共演!




それにしても、所蔵品のほんのほんの一部を出しただけというのに、何なのでしょうこの豪華な顔ぶれ。


重要文化財 「油滴天目」
南宋時代(12〜13世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵

特別出品の国宝「曜変天目」の近くに油滴天目が展示されています。滅多にない機会ですので是非見比べて下さい。

「曜変天目」が「油滴天目」の突然変異でないこと、つまり全くの別物だということが分かるはずです。

抱一の銀屏風や曜変天目、油滴天目といった派手なキラキラ系が、まず目にとまり惹かれます。ところが面白いことにそうした派手なものばかりでは、満足度は上がりません。

対照的な渋めの作品があってこそトータルで「良い展覧会」として成立するのです。例えば刀剣や文殊・普賢菩薩像。

そうした中でもこの3作品は今回のダークホース的存在です。


「春日宮曼荼羅」南北朝時代(14世紀)
重要文化財 「春日本迹曼荼羅」鎌倉時代(14世紀)
「春日鹿曼荼羅」室町時代(15世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵

奈良・春日大社への信仰心から描かれた春日曼荼羅。容易に春日大社にお参りできなかった昔、参拝する代わりに貴族の館に掛け礼拝した図像です。

根津美術館で2011年この春日曼荼羅だけを集めた展覧会「春日の風景 麗しき聖地のイメージ」が開催され、幾つかバリエーションのあることを知りました。

担当学芸員に聞く「春日の風景」展の見どころ。

今回静嘉堂では主要な3パターンの春日曼荼羅が並べて展示されています。もうこれは神展示です。本当に素晴らしい!

信仰心を形にしたのが、何百年経った今でも観るものの心を打ち続けます。紙に描かれた絵画は脆弱なものですが、そこに込められた願いや想いが分かると、強靭な美の力を発揮します。

心が痛んでいる昨今の我々の心を癒してくれる存在です。


酒井抱一「絵手鑑」江戸時代(19世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵

力で強引に押し切った「対決展」とは違い、優品を上品に比較しながら鑑賞できる展覧会が「美の競演展」です。

展示室のエントランスには、岩家が明治から昭和初期にかけて所有した深川別邸(ジョサイア・コンドル設計、跡地は現在の清澄庭園)や麻布鳥居坂の本邸(跡地は現在の国際文化会館)の紹介とそこに飾られていた作品が出迎えてくれます。

「美の競演展」は9月22日までです。お見逃しなきように。是非!!


美の競演−静嘉堂の名宝−」展

会期:2020年6月27日(土)〜9月22日(火・祝)
前期展示:6月27日(土)〜8月2日(日)/後期展示:8月4日(火)〜9月22日(火・祝)
休館日:毎週月曜日(ただし、8月10日、9月21日は開館)、8月11日(火)
開館時間:10時〜16時30分(入館は16時まで)
会場:静嘉堂文庫美術館 
SEIKADO BUNKO ART MUSEUM(東京都世田谷区岡本2-23-1)
http://seikado.or.jp
主催:公益財団法人 静嘉堂


酒井抱一 俳諧と絵画の織りなす抒情』 (岩波新書)
井田 太郎 (著)

『酒井抱一 俳諧と絵画の織りなす抒情』レビュー


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