青い日記帳 

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「アンリ・ミショー展」

国立近代美術館で開催中の
「アンリ・ミショー展 ひとのかたち」に行って来ました。



↑このチラシを何処かの美術館で初めて目にした時「ミショーだ!!」と思わず声を上げてしまい、かみさんから「大人気ない」と叱られてから早幾日。待ちに待った待望の展覧会「アンリ・ミショー展」

秋に「平山郁夫展」なんてもの開催しちゃう近代美術館のセンス疑っていたけど、ミショーをまとめて見せてくれるのならそれも御破算にしてもいいかな。

「ミショー」=「メスカリン」
連想ゲームのように頭に浮かんできます。

メスカリンとはメキシコ産サボテン、ペヨトールから抽出した幻覚剤であり、ミショーは1954年頃から数年間に渡り、この種の薬物を用いて白己の精神の内部を探る実験を行いましたそこに現れた特異なイメージを描き残そうとする試みが、メスカリン素描です。また実験の経過は、大部の著作の中で、ほとんど科学的と言えるほどの精密さで記述されています。
(展覧会リーフレットより)

LSD吸って絵筆を握りこんな作品を。

メスカリン素描」1956年頃

人の顔らしくものが、おしくらまんじゅう状態に描かれています。
表情は様々。この世のモノではなさそうな顔もそちこちに。
メスカリンの様々な「副作用」が具現化されているかのようです。
(メスカリンの副作用についてはこちら

ここまで話がくれば、自然とこの本に行き着きます。
呪術師と私―ドン・ファンの教え
呪術師と私―ドン・ファンの教え
カルロス・カスタネダ,真崎 義博

学生時代から、アンリ・ミショーの大ファンという大変、奇特な趣味を持つ先輩からの推薦図書でもあります。

カスタネダはこの他にも多くの著書を残しています。webで「カスタネダ 薬草」で検索するとあれこれ出てきて、深い深い底なし沼へ。。。要注意。

展覧会の方は期待を裏切ることない充実した内容でした。
抽象絵画は苦手という方も騙されたと思って是非近美の二階へ。
一階では「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」展が大盛況ですが、それだけで帰ってしまっては勿体無い!っていうかミショーが一階じゃないの?!


フロッタージュによる作品。1944年
エルンストが多用した技法。
「こすり出し」とリーフレットには解説されています。
こすり出された物体は「」に見えなくもありません。

続いて「ムーヴマン」1950-51年

「ムーヴマン」とはフランス語で「動き」「運動」を意味するそうです。
やはりここに描かれた物体も「」に見えます。

ここで頭に浮かんでくるのはマティスの大傑作「ダンス」

アンリ・マティス「ダンス 1」1909年 ニューヨーク近代美術館


アンリ・マティス「ダンス 2」1909-10年 エルミタージュ近代美術館

マティスの遺伝子を受け継いだミショー.
「ムーヴマン」の前に立つと自然に自分の身体が踊り出す
そんな不思議で心地好い体験がきっと出来るはずです。

ここで、ちょっとポロックの作品をご紹介。

ジャクソン・ポロックが二十代の頃、
スケッチブックにこんな絵を描いています。
1940年頃
ミショーの描き出す「人」に比べ、だいぶ緊張感漂う人々のように見えます。
「心と身体が自然と動き出す」感じはこの絵から全く受け取ることできません。

ポロックが解き放たれたのは「ドリッピング」を得てから。

「無題」1950年頃
」らしいのもが見えてきました。
かなり激しく躍動しているように見えます。
やっとふっ切れたなポロック.

因みにドリッピング技法は「幼い頃に見たインディアンの砂絵など、先住民の描き方が影響を与えた」とされています。ここでもまたインディアン登場です。前述のカスタネダ−ミショーラインにもインディアンが深く関わっています。

ジャクソン・ポロック 新版
「ジャクソン・ポロック 新版」 藤枝 晃雄

閑話休題。
ミショーに話題を戻します。

ミショーは油絵は「本能的になじめなかった」そうです。
(それでも晩年は墨と油彩を併用したりしています)
こちらは水彩画。

1949-50年

色といい形といい、なんて「穏やか」な作品でしょう。
受け入れやすい作品です。
ところが「暴虐」な面も見え隠れしてきます、観ているうちに。
そして一旦そう観えてしまうとハートフルな穏やかな絵に中々戻れません。

こういうことって身の周りにもよく起こることです。
身に覚え必ずおありかと。

その点ロスコはミショーに比べて真の残虐性垣間見ることできません。
似ている作品と比べるとよくお分かりかと。

マーク・ロスコ「無題」1945年頃

そうそう、ロスコもポロックも「自殺」しちゃいますがミショーは天寿を全う。
おかしなものかと思いますが、別段不思議なことではないかと。

マーク・ロスコ―1903-1970
マーク・ロスコ―1903-1970
ヤコブ・バール=テシューヴァ,Toshio Miyamoto

それでは「今日の一枚


アクリリック 1979年

嫌いだった油彩で描かれた晩年の作品。
画面全体の色はとても明るいのですが、この全体にのしかかる重い重い雰囲気は何?「人」もダンス踊ることなく前屈みに下を向いて歩んでいるかのようです。ペンギンの子どもならまだ可愛げあるのですが…

この展覧会残念ながら巡回しないそうなのでせめてこの画集でも。
「アンリ・ミショー展 ひとのかたち」のカタログは、平凡社から一般書籍として刊行されます。デザインは『安部公房全集』や、多くの美術展のカタログ・チラシのデザインで知られる近藤一弥氏。今回は、クロス装に、エンボスでミショーの「ひとのかたち」が浮かびあがるカバーのついた上製本仕様で、そこに出品作品59点全点と肖像写真2点とが掲載されています。
アンリ・ミショーひとのかたち
アンリ・ミショーひとのかたち
アンリ・ミショー

展覧会観に行くの我慢できずにこの画集を先に見てしまいました…

おまけ:
今使っている携帯は「Feel*Talk」という機能が付いていてこんなFlashアニメがメールに添付できたり、あちこちに登場します。

携帯の中の「アンリ・ミショー展 ひとのかたち

なんてバカなこと考えてないで、早いとこ先輩とアンリ・ミショー美術館行かなくては。もう何年も前から行こう、行こうと言ってそれっきりです。近いと中々。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1071
フランスの画家・詩人、アンリ・ミショーは、記号とも生物ともつかない不思議な形態によるドローイングを1930年代から半世紀にわたって描き続けました。サボテンから抽出される幻覚剤メスカリンの実験的服用によってイメージが発生する地点を探求するなど、きわめて独特な制作活動を展開し、現代の画家の多くに影響を与えた、知る人ぞ知る存在です。
彼の作品は常に、流れるような運動感を帯び、エネルギーの奔流に満ちています。そして、そこには頻繁に無数の人間の姿が浮かび上がってくるのです。今回の展覧会は、とりわけこの人物像の出現に注目しつつ、ミショーの奥深い世界をあらためて探ろうとするものです。一気呵成に、駆け抜けるようにして描き上げられた彼の画面の中に、わき上がるように生まれ出、動き回るひとのかたちには、長く人間を描いてきた絵画という営みを今一度原点から問い直させるような原初的な力が秘められています。
日本での本格的な個展としては四半世紀ぶりとなる本展では、初期から晩年にいたる膨大な作品群から精選された59点の代表的なドローイングによって、今なお新鮮で、また謎に満ちたミショーの世界をご覧いただきます。
展覧会 | permalink | comments(4) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

へぇーーーーーー、こんな展覧会あるんですね。
日本は素晴らしい!
こういう本ばかり読んでた大昔。
ミショーは「みじめな奇跡」を持ってきています。
カスタネダは当時の知り合いだったアメリカ人から
「分離されたリアリティー」をもらいました。
そういえばカスタネダは一人の実在の人物ではない、という話もありますよね。
この流れでコクトーの「阿片」とかサガンの「モルヒネ」だったかな、交通事故のあとに中毒になってたころのエッセイなんかも読んだものです。
なんだか懐かしい〜
OZ | 2007/07/12 5:33 AM
@OZさん。
こんばんは。

良いでしょう〜
観たくなりますよね。
「ドン・ファン」にも
教えてあげなくちゃ!

OZさんかなりお読みになられてますね。
この記事まさにビンゴ!だったようです。
反応してくださる方がいらして嬉しかったです。
Tak管理人 | 2007/07/12 5:37 PM
アンリ・ミショーのことをこちらで
初めて知りました。

どこかで見たことがあるような気も
しますが、記憶にありません。

確かにカルティエ展より面白そう!
meme | 2007/07/12 9:32 PM
@memeさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

ミショーの作品は「絵画作品」と
呼べるかどうか果たして疑問ですが
観ておく価値は充分あるものです。

>どこかで見たことがあるような
これこそミショーの世界。
どこかできっとご覧になっています。
類型を。
Tak管理人 | 2007/07/13 9:56 PM
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