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「グランマ・モーゼス展」

渋谷Bunkamuraで開催中の「グランマ・モーゼス展」に行って来ました。



新年最初の展覧会は通いなれたBunkamuraにしました。

「グランマ・モーゼス展」は新年2日から始まり30日には
終ってしまう会期の短い展覧会です。
そしてまた、不思議な展覧会もでありました。

不思議の不思議たる要因は、二つの感想を持てる事です。
「続きを読む」以降に二つ目の感想を書きますので
これから行かれる予定のある方は、そちらはまだ
読まれない方が宜しいかと思います。マル秘
グランマ・モーゼス(アンナ・メアリー)について既に詳しくご存知の方にとっては
なんて事はない当たり前の感想ですが。

では、グランマ・モーゼスについて知らないで正月気分で
観に行った私のまず一つ目の感想です。

春・夏・秋・冬と分かれて季節ごとの作品が展示されていますが
どの作品もピーテル・ブリューゲルが描くような農業や酪農に
携わる人々の様子を風景の中に描き込んだものです。


ブリューゲル「穀物の収穫」


ブリューゲル「鳥わなのある冬景色」

フランドル地方とアメリカ北東部の農村という違いはあっても
そこに描き出されている人々の様子はあまり変わらないように感じられました。

ブリューゲルの作品にもしばしば人間以外にも動物が描かれていますが、
グランマ・モーゼスの作品もまたそうで、馬や牛など必ずと言っていいほど
画面に登場していました。

人や動物の全く描かれていない、風景画が2,3枚ありましたが
人物が生き生きと描かれていた方が作品自体も生き生きしているように思えます。
そこで生活している人あっての「風景」なのだと思いました。

グランマ・モーゼスは70歳を過ぎてから絵を描き始めたそうです。
それも、誰にも習うことなく独学で。
そんなことからアンリ・ルソーのことも思い出しながら作品と向き合ってきました。

ルソーもまた、40歳を過ぎたことから独学で絵を描き始めた人です。
「教科書」に縛られない自由な描き方。
二人に共通しているように思えました。

遠近法や人物の位置による大小なんて気にしない、気にしない。
思うがまま、好きなように描く。
失うものは別になし。名声もいらない。
キャンバスからそんな雰囲気が伝わってきます。
絵を描く純粋な楽しさと共に。

「静けさに包まれて」という作品は印象派のような筆遣いの作品でした。
また、資料コーナーに4枚の刺繍絵が展示されていましたが、これが
とても良いです。「やさしいおばあちゃん」そのものを具現化しています。

70歳から101歳まで元気に戸外で村の人々や動物を上手いこと
風景に溶け込ませて描いた、優しさ溢れる作品がいっぱいの展覧会でした。

これが、一つ目の感想です。

二つ目の感想。
この展覧会の種明かしは↓です。

二つ目の感想です。

この展覧会を一通り観終えて、帰る前に
ビデオのコーナーが空いていたので
のんびりと椅子に腰掛けてぼんやりと解説のビデオを見ました。

このビデオに驚くべき真実が隠されていました。
全く知らずに展覧会をブリューゲルやルソーのようだと
比較しながら観ましたが、グランマ・モーゼスの描いた
風景は「幻」の風景だったそうなのです。

「幻」では説明が足りません。
例えば1955年に描かれた「格子縞の家」という作品。
クロアチアの国旗のような赤と白のチェックの外壁の小さなホテルが描かれ
周りには大勢の人々が描かれています。
とても活気に満ちた風景です。

ところが、このホテルは1907年に火事に遭い焼けてしまい、
グランマ・モーゼスの描いた1955年には姿形も無かったそうです。
モーゼスは自分の頭の中に残るこのホテルの思い出をキャンバスに
描き出していたのです。それも一番華やかな頃の。

その為に、雑誌の切抜きやパンフレット、新聞広告などなど
印刷媒体で資料となるものは小まめに切り抜きスクラップしていたそうです。
実際に参考資料としてこのホテルの切り抜きも展示されていました。
モーゼスの集めたものです。現在でも保管されているそうです。

そして、この手法はこの作品だけでなく、他にも全て当てはまるというのです。
ニューヨーク州のイーグル・ブリッジという農村の古き良き時代。
まだ村に人がたくさん住んでいて笑顔で毎日を送っていたあの時代。
春のジェナンドア渓谷。夏のフージック川。
秋のアップル・バター作り。冬の砂糖づくり。
描かれているもの全てがおばあちゃんの懐かしく忘れたくない
素晴らしい思い出の「風景」だったのです。

村は今では人も都会へ出て行き寂れてしまった。
でも想い出は色褪せない。
それをキャンバスに描いて残しておけたら何て素晴らしいことか。

子供たちも自立し、さてこれからの人生何をしよう。
そう考えた時、グランマ・モーゼスは一本の絵筆を執って、
仕事は辛かった、子育ては大変だった。それでもそれでも
毎日が充実していてとても楽しかった日々の事を
描こうと心に決めたのでしょう。

101歳で亡くなる直前に描いた遺作「虹」
そこには笑顔溢れる幸せいっぱいの人々の様子が描かれていました。

人生はたった一度ですが、グラン・モーゼスは2度の人生を謳歌した人です。

この後の巡回先です。

京都展 大丸ミュージアムKYOTO
3月17日〜3月29日
札幌展 大丸札幌店7階ホール
5月11日〜5月23日


1/9(日)「新日曜美術館」で放送されます。
午前9:00〜10:00 教育テレビ
再放送:同日午後8:00〜9:00 教育テレビ
「かけがえのない風景〜アメリカの素朴画家・グランマ・モーゼスの世界」


以下、プレスリリース
グランマ・モーゼスとは、モーゼスおばあさんという意味です。というのも彼女は70歳を過ぎてから本格的に絵を始め、101歳で亡くなるまでに1,600点もの作品を残した、「超」大器晩成型の画家だったからです。1860年生まれの彼女が描き続けたのは、自らが生きたニューイングランドのほのぼのとした田舎の情景。正規の美術教育は受けませんでしたが、逆にその素朴なタッチは観る者を惹き付けます。細部で展開される田園生活の描写も魅力的ですが、全体はパノラマ風にまとめられ、作品としての高い完成度を獲得しています。流派や様式には分類されなくても、アメリカ美術を語る上で欠かせぬ存在となっているグランマ・モーゼス。歴代のアメリカ大統領から祝福され、メディアにも頻繁に取り上げられながら、ライフスタイルを変えず、謙虚で控えめなおばあさんの人生は、作品同様に多くの人々の共感を呼び、人生を再スタートさせたいと思っているすべての人に、夢と希望を与えてくれます。
本展では本邦初公開を多数含む作品・刺繍・資料約80点から構成され、さらに高齢化する日本の社会に改めて一石を投じる待望の展覧会といえるでしょう。
展覧会 | permalink | comments(15) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

TBありがとうございました。素晴らしい感想で、感動しました。かなり詳しい内容でした。これから見に行きたいと思っていましたが、参考にさせていただきます。ブリューゲルも大好きな画家ですので、楽しみです。
linlilin | 2005/01/06 9:53 PM
Takさん、こんばんは。モーゼスおばあちゃんの絵に出会ったのは朝日新聞日曜版をまとめた世界名画の旅(87年)ですから、随分前です。本物にであったことがありませんので、Bunkamuraの案内を見たときは、よくやった!と拍手でした。来週見に行きます。とても楽しみです。
いづつや | 2005/01/06 9:54 PM
Takさん、初めまして。
TBとコメントをありがとうございました。

読み応えのある感想ですね!
私は今週末観に行く予定なので、とても参考になりました。
アドバイス通り「二つ目の感想」はまだ読んでいないので、また後日読みに伺いますね。

ところで、サイドバーに表示してあるミュシャの3Dジグソー素敵ですね。気になります。
tako | 2005/01/06 10:40 PM
TBありがとうございます♪

TAKさんは本当に素晴らしい解説を
されるのですね!!

”二度生きた人生”って素敵ですね!
私もヘタクソですが、今年は絵を描き
始めました。本当に小学生が描く絵
で子供達に笑われていますが、
グランマの絵を観てから、やっぱり
楽しんでとにかく描こう!って
思ったからです!!

たまにアップしますが噴出さないで
長い目で見てくださいね!

本年もよろしくお願い申し上げます。
Julia | 2005/01/06 11:15 PM
Takさん、グランマ・モーゼス良かったようですね。

1991年に安田火災(現在の損保ジャパン)の常設展を見に行ったときに、グランマ・モーゼスの遭遇し、その帰りに紀伊国屋へ直行して彼女の画集を買い込んだことを思い出します。

そのときの彼女に対する感想が、私のサイトに残っていましたので、はずかしながらご紹介します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴッホの「ひまわり」のうち二つが日本に来た。その一つは戦災で焼けてしまったが、もう一つが新宿の安田火災東郷青児美術館にある。相変わらずのゴッホかぶれで、これを見に出かけた。ゴッホとセザンヌとゴーギャンが並べて別室に陳列されている。58億円も投資された「ひまわり」は流石に迫力がある。ここでの発見はグランマ・モーゼスに遭遇したことで、その素朴さに驚かされた。日本にもなかなか良い美術館がある。(1991.9a) a=私のこと

ついでに、常設展も観た。その中に、古きよきアメリカの田舎の風景画が目を引いた。ちょっと稚拙な感じだが、とても丁寧に細かく  村の人々の生活が描かれてある。誰の絵かと思うとグランマ・モーゼスとある。後で調べると75歳で自己流で絵を描きはじめ(台所で)、102歳で亡くなるまでこのような画をずっと描いていたそうだ。とても温かみのある絵なので、絵葉書を何枚か買った。(1991.9t) t=家内のこと

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後、日曜美術館でも見たような気がしますが、今回の展覧会を見に行くと、昔の感動が消えてしまうような気がして、BUNKAMURAへいくことをためらっています。

とら | 2005/01/07 9:49 PM
こんばんは。
昨日見てきました。

人が少なく、ゆっくりと堪能出来ました。
想像以上に良かったです。

Takさんには遠く及びませんが感想を書きましたのでTBさせていただきました。
tako | 2005/01/08 1:31 AM
@linlilinさん
コメントありがとうございます。
感想も言葉不足でお恥ずかしいかぎりです。
もっと上手く表現できたら。。。と思っています。
お褒めの言葉頂戴し嬉しく思います!(^^)!
ブリューゲルと比べるのは果たして良いのか悪いのか分かりませんが
最初の感想はブリューゲルとルソーを足したような画風だな〜
というものでした。ご覧になられましたら感想お聞かせ下さい。

@いづつやさん
こんにちは。
実は行って観るまではあまり期待していなかったのです。正直。
ところが、一通り観て、解説のビデオ見て全くその思いが変りました。
やはり行って自分の目で確かめないと本当のことって分からないものですね。
新年早々基本的なことを身をもって経験させられました。
今年も展覧会行くの止められそうにありません。

@takoさん
コメント&TBありがとうございます。
ブログ拝見させていただきました。
やはり刺繍良かったですよね。
一緒に行った妻も刺繍が一番良かったと言っていました。

それに冬。冬は絵になるものだとあらためて認識できました。

>1年の最初に見るのに相応しい展覧会だったと思う。
まさにそうですね。他に観るものがなくて行ったにもかかわらず
かなり感動して帰ってきました。私も。(^^♪

同じく平日の夜だったので人がまばらでとてもゆっくり
観ることができたのも良かったです。

「ミュシャの3Dジグソー」は実物もっと凄いです。
迫力あります。意外と大きいですよ!

@Juliaさん
こんにちは。
コメントありがとうございます。

単に長生きしたおばあちゃんが趣味で描いた絵の展覧会では
ないことを伝えたくて正月早々書きすぎてしまいました。
今年からもっとライトに書こうと心に決めたばかりなのに
どうも上手くいきません。

私は全く絵を描いた事がないのですが、
仕事をリタイアして、こうして二度目の人生を
キャンバスに向けることできたら、さぞかし幸せなことだろうなーと
思いながら後半は観ていました。

今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
また、どこかでニアミスしそうですね(^_-)-☆

@とらさん
コメントありがとうございます。
それに、感想も書いていただき感謝です。

損保ジャパンからも3点ほど出展されていました。
確かに記憶にある作品でした。
新宿の高層に展示されるのには、似合わない作品だな〜と思ったこと覚えています。
渋谷の地下に今、展示されています。
彼女が描いた風景とはかけ離れた場所に展示されていますが、
思いを馳せる事は可能です。

それに、四季ごとに展示されているので、観やすく
季節の移ろいを感じることが出来るかと思います。
もし、よろしければ、行かれてみて下さい。
Tak管理人 | 2005/01/08 12:46 PM
きょうの新日曜美術館でとりあげられていました。
明日から混みそうですね。
じゅんも,はじめてみたのは,安田火災美術館です。
古きよき時代のアメリカの素朴な絵に心を打たれた記憶があります。
じゅん | 2005/01/09 6:00 PM
@じゅんさん
コメントありがとうございます。
NHK見ました。
主催者側にNHK立っていると放送も早いですよね。
美術館で観たビデオにそっくりの番組内容でした。
それにしても、巡回先含めてもう少し長い間展示しても
いいような気がする展覧会ですね。
Tak管理人 | 2005/01/10 4:57 PM
展覧会告知を駅ポスターで見て、その絵にひかれました。
ちょっと絵本「小さなおうち」(でしたっけ?)を連想させるタッチだと思いました。
本日の朝日新聞で読み思いだし、明日見に行きます。
行く前に検索したらここに着きました。ありがとうございます。

英国のサルフォード出身のL.S.lowryが同時代の労働者を描いた絵が好きです。楽しみです!
mina | 2005/01/22 10:49 PM
@minaさん
コメントありがとうございます。
明日は天気も良さそうですね。
のんびりと展覧会ご覧になるには
最高の日曜日かもしれません。
この展覧会もほんわかした
ムードいっぱいの展覧会です。
優しい気持ちになれます。

「L.S.lowry」
検索して調べてみます。
有り難うございました。

よい休日を!!
Tak管理人 | 2005/01/22 11:24 PM
絵を描いている祖父と息子を誘って行って来ました。刺繍もとっても素敵でした。失われていく故郷の風景、人々の暮らしを自分の中に残っている心象風景とともに残す…。それが絵筆をとった彼女が選んだモチーフで、描かなければいられないという必然だったのだと理解しました。

描きたいものがある、言いたいことがある、表現したいものがあるというのは、ひじょうに強いものだと思いました。

L.S.Lowryは数年前にsalfordに建てられた「The Lowry」で見ることができます。私はsalford galleryで見ました。
マッチスティックの英国労働者が色合いとともに物悲しくも愛すべきものとなっています。マグカップ等、愛用しています♪
mina | 2005/01/24 6:43 PM
@minaさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

彼女について何も知らずに初め観た時に
一番印象に残ったのがやはり刺繍画でした。
丹念に、丁寧に作られています。
自分の為ではなく、愛する孫の為。
そんな優しい思いがじかに画面から
伝わってくる作品でした。

>描きたいものがある、言いたいことがある、表現したいものがあるというのは、
>ひじょうに強いものだと思いました。
本当にそうですよね。
表したいものが内面にあってこそです。

「L.S.Lowry」
http://www.artcyclopedia.com/artists/lowry_laurence_s.html
勉強させていただきました。
m(__)m
Tak管理人 | 2005/01/24 7:12 PM
遅ればせながら、行ってきました。
グランマ・モーゼスの作品は、先日東郷青児美術館でも観ていたのですが、その時に何となく「ルソーっぽいなぁ」と感じたので、Takさんのコメントにもルソーの名前が出てきていて、共感を覚えました。
2つ目の感想、観終わってから拝見して良かったです。
DADA. | 2005/01/24 10:00 PM
@DADA.さん
コメントありがとうございます。
30日までですから焦りますよね。
もう少し長く開催してくれると
多くの方に観て頂けるのに・・・
事情は多々あるのでしょうね。

ルソーも素人画家さんですので
同じような印象受けるのでしょうね。
真っ先に「ルソー風ブリューゲル」
という感覚におそわれました。
巡回先でも沢山の方に観て頂きたいですね。
Tak管理人 | 2005/01/25 8:06 AM
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舞台を観る前に同じBunkamura内のザ・ ミュージアムで開催されていた 「グランマ・モーゼス展」も覗いてきた。 平日の夕方だったせいか会場内には2
グランマ・モーゼス展 会場:BUNKAMURA ザ・ミュージアム 会期:2004
ART: グランマ・モーゼス展 | Pocket Warmer | 2005/01/13 8:15 PM