青い日記帳 

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『古美術手帖』

玄光社より刊行となった『古美術手帖 はじめての骨董』を読んでみました。


古美術手帖 はじめての骨董
ナカムラクニオ(著)

まず初めに2つだけ質問です。イエスorノーで答えて下さい。

1:積極的に古美術の展覧会に足を運びますか。

2:そもそも古美術に興味がありますか。

3:古美術に関する良い本をお持ちですか。


西洋絵画や若冲など日本美術の展覧会へは熱心に行列待ちしても観に行かれる方でも、茶碗や陶磁器の展覧会だと後回しどころか、スルー対象であったりするものです。



6次元のナカムラクニオさんが上梓された『古美術手帖』は、日本美術も多くページを割かれ掲載されています。

そう、この本で扱う「古美術」は古い茶碗や陶磁器だけでなく、絵画や書も含まれているのです。それだけではありません。例えば本阿弥光悦が手掛けた工芸品も紹介されています。



「古」もかなり守備範囲が広く、1995年に亡くなったルーシー・リーや現役で活躍しているリサ・ラーソンもこの本では扱われているのです。

しかも、表紙から本で使われている作品や作家の画像は全て、ナカムラクニオ氏の描き下ろしなのです。各美術館・博物館から画像を借りると、撮られた角度や照度がバラバラで一冊の本にすると統一感が取れません。

高額な画像使用料を申請してくる館も多いので、自分で描いてしまえば色んな意味で都合が良いのです。そして描くという行為はあらためて作品や作家と向き合う時間を著者に与えるものです。



解説が上から目線でなくまるでギャラリートークを聴いているようなリラックスした感覚で読み進められるのはそうした理由も大きく左右していると思われます。

元々人当たりがよく敵を作らないタイプの人なので、古美術に対してもフラットに接しています。

初心者にも分かりやすい古美術の「新しい教科書」が、この『古美術手帖 はじめての骨董』なのです。



バービー人形にブリキのおもちゃ、ビスクドールも載っている古美術の本なんて今までなかったでしょ!

【目次】
第1章 陶磁器
 日本のやきもの/中国のやきもの/韓国のやきもの/アジアのやきもの

第2章 書画
 古美術の世界で人気が高い江戸期〜昭和の画家や書家たち

第3章 彫刻
 仏像/オブジェ作品/置物/デザイナーズチェア

第4章 工芸
 漆器/ガラスの器/コーヒーミル/ヴィンテージ人形と玩具/箪笥/籠・鞄/時計/カメラ/文具

第5章 西洋陶磁
 有名ブランドのヴィンテージ食器

巻末情報
 骨董市情報/古美術人物図鑑




陶磁器、書画、工芸がすっきり分かる図鑑のような素敵な一冊です。コンパクトで軽量なのでカバンにすっぽり入れ毎日持ち歩けます。

電車の中で液晶の画面を見るのを少しだけ止めて、『古美術手帖』をパラパラとめくってみましょう。

カバーもとても素敵です!


古美術手帖 はじめての骨董
ナカムラクニオ(著)

【著者】ナカムラクニオ(6次元店主/ブックディレクター)
https://twitter.com/6jigen
1971年東京都生まれ。荻窪にあるブックカフェ「6次元」店主。フリーランスで美術や旅番組などのディレクターとして番組制作に携わり、これまでに訪れた国は40ヶ国以上。金継ぎ作家としてROKUJIGEN KINTSUGI STUDIOを立ち上げ、全国でワークショップを開催。

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国立美術館 初の公式ガイドブック

東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館の名作を紹介するガイドブック「国立美術館ガイド(シリーズ1〜4)」が発売になりました。



各美術館のコレクション作品から各70点程を厳選し、解説付きで紹介する国立美術館初の公式ガイドブックです。

重くて分厚い展覧会図録と違い、とてもコンパクト(W139×H220mm)で片手でもご覧の通り。



東京国立近代美術館・京都国立近代美術館・国立西洋美術館・国立国際美術館 各館ミュージアムショップ、または全国書店にて販売中です。


国立西洋美術館:ルカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディト》

国立西洋美術館の名作: 国立美術館初の公式ガイドブック (国立美術館ガイド)
岡崎 素子 (著)

東京国立近代美術館:横山大観《或る日の太平洋》

東京国立近代美術館の名作: 国立美術館初の公式ガイドブック (国立美術館ガイド)
岡崎 素子 (著)

国立国際美術館:ワシリー・カンディンスキー《絵の中の絵》

国立国際美術館の名作: 国立美術館初の公式ガイドブック (国立美術館ガイド)
岡崎 素子 (著)

京都国立近代美術館:上村松園《舞仕度》

京都国立近代美術館の名作: 国立美術館初の公式ガイドブック (国立美術館ガイド)
岡崎 素子 (著)
―京都。美人画。といえば、「松園の前に松園なく、松園の後に松園なし」。
髪を高島田に結い、上品な振袖を着た若い娘が、舞いの準備をしています。
肘を脇の下につけたまま、扇子を帯にさしこむしぐさの奥ゆかしさ。
鼓を舌で湿らす女性や、口元に袖をあて、ひそひそ話に興じる女性たちの細やかな描写。
洗練された着こなし、艶やかさは、松園ならではのもの。
娘の、恥じらうようなうつむき加減の表情から、初々しい緊張感が伝わってくるようです。―
(表紙・本文P.25 上村松園《舞仕度》全文)

初版限定・セット特典

各館ミュージアムショップで4冊セットを購入の場合は、表紙になった下記各作品の図柄の特製ボックスに入れてもらえるそうです。

全文日英バイリンガル仕様。独立行政法人国立美術館さん地味に頑張ってますね〜
http://www.artmuseums.go.jp/

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『Casa BRUTUS』×平手友梨奈(欅坂46)

『Casa BRUTUS』8月号の特集は、「アートを巡る夏の旅。」。欅坂46 平手友梨奈さんが表紙と全24ページにわたり登場します。


Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2019年 8月号 [アートを巡る夏の旅。]

YouTubeでの再生回数が1.2憶回を突破した今でもランキング上位に位置する欅坂46の絶対的センター(エース)平手友梨奈さんと共に、「瀬戸内国際芸術祭」の見どころを紹介する一冊。

アートファンにもアイドルファンにも一粒で二度美味しい『Casa BRUTUS』8月号。マガジンハウスさんやってくれます。


欅坂46 『サイレントマジョリティー』

瀬戸内の島々を舞台に行われる日本最大規模の芸術祭「瀬戸内国際芸術祭」の開催年。特に盛り上がりを見せる夏会期(7月19日〜8月25日)に合わせて、この夏に旅したい日本のアートスポットを紹介する内容。

アート作品だけでも良いですが、2010年の初開催以来今回で4回名となる「瀬戸内国際芸術祭」。平手さんを大々的に採用することでやや見慣れた感のある作品もまた違った輝きが出てきます。



平手友梨奈さんが旅した瀬戸内の島々は、直島、豊島、小豆島、女木島の4島。まずは四国汽船のフェリー「なおしま」で、今や現代アートの聖地とも言える直島に上陸。

表紙となった草間彌生の「赤かぼちゃ」や、クロード・モネの「睡蓮」の世界を立体的に感じられる〈地中の庭〉、直島の旧家を改装したパヴィリオン The Naoshima Plan 2019「水」など、全12のアートスポットを巡ります。



ART TRIP
アートを巡る夏の旅。

【SETOUCHI TRIENNALE】
瀬戸内国際芸術祭を巡る旅と、欅坂46・平手友梨奈。
直島 アートの聖地となった島へ。
犬島 個性豊かな「家」が点在。
豊島 海と棚田とアートと出会う島。
高松 瀬戸内の旅の拠点。
小豆島 長い伝統から生まれた物語。
女木島 生活に密着したアートを楽しむ。

【3DAYS TRIP】
瀬戸内国際芸術祭2泊3日コース【初級編】【中級編】【上級編】

【TAKAMATSU GOURMET】
島巡りの拠点・高松で朝食と夕食を味わう。


地方の芸術祭に行く前に!必須の持ち物9選と服装アドバイス

【VISIT THE ARTISTS` WORK】
アーティストを巡る旅
1. KAWSのプロジェクト、巨大COMPANIONが上陸。
2. 奈良美智の好きなものが詰まった展示スペースへ。
3. 名和晃平|SANDWICHがディレクション、京都のスターバックス コーヒー。
4. クリスチャン・ボルタンスキーの世界に浸る闇の中の展覧会へ。
5. 私の好きな猪熊弦一郎。

【RAIL TRIP】
アート&デザインを感じる列車で旅に出よう!
現美新幹線/LAVIEW/RAIL TRIP LIST

【THE BEST ART SPOTS 50】
写真に撮りたくなる、BESTアートスポット50

【ART FESTIVAL】
街で、海で開かれる個性的な芸術祭へ。

ホンマタカシ TOKYO NEW SCAPES
祐真朋樹 Miracle Closet
櫻井翔 ケンチクを学ぶ旅。
古今東西 かしゆか商店
長山智美 デザイン狩人
小寺慶子 レストラン予報
ほしよりこ カーサの猫村さん
ソニア パーク 守りたいもの、伝えたいもの。
Chill Cars 時代を超えて愛される、デザインの良い車。


【平手友梨奈さんコメント】
美術館はもともと好きなんです。みんな作品に集中して人と人が干渉し合わない場所だから。
ただ、瀬戸内のアートのようなものに触れるのは初めてだったので、何もかもが新鮮でした。
フェリーで島々を渡っていくのはアトラクションみたいな感じだったし(笑)。
今回、巡った中では〈地中美術館〉にある〈地中の庭〉が一番好きだったかもしれない。
直島の「水」という作品も風が気持ちよくて居心地が良かったです。
何よりたくさんのアート作品に触れられたのは嬉しかったです。
今回の旅を通してインスピレーションがまたいろいろ湧いてきたらいいなぁと思いました。



Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2019年 8月号 [アートを巡る夏の旅。]

欅坂46の不動のセンターとして唯一無二の存在感を放つ平手友梨奈さんと瀬戸内のアートの共演という、これまでにない唯一無二のフォトセッション、ぜひ本誌でご覧くださいませ。


【Amazon.co.jp限定】欅共和国2018 (初回生産限定盤) (A5クリアファイル(Amazon.co.jp絵柄)付) [Blu-ray]

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『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」』

星雲社より刊行となった『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」』を読んでみました。


アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」
盒極郎 (著)

京橋にある翠波画廊のオーナーによる2冊目のテーマは、今大流行中の「ビジネスとアート」に関する本です。
https://www.suiha.co.jp/

あの東京国立近代美術館でさえも、ビジネス×アートを前面に打ち出し、有料でトークイベントを開催する時代です。

「アートに正解はない」。東京国立近代美術館がビジネスパーソン向けの対話鑑賞プログラムを行う理由



類書が既に何冊も出ていますが、高橋氏の前著『「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画』がとても読みやすく楽しめたので『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」』も手に取ってみました。

《参考》
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4708



居丈高でなく、一般の鑑賞者やアート初心者の目線に寄りそうような盒胸瓩諒絃呂蓮△海亮蠅遼椶涼罎任郎任眇討靴澆笋垢、ちょっとした時間の合間に気軽に読めます。

勤め人から画廊の店主へ独立して約30年の間に経験してきた「売り手」の視点から基本的に書かれていますが、時としてその逆もあったりします。

タイトルにもあるように、「遊び力」「物語力」「俯瞰力」「観察力」「共感力」「類推力」6つのキーワードを軸に展開されています。

《目次》
第1章 アートとは何か
【コラム1】画家のキャリアは何歳がピークなのか?
第2章 遊び力「アートの自由さが、ビジネスに革命をもたらす」
【コラム2】どのような絵画の値が上がるのか
第3章 物語力「ストーリーが、お客様の心を動かす」
【コラム3】画家の人生は映画の題材にうってつけか?
第4章 俯瞰力「全体を俯瞰する力が、ビジネスに新しい局面を開く」
【コラム4】画家が死んでも残るもの
第5章 観察力「微に入り細を穿つ観察力が、ビジネスを強固にする」
【コラム5】草間彌生はいつから人気作家になったのか
第6章 共感力「アートの共感力が、お客様との信頼関係をつくる」
【コラム6】我が子のように愛したコレクション
第7章 類推力「異なるものを関連付ける類推力が、ビジネスアイデアを生む」
【コラム7】なぜ名画の価格はこんなに高いのか?
第8章 美に対する憧憬「アートの美が、お客様をひきつける」
【コラム8】アートマーケットが大きくならない日本
第9章 美術教養「アートは知れば知るほど面白くなる」



パンは誰が食べても、味覚の差が多少あってもパンですが、絵画の場合は、人によっては何百万払っても惜しくないものであっても、他の人にはほとんど興味が湧かないものだったりするのです。

休日になると何も他の選択肢は考えずにまず美術館へ向かう自分のような展覧会ジャンキーには、こうした当り前のことが意外と心に刺さるものです。

「当り前」をまず疑ってみる気持ちはアート作品と向かい合う際に忘れてはいけない大事な姿勢です。ビジネスでも自動車の運転でも「慣れ」からミスは起きるものですからね。



InstagramやTwitterなどSNSが展覧会の入場者数や作品の認知度をある意味、革命的に変化させる事象は皆さんも幾度となく目にしてきたはずです。

チーム・ラボ作品などその最たる例で、テキストであれこれと制作意図や込められた思いを語るよりも、SNSで拡散された写真が大きく知名度アップに寄与していることは、今更語ることもありません。

しかし、盒胸瓩郎から20年前にその前兆を体験していたのです。オランダの画家、ハンス・イヌメ(HANS INNEMEE)の絵を通して。


ハンス・イヌメ「意識と接触・・・・
https://www.suiha.co.jp/より。

パリの画廊で初めてこの作家の作品を目にした時、会期中にも関わらず全て売約済みの赤いシールが貼られていたそうです。

そこそこ知られていたとは言え、完売は異例です。そこにはある女性が絡んでいました。

個展の準備中にたまたま画廊の前を通りかかった女性がイヌメの作品に一目惚れし、その場で11点も購入してくれたそうです。

その女性こそ、スーパーモデルのクラウディア・シファー!しかもその日のテレビの番組で「とても良い出会いがあったの!」と彼の作品を紹介したのです。



この逸話は、インフルエンサーの元祖を紹介のために書かれているのではありません。作品には物語(ストーリー)が必要だと訴える文脈上で出てきます。

こうした、長年の経験談がベースとなっているので、『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」』は冒頭で述べたように、とっつきやすく親しみやすいのです。

読んで仕事にすぐに役立つとか、鑑賞力がメキメキ上達するなんてことは、何をしてもあり得ません。仕事も勉強も絵画鑑賞もそして人間関係も、日々のコツコツとした努力の上に成り立つものです。



この写真を見て「あっ!」と、とある画家の名前が出てくる人とそうでない人がいるように。

知識ではなく、絵画鑑賞や日々の生活でのヒントを記してくれている一冊なので、学生さんや主婦の方にもおススメできます。

盒胸瓩箸呂会いしたことありませんが、是非トークイベントでもご一緒できたなら〜とぼんやり考えながら読み進めました。


アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」
盒極郎 (著)

「遊び力」「物語力」「俯瞰力」「観察力」「共感力」「類推力」。 未来のビジネスに必要な6つの「アート力」とは何か。 バブル崩壊後に独立し、様々な苦難を乗り越えた画廊経営歴30年の著者だからこそ語れる、 ビジネスのヒントになるアートの魅力! 本書は9章構成になっていますが、本編とは別に「うんちく」ともなるコラムが併録。 いろいろなアートの切り口から、ビジネスへのヒントが得られます。


「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画
盒極郎 (著)

レビュー
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『原田マハの印象派物語』

新潮社(とんぼの本)から刊行となった『原田マハの印象派物語』を読んでみました。


原田マハの印象派物語
原田 マハ (著)

いまさら印象派?」著者自身のこの言葉から始まる『原田マハの印象派物語』は、星の数ほどある印象派の関連の書籍とは一線を画する内容となっています。

それは、目次を見ただけでは分かりません。

Episode-1 Claude Monet モネの物語
Episode-2 Berthe Morisot et Edouard Manet ベルト・モリゾとマネの物語
Episode-3 Mary Cassatt et Edgar Degas メアリー・カサットとドガの物語
Episode-4 Pierre-Auguste Renoir ルノワールの物語
Episode-5 Gustave Caillebotte カイユボットの物語
Episode-6 Paul Cezanne セザンヌの物語
Episode-7 Vincent van Gogh ゴッホの物語




ところが、数行読むだけで明らかに違いが分かるのです。これまで読んできた印象派の本とは別物だと。

書名や目次にあるようにこれは「物語」です。それぞれの画家の。

だから、小難しい作品解説などはありません。その代わりに極上の「物語」が用意されているのです。原田マハさんが仕立ててくれた。


ポール・セザンヌ「セザンヌ夫人の肖像」1885〜86年
フィラデルフィア美術館

例えば、「Episode-6 Paul Cezanne セザンヌの物語 無言のふたり 絵描きとその妻 愛すべき不美人画」の語りべはセザンヌ自身ではなく、彼の奥さんオルタンス・セザンヌです。

本文より一部引用してみます。
まったくもう―と声には出さずに心の中で文句を言うのはもはや彼女の人生の癖になっていたーあの人ったら。明日はちょっとアトリエまで来てくれ、ずっと昔に買ったあの縦縞のドレスを着て……って、きのう急に電報をよこすんだもの。
このように、ある時は家族、ある時は画家自身と7人の超有名な印象派の画家たちを紹介する手段としてオリジナルの「物語」を綴っているのです。

妄想癖のあるブロガーが書いたものであれば一笑に付されて終わりですが、原田マハさんが織りなした物語となれば話は別です。



フランス、ジヴェルニーに今も残るモネのアトリエや彼が作った庭園を実際に訪れるなど、現地取材やこれまでに蓄積した数多の資料に基づいて書かれた6人の画家の物語。

それらはまるで、タイムトラベルをして彼らの番記者のように張り付いて子細に取材してきたかのようです。

クロード・モネが描いた家に泊まってみませんか


ノルマンディー紀行:クールベ、モネが描いたエトルタ

「愚かものたちのセブン・ストーリーズ」「美しき愚かものたち」と著者自身も記しているように、6人の画家の物語はどれも人間味豊かで、時に自分や誰かと重ね合わせながら流れるように読み進められます。

かつて、歴史小説の雄であった司馬遼太郎さんの作品を読んだ時のように、目の前に小説の登場人物たちがふっとホログラムの如く浮かんでくる感覚を『原田マハの印象派物語』でも味わえます。

勿論、「物語」に合わせて印象派作品もカラー図版で掲載されています。見慣れた作品も原田マハさんの紡ぎ出した「物語」を読むことで新たな発見に出会えるはずです。

とても素敵な一冊に巡り合えました。


原田マハの印象派物語
原田 マハ (著)

光満ちあふれ、幸福な色をたたえる名画誕生の陰には、画家たちの壮絶な闘いのドラマがあった。貧しくても、どん底に落ちても、志高く新しい道を切り拓いていったそのあしあとをたどって、アート小説の名手が紡ぐ、7つの物語。モネの愛したノルマンディーへの旅も。

お次は、松方幸次郎の物語『美しき愚かものたちのタブロー』をば。


国立西洋美術館開館60周年記念
「松方コレクション展」


会期:2019年6月11日(火)〜2019年9月23日(月・祝)
開館時間:9:30〜17:30
毎週金・土曜日:9:30〜21:00
※入館は閉館の30分前まで


美しき愚かものたちのタブロー
原田 マハ (著)
文藝春秋

日本に美術館を創りたい。
ただ、その夢ひとつのために生涯を懸けた不世出の実業家・松方幸次郎。
戦時下のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り・日置三郎。
そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。
奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。
原田マハにしか書けない日本と西洋アートの巡りあいの物語!


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