青い日記帳 

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「鳥居清長展」

千葉市美術館で開催中の
「鳥居清長 −江戸のヴィーナス誕生−」展に行って来ました。



浮世絵が好きな方も、興味ない方も「最近浮世絵の展覧会ばかりじゃん」とお嘆きの貴兄も悪いことは言いません、少し遠いですが千葉市美術館まで出向いて是非この展覧会ご覧になってみて下さい。(私も実は浮世絵どちらかというと苦手で中々重い腰上がらずいました)会期は今月10まで。巡回はしません。

昭和39年に今は無き伊勢丹美術館で開催された『清長名作特別展』。鳥居清長の展覧会これ以降一度も開催されずに今に至りました。ほとんどの作品が海外へ流出してしまっている為に(清長の作品は特に多いそうです)「清長展」実質的に開催すること不可能と言われてきたそうです。

今回、千葉市美術館館長を務める小林忠先生の熱意と関係者の方々の並々ならぬ努力によって前回の「清長展」をはるかに凌駕するまさに空前絶後の展覧会が千葉市美術館で地味〜に開催されています。再度書きます。10日までです。巡回しないそうです。

「浮世絵六大名家」春信、清長、歌麿、写楽、北斎、広重。
この6名の中でもしかして一番知名度低いが為にあまり話題になっていないようなら寂しい限りです。北斎のような万能の天才絵師ではありませんし、広重のようなハッと驚かされる構図を多様するわけでもありません。

例えばこれ一枚だけ観るとどことなく既視感覚え「普通」の浮世絵にしか見えませんが展覧会会場で260枚にものぼる鳥居清長のストレートな作品群を目の当りにすると北斎や広重とは違った大きな別の感動を得ることができます。

美南見十二候 九月 いざよう月

展覧会の構成は以下の通り。

第1章 浮世絵デビュー ―初期作品
第2章 江戸のヴィーナス誕生 ―三代揃物
第3章 ワイド画面の美人群像 ―続絵の名作
第4章 江戸の粋 ―清長作品の多様性
第5章 役者絵と出語り図 ―鳥居家四代目


ポイントは展覧会のサブタイトルにもなっている「第2章 江戸のヴィーナス誕生」。江戸のヴィーナスって一体何?と不思議に思いました。清長の描き出した美人画に多く見受けられる理想化された女性像を指してそう呼んでいるようです。

江戸時代安永から天明、西暦だと1700年代後半。当時の平均的な女性の身長が140cm〜150cmで6頭身だった頃、清長の描き出す女性像は身長170cmオーバー、8,9頭身はある「非現実的」なものでした。

山田優など現代のモデルさんは頭の外に置いて、清長の描いた美人画は、例えば日本人モデルさんだけだったファッション雑誌に突如外国人のスーパーモデルさんが登場したような驚きがあったはずです。当時。因みに清長が32歳の時、1983年に浅間山が大噴火起こしています。今まで体験したことないような衝撃が江戸中駆け巡ったこと想像に難くありません。


右が鈴木春信、左が鳥居清長。その違いは一目瞭然かと。
鳥居清長「十体画風俗 武家の娘と犬

「十体画風俗 武家の娘と犬」に描かれた女性像などまだ序の口で、
こちらの美人群像図に描かれている両脇に立っている女性などまさに9頭身!
しかも中央で身体を曲げている女性に至っては立ち位置もし他と同じだとしたらそれこそ大女です。酒呑んでいる場合じゃありません、旦那さんたち。

当世遊里美人合 叉江

こういう絵が二,三枚しか展示されていないのならさほど気にせずに、もしかして私などその事分らずに見過ごしてしまうのでしょうが、如何せんこの展覧会は「−江戸のヴィーナス誕生−」物語です。これでもか〜と長身のスーパーモデル並みの着物美人オンパレード.次第に眼が麻痺してきます。

江戸のヴィーナスたちは花見にも出かけます。

亀戸の藤見

また江戸のヴィーナスたちは夜でも行動しちゃいます。

美南見十二候 七月 夜の送り

こうしてパソコンの画像で数枚観てきただけでも
次第に清長スタンダードに目が慣れてしまうからコワイ.

では、どうして清長はこんな長身の非現実的な女性像を描くようになったのか?
図録を読んで見ると、小林先生は長崎出島を経由して江戸に入ってきた
西洋画の影響が大きいのではないかと述べていらっしゃいました。
レーレッセの『画法書』などが伝わっていたことは事実だそうです。

鎖国状態の閉ざされた空間に西洋からの一筋の光が差し込んだ。
それを敏感に受け止めた清長は自分の画風と定着させ描く。
そしてそれはまた閉鎖的な江戸庶民にとって、それこそキラ星の如く
まばゆく輝く「女性像」として目に飛び込んだのかもしれません。
江戸っ子元来新しいモノ好きですしね。

尤もこの少し前に徳川吉宗が「洋書解禁」しキリスト教美術以外の作品が
多く日本国内に入ってきていたという下地もちゃんとあってのことです。

清長も西洋絵画(風景画が中心かな)を参考にしこうした
作品も描いたのでしょう。しっかり遠近法用いています。

駿河町越後屋正月風景図

小野田直武の有名な「不忍池図」に描かれた花の代わりに
例の長身の女性像群像を描いたような清長の作品もありました。

西洋からの新しい光に皆興味関心を抱いていたことは紛れもない事実でしょう。
小林先生の清長の長身像が西洋画の影響を受けたという説にロマン感じます。

浮世絵の歴史
「浮世絵の歴史」 小林 忠

でも、ここからはまさに素人考え、お許し下さい。
この展覧会を観て来た感じでは自分には西洋画の影響で長身の女性像が描かれたようには思えませんでした。(ホントゴメンナサイ)

どちらかと言うと浮世絵の版が単に大きくなっただけではないかと。。。
それまで中版だった紙が清長の時代から大版になったそうです。
更に3枚セットなど横長の作品が増えていったそうです。
そのサイズに合うのは長身で複数の人物図でなくてはいけません。
だから清長の作品も自然とそうなったのかな〜と。。。

「戯言はやめろ!」byシャア

やめておきます。はい。

浮世絵のことば案内
「浮世絵のことば案内」 田辺 昌子

それでは小さくなりつつ「今日の一枚


今回の展覧会のチケット半券です。
普段チケットの半券チラシほど気にしないのですが今回は注目。
「美南見十二候 七月 夜の送り」がトリミングされ上手くまとめられています。
グットデザイン.この細長いのも清長っぽくてとってもいい感じです。


おまけ
千葉市美術館で「若冲とその時代」展が開催されます。
8月7日(火)〜9月17日(月)

江戸時代中期の京都で活躍した伊藤若冲(1716−1800)。独特の形態感覚は現代にも通じる美意識で、近年若冲ブームが起きています。若冲の出現と関連する南蘋派の作品、同時代の曾我蕭白・円山応挙・長沢芦雪らの作品、若冲以後の花鳥画の作品(岡本秋暉など)を、摘水軒記念文化振興財団等からの寄託品、所蔵品によって紹介します。

藝大美術館で開催される「「金刀比羅宮 書院の美−応挙・若冲・岸岱−」展と重なりますね〜この夏は上野と千葉へシュラシュシュシュ!

京成電鉄さん、特別列車運行してくれない?株上がるよ〜多分。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1031
鳥居清長(とりい・きよなが/1752-1815)は、江戸時代、天明期(1781-89)を代表する浮世絵師です。江戸名所を背景に描かれた長身ののびやかな美人像は、近代になって、天明のヴィーナスとも呼ばれ、喜多川歌麿とともに浮世絵美人画の絶頂期を形成しました。その美人の遊歩するさまは、新興都市江戸の人々が心から江戸に愛着を感じ、誇りを持ちはじめた時代の、心地よく明るい気風を伝えてくれます。
狂歌や洒落本など、江戸ならではの文化が発達した時代でもあり、出版界もますます活発になって、豪華な多色摺の錦絵が一般化しました。紙も中判から大判へ、さらに2枚続、3枚続などの広い画面で出版されることが珍しくなくなり、その色彩豊かで広い画面に生気を得た美人たちの姿は、私たちに、江戸をひとつの理想郷のように伝えてくれます。

この展覧会は、天明期の美人画を中心に、役者絵を代々手掛ける鳥居派当主としての清長の活躍、初期の作品、肉筆画、版本など、国内外から選ばれた約270点の名品により構成されます。

多くの浮世絵ファンに望まれながら、清長の総合的で大規模な展覧会は、作品のほとんどが海外美術館に所蔵されることから、いままで一度も行われてきませんでした。この度、広範な調査、最新の研究に裏付けられた確かな内容の清長展が実現することにより、21世紀を生きる私たちに、清長の魅力が強く印象づけられることは間違いないでしょう。
展覧会 | permalink | comments(7) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

浮世絵が好きではありませんが、キャッチフレーズに負けて見に行ってしまいました。
図録、出来上がったんですね。

千葉市民が、なぜかあまり足を運ばない?千葉市美は、いつ行ってもガラガラで、よそ者にも快適ですが、藝大美術館は、あの狭さでゾッとします。千葉市美、よい企画が多いのに、運営が大変かな。都内にあったら、結構な人気だと思うけど。
鼎 | 2007/06/02 11:20 PM
@鼎さん
こんばんは。

千葉市美術館の浮世絵ハズレありませんからね。
図録2500円でした。

私が行ったのは最近なのでそれなりに混雑していました。
もっとも何重にも人の列が出来るようなことありませんが。
東博でやって上手いこと宣伝したら
「北斎」展」上回るかもしれませんね。
Tak管理人 | 2007/06/02 11:41 PM
こんにちは。

千葉市美術館頑張ってますね。本当に。

「若冲とその時代」展では、摘水軒の若冲が出展されるんですね。
柏のコレクターさんですが、地元で公開される機会は全くないので楽しみです。
mizdesign | 2007/06/03 7:26 AM
@mizdesignさん
こんばんは。

辻先生、小林先生のラインで
がっちり企画固めているので
素晴らしい展覧会が多いですね!

柏の方なのですか〜
それはそれは。
また楽しみ増えてしまいました。
Tak管理人 | 2007/06/04 12:23 AM
こんにちは。
この展覧会のチラシの使用の用紙がぜいたくたのに驚いていたのですが
チケットもすてきですね!(って目の行き場が・・・)
残念ながら今回は(今回も)見送りですが、記事で楽しまさせていただきました。
次回はきっと・・・年に1回のペースの千葉市美術館^^。
tsukinoha | 2007/06/04 5:43 AM
清長の8頭身美人西洋絵画起源説は状況証拠だけですね。
例によって「・・・となっていても不自然ではあるまい。」という言い方は科学的ではないような気がします。
とら | 2007/06/04 9:00 AM
@tsukinohaさん
こんばんは。

千葉市美術館はもっともっとお客さん
入ってもおかしくありませんよね。
ただし都心にもう少し近ければ。
チケットの半券久々に気に入りました。
ファイルに入れて保存確定です!

@とらさん
こんばんは。

根拠が曖昧というか無いに等しいですからね。
まぁ見た感じそう言われると確かにそうかな〜と
思ってしまいますが、それはあくまでも一つの観方。
考えとしては斬新ですけどね。
Tak管理人 | 2007/06/06 11:10 PM
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 前期も観たが、このような素晴らしい展覧会は一品たりとも見逃したくない。外国からの出展作品には二度お目にかかれる。という次第で、暑い日差しの中、千葉市美術館に出かけた。  美術館の中は蒸していた。これは気候のためだけでなく、結構観客が多かったためで
鳥居清長 江戸のヴィーナス誕生(後期) | Art & Bell by Tora | 2007/06/04 9:04 AM