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『Pen』 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]

CCCメディアハウスより刊行となった『Pen(ペン) 2019年10/1号 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]』を読んでみました。


Pen(ペン) 2019年10/1号 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]

ここ数年日本のマスコミやwebでも頻繁に名前が取り上げられているジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat、1960年12月22日 - 1988年8月12日)の特集号です。

キース・ヘリング、バーバラ・クルーガーそしてアンディ・ウォーホルらと知り合い、当時のNYでアーティストとして精力的な活動をするものの、薬物の過剰摂取により27歳の若さでこの世を去ってしまったバスキア。


MEN SPRZ NY T(ジャン=ミシェル・バスキア・半袖)

UNIQLOのTシャツとして販売されており、身近な存在のようではありますが、バスキアの作品をまとめて観る機会はまずありません。

それ以上に、これだけ名の知れたアーティストでありながら、日本語の本が皆無というのも驚きです。(絶版となってしまったものはあります。Amazonでも探せます。)

今回発売となった『Pen(ペン) 2019年10/1号 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]』は、バスキアをこよなく愛する人から、バスキアってどんな作家なの?というビギナーまで誰もが納得いく作りとなっています。

雑誌でこのレベルに持って行くのは相当大変だったことだったと容易に想像が出来ます。


バスキアを取り巻くクラブからアートシーンまでの幅広い交友関係も一目で分かります。ニューヨークの至るところで若きバスキアは「有名人」だったのです。

昨年(2018年)はバスキアが亡くなって丁度30年目にあたる年でした。日本でも映画『バスキア、10代最後のとき』が公開となり話題となりました。

それにしても、この映画でバスキアが活躍した現在とはまるで違う、混沌としたNYの様子は衝撃的でした。ああいったカオスの中から生まれた芸術がバスキアなのだと分からないと、真の理解にはつながりません。


バスキア、10代最後のとき [DVD]

Pen(ペン) 2019年10/1号 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]』では、さらに踏み込んだ内容にも触れています。

バスキアがレオナルド・ダ・ヴィンチやレンブラントの手稿や絵画を本を通して目にし、大きな影響を受けたとあります。



特にレオナルドの手稿に描かれた人体の図は、バスキアの作品に直接反映されているほど傾倒していました。

こうした新たな知見に満ち溢れている『Pen』。間違いなく「買い」でしょう。サイトを見ると「デジタル版は、この号に限り2000ダウンロード限定での販売となります。」と明示されています。

ウォーホルもそうですが、この時代に活躍したアメリカのアーティストたちの作品に関する権利は異常なほど厳しいので、きっとそうせざるを得ないのでしょう。

勿論、紙媒体(雑誌)も出ているだけで終わりでしょう。これこそ早いモノ勝ちです。プレミア価格が付いてしまう前に『Pen(ペン) 2019年10/1号 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]』手に入れておきましょう。


MEN SPRZ NY T(ジャン=ミシェル・バスキア・半袖)

しかし、そう考えるとUNIQLOのTシャツはとてもお得感があるように思えてきますね。

さてさて、『Pen』で知っているようで全く知らないバスキアについて予習したら、お待ちかねの「バスキア展」に出かけましょう。

そう!待望の日本初の「バスキア展」がもうすぐ六本木でスタートするのです!


Jean-Michel Basquiat Made in Japan
「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」

会期:2019年9月21日 (土)−11月17日 (日) 
会場:森アーツセンターギャラリー
https://www.basquiat.tokyo/


宮下規久朗氏(「バスキア展」日本側監修、神戸大学教授/美術史家)

ウォーホルの本を書いたことがあり、バスキアをアカデミックに紹介をする機会ということで日本側監修のご指名を受けました。本物の作品の前に立つと凹凸がはっきりしていて、鮮烈な色が印象的です。アフリカの歴史や黒人の歴史も詰まっています。それ以前に作品の持っている力が圧倒的なので、ぜひ会場で本物を見ていただきたいです。


吉岡里帆さん(「バスキア展」音声ガイドナビゲーター/女優)

美術館には月1−2回行くこともあります。 バスキアという素晴らしいアーティストの展覧会で音声ガイドのナレーションをさせていただくことを光栄に思います。自分が音声ガイドを使う時、作品の魅力や新しい発見を聞くとワクワクします。バスキアの内面的魅力や作品のエネルギッシュさが伝わるようなガイドにしたいです。
東京会場だけでの展覧会なので、この機会を逃さずご来場いただきたいと思います。


前澤友作氏(株式会社ZOZO 代表取締役社長)

私が愛するバスキアの、日本初の大規模展覧会が開催されることを大変嬉しく思います。
作品の意味合いや創作技法などをアートに見出すことも楽しいですが、なんとなく気軽に観ていただくだけでも発見や感動があるのがバスキアの魅力でもあります。今回私が所有する作品も1点展示されます。ぜひ多くの方々に会場に足を運んでいただければと思います。生バスキア本当に凄いですから。


Jean-Michel Basquiat Made in Japan
「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」


会期:2019年9月21日 (土)−11月17日 (日) 
会場:森アーツセンターギャラリー
https://macg.roppongihills.com/jp/
主催:フジテレビジョン、森アーツセンター
特別協賛:株式会社ZOZO   
協賛:損保ジャパン日本興亜
後援:アメリカ大使館、ニューヨーク市観光局、WOWOW
キュレーター:ディーター・ブッフハート
アソシエイト・キュレーター:アナ・カリーナ・ホフバウアー、小野田 裕子
日本側監修:宮下 規久朗(神戸大学教授/美術史家)
「バスキア展」公式サイト
https://www.basquiat.tokyo/


Pen(ペン) 2019年10/1号 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]

ニューヨークを揺さぶった天才画家
バスキアを見たか。

ジャン=ミシェル・バスキアについては、インパクトのある頭部や王冠の絵、あるいはドキュメンタリーや映画を通して知っているという人も多いだろう。だが作品をじっくり見たことはあるだろうか?過去、日本での展覧会は数回きりだ。
ここ数年、欧米では画期的な回顧展が開かれバスキア再発見の機運が高まっている。なぜならシンプルで直接的に見える作品の背後にはさまざまな意味があり、黒人のアイデンティティをモチーフとした重要な作品であることが示されたからだ。
今年、待望の大規模展が日本で開かれる。バスキアを見る――いまこそ、その時だ。

<目次>
27歳で世を去った、彗星のごとき天才の生涯。
出発点は、ストリートに描いたグラフィティ
クラブからアートシーンまで、幅広い交友関係。
初期に才能を認めていた、ギャラリストの証言。
ジャズにインスパイアされて、傑作が生まれた。
差別への怒りが、黒人アスリートを描く原動力。
力強い「肖像」に込められた、意味をひも解く。
人体への関心は、幼少期に見た解剖学書から。
レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿が、心を捉えた。
観る者を圧倒する、絵画に描かれた言葉の意味。
憧れであり友であった、ウォーホルという存在。
日本との意外な関係を知る、大展覧会が開催。


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『誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ』

NHK出版より刊行となった『誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ


誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ』 (NHK出版新書)
斎藤 泰弘 (著)

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画作品に言及した書籍は数あれども、彼が生涯書きためた、詳細な図像と左右を反転させた「鏡文字」で書き綴った「手稿」(自筆ノート)に注目して、その天才性を説いた本はほとんどありません。

古代イタリア語に精通し、鏡文字研究の第一人者でもある著者が、レオナルド没後500年の今年、天才画家の知られざる姿を活写します。

「天才」というイメージだけが独り歩きしてしまった芸術家の姿を、彼が遺した膨大な「手稿」を軸に描き出す、まったく新しいレオナルド・ダ・ヴィンチ論です。


レオナルド、《心臓の弁と腱索の図》、ウィンザー紙葉19118-19r

著者:斎藤 泰弘
1946年福島県生まれ。京都大学名誉教授。78年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都産業大学助教授、京都大学助教授、同大学大学院文学研究科教授等を歴任。専攻はイタリア文学、イタリア演劇。『鳥の飛翔に関する手稿』(谷一郎、小野健一と共著)で第3回マルコ・ポーロ賞受賞。著書に『レオナルド・ダ・ヴィンチの謎─天才の素顔』(岩波書店)、『ダ・ヴィンチ絵画の謎』(中公新書)。レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿の翻訳多数。



カラー版 - ダ・ヴィンチ絵画の謎』 (中公新書)

こちらの本の続編的な内容となっています。

「レオナルドはアルキメデスになりたかった」という指摘には驚かされます。数学者・物理学者・天文学者でもあった古代ギリシアの発明家に自身をなぞらえ、生涯かけて最も熱中したのは「水」の研究でした。

運河の開削や治水事業、架橋計画に関するスケッチとメモからは、水を操る軍事技師として、マキアヴェッリと共にピサ攻略の作戦を練った、意外な一面が浮かび上がります。


レオナルド、《ピサ周辺の地図》、1503、マドリッド手稿52v-53r。

川を決壊して流れを変える計画を練っていた。なお、この図面は現場の指揮官たちに見せるものであったため、地名は鏡文字ではなく正字で書かれています。

またミケランジェロに対して「解剖学と地質学を知らない」と揶揄したかと思えば、人間は鳥類のように自由に空を飛べると信じ、人類史上初めて、鳥の視点で地上を眺める鳥瞰図を描きました。


レオナルド、《ヴァルディキアーナの鳥瞰図》、1502、ウィンザー紙葉12278r、ウィンザー王室図書館。

右上のトラジメーノ湖は現在も残っているそうですが、その左下の鳥の形をした巨大な沼は、干拓されて今はもう存在しないとのこと。

レオナルドの空への欲望はこの時代にあって並外れたものがあったように思えます。



数千ページに及ぶ、それも独特な鏡文字を解読して、わかりやすく一般書に落とし込む研究は時間と労力を要します。

レオナルドの手稿解読をライフワークとしてきた第一人者である斎藤泰弘氏だからこそ書き上げられた一冊といえます。

長年の研究成果をもとに、ついに『誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ』で天才画家の実像を明らかにします。

数学・解剖学・地質学・天文学などに秀でていたレオナルドの具体的な業績を知ることが出来る一冊です。


誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ』 (NHK出版新書)
斎藤 泰弘 (著)

自筆ノートから見えてくる「天才画家」の正体──

芸術家であり、軍事技師であり、幾何学者であり、解剖学者であり、天文学者であった「世紀の偉人」が、本当になりたかったもの─それは「水」の研究者であり、アルキメデスだった! レオナルドの「手稿」(自筆ノート)研究の第一人者が、図像と鏡文字(左右反転させた文字)の読み解きから、天才画家の知られざる素顔を描き出す!



レオナルド、アンブロージオ・デ・プレディス、《岩窟の聖母》、ロンドン・ナショナル・ギャラリー

【目次】
第1章 アルキメデスになりたかった男──天才の壮年期の肖像
第2章 水を操る軍事技師──わが友マキアヴェッリと共に
第3章 芸術とは「優美さ」である──ミケランジェロとの闘い
第4章 人間は鳥になれるか──飛行機械への欲求
第5章 《岩窟の聖母》は、なぜ二点あるのか 1──ロンドン版 「聖母」の戸惑い
第6章 《岩窟の聖母》は、なぜ二点あるのか 2──ルーヴル版 「天使」と「幼児」は誰か
第7章 生命の神秘なる世界──霊魂創造説か、自然発生説か
第8章 宇宙の真理を解き明かせ──太陽は「動かない」
第9章 幾何学こそが科学である──「霊的なもの」の正体
第10章 手稿だけが知っている真実──なぜ科学的成果は消されたか

《告知》

<丸善雄松堂 知と学びのコミュニティ>
青い日記帳×池上英洋!失われたアートの謎を解く
https://peatix.com/event/1311804

2019/09/14 (土)19:00〜市ヶ谷にあるDNPプラザで池上英洋先生を招いてトークイベントを行います。2020年1月5日より開催されるヴィンチ没後500年記念「夢の実現」展についてたっぷり話します。

https://peatix.com/event/1311804

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『チャートで読み解く美術史入門』

玄光社より刊行となった『チャートで読み解く美術史入門』を読んでみました。


チャートで読み解く美術史入門
ナカムラクニオ(著)

美術書は多くのカラー図版を載せることにより、読み手に著者の意図が伝わりやすくなるものです。ところが、いざ作品画像を掲載するとなると「著作権」が絡みたちどころに高い壁に突き当たってしまいます。

一般的に画家や作家が亡くなってから50年が経過すると著作権はなくなり、自由に使えるようになるとされています。

確かに、個人が趣味でやっているこのブログのような媒体であれば問題はありませんが、商用利用するとなると多額の費用が発生することが多々あります。

例えば東京国立博物館所蔵の作品画像を本に掲載しようとすると…
画像貸出利用申込書、貸出利用規約・料金表
驚くの高額設定!!



ラスコーの洞窟壁画や縄文土器から仏像に建築物そして現代アートまで、ありとあらゆるアート作品を網羅している『チャートで読み解く美術史入門』のような本が、望まれながらも今まで存在しなかったのは書き手よりも「著作権」に関わる金銭的な問題が大きかったのです。

それでは、どのようにしてこの本は陽の目をみるに至ったのでしょう。



これがその答えです。著者であるナカムラクニオ氏自身が全て、絵画や仏像、アーティストたちをイラストレーションで描いてしまったのです。

美術館や遺族が管理しているあちら側にあった「著作権」をイラスト化してしまうことで、こちら側のものとして自由自在に使えるようにしてしまったのです。


国宝の解剖図鑑
佐藤晃子(著)

昨年刊行された佐藤晃子氏の国宝本も写真を使うと金額的に大変なことになってしまうのでイラストで表現し売れに売れました。

ことさら著作権に関して厳しいシュルレアリスムの作品もご覧の通り。


チャートで読み解く美術史入門』より。

6次元に伺った際や、美術館でナカムラクニオ氏と会うとここ1,2年かならず小型のスケッチブックを手にし、さらさらと「絵画」や「画家」のイラストを描いていました。

その描いている様子が実に楽しそうだったことがとても印象に残っています。本の仕事として描いているとは誰もそれを見て思わなかったはずです。



楽しみながらイラストを描きそれがいつしか溜まって一冊の本となった。そんな自然な流れの中で生まれた一冊が『チャートで読み解く美術史入門』です。

全ページがイラストレーションで埋め尽くされています。それにナカムラクニオ氏の独自のアートを見る目が加えらているのですから、面白くないはずがありません。



例えば、第二次世界大戦後にアメリカを中心に沸き起こった抽象絵画を「温度と硬度で読み解く抽象絵画」とし、「冷たい抽象」「熱い抽象」「硬い抽象」「柔らかい抽象」と4つの項目を設け分類しています。

ロスコ、ポロック、フォートリエ、モーリス・ルイス、マーク・トビー、マレーヴィチらも、このチャートの中に当てはめられるとそれぞれの立ち位置がはっきりと見えてきます。

こうしたナカムラ流の解釈が至るところで展開されているのです。


循環する美術史

【目次】
第1章 西洋美術
ルネッサンス
 ヨーロッパ全土に及ぶ芸術運動の全貌をチャートで俯瞰
 ルネサンス/ロココ年表
 ルネサンス画家の人生の浮き沈みがわかるライフチャート
印象派
 ルネサンスと印象派の系譜
 近代絵画の成分分析〜著名な画家はどんな画家や美術の影響を受けたのか
 人気画家のライフチャート〜印象派以降の画家の人生の浮き沈みがわかる
近代美術年表
 エコール・ド・パリ、シュルレアリスム、キュビスムなどのアート運動
 抽象絵画やポップアートなど近現代絵画の流れを俯瞰する
彫刻の系統樹
 近代&現代彫刻

第2章 日本美術
縄文土器・土偶・古墳・埴輪
 縄文文化や古代美術を読み解く
浮世絵師

 江戸〜幕末までの浮世絵師の系譜と多様性を見ていく
近代日本画/近代洋画家年表
 明治以降の日本の美術の流れを知る
注目すべき洋画家・版画家
 歴史に埋もれているが、再評価されるべき画家や版画家にスポットを当てる



「ラスコーの壁画はいかにして牛のホルマリン漬けへと進化したのか?」

はじめにの部分でまず衝撃を受けるはずです。

ラスコーの洞窟壁画に描かれた牛から、キリスト教絵画やバルビゾン派に登場する牛へ、そして近代に入るとオキーフの牛。現代美術としてウォーホルのシルクスクリーンとダミアン・ハーストのホルマリン漬け牛へ。

それぞれ、バラバラに解釈したり鑑賞していたものも、こうしてナカムラ氏の手にかかると美術史という大きな川の流れの中に存在する水の一滴として認知出来、繋がりが生まれるのです。

個の時代と叫ばれながらも、退行するかのようにSNS等で繋がりを持とうとする現代人の心をがっしりとつかむ新しい美術の教科書が、この『チャートで読み解く美術史入門』です。

是非、ご一読あれ!


チャートで読み解く美術史入門
ナカムラクニオ(著)
美術ファンの裾野が広がる一方で、「もっと深く美術史を勉強したい」「アートの見方を知りたい」という声もよく聞きます。美術館ではそうしたニーズに応える各種イベントが開催されていますが、近年は美術研究者や専門家以外の美術関係者による「わかりやすい」「ウラ話的」なトークイベントに人気が集まっています。本書の著者ナカムラクニオ氏は、そうしたイベントに多数出演しています。特に来場者にウケが良いのは、画家の人脈や系譜などを、相関図(チャート)を作って解説することです。チャートを用いることで画家同士の師弟関係や交友関係、ライバル関係までが見えてきて、より広く深く理解できて、新たな興味が広がります。

ルネサンス画家のライフチャート

「画家の成分分析」やこの「ライフチャート」などは、これまでの絵の見方、画家の捉え方を一変させるナカムラ氏独自の新たな見解です。


『失われたアートの謎を解く』 (ちくま新書)
青い日記帳(監修)

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『teamLab 永遠の今の中で』

青幻舎より刊行となった『teamLab 永遠の今の中で』を読んでみました。


teamLab 永遠の今の中で
南條 史生 (編集)

昨年、最も多くの来場者数を誇ったアーティストが、チームラボであることは疑いようがありません。それは数字にもはっきりと出ています。

アート集団チームラボの東京の2つのミュージアム「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」(東京・お台場)と「チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com」(東京・豊洲)はそれぞれ一周年を迎えました。


チームラボボーダレス
http://borderless.teamlab.art/jp

チームラボボーダレスとチームラボプラネッツは、開館から1年で、合わせて350万人以上が来館。

チームラボボーダレスにおいては、単独のアーティストのミュージアムとしては、ゴッホ美術館を超える、世界最大規模の年間来館者数およそ230万人を記録。世界160以上の国と地域から来館しました。


チームラボプラネッツ
https://planets.teamlab.art/jp/

チームラボがつくり出す世界は、なぜこんなにもやさしくうつくしいのか。

展覧会や特別展となると、どうしても東京などの大都市のみの開催となってしまいます。しかし、チームラボ作品は他の芸術作品に比べ場所の制約が緩やかなので、基本的にどこでも展示が行える利点があります。

そもそも、展示作品を動画でYouTubeに堂々とアップしているところからして、権利を頑なに守ろうとし見えない敵と戦っている旧態依然とした作家、所蔵館とは一線を画している存在です。


チームラボ 学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物達
https://futurepark.teamlab.art/places/credhiroshima
会期: 2019年7月27日(土)〜9月8日(日)
会場: NTTクレドホール(広島市中区基町6-78 基町クレド・パセーラ11階)


チームラボ かみさまがすまう森の廃墟と遺跡 - THE NATURE OF TIME
https://www.teamlab.art/jp/e/mifuneyamarakuen-ruins/
会期: 2019年7月25日 (木) - 11月4日 (月)
会場: 御船山楽園(佐賀県武雄市武雄町大字武雄4100)

現時点でも日本のみならず世界各地でチームラボの展覧会が開催され続けています。

そんなチームラボの秘密?魅力をテキストで紹介する一冊が『teamLab 永遠の今の中で』です。

2019年4月20日〜6月16日に姫路市立美術館で開催された「チームラボ 世界は暗闇からはじまるが、それでもやさしくうつくしい」に合わせて作られた一冊ですが、展覧会図録ではありません。

チームラボという化け物のようなアート集団を読み解く鍵が識者によって綴られています。



チームラボがつくり出す世界は、なぜこんなにもやさしくうつくしいのか。

建畠晢氏(詩人・美術評論家)のテキストの一部をこちらのコラムで引用しています。是非試し読みとして目を通してみてください。

2019年8月9日からいよいよ金沢21世紀美術館でもチームラボの展覧会が始まりました。大盛況間違いなし!


「チームラボ 永遠の海に浮かぶ無常の花」展
https://www.teamlab.art/jp/e/kanazawa21/
会期: 2019年8月9日(金)〜9月1日(日)
会場: 金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA・B
「チームラボ 永遠の海に浮かぶ無常の花」展でチームラボは、人々が他者と共に作品の一部となり、溶け込んでいくことで、自分と他者との境界を連続的なものに変え、そして私たちと世界との、境界のない新しい関係を模索したいと考えています。

また、このたび公開が決定した、新しく制作中の実験的な作品《光群落》は、数百個の光るもの達が走る作品です。光るもの達は、それぞれ自律しており、まわりの光るもの達の状況に合わせて、走る速度を変えながら、時には、エネルギーを補充しながら走り続けます。


2010年の東京オリンピック・パラリンピックでもきっと活躍の場が用意されているであろうチーム・ラボ。ますます活躍に目が離せません。

しっかりと読み解いておきましょう。


teamLab 永遠の今の中で
南條 史生 (編集)

猪子寿之(チームラボ代表)、南條史生(森美術館館長)、辻 惟雄(美術史学者)、建畠 晢(詩人・美術評論家)、宇野常寛(評論家)、岡田 猛(東京大学大学院 教育学研究科・情報学環 教授)、吉田憲司(文化人類学者・国立民族博物館館長)

デジタルテクノロジーによるユニークな表現世界を展開し国内外を問わず注目を集めるアート集団、チームラボ。姫路市立美術館での会場風景を含む豊富な写真でチームラボの作り出す世界を追体験させると同時に、各分野の有識者に「今、なぜ、チームラボなのか」を問いかけ、チームラボのデジタルアートとその可能性を多角的に紐解く


【チームラボとは】
アートコレクティブ。2001年から活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、デザイン、そして自然界の交差点を模索している、学際的なウルトラテクノロジスト集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。

チームラボは、アートによって、人間と自然、そして自分と世界との新しい関係を模索したいと思っている。デジタルテクノロジーは、物質からアートを解放し、境界を超えることを可能にした。私たちは、自分たちと自然の間に、そして、自分と世界との間に境界はないと考えている。お互いはお互いの中に存在している。全ては、長い長い時の、境界のない生命の連続性の上に危うく奇跡的に存在する。



47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」(2014年)、「ミラノ万博2015」日本館をはじめ、シリコンバレー、台北、ロンドン、パリ、ニューヨーク、中国、シンガポールなど国内外で常設展およびアート展を開催。東京・お台場に《地図のないミュージアム》「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」を常設。2020年秋まで東京・豊洲に《水に入るミュージアム》「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com」、2019年8月24日までTANK Shanghai(中国・上海)にて「teamLab: Universe of Water Particles in the Tank」、2019年11月4日まで九州・武雄温泉の御船山楽園にて「チームラボ かみさまがすまう森 - earth music&ecology」を開催中。

チームラボの作品は、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(オーストラリア・シドニー)、南オーストラリア州立美術館(オーストラリア・アデレード)、サンフランシスコ・アジア美術館(アメリカ・サンフランシスコ)、アジア・ソサエティ(アメリカ・ニューヨーク)、ボルサン・コンテンポラリー・アート・コレクション(トルコ・イスタンブール)、ビクトリア国立美術館(オーストラリア・メルボルン)、アモス・レックス(フィンランド・ヘルシンキ)に永久収蔵されている。



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『古美術手帖』

玄光社より刊行となった『古美術手帖 はじめての骨董』を読んでみました。


古美術手帖 はじめての骨董
ナカムラクニオ(著)

まず初めに2つだけ質問です。イエスorノーで答えて下さい。

1:積極的に古美術の展覧会に足を運びますか。

2:そもそも古美術に興味がありますか。

3:古美術に関する良い本をお持ちですか。


西洋絵画や若冲など日本美術の展覧会へは熱心に行列待ちしても観に行かれる方でも、茶碗や陶磁器の展覧会だと後回しどころか、スルー対象であったりするものです。



6次元のナカムラクニオさんが上梓された『古美術手帖』は、日本美術も多くページを割かれ掲載されています。

そう、この本で扱う「古美術」は古い茶碗や陶磁器だけでなく、絵画や書も含まれているのです。それだけではありません。例えば本阿弥光悦が手掛けた工芸品も紹介されています。



「古」もかなり守備範囲が広く、1995年に亡くなったルーシー・リーや現役で活躍しているリサ・ラーソンもこの本では扱われているのです。

しかも、表紙から本で使われている作品や作家の画像は全て、ナカムラクニオ氏の描き下ろしなのです。各美術館・博物館から画像を借りると、撮られた角度や照度がバラバラで一冊の本にすると統一感が取れません。

高額な画像使用料を申請してくる館も多いので、自分で描いてしまえば色んな意味で都合が良いのです。そして描くという行為はあらためて作品や作家と向き合う時間を著者に与えるものです。



解説が上から目線でなくまるでギャラリートークを聴いているようなリラックスした感覚で読み進められるのはそうした理由も大きく左右していると思われます。

元々人当たりがよく敵を作らないタイプの人なので、古美術に対してもフラットに接しています。

初心者にも分かりやすい古美術の「新しい教科書」が、この『古美術手帖 はじめての骨董』なのです。



バービー人形にブリキのおもちゃ、ビスクドールも載っている古美術の本なんて今までなかったでしょ!

【目次】
第1章 陶磁器
 日本のやきもの/中国のやきもの/韓国のやきもの/アジアのやきもの

第2章 書画
 古美術の世界で人気が高い江戸期〜昭和の画家や書家たち

第3章 彫刻
 仏像/オブジェ作品/置物/デザイナーズチェア

第4章 工芸
 漆器/ガラスの器/コーヒーミル/ヴィンテージ人形と玩具/箪笥/籠・鞄/時計/カメラ/文具

第5章 西洋陶磁
 有名ブランドのヴィンテージ食器

巻末情報
 骨董市情報/古美術人物図鑑




陶磁器、書画、工芸がすっきり分かる図鑑のような素敵な一冊です。コンパクトで軽量なのでカバンにすっぽり入れ毎日持ち歩けます。

電車の中で液晶の画面を見るのを少しだけ止めて、『古美術手帖』をパラパラとめくってみましょう。

カバーもとても素敵です!


古美術手帖 はじめての骨董
ナカムラクニオ(著)

【著者】ナカムラクニオ(6次元店主/ブックディレクター)
https://twitter.com/6jigen
1971年東京都生まれ。荻窪にあるブックカフェ「6次元」店主。フリーランスで美術や旅番組などのディレクターとして番組制作に携わり、これまでに訪れた国は40ヶ国以上。金継ぎ作家としてROKUJIGEN KINTSUGI STUDIOを立ち上げ、全国でワークショップを開催。

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