![]() 2018.03.16 Friday
映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」を観て来ました。
![]() http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/ X-Royal art museum in Stockholm(現代アート美術館)の主任キュレーターであるクリスティアンを軸に、現代社会が抱える様々な社会問題をシニカルに時に滑稽に描いた作品。 ![]() クリスティアン(クレス・バング) 身近に起きている「不幸」に対し、無関心を装いその場をやり過ごしてしまったことは、どんな聖人君子であっても一度や二度はあるはずです。 助けを求める他者に対し、これほどまで無頓着でいられるのは、人間の歴史が始まってからこれまで無かったのではないでしょうか。 冷たい時代と言ってしまえばそれまでですが、シリアの内戦で苦しむ子供たちの映像にも既に慣れっこになってしまった我々には「耳が痛い」内容の映画です。 クリスティアンの勤める現代美術館が、新たに「The Square」という作品を展示することから物語は始まります。 ![]() The Square “ザ・スクエア”は〈信頼と思いやりの聖域〉です この中では誰もが平等の権利と義務を持っています この中にいる人が困っていたら それが誰であれ あなたはその人の手助けをしなくてはなりません 「ザ・スクエア」の中では、すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われ、普段忘れている他者への思いやりを喚起させることが、この作品のテーマです。 しかし、このような参加型のアートが存在するということは、裏を返せばこの小さな「聖域」以外は、不平等で偏見と差別が蔓延していることを示唆します。 我々はそんな社会に悪い意味で慣れてしまっているので、普段はあまり気にとめないかもしれません。しかし地面に正方形を囲っただけのシンプルな作品を前にすると、とたんに居心地の悪さを認識するのです。 ![]() 主人公を現代美術館のキュレーターとした点も、物語が展開するに従ってなるほどな〜と変に納得がいきます。これが銀行員ではここまで毒のある作品にはなりません。 「ザ・スクエア」の展示を進めるクリスティアン自身が、実は最もこの「聖域」の住人でないのです。 彼は、この映画の中で起こる数々の事件の種を自ら進んで撒いてしまうのです。刈り取ることもできないのに。 ![]() 「ジャーナリストたちにこの作品についての記事を書かせるには、物議を醸すようなものが必要であり、このプロジェクトはエッジや論争に欠けている。」 PR会社の専門家たちが「ザ・スクエア」をいかにして知ってもらい観に来てもらうかの議論をしている際の言葉です。 SNSでの炎上商法には辟易していますが、どのようにしてそうした案件が生まれるのか、また炎上し過ぎて手が付けられなくなってしまった場合、当事者はどう動くのでしょう。 こうした卑近な例を出しながら、そこに多くの社会問題を盛り込んでいるのがこの映画の特徴です。 一見滑稽で笑いを誘うシーンの裏に仕掛けられた、差別、貧困、難民、分断などが、比較的容易に読み解けてしまうので、クスっとしながらも笑顔には決してなれません。 ![]() さぁ、目をしっかりあけて嫌な現実を目の当たりにしましょう。そんな作品を展示する美術館とエゴの塊である学芸員が主役の映画です。 ハリウッドや日本映画では絶対に作れない作品が「ザ・スクエア 思いやりの聖域」です。是非! 4月28日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ他にて全国順次ロードショー ![]() 「ザ・スクエア 思いやりの聖域」 第90回 アカデミー賞(2018年) ノミネート 外国語映画賞 第75回 ゴールデングローブ賞(2018年) ノミネート 最優秀外国語映画賞 第70回 カンヌ国際映画祭(2017年) 受賞 コンペティション部門 パルムドール リューベン・オストルンド 映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』予告編 公式サイト:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/ (C)2017 Plattform Prodtion AB / Societe Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS Twitterやってます。 ![]() Facebookもチェック! この記事のURL http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5043 JUGEMテーマ:アート・デザイン ![]() |