弐代目・青い日記帳 

  
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「驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ」
三井記念美術館で開催中の
特別展「驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ」へ行って来ました。


http://www.mitsui-museum.jp/

2014年に開催し大好評を博した「超絶技巧!明治工芸の粋」展の第2弾となる展覧会です。

この展覧会後「超絶技巧」という言葉をあちこちで目にするようになりました。それだけエポックな展覧会だったのです。


正阿弥勝義「群鶏図香炉(雄鶏)
清水三年坂美術館蔵

前回の「超絶技巧展」以降、並河靖之や宮川香山、安藤碌山といったかつて海外にも名声が知れ渡っていた明治工芸の匠たちを紹介する機会がぐんと増えました。

渡辺省亭など一躍時の人的な扱いまでされたことはまだ記憶に新しいところです。


精巧山「雀蝶尽し茶碗
清水三年坂美術館蔵

小さなお茶碗の中にびっしりと肉眼では確認できないほどの細かさで蝶が描かれています。単眼鏡どころか単焦点の双眼鏡を持参しないと前回同様に明治工芸の驚きを十分堪能できません。

そうそう、前回の展覧会がきっかけでこれまで死蔵されていた明治工芸の優品がぞくぞく見つかったそうです。とりわけ生没年すら分からない謎多き工人である安藤碌山の作品は、多くが「発掘」され今回の展覧会に出ています。


安藤碌山「胡瓜

これが、象牙から作られているとはどこから見ても何度説明を聞いても納得できません。目の前にあるものは畑で収穫を待つキュウリにしか見えないのです。

どのようにして作ったかも弟子をとらなかった碌山ゆえに謎のままです。今回の展覧会図録に担当学芸員である小林裕子氏が碌山に関する詳細な論文を掲載しています。これは必読です。


安藤碌山「胡瓜

普段は三井記念美術館ご自慢の国宝「志野茶碗 銘卯花墻」の指定席的なこの独立ケースに、碌山の胡瓜が鎮座しています。

知らずに観にいらした方には「なんですか〜これは!!」でしょうね。きっと。ギャップ萌えを楽しみましょう。


加藤巍山「しかみ改

さて、超絶技巧の明治工芸の作品たちにため息をつきながら会場を観ていると、初めて目にするような作家名が出てきます。

今回の展覧会は明治工芸のDNAを現代に引き継ぐ現代作家15名の作品も同時に展示されているのです。15名の現代作家たちの作品が、見劣りするのではないかと正直不安でしたが、それは全くの杞憂でした。


橋本雅也「タカサゴユリ」鹿角
伝小野道風「継色紙」平安時代10〜11世紀

国宝・茶室「如庵」の室内を再現した展示スペースに1978年生まれの橋本雅也が手掛けた「花」が展示されています。

真っ白なタカサゴユリは山で射止めた鹿の角を削り作られたものです。単に美しさを求めただけでなく「命の再生、循環」というテーマが底に流れています。

「いかにも儚い草花の造形を見る人が、失われた鹿の命、摘み取られた草花に思いを致すとき、彼の制作コンセプトが理解されるのである。」と監修者の山下裕二先生が解説されている通り、彼の折れてしまいそうな作品には重層的な深い意味が込められていることを感じ取れます。


鈴木祥太「綿毛蒲公英

1987年生まれの鈴木祥太が作り出したリアルなタンポポの綿毛。今にも風が吹くと飛んでいきそうな柔らかでしなやかな印象を与える作品です。

でも、キャプションを見ると「真鍮、銅、酸化チタン、緑青」とあります。そうこれ、全て金属から出来ているのです。

世の中には実物を目の前にしても信じられないことが沢山ありますが、まさか三井記念美術館の展示室でこんな狐につままれたような体験をするとは思いもしませんでした。

硬い金属で出来ていると知ると、余計にしなやかに見えてくるから不思議なものです。


山口英紀「往来〜丸の内

山口英紀はあらためて紹介するまでもありません。念のため言っておきますと、これ写真ではなく水墨画です!しかも彼は中国へ留学し学んできた筋金入りの水墨画家です。そして同時に書の達人でもあります。

15名の現代作家さんたちはそれぞれ新作をひっさげてこの展覧会に臨んでいます。目を疑う明治工芸と現代アート作品の夢の競演!

アカデミックな美術史における評価とも、いわゆる伝統工芸のヒエラルキーとも無縁の、明治工芸と現代作家のコラボレーションが実現

待ち望んでいた方も多いそうで、初日から大入りだそうです。混雑する前に今すぐにでも観に行きましょう。図録も勿論「買い」です。

「驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ」展は12月3日までです。あの佐藤康宏先生も褒めていました!


驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アート

会期:2017年9月16日(土)〜12月3日(日)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日、10月10日(火)
※但し、9月18日、10月9日は開館)
会場:三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/
主催:三井記念美術館、朝日新聞社
協力:清水三年坂美術館
監修:山下裕二(明治学院大学教授)
企画協力:広瀬麻美(浅野研究所)


別冊太陽217 明治の細密工芸 (別冊太陽 日本のこころ 217)

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注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
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| 展覧会 | 22:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」
横浜美術館/横浜赤レンガ倉庫1号館/横浜市開港記念会館(地下)ほかで開催中の
ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」に行って来ました。

音声ガイド無料!全作品写真撮影OK!!「ヨコトリ」へ行こう!!!


http://www.yokohamatriennale.jp/2017/

3年に1度港町横浜を舞台に繰り広げられるアートの祭典「横浜トリエンナーレ」も今年で6回目となります。芸術祭が日本各地で開催されるようになったそのパイオニアがこのヨコトリです。

面白いのは、毎回スタイルが少しづつ変わっていることがあげれられます。総合ディレクターを置いていた頃もありましたし、メイン会場が横浜美術館となったのも前々回の2011年からのことです。


パオラ・ピヴィ

今回のヨコトリは初めて音声ガイド無料!全作品写真撮影OKとなりました。

思い思いの写真をSNSで目に出来るっていいことですね。現地へ行きたくなりますし、また行けなくても今年のヨコトリの雰囲気が断片的ながらも伝わってきます。


風間サチコ

そんなにアート好きでもないし…という方でも、横浜美術館会場だけでも十分に満足のゆく展示内容だと思います。「世界的に有名なアーティスト」を知らない方が、逆に素直に良し悪しを判断できるものです。

会場もただ単に作品が無造作に並べてあるなんてことは全くありません。特に今年は一人の作家にフォーカスしまるで個展会場のような構成となっています。

個展会場と言ってもバラバラ支離滅裂ではなく、それぞれが有機的な繋がりをみせ、結果として横浜美術館全体で非常に統一感の取れた展示となっているのです。


オラファー・エリアソン

また、インスタレーション作品や映像作品を極力抑えた感じを受けました。それにより「流れ」がとても良くなっているのだと思います。

2時間もあるワエル・シャウキー「十字軍芝居 聖地カルバラーの秘密」を一番奥の居心地のよい空間に持ってきたのも大成功です。


るワエル・シャウキー

今年のヨコトリほど、後味の良いヨコトリは初めてです。個人的に好きなアーティストの作品が観られただけでなく、全体としてのまとまりがとても素晴らしいと感じました。

ディレクターを一人置いて、その人の色を思い切り発揮させるのもありですし、今回のような高いレベルでなおかつまとまりのあるものを見せるヨコトリもまたありです。


畠山直哉

そうそう、9月11日(月)より、「ヨコトリ記念スタンプを集めよう!」キャンペーンも始まりました。

作品が展示されている横浜美術館、横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜市開港記念会館地下、みなとみらい駅コンコース(みらいチューブ)、そして、セット券で入場できるBankARTLife V、黄金町バザール2017の6会場に、6種類のスタンプが設置されているそうです。



スタンプを全て集めた方全員に、ヨコハマトリエンナーレ2017のイメージ・ビジュアルの亀をデザインした大型ステッカー(非売品)をプレゼント!さらに、その場で抽選により特製オリジナルトートバックが当たる!!これはまた観に行かねば。

ピカチュウもいなくなってやっと港町横浜が落ち着きを取り戻してきたようです。

ヨコハマトリエンナーレをはじめ、現代アートの「国際展」の楽しみ方を教えてくれるトークショーも予定されています。詳しくはこちらから。(クーポンコードにblueと入力すると青い日記帳特別割引で聴講できます!)

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」は11月5日までです。是非是非〜


ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」

会期:2017年8月4日(金)〜11月5日(日)
休場日:第2・4木曜日(8/10、8/24、9/14、9/28、10/12、10/26)
会場:横浜美術館/横浜赤レンガ倉庫1号館/横浜市開港記念会館(地下)ほか
http://yokohama.art.museum/
開場時間:10:00 - 18:00 (最終入場17:30)
[10/27(金)、10/28(土)、10/29(日)、11/2(木)、11/3(金・祝)、11/4(土)は20:30まで開場(最終入場20:00)]
主催:横浜市、(公財)横浜市芸術文化振興財団、 NHK、朝日新聞社、 横浜トリエンナーレ組織委員会
ヨコハマトリエンナーレ2017 ディレクターズ:逢坂 恵理子(横浜美術館館長)、三木 あき子(キュレーター、ベネッセアートサイト直島インターナショナルアーティスティックディレクター)、柏木 智雄(横浜美術館副館長、主席学芸員)

構想会議メンバー:スハーニャ・ラフェル(M+美術館 エグゼクティブ・ディレクター)、スプツニ子!(アーティスト、マサチューセッツ工科大学メディアラボ助教)、高階 秀爾(美術史家、大原美術館館長、東京大学名誉教授)、リクリット・ティラヴァーニャ(アーティスト、コロンビア大学芸術学部教授)、鷲田 清一(哲学者、京都市立芸術大学学長、せんだいメディアテーク館長)、養老 孟司(解剖学者、東京大学名誉教授)
支援:文化庁(国際芸術フェスティバル支援事業)
特別協力:独立行政法人国際交流基金、公益財団法人神奈川芸術文化財団
後援:外務省、神奈川県、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)、タイ王国大使館、マレーシア大使館

音声ガイド無料!全作品写真撮影OK!!「ヨコトリ」へ行こう!!!


島と星座とガラパゴス ヨコハマトリエンナーレ2017 公式図録

因みに、オラファー・エリアソンの光の作品「Eye see you」の前では、物の色が失われます。


週刊 ニッポンの国宝100

今話題のこの本も…ご覧の通り。



2006年にルイ・ヴィトンのショーウィンドウを飾ったのがこの作品でした。それが今、横浜美術館で観られるのです!!


オラファー・エリアソン「Eye see you」

今年のヨコトリはカラフルな服を着て出かけましょう〜

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| 展覧会 | 22:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
「MINIATURE LIFE展」
新宿高島屋11階特設会場で開催中の
「MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界」に行って来ました。


田中達也 - MINIATURE CALENDAR
http://miniature-calendar.com/

空に浮かぶ大きな雲がクジラに見えた初年少女時代。素直だったあの頃に戻ることの出来る展覧会が、新宿高島屋で開催されている「MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界」です。

台所で食器を洗っていて、手にしているスポンジがふとテニスコートの芝生に見えたら…



オフィスや学校で使っているメモ帳が、ホテルのプールサイドに見えたら…



田中達也氏のような目を持っていたら、毎日の生活もさぞかし彩りあふれたものになるのではないでしょうか。もとより日本人は「見立て」を芸術に取り入れ楽しみを倍加させてきました。

芸術の世界ではなくても、ごくありふれた日常生活の中にも「見立て」により、こんなにも見え方感じ方が変わってくるのだと教えてくれる作品で会場は溢れています。



制作した作品を撮影した写真だけの展示かと思いきや、この「トウモロコシ燃料ロケット」のように実際に作ったミニチュア作品とそれを撮影した写真が共に展示されているのです。

勿論、すべての作品ではありませんが、こうして実物と写真を比べて見ると、撮影にも相当苦労されているのだな〜とその大変さが伝わってきます。


隠れた名曲を掘り起こす

素人が撮影してもせいぜいこの程度です。



それが田中氏の写真となると、本当に音符という野菜を畑で収穫しているように見えるのです。

実際に作られたミニチュア作品を目にすることで、あらためて写真作品の魅力に開眼すると同時に、一層魅力的なものに映りました。やはり何でも観に行かないとだめですね。


ブロッコリー1 本分のサバンナ

ブロッコリーを片手にアイディアをひねり出し、ミニチュアを制作し、それをこんな魅力てな写真作品とする。これを毎日やっているのですから頭が下がります。

田中氏の発症力の豊かさの根源は一体何なのでしょう。


チャーハン?サーフィン?チャーファン?チャーフィン!

チャーハンを作りながら鍋を振っていると、その曲線がビックウェーブに見えてくる!

ほら、チャーハンの具材と共に、サーファーもしっかりといますよ!


それと、もうひとつ田中氏の魅力として作品名があげられます。

「クモワッサン」「リアルなメモ=メモリアル」「雨あけパンチ」「果汁が多いと荷重が心配」等々、お洒落に決めてやるぜ!的な感じはなく、逆にオヤジギャグ要素満載です。

これがまた親しみをよぶのでしょうね。斜に構えているところがないのです。

こんなにもワクワクさせる作品を生み出せるのですから、人間性のとても高い方なんでしょうね。田中氏。人を素直に愉しませることのできる人が、ミニチュアと写真の才能を手にしたのですから最強です。


雨あけパンチ

雨など降るもまたをかし。

2017年NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバック毎日観てても、道理で飽きないはずです。そうそう映像に出てくる「新パン線」会場内で実際に動いていますよ!!



写真撮影も一部を除き、基本的にほぼ可能です。

思わず撮りたくなるものばかりですが、折角足を運んだのですから、会場のあちこちにも目を配ってみて下さいね。

作品以外のところにも田中氏の遊び心が生かされていますよ。



百貨店での展覧会は会期がとても短いので気がついたらもう終わっていたなんてこともしばしば。実際にこの展覧会も12日間しか会期がありません!

「MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界」は9月12日までです。


「MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界」

会期:2017年9月1日(金)〜9月12日(火)
※連日午後8時まで開催。ただし9月1日(金)・2日(土)・8日(金)・9日(土)は午後8時30分、最終日は午後6時閉場。
※各日とも入場は閉場時間の30分前まで(最終日は午後6時閉場)
会場:新宿眦膕11階特設会場
主催:NHKサービスセンター
公式HP:http://clk.nxlk.jp/Qxnm5OBZ
同時開催:NHK連続テレビ小説「ひよっこ」パネル展(入場無料)


【田中 達也(たなか・たつや)プロフィール】

ミニチュア写真家。1981年熊本県生まれ。2011年から日用品とジオラマ用人形をモチーフにして、日常にある物を別の物に見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」をインターネット上で発表。海外を含め人気を呼び、雑誌やテレビなどのメディアでも広く話題に。2017年NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバックを担当。


MINIATURE LIFE ミニチュアライフ

〜作家からのメッセージ〜
日用品とミニチュア人形を組み合わせて「見立て」の世界を創作し、ホームページやSNSで毎日発表してきました。本展ではミニチュア写真を一堂に展観し、いくつかの実物のミニチュア作品とともにお楽しみください。


MINIATURE LIFE2 ミニチュアライフ2

(巡回先)

大丸ミュージアム(梅田)
大丸梅田店15階

会期:2017年9月20日〜10月2日

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| 展覧会 | 21:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
「上村松園展」
山種美術館で開催中の
「上村松園―美人画の精華―」展に行って来ました。


http://www.yamatane-museum.jp/

東京国立博物館(トーハク)で長谷川等伯「松林図屏風」、ブリヂストン美術館でセザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」を観るとホッとするように、山種美術館で上村松園の美人画を拝見すると得も言われぬ感覚になるものです。

ひとつの美術館に、これほど収まり具合の良い作品もありません。何度も観ているのに全く飽きない理由のひとつなのではないかと思います。中々他のエンタメでこうしたことには出会えないはずです。


「上村松園―美人画の精華―」展示風景

今回の展覧会では山種美術館が所蔵する上村松園作品18点が全て公開されています。しかも第1章でまとめて松園作品だけを紹介しているので、幸せ度がいつも以上に高く感じられます。

山種美術館創立者・山種二氏は、松園が京都から東京へ出てくるたびに、宿から車の手配から面倒をみたそうです。そのご縁もあり日本でも有数の松園作品を有しているのです。


上村松園「詠哥」昭和17年

松園67歳時の作品。絹本(絹地)に彩色された正真正銘のザ・日本画です。描かれた女性のいやらしさを感じさせない美しさは勿論ですが、近寄って観るとあらためて日本画の細やかさ美麗さに気付きます。


上村松園「詠哥」(部分)

上品な着物の色から花模様まで一筆一筆丁寧に描かれているのが分かります。日本画はここまで近寄って観ないとその本当の良さが分かりません。

↑の画像は低画質にしているので、実物はもっと美しく立体的でさえあります。

その絵を見ていると邪念の起こらない、またよこしまな心を持っている人でも、その絵に感化されて邪念が清められる……といった絵こそ私の願うところのものである。

松園は多く絵について言葉を残しています。目を通してみるとなるほどと納得する珠玉の言葉が並んでいます。

それは、女流画家が酷い目に遭っていた時代に(実際に松園の作品も何者かによって傷付けられるなどしています)、凛とした女性であることを誇りに思うような言葉たちです。


上村松園「牡丹雪」昭和19年

芸術院会員陸軍献納画展に出した作品です。戦時中に美人画なんて!と誹謗中傷もあったでしょうが自分の信じるがままに描き続けた松園の気強さを感じさせる一枚です。

技法的にも胡粉でランダムに牡丹雪を表現したり、上部をあえて大きくあけ人物を下の方に配置した絶妙の構図をとるなどよく考え描かれた一枚です。戦時中だからこそ人をあえて小さく描いたのかもしれません。ひとつのメタファーとして。


上村松園「」大正2年

さて、展覧会のチラシ・ポスターに採用されている「蛍」です。いつもは浮世絵との類似性などを探りながら観ていました。

ところが、今回ミュージアムショップで販売されていた、上村松園「蛍」をイメージして制作されたコサージュを目にしたとたん視線はある一点だけを見つめることになりました。


造花工藝作家 岡田歩さんがこの展覧会に合わせ作った新作です。
http://www.ne.jp/asahi/noah/aoyama/

あれ、こんな花松園作品に描かれていたかな…と思いませんか?

それがちゃんと描かれているんです。しかもメインビジュアルの「蛍」に!


上村松園「」(部分)

蚊帳を吊っている女性の仕草や視線の先にあるものばかりに関心が行き、大事なものを観ていませんでした。女性が着ている浴衣の柄がこの百合の花なのです。

岡田さんの造花は、女性の浴衣に染描かれた匹田の百合の花を独自の染色着彩技術を用いて表現しています。(青の濃淡に手染めした花びらの上に、匹田の文様を着彩しています)

是非会場で見比べて下さい。と同時に新たな視線で松園作品と接してみて下さい。

そうそう、山下裕二先生のおススメの見方は松園作品の装丁のバリエーションの豊富さに注目して観ることだそうです。有名な道具屋さん自慢の装丁から、古い着物を用いたものまで実に面白いです。


京都絵美「ゆめうつつ」平成28年

Seed山種美術館日本画アワード2016年展で大賞を受賞した京都絵美さんの作品も、松園作品から連なる美人画として展示されています。いや〜これは良い作品です。再び会えるとは思いませんでした。

書き忘れました…展覧会の構成は以下の通りです。美人画大集合です!

第1章 上村松園―香り高き珠玉の美
第2章 文学と歴史を彩った女性たち
第3章 舞妓と芸妓
第4章 古今の美人―和装の粋・洋装の華


「上村松園展」は10月22日までです。会期が短いのでなるべくお早めに!


「上村松園―美人画の精華―」展

会期:2017年8月29日(火)〜10月22日(日)
*会期中、一部展示替えあり
開館時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日
(但し、9/18(月)、10/9(月)は開館、9/19(火)、10/10(火)は休館)
会場:山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/
主催:山種美術館、日本経済新聞社


上村松園全随筆集 青眉抄・青眉抄その後

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| 展覧会 | 22:41 | comments(1) | trackbacks(0) |
「ボストン美術館の至宝展」
東京都美術館で開催中の
「ボストン美術館の至宝展−東西の名品、珠玉のコレクション」に行って来ました。


http://boston2017-18.jp/

1876年(日本では廃刀令が発布された明治9年)に開館したボストン美術館。個人コレクターや企業から寄贈された約50万点の作品を所蔵する今では世界屈指の美術館と成長を遂げています。

日本では毎年のようにボストン美術館の所蔵品を紹介する展覧会が開催されています。もうじき「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」も始まります。


Museum of Fine Arts, Boston

今回、東京都美術館で開催中の「ボストン美術館展」は、館が所蔵する作品がいかに幅広く良質なのかを知る良い機会となっています。

西洋絵画や浮世絵だけに的を絞るのではなく、古代エジプト美術、中国美術、日本美術、フランス絵画、アメリカ絵画、版画・写真、現代美術といったボストン美術館自慢のコレクションを網羅的に紹介しています。


高官マアケルウの偽扉」エジプト、古王国時代
エジプト、ギザ出土

海外の大きな美術館は絵画だけでなく、古代エジプト美術から現代アートまで幅広いコレクションを有している館が多くあります。

メトロポリタン美術館やルーブル美術館は言うまでもなく、アムステルダム国立美術館などもレンブラントやフェルメール作品といった絵画作品以外もとても充実しています。

展覧会の構成は以下の通りです。

1章:古代エジプト美術
2章:中国美術
3章:日本美術
4章:フランス絵画
5章:アメリカ絵画
6章:版画・写真
7章:現代美術


口さがない似非アートファンはこうした展覧会を総花的で観るところがないなどと一蹴したりするものですが、仮にそうであったとしても観に行ってひとつも発見の無いことなどありません。


フィンセント・ファン・ゴッホ「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」1889年

チラシ、ポスターを飾るゴッホ作品は会場でも、2枚並べて向かい合うように展示されています。実物を観ると夫人の方が額縁の関係もあり一回り大きく見えます。

ルーアンさん家もうちと同じでかみさんの方が、力が強かったのかもしれません。


曽我蕭白「飲中八仙図」1770年頃
曽我蕭白「風仙図屏風」1764年頃

もう日本美術特に江戸絵画は展覧会に欠かせない作品となりました。10年前までは西洋絵画だけで構成されていた展覧会も今の時代、人気の日本美術はマストです。

「英一蝶の巨大涅槃図、約170年ぶりの修理を経て、初の里帰り!」が展覧会の見どころとして記されていますが、それよりも個人的には、曽我蕭白「風仙図屏風」に逢えたことの方が嬉しかったです。

フェノロサが日本から持ち帰った作品の中でもこれは実に良いものです。

さてさて、ゴッホに英一蝶、曽我蕭白らの作品よりも俄然見ておく価値のあるものがこちらです。


徽宗「五色鸚鵡図巻」北宋、1110年代頃

一枚の絵だけで入館料の元が取れる作品が何年に一度か展覧会に出ています。「ボストン美術館の至宝展」に出ているこの徽宗 「五色鸚鵡図巻」はまさにそんな一枚です。

中国、北宋の第8代皇帝徽宗(きそう)の筆とされる作品です。中国絵画に全く興味関心がなくてもこれは観ておかねばなりません。

それは北宋時代の絵画が、室町・桃山時代以降の日本美術の源流となっているからです。因みに国内にある徽宗皇帝による「桃鳩図」は国宝指定されています。

展覧会の副題に「東西の名品、珠玉のコレクション」と謳われているのは嘘でもなんでもなく紛れもない事実であることが、この一枚で証明されています。


陳容「九龍図巻」南宋、1244年

沈着冷静な板倉聖哲(東京大学教授)をして、「中国絵画のリストがここまですごいとは…。徽宗「五色鸚鵡」、馬遠「柳岸遠山」、夏珪「風雨舟行」、陳容「九龍」、大徳寺「五百羅漢」。すべて宋画、宋画精華です。必見です。」と言わしめるだけの中国絵画の充実ぶり。

雪舟が憧れ学んだ絵師たちの作品がずらり並ぶ姿はまさに壮観です。

あっ!それとアメリカ絵画と現代美術のセクションも良い作品が揃っています。オキーフ、ホックニー、村上隆等々。

「ボストン美術館の至宝展−東西の名品、珠玉のコレクション」は10月9日までです。


ボストン美術館の至宝展−東西の名品、珠玉のコレクション
Great Collectors: Masterpieces from the Museum of Fine Arts, Boston

会期:2017年7月20日(木)〜10月9日(月・祝)
休館日:月曜日、9月19日(火)
※ただし、8月14日(月)、9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開室
開室時間9:30〜17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室金曜日は9:30〜20:00(入室は閉室の30分前まで)
会場:東京都美術館
http://www.tobikan.jp/
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日
後援:アメリカ大使館
特別協賛:第一生命グループ|第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命
協賛:セコム、凸版印刷、三菱商事、アトレ、竹中工務店
協力:日本航空、日本貨物航空
http://boston2017-18.jp

東京都美術館ギャラリーではこちらも開催中です。

杉戸洋 とんぼ と のりしろ
会期:2017年7月25日(火)〜10月9日(月・祝)
http://hiroshisugito.tobikan.jp/


ゴッホ原寸美術館 100% Van Gogh! (100% ART MUSEUM)
ゴッホの名画を迫力の原寸で再現!

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Ingress(イングレス)でミュージアム巡り。
2015年、都内で観られる西洋絵画の展覧会
プロが選ぶ「2014年 ベスト展覧会」
かみさんが選ぶ「2014年 ベスト展覧会」
2014年 展覧会ベスト10


パリ行って来ました
オランダ行って来ました
 

BLUE HEAVEN(本館)

『文藝春秋』に寄稿しました。

『AERA』に載りました。

「マウリッツハイス美術館展公式ガイドブック」編集・一部執筆しました

「ザ・シネマ」に寄稿しました。

トークショーに出演しました

日経に掲載されました

朝日新聞に掲載されました

再び日経に掲載されました

「美連協ニュース」寄稿

『アートコレクター』で紹介されました

Yahoo!カテゴリ絵画に登録されました

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moon phases
 
   
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