青い日記帳 

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「水と生きる」展(後期)

サントリー美術館で開催中の
「サントリー美術館 開館記念展供/紊叛犬る」展に行って来ました。
前期の感想はこちらです。



後期の目玉はポスターにも使われている円山応挙「青楓瀑布図」

立秋を過ぎてもまだまだ日中は35度を上回る暑さ。
そんな暑い夏、一服の清涼剤代わりに応挙の瀧の絵でも。

「青楓瀑布図」は1787年応挙が55歳の時に描かれたものだそうです。
厳かな形を持たない水の一瞬を捉えイメージし形を与える。
水飛沫をあげる瀑布の絵は他の絵師さんも多く描いていますが
それぞれ違った絵に仕上がっているように思えます。

尤もそれは当然といえば当然。形なき水に己の感性のフィルターを
通して「見えた」姿を筆を通して描き表しているわけですから。
だから同じ応挙が描いた瀧や水の絵でも大きくは変らずとも
それぞれ違った表情が見て取れるのはこれまた自明のこと。
翻っていえばその時々の心象が表されると言っても過言ではないかと。

果たして応挙はどんな気持ちでこの瀑布の絵を描いたのでしょう。
そんなことが妙に気になってしまいました。

青楓瀑布図」1787年

ひとつだけ言える事は、単なる一風景として瀧の絵を描いたのではないであろうということです。今回の展覧会を観てもそうですが、古くから日本人は水への感心が非常に高かった民族です。水への想いとも言ってよいでしょうか。それは一般的によく言われる通り、例えば「雨」ひとつとっても、五月雨、にわか雨、時雨、霧雨等など数え上げたらきりがないほど雨に関する表現が多く存在します。
(これだけ毎日暑い日が続くと慈雨でも降って欲しいものです)

また国土の大部分を山で覆われている国です、生活の場は海、湖、川の傍の平坦な場所に自ずとなります。地名に「津」が付くと水辺を表すと昔教えてもらい、なるほど〜と納得した覚えがあります。地名や名前をざっと見ても如何に水との関わりが強固な民族かが分るかと思います。だからこそ名所に水辺が多くあるわけです。歌枕もまた然りです。

それだけ身近でしかも信仰の対象になり得た水です。象徴性が強く表れるのももっともなことだと言えます。応挙の絵を見てもそうですが、流れ落ちる滝本体部分はほとんど何も描かれていない状態です。真っ白な部分が大半を占めています。それで良いわけです。描かずとも鑑賞するものの心の中には見えるのですから。

水は描かずとも「楓」だけ添えてあげれば立派な滝の完成です。観る者に共通のイメージがあれば姿かたちは別段描かずともok.会田誠さんが「滝の絵」が描けないと嘆いていらっしゃいました。現代人は共通の同じイメージを共有できません。画家泣かせな時代です。

ところで、この那智の滝の動画10秒足らずですが
応挙の作品のイメージに近くありません??


後期展示では、もうひとつ素晴らしいものが展示されています。


雨流水芭蕉文様小袖 白縮緬地

描かれている川は竜田川でしょうか。
なんとも涼しげではないですか。

拡大してみると更に清涼感が伝わってきます。


館内の冷房温度少し高めに設定しても展示作品がこれだけ
涼し気であれば体感温度もかなり違うかと。。。
クールビズなんて変てこな格好しなくても済みそう。

水を古来愛で、仲良くし、生活の中に上手く取り入れてきた知恵を
テクノロジーに頼るばかりでなく生かしていければ温暖化も少しは
歩みを緩めることが出来るのでは…何て大仰なことまで頭にふと。

他にも良い作品、たくさんあったのですが、今日は記事全体を
涼しげに見えるように構成したので涙を飲みつつ割愛。

今月19日までサントリー美術館で開催しています。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1105
日本の豊かな自然環境の源といえる「水」をテーマに、日本美術に見出される様々な「水」の表現をご覧いただきます。そこに見られる、日本人の水に対する独自の完成や水に託した心情表現を通して、水を大切にしてきた、日本の水の文化をたどります。暮らしに欠くことのできない身近な水から、日本の伝統を振り返ります。

展覧会 | permalink | comments(10) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

那智の滝の動画ありがとうございます、これで応挙の滝のイメージが一挙にすばらしくなりました。
ちょっと恥ずかしいのですが、あの滝の絵を見て滝つぼの真っ黒い岩が動物か何かに見えてしまって、先へ進まなくなってしまったのです。この動画にちゃんとありました。黒い岩が、アット、やはりあれです。
これで応挙の絵が迫ってきました。もう一度見に行ってきます。
supika | 2007/08/14 9:17 AM
Takさん
続けて失礼します。
初サントリー美術館でしたが、器といい
今までにない企画といい、今の時期にピッタリな
素敵なイベントだと思いました。

私も江戸期の女性の着物に魅せられました。
今でしたら、歩くアートですね。
見られることを楽しむ。粋だなぁと思いました。
しかもそんなにお金もかけずに、
絞りも「絞り風」にしたり。
庶民感覚で楽しめるに親しみと好感が持てました。
(今回は有名どころも少なかったですし)

Takさんのレポを拝見して涼しくなりました♪
rico | 2007/08/14 11:18 AM
おおお〜!
Takさんの文章で、私の中にあった「不思議」が明瞭化されたような気がします。
そうなんです、応挙の滝、真ん中にはなにもないんですよね。
それなのに滝を感じる不思議さ。
私の中にある「滝」を呼び起こされてるんですね。
ふむふむふむ…。
て、なんか、独り言じみたコメント残してすみません+_+;
はな | 2007/08/14 10:49 PM
こんにちは
青楓瀑布図、素晴らしい記事ですね。暑くて何も書く気がおこらない今日この頃です。
ak96 | 2007/08/14 10:56 PM
@supikaさん
こんにちは。
コメントありがとうございます。

応挙の滝の絵と同じような写真はあっても
音と迫力が動画の比ではないので探してみました。
あるものですね。you tubeにはなんでも。

私も最初、クマが真ん中で滝修行でも
しているのかと思いました!
そんなことないですねよ……

@ricoさん
こんにちは。

サントリー美術館さん六本木にありながらも
森美術館などとはまるで違う路線を坦々と
進まれているようで好感が持てます。

この展覧会も微妙に時季を変えて三期に
分けて展示されていました。
「その時季に合ったもの」が現代では
失われつつあるので、季節感を取り戻す意味でも
大変よい展覧会だったかと思います。

水に関わるとついつい文章だらだらしてしまいます。。。

@はなさん
こんにちは。

実際に目の前にあるものをいくら写実的に
描いたとしてもどことなくうそ臭く
なるのではないかと思います。
特に滝なんて一瞬を目では捉えられませんからね。
心にあるものを描くのなら千差万別それぞれに
対応するためにいっそ何も描かないという手もありかと。

見えないものを見せる技量を感じました。

@ak96さん
こんにちは。

恐れ入ります。
だらだらと思いつくままに綴ってしまいました。
読み返したら冷や汗が。。。これでまた涼しくなりました。
Tak管理人 | 2007/08/15 8:52 AM
「雨流水芭蕉文様小袖」は近くで見ると縮緬だし以外に重量感のある着物でしたね。
刺繍や繊細で寒色で纏め上げた上品な染付が軽やかに見せるのでしょうか?
若いようで、渋い様な・・・・どんな人が羽織ったのか妄想が高まります。
るる | 2007/08/16 6:54 PM
稚拙な拙ブログの拙いエントリーへのTB、まことに恐縮でございます。
那智滝ははるか昔見て結構印象が残っていますが、青楓瀑布図が那智滝を描いていると思えば思えないこともないですね。
余白の美、描かないことの美、ということも感じます。
ところでTakさんは、展覧会を観ながらメモをされているのですか。涙を飲みつつ割愛されるほど、書く材料はたくさんあったのでしょうね。
私は忘れっぽいのにメモをほとんどとらないので、きわめていい加減なことしか書けません。お恥ずかしい限りです。別に「書かないことの美」を追求しているわけでは、ないに決まってますが!
悠歩 | 2007/08/16 9:55 PM
@るるさん
こんにちは。

どんな人が羽織ったのでしょうね。
それ自分も会場で想像していました。
間近で観ると重量感すら感じる不思議さも
兼ね備えていて飽きさせない優品でした。

@悠歩さん
こんにちは。
コメントありがとうございます。

メモは「良い」とか「好き」とか
その程度です。メモ帳に書くのが
面倒な時は作品リストに直接書き込んでいます。
ただし、これは!という作品がたまにあると
それに関しては思いつくことをやはり単語で
つらつらと書き綴ります。
ただし記事にまとめる時なにが書いてあるか
また時間が経つと会場との温度差で感想も
変化してしまうこと多々あります。

文はダラダラ書くよりも一文にいかにして
まとめるかを念頭に置いていますが、
うまくいかないものです。。。

今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2007/08/17 11:26 AM
Takさんこんばんは。
青楓瀑布図はもちろん、思わぬところに佐竹本などが出ていて楽しめました。
さすがにサントリーは良いものを持っていますね。

それにしても応挙の滝はどれも巧いなと思います。
ただ何故かこの絵を見ていると「流しそうめん」が食べたくなってしまいましたが…。
はろるど | 2007/08/17 10:55 PM
@はろるどさん
こんにちは。

流しそうめんーーー爆笑。
取れないって!
でもやってみたいかも。

水をテーマにして作品を集めると
これだけ幅広く色々集まるものだなと感心。
やはり日本は「水の国」ですね。
Tak管理人 | 2007/08/19 12:00 PM
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