弐代目・青い日記帳 

  
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『猫思考』
ホーム社(集英社グループ)より刊行となった『猫思考 自由に生きるためにやらニャいことAtoZ』を読んでみました。


猫思考 自由に生きるためにやらニャいことAtoZ
ナカムラ クニオ (著)

荻窪のブックカフェ「6次元」店主であるナカムラクニオ氏による新刊。パラレルキャリア、村上春樹、金継ぎetc…とこれまでも多彩な本を世に送り出してきました。

次はどんな本を出すのだろうな〜とあれこれ探りを入れていましたが、まさかまさか猫本で来るとは予想できませんでした。

人類は祖先を辿っていくと「猫派」と「犬派」のいずれかに行きつくとある文化人類学者が確か言っていたような記憶があります。(冗談ですよ!)



猫思考』を単なる猫本だと思ったら大間違いです。そこはナカムラクニオ氏が書かれたのですから、猫の写真集で済むわけがありません。

猫が何故多くの人に愛されるのか。しかも「好きになって〜」と媚びを人間に売るわけでもなく、逆に勝手気ままに生きているだけなのに、どうして猫のことが人はこんなに気になってしまうのでしょう。



美しい毛並みを輝かせて優雅に暮らす生活。
宇宙のように深く果てのない瞳の奥にある美しい理想。

何かを深く考えていそうで、実は何も考えていない……
かもしれない猫の行動や思考を、徹底解剖してみました。


それだけではありません。『猫思考』の核心部分は我々人間に向けられています。

つまり、猫の行動、思考を通して慌ただしく何かに追われるように過ごしている我々の生活を、見つめ直してみませんかという大きなテーマで貫かれているのです。



例えば、自分は仕事柄、3本の針を持つ時計を毎日腕に巻いています。一日を24時間で割るのでは飽き足らず、分刻み更には秒刻みでの実に忙しない生活を送っています。

人間、慣れというものはとても怖いもので、一日を86400秒というアホみたいに細分化して過ごすことに疑問を感じなくなってしまっていたのです。『猫思考』を読むまでは。

ライフスタイルを見直そう!と背伸びしても成果はさほど期待できるものではありません。逆に長続きせずに哀しい気持ちになるだけです。

そうではなく、肩の力を思い切り抜いて『猫思考』で自分の生活を見直せるような構成になっています。

実際に本の中に書き込めるのはとても新鮮で画期的だと思います。



さぁ、爪とぎを終えたら書店へ出かけ『猫思考』を手に取ってみましょう。

やる気の失せる梅雨時をこれから迎えます。手元に一冊この本があれば、これまでとは違った季節をおくれるはずです。


猫思考 自由に生きるためにやらニャいことAtoZ
ナカムラ クニオ (著)

「猫思考」とは、「自由気まま」を象徴する猫に学ぶ「引き算的行動」実践のための哲学のこと。
その極意を、A~Zのキーワード別にわかりやすく並べました。
撮り下ろしのかわいい猫写真(カラー)と、偉人たちのエピソードや猫の歴史など、具体的な豆知識もたっぷり。
さらに後半には「猫思考を実践したら、人生どうなる?」を小説形式で収録。

かわいい猫写真をながめて、癒されるもよし。
「やらないことリスト」に書き込みをして、ノートのように使うもよし。
トイレに置いて、1項目ずつ読むもよし。
大切な人のイニシャルのページにふせんをつけて、プレゼントするもよし。


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『河鍋暁斎・暁翠伝』
KADOKAWAより刊行となった『河鍋暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─』を読んでみました。


河鍋暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─
河鍋 楠美 (著)

著者の河鍋楠美氏は、(財)河鍋暁斎記念美術館理事長・館長だけでなく、蕨眼科院長・東京大学医学部医学博士という顔も持っていらっしゃる方です。

そして何よりも、あの河鍋暁斎の曾孫にあたります。

暁斎の娘である暁翠の孫で絵筆をとる祖母の姿を今でも覚えていらっしゃるそうです。


http://www.fujibi.or.jp/

6月24日まで八王子の東京富士美術館で開催中の河鍋家伝来・河鍋暁斎記念美術館所蔵「暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─」展を開くにあたり獅子奮迅の活躍をなされました。

「暁斎・暁翠伝」展レビュー

今回紹介する『河鍋暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─』はタイトルが示すように、展覧会に合わせて出版された一冊です。

ミュージアムショップでも「図録」として販売されています。

ただ、図録というと一般的にかなりの大きさで作品画像が主で、解説はあくまでもおまけ的なものが少なくありません。(全てではないですよ)



【目次】
はじめに
河鍋家の思い出
国際人 暁斎
第1章 幕末・明治の奇才 暁斎
第2章 河鍋暁翡の名品
第3章 暁斎のデザイン
    暁翡の美術教育


展覧会をご覧になられた方、これから観に行かれる予定の方、ちょっと期間中は無理かな〜という方、いずれの方にもこの本はおススメできます。この点が単なる図録を一般書籍として販売もしているパターンとは大きく違います。

とにかく、テキストが読ませます。約40年以上に渡り、暁斎の地位向上のために東奔西走獅子奮迅の活躍をされてきた河鍋楠美氏の情熱が伝わってきます。

暁斎が活躍していた当時は、高い評価を受け誰しもがしる絵師だったにも関わらず、戦後はすっかりとその名が忘れられてしまい、作品は海外へ…

海外での評価は明治期より一貫して高いものがあったそうで、それを裏付けるのが大英博物館で初めて「河鍋暁斎展」が開催され、胃がんでこの世を去った際には「ル・フィガロ」の第一面にその訃報が載ったそうです。



解説文は全て日本語と英語のバイリンガル表記です。

1977年11月3日、自宅を改装して、河鍋家に伝わる画稿・下絵類を中心に暁斎とその一門の作品を収蔵・展示する河鍋暁斎記念美術館を開館した河鍋楠美氏。

1986年には、財団法人の認可を受け現在に至ります。40年もの長きに渡り曾祖父の地位と名誉挽回にひた走った著者の想いがぎっしりと詰まっています。

単行本サイズなのでコンパクトで場所を取らないのも嬉しく、常に手元に置いておきたい一冊です。お読みになると暁斎の多岐多様多種にわたる活躍ぶりが手に取るようにわかります。

デザインの面でも依頼が舞い込んできていたとは驚きです。そして意匠がこれまた素晴らしい!何をやらせても天才っているものですね。


河鍋暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─
河鍋 楠美 (著)

東京富士美術館の「暁斎・暁翠伝展」は6月24日までです。


河鍋家伝来・河鍋暁斎記念美術館所蔵
「暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─」


開催期間:2018年4月1日 (日)〜6月24日 (日)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館。翌日火曜日が振替休館)ただし、4月2日(月)は開館。
開館時間:10:00〜17:00(16:30受付終了)
会場:東京富士美術館:本館・企画展示室1〜4
http://www.fujibi.or.jp/
主催:東京富士美術館、河鍋暁斎記念美術館、トランズパシフィックエンタープライズ
後援:八王子市、八王子市教育委員会、八王子商工会議所
監修:河鍋楠美(河鍋暁斎記念美術館 館長)

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『わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ』
筑摩書房より刊行となった『わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ』を読んでみました。


わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ─デザインとフィーカと街歩き
おさだゆかり(著)

今日発売になったばかりの出来立てのほやほやな一冊。単行本サイズのソフトカバー約160頁からなるこの本、カバンに忍ばせておくのに調度良いサイズと軽さです。

車内でiPhoneの画面ばかりを見ているのに飽きたのと、ちょっとだけ現実逃避したい連休も終わった5月という時期に読むのに、うってつけな一冊です。

スウェーデンの首都ストックホルムと、フィンランドの首都ヘルシンキをこれまでに無かった視点で紹介しています。

北欧というと、まるでおとぎ話の世界がそのまま現在でも残っているようなイメージを抱いてしまいがちですが、wikiでそれぞれの街を調べると下記の写真のように近代化された立派な都市だと分かってしまいます。

 
ストックホルムとヘルシンキ

また、2018年度大学入試センター試験の出題に「ムーミン」、「小さなバイキングビッケ」や「ニルスのふしぎな旅」と北欧の国々を舞台としたアニメや物語が出題され、回答が果たして正しいのかといった騒動が巻き起こったのも記憶にまだ新しいところです。

EUの一員であり、近代的な国家であるにも関わらず、未だどこかファンタジックな印象を持ってしまう不思議な地域が北欧です。


フィンランドで誕生した「Marimekko(マリメッコ)」は、日本で最も知られた北欧デザインのひとつでしょう。展覧会が開催されたり、UNIQLOとコラボしたりと北欧を身近に感じることに一役買っています。

さて、前置きが随分と長くなってしまいましたが、こうして列挙したものだけで北欧は当然ながら出来ません。北斎の浮世絵を観て日本を理解できなのと同様に。


スーパーマーケットはグッドデザインの宝庫

現在、これだけネットで様々な情報が手に入れられる時代ですが、海外の国々の人々のリアルな暮らしぶりを知ることは意外と困難を極めます。

発信していたとしても言葉の壁が立ちはだかり、思うように「前」に進めないものです。

わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ─デザインとフィーカと街歩き』では、そんな得難い現地の生の生活の様子が、美麗な写真と軽快なテキストで紹介されています。勿論日本語で!


スーパーの買い物袋

著者のおさだゆかり氏は、現地で暮らしているわけではありません。年に3度ほど商品の買い付けへ北欧へ出向き、これまでの渡航回数は40回を超えるそうです。

北欧雑貨好きであれば、おさだゆかり氏の名前はどこかで必ず目にしたことがあるはずです。

おさだゆかりさんが行く、北欧の旅。 – 北欧、暮らしの道具店
手に取らずにはいられない北欧雑貨の魅力

そんな、おさだゆかり氏が撮りためた写真の中からデザインセンスを感じられるもの、街の風景、そしてフィーカの3点に的を絞り基本見開き一頁で完結するように綴られています。


スタイリッシュなインテリアにこだわったレストラン

ところで、3点のうち「フィーカ」とあまり聞きなれない言葉が入っています。「FIKA」とはコーヒーブレイクつまりお茶の時間を意味するスウェーデン語だそうです。

美味しいお菓子と共に休憩時間を楽しむことは、スウェーデンの文化だそうで、一般的に午前中に1回、ランチをはさみ午後に2回、およそ2時間ごとにフィーカするとのこと。


ダークローストのコーヒーとシナモンロール

何度も足繁く北欧に通っている著者だからこそ、こうした現地の人々の生の文化を紹介することが出来るのです。

お洒落でどこか不思議な魅力のある北欧だけでなく、美しくて大人な北欧の街のことがぎっしりと詰まっています。こうした内容の類書はないはずです。


トラムの車内でもフィーカ

「かわいい」だけが北欧の専売特許ではないばかりか、それはあくまでも外向けの「顔」であり、実際の人々の生活を知るには『わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ』に当たるしかありません。

ひとつだけ、困ることは読み進めて行くと実際に北欧に行きたくなってしまうことです。5月2週目の現実逃避的に。

しかし、お洒落な暮らしぶりだけでなく極寒の地の生活での厳しさなども伝えることを忘れていません。北欧に魅せられ心の底から愛している著者だからこその視点が満載です。

完結に一言で表すなら「バランスのよい一冊」となります。

これの意味するところは、実際に手に取ってもらうと、たちどころに理解してもらえるはずです。


わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ─デザインとフィーカと街歩き
おさだゆかり(著)

カルダモンが香る焼菓子、眺めのよいレストラン、美しい雑貨、森の中のホテル……選び抜いた情報と美しい写真で最高の街歩きを紹介する至福のガイドブック。

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『かくれキリシタン』
新潮社とんぼの本より刊行となった『かくれキリシタン: 長崎・五島・平戸・天草をめぐる旅』を読んでみました。


かくれキリシタン: 長崎・五島・平戸・天草をめぐる旅
後藤 真樹 (著)

どうやら、現在では「かくれキリシタン(隠れキリシタン)」とい表現を積極的に用いないらしく、代わりに「潜伏キリシタン」とニュースなどでは称しています。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が、世界文化遺産に登録へ

Wikiで「隠れキリシタン」の項目にはそれぞれ区別があるとされています。
隠れキリシタン(かくれキリシタン)は、日本の江戸時代に江戸幕府が禁教令を布告してキリスト教を弾圧した後も、密かに信仰を続けた信者である。以下の2つに分けられるが、一般に両者を区別せずに呼ぶ。

1:強制改宗により仏教を信仰していると見せかけ、キリスト教(カトリック)を偽装棄教した信者。
2:1873年(明治6年)に禁教令が解かれ潜伏する必要がなくなっても、江戸時代の秘教形態を守り、カトリック教会に戻らない信者。

敢えて両者を区別する場合、1は「潜伏キリシタン」、2は「カクレキリシタン」(すべてカタカナで表記)と呼ぶ。
そもそも「隠れキリシタン」と聞くと日本史で習った天草四郎などが頭に浮かび、完全に過去の人々との印象を抱きます。

ところが、五島列島などには現在でもなお、かくれキリシタンとして信仰を続けている人たちがいるのです。

かくれキリシタン: 長崎・五島・平戸・天草をめぐる旅』を数ページ読み進めた段階で、Wikiにある定義などどうでもよくなってきます。

この本には。かくれキリシタンをご先祖に持ち、今なおかくれキリシタンとして生活されている方々に筆者が実際にインタビューしたことが詳らかに記されています。

現在は別の宗教を信仰している元かくれキリシタンの方や、潜伏していたキリシタンたちを守ったお寺の住職へも取材を行っており、かくれキリシタンのことを多面的に捉えるられる名著です。



【目次】
プロローグ
1:外海 “陸の孤島”に受け継がれた信仰
キリシタンを支えた伝説の伝道師
キリシタンの聖地、枯松神社
巡礼地としてよみがえった史跡
2:五島列島 海風吹きぬける島々に宿る篤い信仰
先祖の信仰を受け継ぐ人々
五島のかくれキリシタン
人がいなくなった島と教会
3:平戸 歴史を刻むキリシタンの聖地
伝説に満ちる里、根獅子
布教当時の信仰を今に伝える島、生月
春日の集落と、聖なる山安満岳
4:天草 殉教の島に息づく信仰の証
大江・崎津に受け継がれたもの
5:祈りの場、教会堂へ

キリスト教の広まりと弾圧の歴史
布教の背景
二十六聖人の殉教
島原・天草一揆
弾圧と「崩れ」
各地に残るキリシタン墓地

column きりしたん・伝承
潜伏キリシタンを守った天福寺
かくれキリシタンの帳方を継いで
かくれキリシタンの信仰の形
今富の正月飾り
信徒発見

長崎・五島・平戸・天草
教会マップ
エピローグ



タイミングよく世界文化遺産登録のニュースが飛び込んできました。

当初は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」で申請したものの、イコモスからの勧告で「潜伏キリシタン関連遺産」へ焦点を絞り、晴れて世界文化遺産登録の道が大きく開かれました。

世界文化遺産に登録され、この本に登場する人々がこれまで通りの生活が果たして出来るのか…老婆心ながら危懼せざるを得ません。



現地へ足を運んでみたいと思う気持ちは抑えた方がよさそうです。長崎、熊本の12の資産で構成された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を知るには、『かくれキリシタン』を読めば十分です。

「今年登録予定の世界文化遺産をめぐるガイドとしても必携の書。」とAmazonにありましたが…

むやみやたらと彼らに「光」をあてるものではありません。

それより昔読んだ、遠藤周作の『沈黙』や『切支丹の里』を読み返す良いチャンスです。



それにしても著者、後藤真樹氏のフィールドワーク、インタビュー、撮影いずれも素晴らしいの一言に尽きます。

彼をここまで駆り立てたものとは一体何なのかと知りたくなるほど、徹底的に取材し、冷静にテキスト化しています。

「絵踏みの時は新しいわらじに履き替えて行きよったそうです。そして帰ってきたら、そのわらじを煎じて飲んだといいます」

おとなしく絵踏みをして難を逃れ、踏んだわらじを煎じて飲むなど、役人の一枚上手をいくようだ。
神道、仏教と上手く「共存」してきた様子など、教科書では教えてくれない様々な「隠れキリシタン」の信仰の形も紹介されています。

世界文化遺産登録に浮かれていないで、しっかりとこの本を読みましょう。世界でも極稀な信仰の形や想いがぎっしりと詰まっています。


かくれキリシタン: 長崎・五島・平戸・天草をめぐる旅
後藤 真樹 (著)

この比類なき、奇跡のような信仰のかたち。受難の歴史をのりこえて400年、密かに脈々と信仰を伝えてきた「かくれキリシタン」。美しくも厳しき自然の中で、暮らしに根づいた独自の祈りのかたちを守り育んできた人々を訪ね、貴重な証言とともに、その聖地や史跡を丹念にたどる。各地に残る小さな聖堂も数多紹介。今年登録予定の世界文化遺産をめぐるガイドとしても必携の書。

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| 読書 | 21:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
『美術館へ行こう: ときどきおやつ』
新潮社より刊行となった『美術館へ行こう: ときどきおやつ』を読んでみました。


美術館へ行こう: ときどきおやつ
伊藤まさこ(著)

美術館を紹介する本がここ数年何冊も出ています。以前ご紹介した『フランス人がときめいた日本の美術館』や『小さな美術館をめぐる旅』そして『カフェのある美術館 素敵な時間をたのしむ』などなど。

まさに美術館本戦国時代の真っただ中に、黄色地に黒のテキストだけのシンプルな表紙を引っ提げて新たに分け入って来たのが『美術館へ行こう: ときどきおやつ』です。

北は北海道から南は沖縄まで日本全国に一体どれだけの美術館があるのでしょう。それを満遍なく紹介するのではちっとも面白味がありません。

これまで出された本も、著者がどの美術館をセレクトしているのかも大事な魅力のひとつでした。今回紹介するこちらの本には24の美術館が掲載されています。

いずれも小さな美術館ばかりで、全部合わせてもトーハクに及ばないこじんまりした美術館ばかりです。



中には「あとりえ・う」や「かごしま近代文学館」なども混じっています。スタイリストでもある著者の伊藤まさこ氏の嗜好がとてもよく現れているセレクションです。

東京都心だとビルの一角を間借りするように美術館があったり、来館者に威圧感を与えるような巨大な建造物であったりしますが、『美術館へ行こう: ときどきおやつ』で紹介されている24館はその真逆。

美術館が建つ周辺と一体化しているような佇まいのものばかりです。邸宅やアトリエだった場所を美術館として公開しているそんなところが著者の琴線を震わすのでしょう。


朝倉彫塑館
http://www.taitocity.net/zaidan/asakura/


碌山美術館
http://www.rokuzan.jp/

こうした個性的で大勢の人が大挙してやって来るのを拒むかのような小さな美術館を、ガイドブックのように紹介しているのではありません。

どちらかと言うと、美術館を題材に軽快なエッセイをしたためているようです。

だから、形式ばった見どころを紹介したり、所蔵作品を解説したりすることが主ではなく、あくまでもその美術館自体が持つの魅力を伝えようとしています。

これは簡単なようでとても難しいと思います。「好き」と言ってしまえばそれだけで、では具体的にどこがどのように「好き」なのかをテキスト化するのは困難を極めるものです。

あなたの好きな人の魅力を他者に伝えるのが至難を極めるように。



それをさらりと軽妙な文体でやってのけるだけでなく、おまけとして美術館近くの美味しいお店も紹介してあります。

この本を片手に美術館へ出かけるのもよし、読んで空想で行ったつもりになるのもよし。GWどうせどこへ行っても人でごった返しているのなら、静かに家で『美術館へ行こう: ときどきおやつ』のページをめくりながら過ごすのが良いかもしれません。

想像の翼を羽ばたかせながら。


美術館へ行こう: ときどきおやつ

いつも通っているところ、気になっていたところ。北海道から鹿児島まで、個人美術館から文学館まで。人気スタイリストが、全国各地の、街に馴染んだ、居心地のよい、24の小さな美術館をご案内します。お土産やカフェなど、鑑賞後のおたのしみもあわせて。のんびりしに、気分転換に、元気をもらいに、ちょっと美術館まで。

伊藤まさこ(イトウ・マサコ)
1970年、神奈川県横浜市生まれ。文化服装学院でデザインと服作りを学ぶ。料理や雑貨、テーブルまわりのスタイリストとして、数々の女性誌や料理本で活躍。なにげない日常にかわいらしさを見つけ出すセンスと、地に足の着いた丁寧な暮らしぶりが人気を集める。著書に『あの人の食器棚』『台所のニホヘト』『家事のニホヘト』(以上新潮社)、『おいしい時間をあの人と』(朝日新聞出版)、『おいしいってなんだろ?』(幻冬舎)など。

イベントも行われるようです!


伊藤まさこ「思い立ったらぶらり、小さな美術館のたのしみ」 『美術館へ行こう ときどきおやつ』刊行記念イベント

開催日時:2018年5月22日(火)19:00〜20:30(開場18:30)
会場:la kagu(ラカグ)2F レクチャースペースsoko  東京都新宿区矢来町67
(東京メトロ東西線神楽坂駅矢来口出てすぐ)

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宮下規久朗
宮下規久朗先生の最新刊!絵画に描かれた代表的な「モチーフ」を手掛かりに美術を読み解く、画期的な名画鑑賞の入門書。カラー図版150点を収録した文庫オリジナル。
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日本美術図解事典―絵画・書・彫刻・陶磁・漆工
日本美術図解事典―絵画・書・彫刻・陶磁・漆工 (JUGEMレビュー »)

「これ一冊で日本美術を鑑賞する際の知識が全て揃う」
レビュー→こちら
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アイテムで読み解く西洋名画
アイテムで読み解く西洋名画 (JUGEMレビュー »)
佐藤 晃子
西洋絵画を鑑賞する際に必要となる宗教画,神話画の50のアトリビュートを紹介。ありそうで無かった絵画ファン待望の一冊。
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美術鑑賞手帳
美術鑑賞手帳 (JUGEMレビュー »)

美術鑑賞の楽しみをさらに広げるこれまでになかった手帳です。ミニガイドと書き込み式の鑑賞の記録ページが一緒に。

自分もお手伝いさせて頂きました。レビュー→こちら
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画家の食卓
画家の食卓 (JUGEMレビュー »)
林 綾野
画家たちが楽しんだ26のレシピを再現。クレー、フェルメール、セガンティーニ、メムリンクの暮らしと創作現場を巡る旅。
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美術品はなぜ盗まれるのか: ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い
美術品はなぜ盗まれるのか: ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い (JUGEMレビュー »)
サンディ ネアン
とかく扇情的に扱われる美術品盗難。だが実際は、麻薬や犯罪に絡む危険な裏社会と結びつく場合が多い。事件に巻き込まれた学芸員の立場からその実態を訴え、問題点を考察する一書。 レビュー→こちら
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江戸の献立 (とんぼの本)
江戸の献立 (とんぼの本) (JUGEMレビュー »)
福田 浩,松井 今朝子,松下 幸子
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日本美術全集2 法隆寺と奈良の寺院 (日本美術全集(全20巻))
日本美術全集2 法隆寺と奈良の寺院 (日本美術全集(全20巻)) (JUGEMレビュー »)
長岡 龍作
法隆寺金堂内陣は、普段は大変暗い上に太い円柱に加え、金網が廻らされており、その詳細はなかなか見ることができません。今までに撮影された写真も鮮明さということでは満足のゆくものではありませんでした。今回は最新の撮影技術により、南面(正面)のみならず、北面(背面)からも撮影。その結果、全く見たことがない写真を目の当たりにすることになりました。仏像の質感と量感、豊かな色彩に感嘆し、感動をおぼえる一冊となっています。
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山口晃 大画面作品集
山口晃 大画面作品集 (JUGEMレビュー »)
山口 晃
8年ぶり、待望の最新作品集。11月26日発売!予約しないと!!

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運慶: リアルを超えた天才仏師 (とんぼの本)
運慶: リアルを超えた天才仏師 (とんぼの本) (JUGEMレビュー »)
山本 勉,ヤノベ ケンジ,橋本 麻里,みうら じゅん
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知識ゼロからのキリスト教絵画入門
知識ゼロからのキリスト教絵画入門 (JUGEMレビュー »)
池上 英洋
池上英洋先生が易しく紐解く『聖書』の世界。レビュー→こちら
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芸術家の家: 作品の生まれる場所
芸術家の家: 作品の生まれる場所 (JUGEMレビュー »)
ジェラール=ジョルジュ ルメール,ジャン=クロード アミエル
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フェルメールへの招待
フェルメールへの招待 (JUGEMレビュー »)

不肖・私がフェルメール30作品の解説執筆と全体の編集に携わった一冊です。オールカラーB5版。96ページから成る、これまでにないフェルメールパーフェクトガイドです。主に「フェルメール初心者」に向け丁寧に噛み砕いた表現で綴られているので、美術の専門用語を知らずともフェルメール作品について一通りの知識を得ることが出来ます。

お手に取って頂ければ幸甚です。よろしくお願い致します。
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偽りの来歴 ─ 20世紀最大の絵画詐欺事件
偽りの来歴 ─ 20世紀最大の絵画詐欺事件 (JUGEMレビュー »)
レニー ソールズベリー,アリー スジョ
来歴さえあれば、たとえ贋作でも「ほんもの」になる。詐欺師は驚くべき方法で美術史を捏造した。美術界を震憾させた事件を追うドキュメンタリー。レビュー→こちら
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フェルメールの食卓 暮らしとレシピ (講談社ARTピース)
フェルメールの食卓 暮らしとレシピ (講談社ARTピース) (JUGEMレビュー »)
林 綾野
林綾野さんの待望のフェルメール本!レビュー&インタビュー→こちら
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ヴァチカン物語 (とんぼの本)
ヴァチカン物語 (とんぼの本) (JUGEMレビュー »)
塩野 七生,藤崎 衛,石鍋 真澄
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野兎の眼
野兎の眼 (JUGEMレビュー »)
松本 典子
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Vixen 多機能単眼鏡 マルチモノキュラー4X12 1105
Vixen 多機能単眼鏡 マルチモノキュラー4X12 1105 (JUGEMレビュー »)

掌に収まる単眼鏡は、必要なときにサッとポケットなどから取り出して使える便利な、美術館・博物館必須アイテム。
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日本美術のことば案内
日本美術のことば案内 (JUGEMレビュー »)
日高 薫
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日本美術鑑賞の際に、よく出てくる言葉を満載。絵画、彫刻、工芸品などの具体的な写真をふんだんに使い紹介
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