弐代目・青い日記帳 

  
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「若冲とその時代」展
千葉市美術館で開催中の「若冲とその時代」展に行ってきました。



展覧会の構成は以下の通り。
・イントロダクション
・第1部 若冲の時代 みやこの画家たち
・第2部 若冲の時代のハイカラ趣味 南蘋派の画家たち
・第3部 そして若冲 色に墨に浸る


出品リストを単純に数えてみると作品数ご覧の通り。
・イントロ1点
・第1部…22点
・第2部…27点 
・第3部…9点 

これだけ揃っていて200円は安過ぎ。
交通費考えてもコストパフォーマンスは他と比べ群を抜いています。
おまけに同時開催している「都市のフランス 自然のイギリス」展のチケを買えば、「若冲とその時代」展は無料というのですから、まさに夏の夜の夢のよう。
有り難や、有り難や。

それでは200円の展覧会の中身見ていきましょう!
まずイントロダクションとし展示されている一点はこちら。

伊藤若冲「鸚鵡図
千葉市美術館所蔵のこの作品、幾度かお目にかかったことありますが、
今回のように「大役」を任されて展示されていると違って観えるから不思議。

鸚鵡さん胸を張って姿勢よく止まり木に脚をかけています。
人間でも鸚鵡でも姿勢って大事ですね。見た目からして違います。
威風堂々たるこの姿。「暑い〜」とうなだれながら入室してきた自分に
渇を与えるが如く、また「暑いときこそシャンとしなさい!」と自ら
身をもって示しているようでもあります。このオウム君。

しばらく観ないうちに「大人」になったの〜

「動植綵絵」の中の一枚「老松鸚鵡図」にも決して引けをとらない
威厳があり立派な姿で鑑賞者を出迎えてくれます。


我が家のオカメインコ(インコと名前がついていますが、実はオウム科です)もこれくらい凛としていればいいのだけれど…

この写真一枚撮るのにどれだけ苦労したか、、、超臆病な鳥です。
カメラを向けただけでも怖がります。シャッター音にもビクッと。
君には「イントロダクション」はとても任せられないな…

閑話休題。
さて、さてこの「鸚鵡図」他にも2点ほどあるそうです。
一枚はボストン美術館、もう一枚は和歌山県、草堂寺。

三羽揃いで観たいですよね、どうせなら。

左からボストン、草堂寺、千葉市美術館。
やっぱこう観ても一番立派かな千葉市美術館のインコじゃなくてオウム.

さて、鸚鵡君にお別れして第1部 若冲の時代 みやこの画家たちへ。
実はこの展覧会ここのセクションが一番凄いかもしれません。

奇想の画家として若冲と共に取り上げられる長澤蘆雪や曾我蕭白がそれぞれ三作品ずつ展示されています。他にも同時代の大家、円山応挙をはじめ呉春、池大雅、松村景文らの作品も。これらがほとんど千葉市美術館の所蔵品というのですがら驚きです。

その中でも断トツなのが芦雪(長澤蘆雪)!!
「Takさんまた、ろせつですか〜」と言うことなかれ。
府中市美術館の感想でも同じパターンで確かに書きました。
それに正直、芦雪好きなのも確かなこと。
でもね、贔屓目じゃなくても今回の三作品それぞれ味があってキレもある。
意中のビールに出逢えたようなこの快感。


芦雪の「花鳥蟲獣図巻
巻物としてはさほど長くはありませんが、ご覧の通り濃密。

↑の画像の中にワンコが二匹いるのですが、お分かりになりますか?
一匹は中央で横向いています。地面の蟻さんにヒョイと手を出す瞬間。
目つき鼻つきが何か企んでいそうです。
もう一匹はその右側に植物の隙から顔をこちらに覗かせています。
チョーつぶらな瞳してます。←これからご覧になる方ここ大注目です。

薔薇の赤い棘が控え目ながらこの作品をぎゅっと締めている様子です。

花鳥蟲獣図巻」雀たちも乱舞しています!

かわいいな〜小鳥好きにはたまらない場面。

「花鳥蟲獣図巻」はご覧の通り写実性を重視した作品ですが他の二点はこれとは趣きを異にします。三幅からなる「松竹梅図」右から「竹」「松」「梅」の順で展示されていました。普通ならこういう揃いものって同じように描きますよね?でも芦雪さんは違います。それぞれの雰囲気はバラバラ。でも三枚揃うと何故かしっくりと収まるところに収まるというマジカルな作品。注目は「松」。一番へなちょこです。笑っちゃいます。乾山風といえば聞こえは少しはいいかな?

三枚目は「群仙図」六曲一双の屏風絵。「群仙図」自体は他の絵師さんも多く描いているのできっと皆さんもそれぞれ頭の中にイメージが浮かんでくるかと思いますが、それを見事に打ち砕いてくれるのが芦雪さんの「群仙図」です。

ミズマアートギャラリーで開催された山口晃「ラグランジュポイント」や上野の森美術館での「アートで候。」展にも出展されていた、武士たちのパノラマ作品ありましたが、あれに通ずるものがあります。っというか山口さんのルーツここにあり。って感じです。あの作品の後ろの方に描かれている人、小さくてほとんど見えませんでした。山口さんも「後ろの方は丸描いてちょんです」と仰っていたのが頭に浮かびます。

芦雪の「群仙図」向かって右手からぞろぞろと仙人さんたちが左側へ列を成して歩んでいる図です。はるか後方は小さくて顔なんてまさに「丸描いてちょん」状態。しかも「花鳥蟲獣図巻」をあれだけ写実的に描いた同じ人物が描いたとは到底思えないほどの力の抜け具合。こういう点がお師匠さん応挙とは違っていて芦雪の芦雪たる所以かと。思わず絵の前で「ゆるいな〜」と声上げてしまうこと間違いなしです。

応挙は「鯉図」が見ものですよ!
滝を登る鯉の姿「未知との遭遇」のワンシーンのようです。

蕭白は「虎渓三笑図」がイチオシ.
定規用いて描いたような作品です。人物は豆粒程。
真っ直ぐ勢いよく落ちる滝にそこはかとない力を垣間見ることできます。

そうそう、このセクションには「金刀比羅宮 書院の美展」でも展示されている岸岱の作品もありました。やっぱり蝶の絵でした。「群蝶図」こちらはキャノンさんの複製ではありません。

やっと第2部 若冲の時代のハイカラ趣味 南蘋派の画家たちです。
実はこの展覧会ここのセクションが一番良いかもしれません。

ってさっきも同じようなこと書きましたが、ちょいとニュアンス違います。
若冲をはじめ、当時の絵師が影響を強く受けた南蘋派の作品が展示されています。
熊斐文、宋紫石、諸葛監等など。

南蘋派の作品展示が若冲とどう関係するのか?2001年に千葉市美術館で開催された「江戸の異国趣味−南蘋風大流行−」展の展覧会趣旨から一部引用します。

 享保16年(1731)、長崎に一人の中国人画家がやってきました。彼の名は沈南蘋 (1682〜1760〜?)。彼の画風は本国の中国ではやや時代遅れになりつつありましたが、その精 緻な描写と濃密で華麗な彩色により、当時の日本絵画に非常に大きな影響を与えました。直弟子 熊斐(1712〜1772)を経て長崎から上方へ、そして江戸へと南蘋の画風は広まりました。 折からの博物学の流行もあって写実的な描写が喜ばれたのです。
 その影響は「長崎派」と称される、南蘋風を専らにした画家に限りません。奇想の画家として 近年注目を集めている伊藤若冲(1716〜1800)も南蘋風を通過して自らの画風 を築きました。写実的でかつ装飾的な画風によって近代日本画の源流となった円山応挙も若い時期南蘋の画風に学びました。


東博の「プライスコレクション展」に関連する講演会で「沈南蘋」の与えた影響の大きさや「長崎派」と都の絵師との関連などを拝聴しました。その時スライドで拝見したような作品=「プレ・若冲」のような作品が目白押しです。

また、岡本秋暉の作品をこれだけまとめて観たのは今回が初めてでした。
百花一瓶図」など目茶苦茶上手くてビックリ。

南蘋派の画家たちの描いた作品を身体全身にシャワーのように浴びていざ若冲へという展示構成になっています。第3部 そして若冲 色に墨に浸るです。

待ってました!!と意気込んで「若冲ルーム」に入ると…
ちょっと(かなり)拍子抜け喰らいます。

版画も含め9作品が一堂に会しているのですから若冲好きにはたまらないはずなのですが、普段若冲に接した時に感じる高揚感やわくわく感が残念ながらわいてきません。若冲の作品は決して悪くないんです。

伊藤若冲「旭日松鶴図」 

鶴の足元の松の幹、蛸みたいだ〜

っとはしゃいでみたり、

これ観て「エビマヨマヨ♪」なんて歌い出したりしたいのですが…
伊藤若冲「海老図

どうも今回はそんな気になれませんでした。
もう既に第1部と第2部で全精力使い果たしてしまって
若冲ルームに到着した頃には抜け殻状態なわけです。はい。

エクトプラズムは前展示室で全て出し尽くしてしまいました。

若冲好きの方はお出迎え鸚鵡を見た後は、他は素通りし、最後の展示室からご覧になるのが宜しいかと。そうすればきっと「月夜白梅図」も「気の抜けた炭酸飲料」のようになんて見えないはずです。

月夜白梅図
お月様を梅の枝が手を伸ばし掴もうとしているように感じました。

因みにバークコレクションと「動植綵絵」にある同じような作品と見比べると確かに気泡のような梅の花は数少ないですが、逆に「月夜白梅図」はお月様が主となっているようにも見えるのでこれはこれで見応え充分あるのですけど…

 
左:バーク・コレクション「月下白梅図
右:「動植綵絵」の中の一枚「梅花皓月図

こうして自宅へ帰ってあらためて「月夜白梅図」を観ると上にあげた二枚とは違った風情があり、まるで別の作品の如く愛でることができます。ただ展覧会の会場ではとにかく芦雪や南蘋派の画家たちの毒にあてられて、まともに若冲を鑑賞することできませんでした。意外と若冲って繊細なんだな〜と今回の展覧会で気付かされました。これが一番の収穫かな。

「長沢蘆雪と三つの短篇」 田靡 新

それでは「今日の一枚

画像なくてすみません。伊藤若冲「雷神図

芦雪や南蘋派の画家たちの毒に唯一負けない作品です。
直球勝負ではありません。魔球です。


9月17日まで開催されています。お見逃し無く。

今月25日には「コレクション理解のための市民美術講座」で今回の展覧会を企画された学芸員の伊藤紫織氏の「伊藤若冲」についての講演があるそうです。(午後2時より、11階講堂にて。聴講無料、先着150名)

もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品 (ABCアート・ビギナーズ・コレクション)
もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品 (ABCアート・ビギナーズ・コレクション)
佐藤 康宏

伊藤若冲『動植綵絵』人気投票やってます!



この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1102
江戸時代中期の京都で活躍した伊藤若冲(1716−1800)。
独特の形態感覚は現代にも通じる美意識で、近年若冲ブームが起きています。
今回の展覧会では寄託品・所蔵品の伊藤若冲作品8点を中心に、若冲の出現と関連する南蘋派の作品、同時代の曾我蕭白・円山応挙・長沢芦雪らの作品、若冲以後の花鳥画の作品(岡本秋暉など)を紹介します。

| 展覧会 | 01:14 | comments(14) | trackbacks(5) |
いつも素敵な情報有り難うございます。こ、これは行ってみたいかも? 夏の他の予定に絡めて狙ってみたいですね。
| alice-room | 2007/08/11 8:29 AM |

こんにちは。
随分と充実した展示ですね。
200円ということは所蔵品と寄託品で構成されているのでしょうが、こんなにあるんですね。
お盆はこちらと五浦と都内で応挙ツアー(by いづつやさん)に行ってきます。

でもその前に暑気払いですね(笑)。
| mizdesign | 2007/08/11 11:41 AM |

200円?これ200円なの?!
行きます、ぜひ行ってきます!
千葉県民になったメリットがここでやっと活かされる(笑)
(最大のメリットは、成田空港が近いことです^^;)
オススメどおり、最後の展示室から見てみます。
この「旭日松鶴図」、いかにも若冲らしい精緻さでいいですわー。

先日、西本願寺で「鴻の間」を見てきて以来、
日本の大型鳥類を描く作品に心奪われているんです。「美しい国・ニッポン」って感じ。
| 秋津(Arthur-co. in mixi) | 2007/08/11 2:14 PM |

行きたいけど、行けない(涙)。
芦雪のワンコ2匹が可愛すぎる〜。

若冲の海老図も面白いですが、魔球の雷神図は素晴らしいんでしょうね。
いいなぁ。

| meme | 2007/08/11 8:14 PM |

@alice-roomさん
こんにちは。

千葉市美術館は辻先生、小林先生と
歴代館長を観れば自ずと所蔵品の
素晴らしさ知ること出来ますね!

@mizdesignさん
こんにちは。

こんなにあるんです!と
自分でも驚きました。
展示室の一画でちょこっと
開催しているだけかと思っていたので。

いづつやさんと応挙ツアー!
それはまた楽しそうですね。

@秋津さん
こんにちは。

そうなんです。200円なんです。
千葉市民があまり行かないことで
有名な?美術館ですが行かないと
もったいないですよね。こんなに
作品を一度に見られるの中々ないです。

都内なら激混です。きっと。

>西本願寺で「鴻の間」を見てきて以来
おーー行かれましたか!
まだ一度も見たことないんですよ。
いつでも観られると思っていると
いつになっても行かないものです。

@memeさん
こんにちは。

ワンコずるいですよね〜
ほかの場面でもころころと。。。

魔球は素晴らしいというか
自然と笑みがこぼれてしまう
そんな作品です。
| Tak管理人 | 2007/08/12 9:12 AM |

うわあ〜
岡本秋暉一枚じゃないんですね!!
楽しみです!平塚での展示を見逃して、松岡で一枚観たきりだったので
楽しみです!
| るる | 2007/08/12 11:22 PM |

こんばんわ。
なんのかんのと若冲関連の展示が続いてくれてうれしい限りです。
今回は寿老人と雷神にやられてしまいました〜。
あれもポストカード出してもらいたいものですね。
| あおひー | 2007/08/13 7:36 PM |

@るるさん
こんばんは。

楽しんでこられましたでしょうか。
岡本秋暉は現在東博の常設展でも
一枚立派な作品が展示されています。
画像アップしておきますね。

@あおひーさん
こんばんは。

昨日はお疲れ様でした。
ポストカード欲しかったですね。
それと図録も。
秋には佐野で若冲見られますよ!
| Tak管理人 | 2007/08/13 10:54 PM |

こう3枚の月夜白梅図を並べると圧巻ですね。
私はあのポツポツとした花弁をみていると
全身にジンマシンが出てくるようで、痒くなります。
| 一村雨 | 2007/08/16 5:26 AM |

@一村雨さん
こんにちは。

私には梅の花がサイダーの泡のように見えます。
シュワシュワしている感じがします。
でも、確かに痒くなりそうな気も……
| Tak管理人 | 2007/08/17 11:15 AM |

こんばんは。
行ってきました。
200円でこの内容なら文句なしですね。
雷神図は確かに魔球でした。

これで県立美術館が良くなれば、アートスポットとして千葉市も欠かせない存在になりますね。
| mizdesign | 2007/08/23 12:04 AM |

@mizdesignさん
こんばんは。

安いですよね。
驚きの価格設定。

佐倉の川村美術館が今、改築していますので
来年になればまたこの辺も充実するかと。
「深海魚展」も再び!
| Tak管理人 | 2007/08/24 9:51 PM |

今更ですが、明日都合が合えば行ってこようと思いつき、
とりあえずたけさんのブログで事前学習をしようと
読ませていただきました・・・w
たけさん、面白すぎです!(*▽*)
随所で笑いがこみ上げてきてしまいましたヨ!
特に・・・「気の抜けた炭酸飲料」・・・www
わかる気がします!!!言われてみて、
そういえば!とはっとしました(笑)
ちょっと千葉まで遠いですが気分転換を兼ねて足を運びたいと思います。
| あい | 2007/09/10 12:40 AM |

@あいさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

笑ってもらえるのが一番嬉しいです。
難しいこと書けませんからね。
若冲と展覧会に名前ついていますが
若冲はあまり期待しないで行かれるのが
よろしいかと思います。
それよりも芦雪です。芦雪!

楽しんで来てくださいね。
美術館の帰りにはここがお勧めです。
http://vermeer.jugem.cc/?eid=876
| Tak管理人 | 2007/09/10 11:30 PM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/1102
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法隆寺金堂内陣は、普段は大変暗い上に太い円柱に加え、金網が廻らされており、その詳細はなかなか見ることができません。今までに撮影された写真も鮮明さということでは満足のゆくものではありませんでした。今回は最新の撮影技術により、南面(正面)のみならず、北面(背面)からも撮影。その結果、全く見たことがない写真を目の当たりにすることになりました。仏像の質感と量感、豊かな色彩に感嘆し、感動をおぼえる一冊となっています。
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不肖・私がフェルメール30作品の解説執筆と全体の編集に携わった一冊です。オールカラーB5版。96ページから成る、これまでにないフェルメールパーフェクトガイドです。主に「フェルメール初心者」に向け丁寧に噛み砕いた表現で綴られているので、美術の専門用語を知らずともフェルメール作品について一通りの知識を得ることが出来ます。

お手に取って頂ければ幸甚です。よろしくお願い致します。
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日本美術のことば案内 (JUGEMレビュー »)
日高 薫
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日本美術鑑賞の際に、よく出てくる言葉を満載。絵画、彫刻、工芸品などの具体的な写真をふんだんに使い紹介
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