青い日記帳 

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「日展100年」

国立新美術館で開催中の「日展100年」展に行って来ました。



8月11日のこちらの記事、「日展100年」の「日展100人」で取り上げてから間髪入れず翌日早速六本木へ足を運んだにも関わらず、ダラダラといつもの悪い癖で今まで感想書いていませんでした。スミマセン.

展覧会に行くと大概作品リストに感想を適当にメモしてきます。今日その書き込みした作品リストをあらためて目にしビックリ。「第1章 文展」「第2章 帝展」「第3章 新文展」「第4章 日展」の各セクションでメモが全く記されていない場所がありました。どこだと思われます?

それは「第2章 帝展」1919(大正8)年〜1934(昭和9)年の部分でした。
リスト今一度見てみるとそれなりに(失礼!)よさげな作品も並んでいます。
おかしいな〜ここだけ自分のアンテナに引っかかるものがなかったようです。
それとも電波弱かったのかな?!

「第1章 文展」1907(明治40)年〜1918(大正7)年はそれとは逆に
電波強い強いアンテナ余裕で三本立ってました。受信感度良好。

会場構成の「つかみ」となる部分に上村松園のこの作品を
どーんと持ってくるあたり、いい感じです。

花がたみ
まず驚かされたのは208×127cmというサイズ.
圧倒的な妖艶な威圧感のようなものを鑑賞者に与えます。
絵の前で金縛りにあう、または蛇に睨まれるような感じです。

それと一番気になるのが手の大きさとしぐさ。
とても大きな顔くらいある手で「おいでおいで」をしているようで…
誘いに乗ったらやばいことになってしまいそう。

シチュエーションは違いますがウォーターハウスの描いた
「オフィーリア」にどことなく共通項を見出せそうな一枚でした。

ちょっといっちゃっているような女性の姿って怖いはずなのに
非日常性を強く強く感じて逆に惹かれてしまうものです。怖い怖い。

もっと知りたい上村松園―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
もっと知りたい上村松園―生涯と作品 加藤 類子

中村不折の「白頭翁」1907年という作品は初めて観ましたが
独特の日本とも西洋とも判別のつかない雰囲気醸し出していました。
白頭翁
この絵に関し全く何も知らずに対面し、
レオナルド・ダ・ヴィンチの「聖ヒエロニムス」が
真っ先に頭の中に浮かんできました。
聖ヒエロニムス
帰ってから自宅で比較するとさして似ているわけでもないのですが
会場で受けた印象はまさにこれそっくりのもの。
中村が描いた男女はまさかアダムとイヴではないですよね…

上村松園と中村不折の作品は共に1907年の第1回文展に出展されたもの。
他には下村観山の「木の間の秋」や菱田春草の「賢首菩薩」なども。
賢首菩薩」(重要文化財)
三人の僧侶だけでなく左に置物の猫までも同じ一点を注視しています。
視線の先にはなにがあるのでしょう。

この他、今村紫紅の「護花鈴」、白瀧幾之助の「老母像」、金山平三の「夏の内海」などそれぞれ見応えある作品が次から次へと目白押し。贅沢な展覧会です。それにしても国立近代美術館の常設展で展示されている時に観る印象とここで観る印象が随分と違うのはどうしたことなのでしょう。

次から竹橋も見る目、見方変わってきそうです。
そんな気持ちの変化を促してくれる展覧会でもありました。
やはり食わず嫌いはいけませんね、足を運んでみないと得られないものあります。

「第3章 新文展」1936(昭和11)年〜1944(昭和19)年
年代を見れば一目瞭然、絵なんてのん気に描いている時代ではありません。
でもそんな世界を敵にまわさんとばかりの激動の時代にあって
朝井閑右衛門の「」1943年が描かれていたりするのですから愉快。

独創的なというかある意味この時代では考えられない作品ではないかと。
それでもしっかりと高階秀爾先生の仰る“枝垂れモティーフ”が
描きこまれていたりもして。。。もうこれ一枚でお腹いっぱいに。

実は最初のこの作品を会場で目にした時は「不細工なキューピー人形だな〜」
程度のことしか思わなかったのですが、描かれた年代を見て驚いたわけです。
忘れたくても忘れられない絵ってこういう作品のことかも。

橋本関雪の「唐犬」1936年

これ間違いなく松井冬子さんどこかで目にしたのでは?と思わせます。
松井冬子さんの「切断された長期の実験」に描かれた犬に似ていません?


「第4章 日展」1946(昭和21)年〜


郷倉千靭「庭と仔犬」1953年
丸山応挙や弟子の長澤芦雪の「カワイイ仔犬DNA」を今に伝える画家。
これはずるい。


徳岡神泉「枯葉」1958年
徳岡神泉には以前、遊行さんがブログで書いて下さっていたので
ぼんやりと頭の中に存在はしていまいたが、実際に作品を見ると
何と表現してよいのか適当な言葉が浮かんできません。
確かに「枯葉」が描かれてはいるのですが「それ以上のもの」を
この作品からビンビンと感じ取れました。あれは何だったのか。。。

この作品一枚に出逢えただけでも「日展100年」展に出かけて良かったと。

そしてこんなユニークでひょうきんな作品にも出逢えます。

池田遥邨「稲掛け」1981年

稲掛けからひょっこり顔を出している狸を描いちゃうあたりもある意味「豪快」ですが、感心したのは左手前のネコじゃらし。これ一本ここに描かれてあるのといないのではまるで絵の雰囲気変わってしまいます。
試しに指でネコじゃらしを隠して見ると…激変!

それと微妙に蛇行した稲掛けを見ていたらもしかして、クリストがNYセントラルパークで行った「The Gates」と関連があるのでは。。。なんて突拍子もないこと思わせるほど、この作品のインパクトは強烈でした。

Christo and Jeanne-Claude: The Gates: Central Park, New York City, 1979-2005 (Taschen Basic Art Series)
Christo,Jeanne-Claude

それでは最後に「今日の一枚

ゆく夏を惜しみつつ涼しげな作品を。


山口蓬春の「夏の印象」1950年

一見するととても1950年、昭和25年に描かれた作品とは思えません。
この絵のポストカード販売されていましたが、来年の暑中見舞いに
使っても何の違和感も感じさせない作風。

今回の展覧会はこうした描かれた時代と作品のギャップやその時代性を
読み取る面白さが要所要所にあり、他では味わえない楽しみを満喫できました。

贅沢言わせてもらえば、歴史が苦手な私でもすぐ「あーこの年ね〜」と分るようにキャプション脇にでもここまで詳しくなくてもいいので、「この年の出来事」でも記しておいていただけると良かったなか。

そうそう、山口蓬春の作品、今人気のイラストレーター松尾たいこさんにちょっと雰囲気似ているところがあるかも。

Presents
Presents
角田 光代,松尾 たいこ

↓この本の挿絵も松尾たいこさんが描いています。
「ふりむく」
江國 香織


この展覧会9月3日月曜日(国立新美術館は火曜日がお休み)まで開催しています。土日もあるのでまだ行かれていない方是非。

私も日本史資料集でも引っ張り出し持参して今一度。

尚、東京会場が終了した後は以下へ巡会するそうです。
2007年9月23日(日)〜11月4日(日) 宮城県美術館
2008年2月19日(火)〜3月30日(日) 広島県立美術館
2008年4月12日(土)〜5月18日(日) 富山県立近代美術館

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1122
日展は、わが国最大の公募美術展です。1907年、明治政府が美術を振興するために文展を開いて以後、帝展、新文展、そして戦後の日展へと移り変わり100年が経ちました。この展覧会では、日展100年の歩みをたどり、170点におよぶ絵画、彫刻、工芸、書の傑作を通して、近代美術の魅力をご堪能いただきます。
展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

こんばんは
行こうとして力尽き、十年前の『日展90年』展の回顧をアタマの中で開催していたわたしです。

松園さんの『花筐』と『オフィーリア』の比較、素敵です。
キーワードは「愛ゆえの狂気」でしょうか。
不折『白頭翁』これは海幸彦の神話に出てくる塩土の翁かと思います。たぶんその男女は山幸彦と豊玉媛では、と。
漢詩の『白頭吟』だと衣服ナシが矛盾してくるし、不折は中国の説話も多いけれど日本神話もよく描いているし・・・
それで多分神話かな、と。←エエ加減な・・・
朝井の『春』は京都にあるのですが、最初見たとき「アンリ・ルソーに不機嫌な赤ん坊の絵があったな」と思いました。>不細工なキューピー(笑)

Takさんも『枯葉』に不思議な心寄せをされましたか。
今もやはり神泉を想うと不思議な感覚が湧きます。
紹介していただきありがとうございます。

やっぱり行き損ねたのが痛いです。
来年の広島が一番近そうです。

遊行七恵 | 2007/08/30 11:13 PM
Takさん、ごぶさたしています。
「日展100年」。やはり最初の会場がリキ入ってると思い、いってきました〜

「花がたみ」。しょっぱなの、大混雑の原因ですね(笑)
私、以前にこの作品お大下絵をみた(並列展示)のですが、恐怖度はさらに大きかったです…。怖くて、遠めに見てきました…。(ただ、長期巡回だから、私の地元の富山には来てくれるのかな??)

日本画の出来の良さもですが、彫刻(建畠大夢とか)や工芸(特に染織もの)は、なかなか見る機会がないので、個人的にはおもしろかったです…。ビックネームは、当然ながら「どこかでみたことある?」のが多かったですね。

「春」もですが、不思議さんも…。
きちんとチェックしてきませんでしたが、福井の美術館からのナゾの裸婦像(白い手袋だけの…)、異色でしたね…。絶句しました。

あと、地元ネタですみませんが、初期の方に飾ってあった大きいケースの屏風の、南砺(なんと)市立福光美術館(所在地・富山県西部地区)所蔵の、「燦雨」。
あの時代にしては、さすがインドにいったり、山岳写真家としても行動した石崎光瑤の代表作です。久しぶりに見て、その鮮やかさにうっとりしてきました(笑)

それにしても、あのロゴのミュージアムグッズ買う人がいるのか不思議を感じてきました〜。

とーくる(K) | 2007/08/31 12:06 AM
@遊行七恵さん
こんばんは。

なんでも好きな作家の作品に
無理やり共通項探すのも
どうかと思うのですが、ついつい。

>男女は山幸彦と豊玉媛では、と。
なるほど『古事記』の世界ですね。

朝井さんの絵はルソーですか〜
なるほどなるほど。
それも「あり」ですね。確かに。

「枯葉」には惹かれました。
その場から離れ難くなるそんな一枚です。
あの画家何か別の力持っているのでは?
と妙な勘繰りを入れたくなります。

webでも楽しめますので。是非。
広島も!

@とーくるさん
こんばんは。

「花がたみ」はお歯黒をしていましたね。
それとあの手の大きさと仕草。
何ともまぁ言葉にしづらいものあります。

彫刻や工芸はさっぱり良さが分からないので
かなり飛ばしてみてしまいました。
最後の書もそうです。
勉強が足りません。

石崎光瑤って山岳写真家でもあったのですか。
そうか〜
そうでないとああいった雰囲気出せないかも。
山に登ったものにしか分からないことあるそうですからね。

グッツは佐藤さんのファンかな?
買う人。
Tak管理人 | 2007/08/31 10:52 PM
Takさん、こんばんは!
私のブログにお越し頂きありがとうございました☆

冒頭に松園のあの《花がたみ》、かなりパンチがきいてましたね。
男性は

>ちょっといっちゃっているような女性の姿って怖いはずなのに
>非日常性を強く強く感じて逆に惹かれてしまうものです

こういうところがあるかもしれませんが、女性は、なんてひくくりにしたら怒られますね、私に関してはこういう絵を見ると自分の中にもこんな狂気があるのではないかと、ひやひやします。そういう意味で怖い怖い。。。
はな | 2007/08/31 11:07 PM
@はなさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

>自分の中にもこんな狂気があるのではないかと
どなたにもあるのでしょうね。きっと。
だからこそコワイ。

普段見せない顔を見た時
その後今まで通りには接するの
難しくなりますよね。

だからこそ乾坤一擲の姿かと。
Tak管理人 | 2007/08/31 11:13 PM
Takさんこんばんは(*^^)

日展100年、100人ってすごいですね。
見ているうちにエネルギーを全部絵に持って行かれそうな気がします笑。
Takさんのコメントに『アンテナにひっかかる』という表現があったので、あっと思いました。
私も絵を見る時、かなり自分のアンテナを伸ばして(Takさんの10分の1の長さですが(^^ゞ・・)自分の波長に会う絵を探すのが好きです♪
最後にアンテ伸ばしたのが、近代美術館のプライスコレクションなので、だいぶアンテナお休みしています。。。そろそろ立ち上げてあげなくては(>_<)
お陰さまで好きなことを思い出しました☆彡
みぃか ラビ | 2007/09/01 1:08 AM
私も、朝井閑右衛門の「春」に心惹かれました。
この時代にこんな絵を描いていていいのかなぁと
心配にもなりました。
今後、追っかけの画家がまた一人増えました。
一村雨 | 2007/09/01 7:50 AM
@みぃか ラビさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

凄いですよね〜
公式サイトも楽しく見ることができ飽きません。
最近はサイトもかなり充実してきましたね。
これがなくならずにずーと残っていると嬉しいです。

アンテナは…感度悪いですよ。
悪いといいますか、ある一定の作品にしか
反応しないようです。苦手な画家さんはパス。

アンテナ錆びる前に是非。
芸術の秋です。
今日から始まった展覧会も多くあります。
とりあえず明日は出光にでも行ってみます。

@一村雨さん。
こんばんは。

「春」は面白い作品でした。
ついつい失礼かとは思いつつ
絵の前でクスリと。

>今後、追っかけの画家がまた一人増えました。
無限ループですね。。。
Tak管理人 | 2007/09/02 12:23 AM
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