青い日記帳 

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「水と生きる展」

サントリー美術館で開催中の
「サントリー美術館 開館記念展供/紊叛犬る」展に行って来ました。



開館し二回目の展覧会に「水」を持ってくるあたり
やっぱりサントリーさん。水が命ですものね。

鬱陶しい梅雨から猛暑の盛夏にかけてこんな
涼しげな展覧会を企画するセンスの良さも光ります。

展示作品も浮世絵、屏風から服飾、工芸品に至るまで
前回同様幅広く魅力豊富な所蔵品で上手いこと構成されています。

会期中3回の展示替えがあります(前期6/16-7/9 中期7/11-30 後期8/1-19)
季節の移ろいに応じてそれに見合った作品を見せてくれるはずです。
「暑い暑い」とばかり口にして意外と意識しませんが、この時季って結構気候の移り変わりの激しい時で6月、7月、8月と「夏」と一括りになんてとても出来ません。
展示リストを見るとその時季に合った作品を選んでいること分ります。ニクイ!

で、まず今回は前期を鑑賞、テーマはやはり梅雨でしょうか。
雨宿りを描いた屏風が出迎えてくれました。

高嵩谷「雨宿り図屏風」江戸時代(18世紀)

雨の描写はありませんが、空模様や飛び交う燕、それに人々の表情から
予期せぬ「突然の雨」であることが見て取れます。
現代ならさしずめ「天気予報で言ってなかったじゃん!半井さん!!」状態。

何でもこの「雨宿り」を最初に描いたのは英一蝶だそうです。
この作品の影響を受けて描かれたのが今回の「雨宿り図屏風」だとか。

田園風俗図屏風」(後期展示)

英一蝶の「雨宿り風俗図屏風」は以前「ニューヨーク・バーク・コレクション展」で目にしたのを覚えています。「雨宿りに形を借りた一種の『職人づくし』のような絵」だと辻惟雄氏が仰っていたのが印象に残っています。

高嵩谷「雨宿り図屏風」(部分)
今回観た作品もその様相充分に見て取ることできました。加えて突然の驟雨に「仕事にならないな〜」と困り顔の大人たちと、「雨だ雨だ!」と無邪気にはしゃぐ子供の対比がとても愉快でした。

因みに雨が降りだした時のあの独特の「匂い」意外と好きだったりします。

江戸百夢―近世図像学の楽しみ
「江戸百夢―近世図像学の楽しみ」 田中 優子

浮世絵は歌川広重の「東海道五十三次」(保永堂版)(隷書東海道)と「江戸高名会亭尽」がメイン。興味深かったのは後者。江戸時代の高級料亭図鑑。
両国柳橋 河内屋
これは書の交換会でもやっているのかな?
前中後期それぞれ5枚ずつ展示するそうなので楽しみ楽しみ。

丁度この「江戸高名会亭尽」の対面に狩野永納(山雪の息子)の「春夏花鳥図屏風」が展示されていました。高級料亭さながらの雰囲気醸し出しています。

浮世絵といえばもうひとり忘れちゃいけないのが北斎。
でも今回出展されているものはちょいと変った珍品。

葛飾北斎「今様櫛きん雛形」(「きん」は「竹」冠に「捦」)
北斎が考案したデザインブックです。図案集。
それにしても斬新というか、実際に作れるのか心配になってしまうほど大胆な図案。
一芸に秀でている人は何やらせても凄いものです。これ必見です。

これとは別に耳の長〜い兎の図案のもの何点か展示されていましたが(「波兎漆絵盆」や「波兎模様筒描蒲団地」)波に兎が共に描かれているのが大変ユニークで愛らしく感じました。似たようなデザインのTシャツ持っているのでそのルーツを垣間見たようで驚きもまた。

江戸の伝統文様CD-ROM素材250
「江戸の伝統文様CD-ROM素材250」 中村 重樹

以下は全期間展示されるサントリー美術館ご自慢の工芸品の数々。
まずはデフォルトでこれ。
切子藍色船形鉢
何度観ても美しい。
この鉢に何を入れて使うのかいつも考えてしまいます。(余計なことですが)
今の季節なら何かな〜

切子紫色ちろり
この微妙な紫色の加減が魅力的。
酔いが何倍にもなるか、もしくは全く酔わないか。
これ使って美味い日本酒飲んだら…
凄く贅沢ですが、これに花を活けたらまた違った味わい出るでしょうね。

ガラスだけでなく焼き物もあります。
特に目を惹くのが鍋島焼き。

鍋島は焼き物の中でも一番デザインがキレキレで現代的。
そして私も大好き。目を皿のようにして鑑賞。

染付雲雷文皿」江戸時代

拡大してみると…おお!エッシャーのようだ!!

中心にフェイドアウトして文様が消えていく様なんとも言えません。
ブラックホールならぬ「ホワイトホール」のよう。

それとこれ!これ!!

染付花文皿」江戸時代

江戸時代のデザインですよ、これが!
そのまま、アフタヌーンティーの店頭に陳列しても全く遜色ありません。
これそのままのデザインで売れるって。Francfrancどう?

葉隠の名将鍋島直茂
葉隠の名将鍋島直茂
童門 冬二


もうこのままの勢いで「今日の一枚」否「今日の一皿

色絵龍田川文皿


前の二枚に比べるとクラシカルなデザインの鍋島。
実はこの一枚だけ違うセクションに展示されています。

水は人の暮らしを潤すだけでなく、美しい言葉を誘い出してきたのです。「龍田川」や「八橋」など、和歌や物語から生まれた水の意匠は、さらに絵画、漆器や陶磁器などに取り入れられ、日本人の暮らしを彩ってきました。

今更ながら今回の展覧会のセクション.
・第一章 潤 水と生きる
・第二章 流 水の表現
・第三章 涼 水の感覚
・第四章 滴 水をよむ


第四章は和歌あり、伊勢物語あり、絵巻物ありで自分の一番アンテナに
引っかかるものばかり。ある意味ここだけで満足度120%到達。
でも、逆に思い入れがあったりすると感想書き難いものです。

時間があったら、ここのセクションだけ別立てで書けたらなと考えています。
勿論、不条理でナンセンスなお話満載の「御伽草子」についても。
21世紀によむ日本の古典〈13〉御伽草子
21世紀によむ日本の古典 御伽草子
西本 鶏介,井上 洋介

「天稚彦物語絵巻」も展示されていました。これまた内容が何とも…
全文はこちらにあります。

追記:
展覧会会場の出口付近に、色々な「青」が紹介されていました。
青色百科なるもの以前作ったの思い出しました。
↑宜しければご覧下さい。


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1063
サントリー美術館の開館記念展として、日本の豊かな自然環境の源といえる「水」をテーマに、日本美術に表現されてきた「水」の造形美をご覧いただきます。<潤 水と生きる><流 水の表現><涼 水の感覚><滴 水をよむ>の構成で、館蔵品約180件により、水と人との係わりを捉えます。水そのものを表現した作品、水を抽象的に表現した伝統の意匠や水を連想させる素材や色合いを持つ作品を集め、展示空間全体から、水を感じとっていただければと思います。最も水に親しむ夏の気候のなかで、今展観が、暮らしに欠くことの出来ない水のありがたさと、その水を大切にしてきた日本の文化を見つめなおす機会となれば幸いです。

おまけ

この展覧会の会期中館内で冷たい「南アルプスの天然水」で喉を潤すことできます。
展覧会 | permalink | comments(9) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

素晴らしい解説をありがとうございます。
実は内覧会で丹羽さんの説明つきでみてきてるのですが、いっこうに自分の中でまとまりません。今度田中優子さんの「文学にみる水の表現」を聞きに行くので、そのときゆっくり見ようと、それにしても「染付雲雷文大皿」「色絵龍田川文皿」は見事でしたね。
supika | 2007/07/04 9:49 AM
こんにちは
鍋島、大好きです。
Takさんのあげられていた今風なお皿、わたし秘かに花火とか呼んでます。
本当にこれは今デザインしました、みたいなセンスですよね。素敵です。好き。
一方、鍋島のクラシカルなデザインも大好きで、ここには出ませんでしたがサントリー所蔵の中では、椿のお皿がマイベストです。
来月の後期分にゆきますが、とても楽しみです。

西本x井上コンビの御伽草子・・・かなり期待できますね。
ちょっと探して読もうと思います。
遊行七恵 | 2007/07/04 12:37 PM
こんにちは。
先日やっとサントリーに行って、会員になり、るんるんです。何時でも行けるとなると、時間を作ってともかく日比谷線でGO!!〜〜です。
御伽草子、学校で色々授業があったように思うのですが、
再度面白チャレンジ、したくなります。
次回の小川破立の漆箱、やっとナマで出会えるのを楽しみにしているところです。
それにしてもガラスは、本当に美しかったです。
Takさんのところは画像が素敵にアップされるので、
追体験できます。感謝★
あべまつ | 2007/07/04 1:24 PM
 さすが 目の付け処がとても素敵ですね。
三期分 行く予定ですので、工芸品は毎回
楽しんでこようと思っています。
 広重は「江戸高名会亭尽」でのアングルが
とても興味深いです。
東京藝術大学で「江戸百」お披露目が出ますね。
浮世絵の奥深さを味わいたいと思います。
panda | 2007/07/04 3:49 PM
Takさん、こんにちは!
切子ものは前回の展示でも驚いたけれど
本当に素晴らしいですよね。
すごくきれいです。

出口付近にあったいろいろな青、
追記で御紹介されてるTakさんのサイトのすごい数の青を思い出しましたよ!
はな | 2007/07/04 9:11 PM
@supikaさん
こんばんは。

内覧会に行かれたのですか。
しかも解説付きとは羨ましいです。
田中氏の講演会も行きたかったのですが
生憎どうしても都合があわず断念しました。
記事書かれたらTB送ってくださいませ。

@遊行七恵さん
こんばんは。

花火、確かに。花火にも見えますね!
椿の鍋島もあるのですか。
それも観たいな〜
まかそのうち展示してくれますよね、きっと。
スペースもゆったりととってあり
長く鑑賞しても疲れない展覧会かと。

御伽草子は学生時代、かなり読まされました。
トラウマもだんだん和らいできましたが。

@あべまつさん
こんばんは。

会員になられましたか!
あれ良いですよね、たった6000円ですし。

御伽草子あべまつさんも授業で習いました?
結構きつくて「大変」だった記憶しかありません。
だんだん和らいできましたけどね。

中期も後期も出来るだけ行きたいと思っています。
日比谷線or大江戸線or千代田線
裏技で都バスなども使ってgo!

@pandaさん
こんばんは。
TBありがとうございました。

「水」って一番好きなテーマなので
今回はかなりテンション高いです。
3回に分けて沢山見せてくれるなんて
喜ばしいかぎりです。
藝大は近々行ってきます。江戸百と
応挙、若冲が一度に見られるなんて贅沢です。

@はなさん
こんばんは。

青色で「かめのぞき」ってありましたよね。
名前が特徴的なのですぐ覚えてしまいます。
色も浅黄色とはまたちょいと違った青で独特です。

最後のコーナー書き忘れたので追記でなんとか
誤魔化してみました。。。
Tak管理人 | 2007/07/04 10:35 PM
TBありがとうございます。
さっそくおじゃましています。
詳しい解説勉強に成ります。
今回、京都から行ったのですが、そこでふと思った事に、この「水と生きる」というテーマですが、これは東京というか関東の感覚だなぁと思いました。
もし、同じ様なテーマを京都の美術館が考えたらきっと「山紫水明と生きる」となるでしょう。京都の感覚では水だけで生きるとはなかなかなりません。
京都では水の横には必ず緑があり山がありますから。
そういう意味でもおもしろかったです。
TBさせてもらいますので宜しくお願いいたします。
好日 | 2007/07/05 1:15 AM
こんにちは。
そういえば、今、東博でも
英一蝶の雨宿り図屏風、展示されてますね。

さてさて、最近、美術館めぐりが思うように
出来なくて、ストレスが溜まっているので、
Takさんの記事を拝見するのが楽しみです〜
一村雨 | 2007/07/06 5:55 AM
@好日さん
こんにちは。
TB&コメントありがとうございます。

なるほど、関東の感覚と京都の感覚。
展覧会でも見え隠れするものですね。

「水」がテーマと知って
どうやってまとめるのか楽しみでした。
下手すると何でもありになってしまいかねないので。
そこを所蔵品だけでそれなりに上手くまとめていたので
感心してしまった次第です。

海に囲まれ、自然崇拝も手伝って
日本人はとりわけ水との関係性が高いと
あらためて感じさせられる展覧会でした。

@一村雨さん
こんにちは。

東博でも展示されているのですか!!
あそこも大変努力されていますよね。
季節に合った展示替え頻繁に行って。

一村雨さんの何十分の一も忙しくないのですが
それでも今年はやはり・・・ヘトヘトです。
ご存知の通り。
ご期待裏切るような記事多いかと思いますがご勘弁あれ。


Tak管理人 | 2007/07/07 12:04 PM
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