弐代目・青い日記帳 

  
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「プランツ・プラネッツ」
はじまりの美術館で開催中の
「プランツ・プラネッツ」展に行って来ました。


http://www.hajimari-ac.com/

アール・ブリュット作品を紹介する美術館と認識されている方も多いかもしれませんが、はじまりの美術館はそれに特化した美術館では決してありません。

今回の展覧会「プランツ・プラネット」も障害を持っている人と健常者の垣根を取り払い、敢えて一緒の空間に展示しています。



ここの美術館では、どれがアール・ブリュット作品なのかと知ろうとすること自体、野暮なことです。

明治時代に建てられた長さ18間(けん)約33mもある大きな一本柱が屋根を支える元酒蔵をリノベーションしたのが、はじまりの美術館です。


http://www.hajimari-ac.com/

2011年の東日本大震災によりオープンが大幅に遅れてしまいましたが、それでも情熱を絶やすことなく2014年に困難を乗り越え開館に漕ぎつけた美術館です。

数多くの建築賞やグッドデザイン賞を受賞するなど、建物自体も大きな注目を浴びています。展示室は靴を脱いで鑑賞。木の温もりや微妙な凹凸を足裏に感じながらのアート鑑賞はとても乙なものです。



「プランツ・プラネット」展の出展作家は、以下の通りです。

浅野春香、今村文、片桐 功敦+ I am flower project、蒲生卓也、鈴木祥太、宮原克人、吉田あさぎ


鈴木祥太《アキノノゲシ》2015

三井記念美術館で開催中の「超絶技巧展」にも出展している鈴木祥太氏。同じような作品でも自然豊かな猪苗代の地で観るのでは、感じ方もまるで違います。

植物に関わる7つの作品はいずれも魅力的なものばかり。そして同時に強い個性が感じられます。


吉田あさぎ《行先》2017

大勢の人で賑わいをみせる都会の展覧会に慣れてしまっていると、はじまりの美術館の展示がまるで別世界のもののように思えてきますが、これが本来のあるべき姿なのでしょうね。

作品一点一点と時間をかけゆっくりと語り合うことが出来たことが何よりの収穫でした。また、次回は春になったら訪れてみたいと思います。


倉庫として使われていた当時の張り紙を敢えて残しているのもいい感じですよね!

アートファンならずとも一度は訪れておきたい美術館が、このはじまりの美術館です。是非是非〜

「プランツ・プラネット展」は10月22日までです。


プランツ・プラネッツ

会期:2017年7月29日(土)〜10月22日(日)
開館時間:10:00〜18:00 
休館日:火曜
※8月25日(金)は16時閉館
会場:はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)
http://www.hajimari-ac.com/
主催:社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館
協力:西会津国際芸術村、福島県立博物館、公益財団法人東北障がい者芸術支援機構、NPO法人エイブル・アート・ジャパン、筑波大学宮原克人研究室、オハラ☆ブレイク実行委員会
後援:福島県、福島県教育委員会、猪苗代町、猪苗代町教育委員会、あさかホスピタルグループ


美術館周辺の美味しいお店や見どころを収録した「猪苗代 あいばせMAP」が、美術館入口で配布されています。とても便利に使わせてもらいました。

美術館スタッフや地元のボランティアさんたちが、一枚一枚手で折って作った愛情のこもった観光マップです。


アール・ブリュット アート 日本

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「怖い絵展」
上野の森美術館で開催中の
「怖い絵」展に行って来ました。



中野京子先生の大ベストセラーがついに展覧会となりました。ファンとしてこれ以上の喜びはありません。
中野京子の「花つむひとの部屋」 - Goo ブログ

だって、考えてみてください。書籍が映画化されたりすることはあっても美術館で開催する展覧会となった例はこれまで一度たりとも無かったはずです。

近代以降成立した「展覧会」の歴史上、「怖い絵展」はまさに初めて開催される本から生まれたものなのです。


中野京子先生と、音声ガイドを担当した女優の吉田羊さん。そしてロンドン・ナショナル・ギャラリーの至宝ポール・ドラローシュ《レディ・ジェーン・グレイの処刑

『怖い絵』シリーズが刊行されてから早いもので10年が経ちます。それほど冊数の売れない美術書の中にあって『怖い絵』シリーズは異例の売れ行きをみせ多くの読者に愛され続けています。

『怖い絵』の中から本当に怖い絵を5枚選んでみた。


怖い絵 泣く女篇

今更説明するのもなんですが、中野先生の著書はいずれも歴史的事実を踏まえた上で、一枚の絵画を読み解くというとても知的好奇心をくすぐられる内容のものです。

簡単に言ってしまうと、読んで得した気分になるのです。小学生の時に問題の解き方を先生から教えてもらい「分かった!」時のあの爽やかで瑞々しい感覚が呼び起こされます。


フランソワ=グザヴィエ・ファーブル 《スザンナと長老たち》 1791年 油彩・カンヴァス ファーブル美術館蔵 © Musée Fabre de Montpellier Méditerranée Métropole, France – Photographie Frédéric Jaulmes – Reproduction interdite sans autorisation

今の時代、印刷技術も向上し本に掲載されているカラー図版のレベルもとても高いものとなりました。

しかしそれでも、やはり本の中で紹介、解説されている絵画の本物をこの目で見てみたいと思うのは自分ひとりだけではないはずです。

実物の絵を観ながら中野先生の解説が読めたら、聴けたらと多くの方が願ってきたに違いありません。

その夢が2017年秋に実現したのです。こんなに嬉しいことはありません!


ウィリアム・ホガース 『ビール街とジン横丁』より《ジン横丁》 1750-51年 エッチング、エングレーヴィング・紙 郡山市立美術館蔵 © Koriyama City Museum of Art

それにしても、もう少し「怖い絵展」が早く実現していてもおかしくないように思えたので、どうして今まで開催に至らなかったのかを聞いてみると、興味深い回答が返ってきました。

貸出先の理解が得られない。

これが最大の壁となったそうです。通常は、例えば印象派の展覧会であれ、モネやルノワール単独で紹介するのか、はたまた印象派とジャポニズムの関係をみせるなど、大きなテーマ設定がなされ、専門の学芸員たちがプランを練ります。

その開催意図を所蔵する美術館に伝え、これこれこうした展覧会を開きたいのでぜひ、そちらの「〇〇」という作品をお借りしたい。と作品貸し出し交渉を進めます。

ある作品を貸す代わりに自館が持っている作品をバーターで差し出すことなどを含め、様々なやり取りがなされます。


アンリ・ファンタン=ラトゥール「聖アントニウスの誘惑」1897年
アンリ・ファンタン=ラトゥール「ヘレネー」1892年
共にプチ・パレ美術館蔵

それなのに、今回のテーマは「怖い絵」です。いくら説明しても分かってもらえないのは当然です。それでも実現に向けて根気強く時間をかけ何度も丁寧に趣旨を話し、貸し出しに漕ぎつけた作品たちが、この展覧会に並んでいるのです。

そうして世界各地の美術館から集められた「怖い絵」が6つのテーマに分けられ展示されています。展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:神話と聖書
第2章:悪魔、地獄、怪物
第3章:異界と幻視
第4章:現実
第5章:崇高の風景
第6章:歴史


「怖い絵展」に関してはこちらのコラムでも紹介しているのであわせてご覧下さいませ。
「怖い絵展」なぜ人気?我々の心の中にある「××」が…

さて、個人的にお勧めの作品5点を簡単に紹介しますね。どこかどう怖いのかは、会場にある中野京子先生の解説文を読んでみて下さい。なお、会場には作品に分かりやすい一言解説も付けられています(青字で載せておきますね)。そちらも要チェックです。

セザンヌの闇

ポール・セザンヌ「殺人」1867年頃
リバプール国立美術館蔵

セザンヌ作品を見慣れていると一見これがセザンヌなのかと首を傾げてしまうようなゴツゴツとした感じの作品です。実はこれ、セザンヌがまだ20代の頃に描いた初期作品なのです。中々認められず鬱屈とした時を過ごしていた時代を代表する一枚です。

セザンヌ作品を語る上で、この作品はどうしても観ておかねばならぬ一枚でもあります。まさかまさか日本にしかも「怖い絵展」で観られるとは思いもしませんでした。

さあ、お飲みなさい

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス「オデュッセウスに杯を差し出すキルケー」1891年
オールダム美術館蔵

ウォーターハウスやハーバート・ジェイムズ・ドレイバーなどヴィクトリア期に活躍した画家の優品が何点も来ているのも「怖い絵展」の大きな見どころのひとつです。

英国文学を教えている知人が首を長くしてこの展覧会開催を待ち望んでいた理由も良く分かります。まずこの絵が迎えてくれる「怖い絵展」。完全に主導権を握られている気分にさせられます。

それにしても、ウォーターハウスの描く女性はどうして、こうも魅惑的なのでしょうか。

お前ももう死んでいる

ベンジャミン・ウェスト「サウルとエンドルの魔女」1777年
ワーズワース・アテネウム美術館蔵

画面中央の白装束に身を包んだ不気味な人物の正体はいったい…これこそが予言者サムエルです。しかし彼はもう死んでこの世にはいません。召喚させたのは左端の魔女です。

最初のイスラエル王であるサウルは、現れたサムエルに深く頭を垂れ地面に這いつくばっています。この作品のポイントは主役の二人の顔が見えない点です。果たして二人はそれぞれどのような表情をしているのでしょうか。想像力をかき立てる作品です。

ただただ笑う

ジョン・バイアム・リストン・ショー「人生とはこうしたもの」1907年
リーズ美術館蔵

美しく着飾った美男美女が熱い接吻をかわす傍らで、場に不似合いな顔を白く塗ったピエロ二人が嘲笑っています。腹を突き出し大笑いし、片方は手を口にあて馬鹿にしているかのように笑っています。

劇場の舞台の上でのワンシーンを描いた作品だそうですが、何かを暗示しているかのように見えてしまいます。そしてよく見ると5人目となる警官らしき男性が中央に立っています。

「人生とはこうしたもの」というタイトルが、とても示唆的なものに思えてきてならない一枚です。

悲しき屋根裏

ニコラ=フランソワ=オクターヴ・タサエール「不幸な家族(自殺)」1852年
ファーブル美術館蔵

貧しさに耐え兼ね一酸化中毒をはかる母娘を描いた作品。ぐたっとした娘はもう既に息をしていないのでしょう。母親もお迎えが来るのを壁の聖母子像に目をやりながら待っています。ストレートに「怖い絵」です。

この時代のフランスでは貧困が社会問題となっていたそうで、これもそうした状況をもとに描いた一枚と言えます。好き好んでこのような絵をタサエールは描いたわけでなく食う為に仕方なく描きました。そして彼自身も絶望し自らその命を絶ってしまうのです。

「自殺」というタイトルは二つの意味をはらんでいることになります。


主要な作品には更に詳しい解説「中野京子's eye」が付けられています。

作品をじっくり観て、中野先生の解説もしっかり読んでと、普段の展覧会の倍の時間を要します。『怖い絵』シリーズを未読でも楽しめますが、読んでおいた方が何倍もこの展覧会の素晴らしさが伝わるはずです。

「怖い絵展」は会期中無休で12月17日までです。是非是非!


「怖い」絵展

会期2017年10月7日(土)〜12月17日(日)※会期中無休
開館時間:午前10時〜午後5時(※入場は閉館の30分前まで)
10月14日より土曜日9:00〜20:00、日曜日9:00〜18:00に開館時間延長
会場:上野の森美術館
http://www.ueno-mori.org/
主催:産経新聞社、フジテレビジョン、上野の森美術館
後援:サンケイリビング新聞社
特別協賛:弁護士法人 東京ミネルヴァ法律事務所
協賛:NISSHA株式会社
協力:日本航空、KADOKAWA、NHK出版
企画協力:アルティス、Art Sanjo、FCI
特別監修:中野京子(作家、ドイツ文学者)
公式サイト:http://www.kowaie.com/

『怖い絵』の中から本当に怖い絵を5枚選んでみた。

「怖い絵展」なぜ人気?我々の心の中にある「××」が…


怖い絵のひみつ。 「怖い絵」スペシャルブック

中野京子先生の最新作(2017年10月17日刊行)


名画で読み解く イギリス王家12の物語』 (光文社新書)

たった9日間の王女ジェーン・グレイ
邪魔者を力ずくで排除し続けたヘンリー八世
生涯独身を貫いたエリザベス一世


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| 展覧会 | 23:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
「運慶展」
東京国立博物館で開催中の
興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」に行って来ました。


http://unkei2017.jp/

運慶(生年不詳〜1224年)は生涯に一体どれだけの作品を造ったのでしょうか。今となってはその数は知る術もありませんが、所謂「慶派」も含めると相当数にのぼると思われます。

しかし、運慶が活躍したのは今から800年も昔のことです。現在までその姿をとどめ残されている仏像は30躯前後しかありません。

海外に流出しているものはないとはいえ、奈良だけでなく日本各地のお寺にそれぞれ所蔵されており、それらを一堂に会し展覧会を開くことはこれまで一度も実現しませんでした。


国宝 毘沙門天立像
運慶作
鎌倉時代・文治2年(1186)
静岡・願成就院蔵
写真:六田知弘

実現不可能とされてきた「運慶展」が、開かれると知った時、正直運慶仏は数点だけだろうと思っていました。

ところが、次第にその内容が分かるに従い、これはとんでもない展覧会であることが素人にも肌で感じられるようになりました。

中でも奈良・円成寺の「国宝 大日如来坐像」が出ると知った時は身震いしたものです。運慶の処女作として有名なこの仏像を間近で拝めるのですから、こんな嬉しいことはありません。


国宝 大日如来坐像
運慶作
平安時代・安元2年(1176)
奈良・円成寺蔵

他にもこれでもか〜とばかりに運慶仏を所蔵するお寺や美術館・博物館が「運慶展」に貸し出しています。奈良・興福寺、東大寺、京都・六波羅蜜寺、和歌山・金剛峯寺、神奈川・浄楽寺、愛知・瀧山寺、静岡・願成就院、栃木・光得寺…

長く生きているとこんな展覧会にも巡り合えるのだな〜としみじみと感じつつ半泣きの状態で会場をまず一周しました。

当たり前のように混雑はしていましたが、絵画展とは違いあまり気にならないものです。展示も工夫がなされており比較的高い位置に展示されています。


「国宝 無著菩薩立像・世親菩薩立像」(興福寺・北円堂)と一緒の空間に「国宝 四天王立像」(興福寺・南円堂)が立ち並んでいます。

現在、興福寺南円堂にある四天王立像は、かつて北円堂にあったものと考える説があります。無著菩薩立像・世親菩薩立像と同じ空間に展示することは、大きな意味があるのです。


国宝 四天王立像のうち多聞天
鎌倉時代・13世紀
奈良・興福寺蔵(南円堂安置)
写真:飛鳥園

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 運慶を生んだ系譜ー康慶から運慶へ
第2章 運慶の彫刻ーその独創性
第3章 運慶風の展開ー運慶の息子と周辺の仏師


今年春に奈良国立博物館で観た「快慶展」とは展示の方法が大きく違ったのも印象的でした。快慶展を静とするなら、トーハクの運慶展は動と言えるでしょう。

非常にドラマティックであり、静かにお寺で拝む対象としての仏像ではなく、あくまでも博物館という「劇場」に映えるような見せ方です。


重要文化財 聖観音菩薩立像
運慶・湛慶作
鎌倉時代・正治3年(1201)頃
愛知・瀧山寺蔵
写真:六田知弘

寺外初公開となる「重要文化財 聖観音菩薩立像」も円形の舞台に立ち、360度拝見することが可能となっています。簡単なキャッチコピー的な説明も付けられています。

2周目となると少し冷静さも取り戻し、一対一で運慶仏と対峙出来るようになりました。今回最も心を動かされたのは、「国宝 八大童子立像」和歌山・金剛峯寺蔵だったのは自分でも意外でした。


「国宝 八大童子立像」展示風景

以前、山本勉先生の講演会で伺った

彫眼を使うことで、仏の持つ気高さを表現し、逆に人や天部には生々しさを表現するために玉眼を用いその違いを明確にした。

群像表現として仏像を作る場合は、その群像全体を見据え、その中の仏像たちの相互の関係を考慮し彫眼、玉眼を使い分けたと考えるべきではないか。

これらのお話がようやく理解できました。


国宝 八大童子立像のうち制多伽童子
運慶作
鎌倉時代・健久8年(1197)頃
和歌山・金剛峯寺蔵
写真:高野山霊宝館

玉眼を用い、一体一体に「眼の表情」を見事に与えることに成功している八大童子立像をこんなに近くで比較しながら観られたことが何よりもの収穫でした。

始まってすぐに観に行ったにも関わらず、中々ブログ書けなかったのは、まだ見足りないという思いが強かったかです。来週にでももう一度観に出かけます。

こんな展覧会二度とないですからね。「運慶展」は11月26日までです。


興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」

会期:2017年9月26日(火) 〜11月26日(日)
開館時間:9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、金曜・土曜および11月2日(木)は21:00まで開館)
休館日:月曜日(ただし10月9日(月・祝)は開館)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
http://www.tnm.jp/
主催:東京国立博物館、法相宗大本山興福寺、朝日新聞社、テレビ朝日
協賛:あいおいニッセイ同和損保、鹿島建設、JR東日本、大和証券グループ、凸版印刷
協力:神奈川県立金沢文庫、小学館、ビックカメラ
後援:TOKYO FM
http://unkei2017.jp/


運慶への招待

教科書や偉人伝にも登場する「運慶」だが、どこが凄いのか。東京国立博物館の浅見龍介氏が、仏像や仏教の知識ゼロの読者にも理解できるように、懇切丁寧に解説する。運慶仏全31体の写真を完全収録。


運慶 (コミックス単行本)

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「池田学展」
日本橋タカシマヤで開催中の
「池田学展 The Penー凝縮の宇宙ー」に行って来ました。



佐賀県立美術館、金沢21世紀美術館を経てようやく東京へやって来ました。池田さんの故郷・佐賀や金沢での展示も観たかったのですが、何かと野暮用多く結局行けず仕舞い。



自分と同じように「池田学展」@東京を待ち望み、恋焦がれていた方が大勢いるらしく、会場は大賑わい。現代アートの展覧会でしかも日本橋高島屋でこんなに人を集められるのって池田さんしかいないのではないでしょうか。

池田学さんの魅力をあらためて語る必要はないので割愛しますが、とにかく彼の作品は老若男女を問わず、絵の世界にグイグイと惹き込ませる魅力を湛えています。

自然物の美しさを細かい線で表したかと思うと、大作「予兆」のように、それはそれは観ているだけで後ずさりしてしまいそうな迫力に満ちた作品を描きます。

展覧会の構成は以下の通りです。

Chapter1:エピソードの始まり
Chapter2:想像の旅人
Chapter3:自然と文明の相克
Chapter4:ミクロコスモス
Chapter5:様々な断片
Chapter6:誕生




筆にその人の性格が現れるように、絵画にも作家の人となりが出てくるものです。敵を作らない、敵対しない、自然なありのまなの姿のにこやかな池田さんの姿が作品を観ていると頭の片隅に浮かび上がってきます。

「これ、ここ観て、面白いでしょ!」と話しかけてくるようです。

現代アート作品で、こした対話が成立する場面は非常に稀です。逆にどちらかと言えば、鑑賞者を突き放し、置いてきぼりにするのが佳しとしている作品がほとんどです。(だから人気が出ないんですけどね。)

実際の池田さんも全然気取らない人で、子どもの心を持ち続けているような方です。それでいて、ペン画でこれだけの作品を生み出してしまうのですから、やはり只者ではありません。


池田学 the Pen

池田学
1973年、佐賀県多久市生まれ。1998年、東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。卒業制作にて紙に丸ペンを使用した独自の細密技法を確立。2000年、同大学院修士課程を修了。2011年より文化庁芸術家在外研修員としてカナダ、バンクーバーに滞在。2013年よりアメリカ、ウィスコンシン州マディソンにあるチェゼン美術館の招へいを受け、滞在制作を行う。圧倒的な緻密さとともに、ユニークな感性と創造力あふれる作風で国内外を問わず高い評価を得ている。


いつも貧相な発想しかできない自分には、池田さんの豊か過ぎる想像力がどのようにして生まれ出るのか皆目見当もつきません。

精緻な画面を食い入るように観ていると、離れていた時には気が付かなった物や人が「見つかっちゃった。」と頭をかきながら出てきます。そして更に目線を進めると…

幾ら時間があっても観きれないのが池田学作品です。何年もかけて描き上げた作品を数十分ではとてもとても隅々まで観きれません。しかし、絵の前に立ちその圧倒的な存在感にわが身をゆだねることは決して悪くないどころか、とても心地の良いものです。

「池田学展」は10月9日までです。混雑していますが是非是非!


「池田学展 The Penー凝縮の宇宙ー」

会期;2017年9月27日(水)〜10月9日(月・祝)
時間:10:30〜19:30(最終日は18:00閉場、入場は閉場の30分前まで)
会場:日本橋高島屋 8階ホール
主催:朝日新聞社
企画協力:ミヅマアートギャラリー
協力:ヤマトロジスティックス株式会社
展覧会ディレクション:仲世古佳伸
https://www.takashimaya.co.jp/tokyo/special_event/ikeda/index.html


≪誕生≫が誕生するまで The Birth of Rebirth

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| 展覧会 | 23:15 | comments(1) | trackbacks(0) |
「国宝展」
京都国立博物館で開催中の
開館120周年記念 特別展覧会「国宝」に行って来ました。


http://kyoto-kokuhou2017.jp/

今年度注目度ナンバーワンの展覧会がいよいよ開幕となりました。国宝が生まれて今年で120年。京都国立博物館が開館して今年で120年。ここで開かれるべくして開催された「国宝展」です。

現時点で国宝に指定されている建造物などを除いた、美術工芸品は885件。そのうちの実に約4分の1にあたる約200件の国宝がこの秋、京都に大集結しているのです。


「国宝展」展示風景

観に行く前は、サイトやチラシでチェックしてもだいたい一度や二度は目にしたことのあるメジャーな作品なので、果たしてどうなのかな〜と思っていました。正直。

トーハクでの「国宝展」でも拝見した作品がかなり多く、京都まで行くのはどうなのかと…。でも答えから先に述べると「行くべき展覧会」です。

確かに、観たことのある作品が多くありますが、作品同士の競演が見事なのです。

京都国立博物館には、考古、彫刻、絵画(仏画、絵巻物・肖像画、中世絵画、近世絵画、中国絵画)、書跡、染織、金工、漆工、陶磁と、12のジャンルに研究員(学芸員)がいます。彼らがそれぞれの展示空間を担当。

「こんな取り合わせを見せたかった。」との思いがそれぞれの部屋で実現しているのです。例えばこれ!


志野茶碗 銘 卯花墻」桃山時代 16〜17世紀
三井記念美術館
俵屋宗達「風神雷神図屏風」江戸時代 17世紀
建仁寺

どちらも何度も目にしたことのある優品ですが、この取り合わせはまさに初体験!ドキドキが止まりません。少し腰をかがめて卯花墻越しに観る風神雷神。これぞまさに「国宝展」ならではでの醍醐味ではないでしょうか。

奇蹟は滅多に起きないからこそ、奇蹟であるのですが、「国宝展」ではそこかしこで発生しレア度が下がると同時に、自分がいる空間がいかに凄いのかが実感として分かってきます。


志野茶碗 銘 卯花墻」桃山時代 16〜17世紀
三井記念美術館
長谷川等伯「楓図壁貼付」桃山時代 16世紀
智積院

先ほどの、風神雷神から45度観る角度をずらすと今度は長谷川等伯の楓図とのコラボです。もうこの展示室だけで元は取れたようなものです。早起きして新幹線乗った甲斐がありました。

展覧会の構成は以下の通りです。

書跡
考古
仏画
六道と地獄
中世絵画
近世絵画
中国絵画
彫刻
陶磁
絵巻物
染織
金工
漆工


取り合わせの妙がこの「国宝展」の最も注目すべきポイントです。各展示室でまさに奇蹟のコラボが連続発生しています。

一見、地味な書籍のコーナーも高知県立高知城歴史博物館、曼殊院、陽明文庫、京都国立博物館がそれぞれ所蔵する「古今和歌集」が揃い踏みで展示されています。感涙ものです。

また、別のフロアではこんな夢の競演も実現していたりします。


赤韋威鎧」平安時代 12世紀
岡山県(岡山県立博物館保管)
太刀 銘 正恒」平安時代 12世紀
文化庁
太刀 銘 備前国友成造」平安時代 12世紀
東京国立博物館


「玳玻天目」中国・南宋時代 12世紀
相国寺
無準師範「尺牘(板渡しの墨蹟)」中国・南宋時代 12世紀
東京国立博物館

共に禅の世界で重用された作品であり、江戸時代の代表的茶人の一人である松平不昧が所蔵していた来歴を持つ2点が京博で邂逅を遂げています。なお、この展示室には第2期に「曜変天目」が出ます。そうあの龍光院のです!

そうそう、ここの展示室の照明特注品です!

こうした奇蹟的な取り合わせが全展示室で展開されているのです。普通に並べただけでは決してありません。国宝同士を掛け合わせ更に魅力を増すという力技の連続です。

その最たる例がこちらであることは異論ないかと。


雪舟展示風景

最も国宝指定の多い雪舟の作品全6件がこの展示室に全てあります。これを奇蹟と呼ばずして何と呼べばよいのやら。言葉を失うとは、まさにこのことです。

観に行くかどうしようか迷っている方、ここで紹介した組み合わせを見ただけでも、行きたくなったでしょ!会場内はもっともっとすごいことになっています。

「国宝展」は11月26日までです。混雑してても観に行くべし!自分も京都にあと3回通います。


開館120周年記念 特別展覧会「国宝」

会期:2017年10月3日(火)〜11月26日(日)
1期 10月3日(火)〜10月15日(日)
2期 10月17日(火)〜10月29日(日)
3期 10月31日(火)〜11月12日(日)
4期 11月14日(火)〜11月26日(日)
1〜4期は主な展示替です。一部の作品は、上記以外に展示替を行います。
休館日:月曜日
※ただし10月9日(月)は開館、10日(火)休館
開館時間:午前9時30分から午後6時まで(入館は午後5時30分まで)
※ただし会期中の毎週金・土曜日は午後8時まで(入館は午後7時30分まで)
主催:京都国立博物館、毎日新聞社、NHK京都放送局、NHKプラネット近畿
後援:文化庁、京都府、京都市、京都府教育委員会、京都市教育委員会
特別協賛:島津製作所
協賛:京都美術工芸大学、GSユアサ、小学館、大和ハウス工業、東海旅客鉄道、西日本旅客鉄道、日本新薬、日本写真印刷
技術協力:キテラス、シーシーエス
協力:日本香堂
公式サイト:開館120周年記念 特別展覧会 国宝


週刊ニッポンの国宝100 3 燕子花図屏風/金印

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「青樹うめ展」開催!
「藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗と日本の美」
「伝説の洋画家たち 二科100年展」
「動きのカガク展」
「ボルドー展」
「シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵」開催!
「芸術の秋」、「琳派の秋」。
特別展「蔵王権現と修験の秘宝」
「teamLab Exhibition, Walk Through the Crystal Universe」
特別展「生命大躍進」
「SHIBUYA」
「琳派と秋の彩り」
「箱根で琳派 大公開〜岡田美術館のRIMPAすべて見せます〜」
あなたは五姓田義松を知っていますか?
「風景画の誕生展」
「国宝 一遍聖絵」が全巻全段展示されます!
美術館でコスプレ!
Ingress(イングレス)でミュージアム巡り。
2015年、都内で観られる西洋絵画の展覧会
プロが選ぶ「2014年 ベスト展覧会」
かみさんが選ぶ「2014年 ベスト展覧会」
2014年 展覧会ベスト10


パリ行って来ました
オランダ行って来ました
 

BLUE HEAVEN(本館)

『文藝春秋』に寄稿しました。

『AERA』に載りました。

「マウリッツハイス美術館展公式ガイドブック」編集・一部執筆しました

「ザ・シネマ」に寄稿しました。

トークショーに出演しました

日経に掲載されました

朝日新聞に掲載されました

再び日経に掲載されました

「美連協ニュース」寄稿

『アートコレクター』で紹介されました

Yahoo!カテゴリ絵画に登録されました

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moon phases
 
   
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