青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「ル・コルビュジエ」展パブリックプログラム“私とル・コルビュジエと住宅建築” | main | 「アンリ・カルティエ=ブレッソン展」 >>

「美の競演− 珠玉の浮世絵美人展」

ニューオータニ美術館で開催中の
「大谷コレクション肉筆浮世絵美の競演− 珠玉の浮世絵美人」展



七夕の日から開催されている展覧会、観に行ってから随分と間が開いてしまいました。展示作品数は50弱。少しもの足りないような気もしますが全て大谷コレクションとのこと。出光さんへのカウンターかな?お金持ちの意地の張り合いの様相すら感じる展覧会ですが、下々の者には嬉しいこと。今回初めて大谷コレクションの肉筆画浮世絵拝見させていただきました。

葛飾北斎の作品が一点も無かったので出光さんより見劣りすること否めませんが、それでも浮世絵の祖、菱川師宣の作品から河鍋暁翠まで幅広く江戸浮世絵の歴史をコンパクトに俯瞰でき満足感は充分味わえます。

菱川師宣の「紅葉狩図」は後期(7/31〜)の展示だそうです。
ちょっと残念。

気を取り直して、出光さんでその良さに開眼した懐月堂でも。

懐月堂度辰「美人図

ここでもう一度おさらい。

吉原に程近い、浅草寺に店を構え人気を博した懐月堂。
その輪郭線の太い画風は一種独特の趣きがあります。
これは元々懐月堂は浅草寺に奉納する絵馬屋だったからではないか?
という鋭いご指摘が内藤先生からなされました。
なるほど、絵馬に描く絵に見えなくもありません。


参照:
「肉筆浮世絵のすべて展」(後期)
内藤正人氏の講演
 水曜講演会「浮世絵の美と芸術−出光コレクションの名品から」




勝川春章「立姿美人図
美しい弓なりの何とも艶かしいポーズ。
頭のてっぺんから足元の子猫まですーと
フリーハンドで弧を引いたような曲線美。
機械じゃ〜この魅力出せません。
「しなをつくる」まさに正統派の美人画。

この「立姿美人図」の近くに川又常正「文の滝図」が展示されていました。
画像がないのでイメージして下さい。
手紙(巻物)が同じような「ポーズ」でしなをつくっていました。
必見です、これ。(共に全期に展示)


松野親信「見立紫式部図

少し時代が後の勝川春章が同じく「見立紫式部図」描いており、
銀座松坂屋で開催された「石山寺と紫式部展」に出展されていました。
画像も載せてあります。見比べていただけると違いは一目瞭然。
どちらがお好み??

個人的には「文机」に思い入れがあるので
堂々と描かれているこちら(大谷)の作品に軍配を。

カラダで感じる源氏物語 (ちくま文庫)
「カラダで感じる源氏物語」 大塚 ひかり

出光美術館で惚れ直した礒田湖龍斎の作品も二枚ほどありました。(以上)

で、梅雨明け間近、夏もすぐそこ。夏といえば蛍。

北尾重政「ほたる狩図

蛍はどこに??とガラスケースに顔を近づけて見てみると…
あまりにもリアルに蛍が描かれていてちょっとビックリ。

蛍って既に現代人のイメージの中では記号化されてしまっていて
ほんわりと光る丸いあかりさえあればそれでいいのだと痛感。
本物を見た通りに描いたもの観て「ちょっとビックリ」するようじゃ、
本物を見せると子供がギャーギャー騒いで収拾付かなくなるのと同じ。
反省。

酔夢亭蕉鹿が描いた「ほたる狩図」も同じ、もしくはこれ以上。。。

「雪村展」のチラシやポスターに使われていた「見立琴高仙人図」

琴高仙人は中国の伝説の人で琴の名手、仙術を使い鯉の背に乗って現れるというなんとも派手派手なお人。

礫川亭永理の同じモチーフの作品がありましたが、、、
雪村の「見立琴高仙人図」とは大違い。
ピンク色の着物に身を包み鯉にまたがる更に上をいくお姿。
しかも足元に描かれた浪もとっても粘着性の高そうなもの。
礫川亭永理ってどんな人物だったのか知りたくなります。

歌川派の肉筆浮世絵はかなり充実していました。
数も一番多かったかな。
その中でも圧倒的な迫力をもってお客さんの度肝を抜いていた作品がこちら。

歌川国長「美人立姿図

大女。
現物を是非会場で。
等身大あるんじゃないかな〜とにかく巨大。

追記:かみさんが教えてくれました。
今、テレビドラマで「山おんな壁おんな」という番組やっているそうですね。
山おんな壁おんな 1 (1)
「山おんな壁おんな」 高倉 あつこ
伊東美咲とは全然違うけど…江戸時代がこれが美人だったのでしょう。。。

この他、鈴木其一が描いた肉筆画浮世絵「吉原大門図」(とっても賑やかな作品)や河鍋暁斎の娘さん、河鍋暁翠が描いた顔が幼い「地獄太夫図」などもあり見応え700円分はたっぷりありました。

それでは「今日の一枚

窪俊満の「雪中二美人図



この作品にデジャブ感じません?
私は感じました。その正体はこれ。


上村松園「牡丹雪
山種美術館コレクション展(後期)に出展されていたので
まだまだ記憶に新しくすぐに思い浮かびました。
ちょいと調べてみると、松園さんかなり浮世絵から
モチーフを得ているようで、構図や趣向が似てくるのも当然かと。

松園さんの作品はスッキリしていますよね。
贅肉全く無い感じ。
逆に窪俊満の「雪中二美人図」は野暮ったい感じも
しますが、それもまた味。傘が多き過ぎるだろ〜と
突っ込み入れつつ足元から雪を踏む音が聞こえてきそうな一枚でした。

初期肉筆浮世絵―絵入
初期肉筆浮世絵―絵入
岸田 劉生

この展覧会は8月19日までです。
この記事に書いたほとんどの作品は全期通して展示されています。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1084
浮世絵は、「浮き」世(うきうきと楽しい世の中)を描く絵という意味を持ち、17世紀から19世紀にかけて江戸庶民の人気を博しました。
それらは大量に流通する「版画」と個人の注文に応じて制作する「肉筆画」に大きく分けることができ、描かれる題材としては、大衆の関心の的である遊里の美人、娯楽である相撲の力士や歌舞伎役者が選ばれました。
当館が収蔵する「大谷コレクション肉筆浮世絵」は、筆でひと筆ずつ描きながら仕上げられた絵画作品です。
250年におよぶ江戸の各時期を網羅するこれらの作品群は、その美しさが際立って見えるように工夫された女性たちを描き出した美人画で構成されており、江戸の享楽の場のひとつであった、吉原をはじめとする遊里に生きる遊女や芸妓を主な題材としています。
ひとくちに江戸の美人画といっても、描かれた容ぼうや体つきには、時代による美意識の変化が見られます。江戸時代を通じて描き出された彼女たちの姿からは、いかに多くの美の基準が現れては消え、消えては現れたかを知ることができます。
本展では、当コレクションの美人画を、時期や流派ごとに展示することで、その変遷をご覧いただきます。
重要美術品2点を含む、充実した肉筆浮世絵のコレクション約50点をお楽しみください。

展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(5)

この記事に対するコメント

こんばんは。美人画は良いですね。
窪俊満の絵にはあちこちの肉筆画展で惹きつけられています。
とら | 2007/07/24 11:13 PM
たしかに蛍の表現が記号化されていませんね。
ak96 | 2007/07/25 12:05 AM
こんばんは。
この前モーニングを読んでいたら、懐月堂凋落の原因となった絵島生島事件が登場してビックリしました。
蔦屋重三郎を主人公にした連載も始まり(でも出来は微妙。。。)、江戸絵画ブームはマンガにも波及するか!?という勢いです。
mizdesign | 2007/07/25 12:51 AM
Takさん、こんにちは!
出張お疲れ様です。
投稿予約で5日分てことは、出張の前の忙しい時間をぬってこういう内容の濃い記事を5つ書き上げたってことですよね?超すごいです。

ところで、私もこれ見てきました!
勝川春章の《立姿美人図》は絵葉書も買ってきました。
とても浮世絵の美人図〜!て感じがする、文句なしの美人っぷりですよね。

《雪中二美人図》も私も同じこと感じました〜!
傘の見せ方が似てる…と思ってたら、松園は浮世絵からも学んでいるということなのですね。松園の描く”美人図”もどれも大好きです。

美人をたくさんみたら私も美人になれないかしら…。
はな | 2007/07/25 10:22 PM
《雪中二美人図》もですが、春章の《初午図》に
松園の『母子像』を思い出しました。

鈴木其一の「吉原大門図」も楽しいですね。
これだけの画力ながら抱一の下に位置する
其一に最近興味津々です
るる | 2007/07/29 7:47 PM
@とらさん
こんばんは。

良いです。
特に自分の好みのツボだったりすると尚更。
江戸美人にも見慣れてきました。

@ak96さん
こんばんは。

ですよね。
あれでもかなり記号化されかかっていますが
まだまだ虫虫していますものね。

@mizdesignさん
こんばんは。

モーニングってほんと美術ネタ多いですね。
しかも幅広い!
江戸絵画ブームはこれから益々、
広がりをみせていくことでしょう。
これまた楽しみです。飽きません。

@はなさん
こんばんは。

>出張お疲れ様です。
ありがとうございます。
先程やっと帰ってきました。
東京駅降り立つと思ったよりも
涼しくてビックリ。
雨が降ったようですね。

>5つ書き上げたってことですよね?
はい。行く前に必死に3時間集中して書きました。
内容は…薄っぺらです^_^;
誤字も多いし。訂正しなくては。これから。

ホテルの中の美術館って雰囲気落ち着いていて
いい感じですよね。都会の真ん中にあるとは
到底思えません。時が経つのを忘れさせます。

松園と浮世絵との関連調べたらとっても
面白そうですね。でもこれ以上手を伸ばしても
共倒れになってしまうので(既になってるか…)
やめておきます。はい。

@るるさん
こんばんは。

抱一好きなるるさんなら
其一はきっときっと好きになって当然の流れかと。
プライスコレクションにあった其一の作品が
忘れられません

松園からみ他にもありそうですね。
その視点で浮世絵見たらまた違った
楽しみ得られるかもしれませんね。
Tak管理人 | 2007/07/30 10:41 PM
Takさん、こんばんは
遅れちゃいましたが、TB送らせていただきました。
やっぱり出光さんへの対抗でしょうか?でも良い作品が見れるのは嬉しいこと。
私は後期展時の「舞踊図」の寛文美人が見れて満足でした。
アイレ | 2007/08/27 10:25 PM
@アイレさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

出光さん頑張っていますからね。
大谷もこれだけ持っているぞ!と
出してみた感じがしました。

「舞踏図」がご覧になれたのは羨ましい!
サントリーのものとはまた違った感じでしょうか。
Tak管理人 | 2007/08/27 10:39 PM
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://bluediary2.jugem.jp/trackback/1084
この記事に対するトラックバック
 肉筆浮世絵も、ボストン、出光とすばらしいものを観てくると、大谷コレクションも見たくなってくる。ホームページには約50点の出品となっているが、実際に観られる浮世絵は44点と少なかった。美術館の3分の1は空いていて別なものでそのスペースを埋めているのだから、
大谷コレクション肉筆浮世絵 美の競演−珠玉の浮世絵美人 2007年7月7日から8月19日 (前期は7月29日まで、後期は7月31日から) ニューオータニ美術館 大谷コレクション。ホテルニューオータニの創業者である大谷米太郎翁(1881−1968)のコレクション。その多くは、京
ホテルニューオータニのニューオータニ美術館で開催中の「大谷コレクション肉筆浮世絵 美の競演―珠玉の浮世絵美人」展を見てまいりました! 会期は7月7日~8月19日です。まだやってるよ~! ここは全然広くないし、ミュージアムショップが充実してるわけでもない
美の競演 珠玉の浮世絵美人 | はなことば | 2007/07/25 10:12 PM
2月あたりから楽しみにしていた 大谷コレクション肉筆浮世絵展の前期に行ってきました。 250年の浮世絵を年代順に展示。 出光とは違った感覚のコレクションで1人の人間が集めた と云う感じがとても感じられました。 今回の収穫は『蚊帳美人図』無款(葛飾
大谷コレクション肉筆浮世絵 美の競演−珠玉の浮世絵美人8月7日 ニューオータニ美術館(会期終了)  久々にニューオータニ美術館へ行ったので、迷子になってしまいました(´・ω・`)というのも、大谷コレクションの肉筆浮世絵を見に行ったからなんですね。  
大谷コレクション肉筆浮世絵 美の競演 | 青色通信 | 2007/08/27 10:04 PM