「Road to Mauritshuis−マウリッツハイスへの道」プロジェクト
「マウリッツハイス美術館展」と拙ブログ「青い日記帳」のオリジナルコラボレーショングッズ制作企画。
→
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2788

展覧会公式サイト:
http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
「マウリッツハイス美術館展」オランダ・フランドル絵画の至宝
今回は毎週『AERA』に「食べたくなるモナリザ」を連載していらっしゃる、林綾野さんにご協力頂き、フェルメールが暮らした17世紀オランダのビールをテーマにオリジナルエッセイを書き下ろしてもらいました。
林さんはアートライターとして数々の著書をお出しになっている傍ら、絵画に着想を得た料理の創作や再現にもチャレンジなされています。17世紀のオランダの食卓を再現した本も上梓されています。
『フェルメールの食卓 暮らしとレシピ』(講談社ARTピース)
林綾野
また、、「フェルメールからのラブレター展」等、フリーのキュレーターとして展覧会の企画・制作にも携わっていらっしゃるマルチな才能の持ち主です。
林綾野(はやし あやの)
神奈川県横浜市出身 キュレイター アートキッチン代表。
キュレイター。美術館での展覧会企画、美術書の企画、執筆を手がける。アーティストの芸術性と合わせて、その人柄や生活環境、食への趣向などを研究。手がけた展覧会は『ホルスト・ヤンセン 北斎へのまなざし』 『パウル・クレー 線と色彩』 『英国植物画の世界』 『ピカソとクレーの生きた時代』展など。 主な著作に『ゴッホ 旅とレシピ』(講談社)、共編著書に『ロートレックの食卓』『クレーの食卓』(講談社)、『クレーの旅』(平凡社)『モネ 庭とレシピ』(講談社)など。
「マウリッツハイス美術館展」とのオリジナルコラボグッズのひとつである、ビアグラスがまだ完成する前に、超多忙な中、オリジナルエッセイを書いて下さいました。
穏やかな光で満たされる室内。フェルメールの絵の中では、そこにたたずむ女性、耳元にゆれる真珠、デルフト焼のお皿やワイングラス、楽器や化粧道具、そしてほうきや靴までもが等しくその美しい光に包まれる。
『牛乳を注ぐ女』(fig.1)に描かれるビールジョッキも、そんな光を受けながら、そっと静かにたたずんでいる。17世紀のオランダでは、安全な飲料水が十分になく、人々はビールで水分補給をしたそう。子供たちのためにアルコール度数の低いものも作られていたとか。(fig.2)
フェルメールの時代、画家の故郷デルフトにはビールの醸造所がいくつもあり、町の人々は絞りたてのビールを楽しむことができた。ほんのり濁った琥珀色のビールをフェルメールも愛飲したに違いない。
グラスにたっぷりと注がれたビールは、窓からの陽光を受け、画家の手の中でゆったりと光をたたえる・・・。香りや喉ごしと共に、光を意識しながら味わえば、フェルメール流。そんな風にビールを楽しんでも良いのかもしれない。
「食べたくなるモナリザ」ならぬ「飲みたくなるフェルメール」ですね!綾野さんの手にかかると、まるでその場に居合わせたような不思議で躍然たる気分になります。いいな〜文才のある方は(しみじみ)
17世紀デルフトにあったビール醸造所へこのグラス持って行き、フェルメールと乾杯出来たら…何て愉しい夢いくらでも語れちゃいそうです。
(fig.1)

ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」1658-59年頃
アムステルダム国立美術館蔵
(fig.2)

ピーテル・デ・ホーホ「
室内の女と子供」1658年頃
アムステルダム国立美術館蔵
もう既に、「マウリッツハイス美術館展」のミュージアムショップでこのドイツ製の薄ガラスで作られたフェルメールのビアグラスをお買い求めになられた方々が、思い思いの飲み物を注ぎ画像をアップして下さっています。
画像を
こちらのページに全てまとめて掲載してあります。ビール以外の他の飲み物も合いますね〜とても。やっぱりステンドグラス模様に彩色施さず正解でした。注いだ飲み物によって様々に変化する「窓」を楽しめますからね。
皆さんも素敵な画像お撮りになられたら、Twitterでハッシュタグ
#フェルメールグラスを付けアップして下さい。順次掲載させて頂きます!
さて、最後にオランダ・フランドル絵画の中からビールが登場する作品をもう一枚ご紹介。

ハブリエル・メツー「
食事をする男と女」1659-60年頃
アムステルダム国立美術館蔵
テーブルの上に置かれたおおぶりのビアグラスに手を伸ばそうとする男性とフルートグラスにワインを注がんとする女性。さて二人の関係は?
様々な解釈が可能です。しかしはっきりとアルコールが描かれている本作は、たとえ同じパンが描かれていたとしてもフェルメールの「牛乳を注ぐ女」とは明らかに持つ意味が違います。
今回、偶然にもフェルメール、ホーホ、メツーとデルフトで同じ時代に活躍した画家のほぼ同じ年に描かれた3枚の作品を紹介しました。(しかも全てアムステルダム国立美術館所蔵作品)
「ビール」という我々にとってもとてもポピュラーで身近な題材ひとつから、これほどまでに世界が一気に広がります。絵画の世界ってほんと愉しいものですよね。

今回ご協力頂いた、林綾野さんご自身が手掛けたフェルメール関連グッズ。公式サイトにはまだ掲載されていませんが「マウリッツハイス美術館展」ミュージアムショップで絶賛販売中です。
フェルメールのサインと作中に登場するピッチャーや壺などを可愛らしくまとめたデザインのバックとエプロン。林綾野さんの著書の隣りに並べてあります。

「マウリッツハイス美術館展」と拙ブログのコラボグッズ「フェルメールのビアグラス」に「フェルメール革製キーホルダー」ミュージアムショップで販売中です。よろしければお手に取ってご覧になってみて下さい。
※今回のグッズ製作に際し、自分は一切ギャラは受け取っていません。売上げの一部を頂くことも一切ありません。ご協力して下さった皆さんも同様です。あくまでもフェルメール応援団として携わっています。大好きなフェルメール関連グッズに関われるだけで十分幸せです。

展覧会公式サイト:
http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
「マウリッツハイス美術館展」オランダ・フランドル絵画の至宝
会期: 2012年6月30日(土)〜9月17日(月・祝)
休室日:月曜日(ただし7月2日・16日、9月17日は開室。7月17日は休室)
会場 : 東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)
開室時間 : 9:30 〜 17:30(金曜日は20:00)、入室は閉室30分前まで
休室日 : 月曜日(7月2日は開室。休日の場合は翌日休室)
お問い合わせ : ハローダイヤル 03-5777-8600
主催 : 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、フジテレビジョン
後援 : オランダ王国大使館
特別協賛 : 第一生命保険
協賛 : ジェイティービー、ミキモト、凸版印刷、シュウ ウエムラ
※2012年9月29日(土)〜2013年1月6日(日)神戸市立博物館にも巡回します。

洋画専門チャンネル ザ・シネマ「真珠の耳飾りの少女」特設サイトに“名画と映画”と題し駄文寄稿しました。
【「マウリッツハイス美術館展」関連エントリ】
「マウリッツハイス美術館展」記者発表会
吉岡徳仁氏が手掛けた東京都美術館「シンボルマーク」&「ロゴ」
今年最も観たいフェルメール作品は?
業界初:「マウリッツハイス美術館展」×「青い日記帳」連動コラボグッズ
武井咲さん「マウリッツハイス美術館展」オフィシャルサポーターに就任!
「マウリッツハイスへの道」Vol.1
東京都美術館リニューアルオープン
「マウリッツハイスへの道」Vol.2
「マウリッツハイスへの道」Vol.3
「マウリッツハイスへの道」Vol.4
「マウリッツハイスへの道」Vol.5
「マウリッツハイスへの道」Vol.6
「マウリッツハイスへの道」Vol.7
「マウリッツハイスへの道」Vol.8
「マウリッツハイスへの道」Vol.9
「マウリッツハイスへの道」Vol.10
「マウリッツハイスへの道」Vol.11
「フェルメールのビアグラス」
「マウリッツハイスへの道」Vol.12
Twitterやってます。
@taktwi
注:ショップの画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2926