青い日記帳 

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「花鳥礼讃展」

泉屋博古館分館で開催されている
「花鳥礼讃−中国・日本のかたちと心−」展に行って来ました。



ホテルオークラで開催された第13回「秘蔵の名品アートコレクション展」よりも先に観に行っておきながら未だに記事を書いていないことが発覚。去年、京都の泉屋博古館本館で、今回と出展作品がだいぶ重複している近世の花鳥画展を既に観ていたので、何となく既に記事を書き終えたと勝手に思い込んでいたようです。

だってチラシも伊藤若冲「海棠目白図」(「海棠に目白図」)を京都も東京分館も共に用いているのですもの。。。(言い訳言い訳)


「海棠目白図」こと「目白押し図」については近世の花鳥画展の記事に既に感想書いてあるので割愛。付け足すなら木の枝などに散らしてある「青」が他の展示作品と比べとても目立ちました。

  
枕南蘋「雪中遊兎図」1737年 伊藤若冲「海棠目白図

「雪中遊兎図」は今回初めて拝見しましたが、文句なしの素晴らしい作品です。枕南蘋が当時の絵師たちに与えた衝撃は今でも変容することなくこの絵全体から観る者に伝わってきます。

枕南蘋の描く世界は目の前の(または心象の)対象を寸分違わぬように描き出しています。あたかもその世界が本当に存在するような「リアル」さを有しています。若冲もこうした作品をお手本にして描いてはいるのですが、枕南蘋の世界とは明らかに違って見えます。もし同じものを見て描いたとしてもより対象化が進んだ世界がそこに展開されています。

その対象化が一層深化し「動植綵絵」のような作品が誕生したのでしょう。

よく知られた話ですが、絵を描き始めたころの若冲は中国絵画や狩野派の作品を来る日も来る日も模写し続けたそうです。

左から文正「鳴鶴図」、可能探幽の模写、伊藤若冲の模写、狩野養信の模写。
それぞれ、14世紀、17世紀、18世紀、19世紀の作品。

美術館ロビーにパネルで以下のような解説がなされていました。
名画の再生〜くりかえされる中国画の模写〜
古来、中国の花鳥画は日本人を魅了し、繰り返し模写されました。複製の需要に応え、また画家の学習のため、直接・間接的に行われた模写の態度は、くまなく忠実に写し取ろうとするもの、写す側の個性や解釈を加えるものなど千差万別ですが、それらは新たな創造へと実を結びました。


若冲の作品だけ大きな画像で。
→→
浪が生きていて水面すれすれの鶴の羽に食指を伸ばしていいるかのようです。因みに今回の展覧会には一番右の狩野養信(晴川院)の「鳴鶴図」が展示されていました。粉本の弊害が…(以前、東博の田沢氏が講演された「変容する江戸絵画」でも確かこのお話されていました)

もっと知りたい狩野派―探幽と江戸狩野派 (アート・ビギナーズ・コレクション)
もっと知りたい狩野派―探幽と江戸狩野派 (アート・ビギナーズ・コレクション) 安村 敏信

若冲の話ばかりになってしまいましたが、今回一人その作品を見直した絵師さんがいました。その名は呉春。応挙のライバル。今まで呉春の作品観ても沸き立つ感情ゼロに近かったのですが、「松図衝立」という作品を目にし初めてドキッとさせられました。背後に太い幹が描かれ、手前に枝葉が配置されている構図したが、見る者に迫ってくるような勢いが感じられました。この衝立役に立ちそう。


彭城百川「梅図屏風」 
前回京都で観た時『梅の木が炎に包まれ燃え上がっているのかと一瞬錯覚してしまうような荒々しく斬新なとてもインパクトある作品でした。1749年に描かれた作品とはとても信じられません。』と感じましたが約一年後にあらためて対面してもその驚きは衰えることありませんでした。

そうかと思うとこんな緩い作品も

尾形乾山「椿図
イタリア半島から生え伸びた椿がまるでニコリと笑いかけているようです。こういったちょっと抜けた墨絵描かせたら乾山の右に出る者いないかも。中村芳中を除いて。

琳派模様―古谷紅麟・神坂雪佳・中村芳中 他 (近代図案コレクション)
琳派模様―古谷紅麟・神坂雪佳・中村芳中 他
古谷 紅麟,神坂 雪佳,中村 芳中

あーもっと書きたいことあるのですが時間ないので泣く泣く「今日の一枚



呉春「蔬菜図巻

「松図衝立」にも惹かれ「蔬菜図巻」にも同じく。呉春の特異日のような一日。

「蔬菜図巻」には筍、胡瓜、笹下、白瓜、茄、唐辛子、葉生姜、豌豆、南瓜、ナタマメ、里芋、大豆、茗荷、コウタケ、シイタケ、シメジ、ヒラタケ、大根、ユリネ、水菜、チョロギ、蕪、人参、フキノトウ、ウド、クワイ等が描かれていました。

若冲の「菜蟲譜」に通ずるものあります。呉春もこんな作品描いていたのですね。益々見直しちゃいました。

そうそう、若冲の「菜蟲譜」今月末から佐野市立吉澤記念美術館にていよいよ公開されます!詳しくはこちら手作り「菜蟲譜」(さいちゅうふ)なんて物も存在します。

もうじきキノコの美味しい季節になりますね。


展覧会は9月24日までです。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1134
 四季のうつろいの中に植物や鳥獣を描く花鳥画は、東洋絵画の大きな一角を占めてきました。日本では近世にいたりじつに多様な展開をみせ、中世以来の伝統を受け継ぐ狩野派、優れたデザイン感覚を発揮した琳派、自由な筆づかいで本質にせまる文人画家、また徹底した観察から独自の写実表現に到達した画家などが輩出します。
 本展は住友コレクションより、江戸時代に京や江戸で活躍した画家の花鳥画を紹介します。伊藤若冲、呉春、椿椿山などすでに知られた優品のほか、近年のコレクション調査で存在が明らかになった京画壇の作品はおおくが東京初公開となります。
 さらに、江戸時代の画家に刺激を与え表現の源となった中国の花鳥画、ことに長崎に滞在した沈南蘋の代表作をはじめ、近世日本でも珍重された明清時代の重厚で装飾的な作品をあわせて展示します。日本と中国の花鳥画約35点が一堂に並ぶ本展では、中国画との対比も見所のひとつでしょう。
 造化の美への感動、絶えることない自然の営みへの礼讃 ― 花鳥画の根底に流れる人々の思いに、心を重ねるひとときをお過ごしください。

展覧会 | permalink | comments(14) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

大学時代にデザインを専攻していて、日本画もやりました。
日本画にはワビサビがちゃんとあり図書館で画集を読み漁りました。
呉春が野菜の絵を描いていたのは驚きでした。
また1つ勉強になりました
脳内メイカー | 2007/09/12 7:34 PM
こころが ほっとするような
優しい気持ちになれるような
ゆったりとくつろげるような

日本画もいいなぁ。。。

とくになにげないお野菜なんか
きもちが ほっこりして嬉しくなりました。

真珠 | 2007/09/12 8:00 PM
@脳内メイカーさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

呉春の野菜の絵は驚きですよね。
私も思わず食い入るように見入ってしまいました。
そして若冲を・・・

@真珠さん
こんばんは。

日本画っていいですよ。
なんていうのかな〜
寛げる感じ。

西洋絵画はどうしても
背伸びしないといけないので。
疲れてしまいます。
Tak管理人 | 2007/09/12 11:15 PM
こんばんは。今回の泉屋博古館はレベル高かったですよね。
これまで見た展覧会の中でもピカイチでした。
今更ながらここの底力を見たような気がします。

>枕南蘋が当時の絵師たちに与えた衝撃は今でも変容することなくこの絵全体から観る者に伝わってきます。

同感です。ど迫力の花鳥画でした。

>ニコリと笑いかけているようです

可愛らしかったですよね。乾山は好きな琳派でもやや苦手な部類に入るのですが、これならOKです。

京都の本館も一度行ってみたいですね。
はろるど | 2007/09/14 9:58 PM
こんばんは。
今日、やっと念願果たして来ました。
沈南蘋、うなりました。
中国と交流してなければ、いったい日本の絵画は
どうなっていたことかと。

実にコンパクトながら、充実感溢れる展示会でした。
TBさせていただきます!
あべまつ | 2007/09/14 10:55 PM
@はろるどさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

レベル高い高い。
ロビーの解説パネルからして
力が入っていましたよね。

これで簡単な図録でもあれば
もう言うことなしなのですが。。。

京都の本館はまた東京とは
違った味わいがありますよ。
ちょっと離れた場所にありますが。
知る人ぞ知るといった美術館です。

@あべまつさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

沈南蘋が抜群に良かったですね。
あんな作品を目の前にしたら
それこそ真似たくなるのも当然かと。

長崎が交流の窓口になっていたそうですね。
この辺の流れをしっかりと学んでみたいものです。
Tak管理人 | 2007/09/14 11:47 PM
私も、↑のTakさん同様、ちょっと当時の
長崎の様子を知りたくなりました。
一村雨 | 2007/09/17 6:30 AM
@一村雨さん
こんにちは。

長崎が最先端異国文化の窓口だったわけですよね。
歴史的にみても面白い期間です。
どこかで講演会とかあるといいですね。
Tak管理人 | 2007/09/17 12:49 PM
こんにちは
TBありがとうございます。
呉春にも興味がひかれたようでナイスです♪
来月京都に永徳展で来られますよね(確信)。
そのときもしよろしかったら、池田の逸翁美術館で50周年記念・名品展を開催していますので、足を伸ばされるのはいかがでしょうか。
こちらは逸翁小林一三のコレクションが二期に亙り展示されますが、呉春兄弟のコレクターなので、良品が期待できますよ。もしよろしかったらご案内いたしますよ。
遊行七恵 | 2007/09/17 2:18 PM
Takさん、こんばんは
TBありがとうございます。
呉春はどうも司馬遼太郎さんの「天明の絵師」の印象が強すぎて、イマイチ好きになれない絵師でしたが、あの野菜を見て、見直しました。
肩の力が抜けていて良いですわ〜
アイレ | 2007/09/18 1:46 AM
@遊行七恵さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

呉春見直しました。
今までどうもしっくりこない作品ばかりで…
嫌いになりかけていました。
寸でのところでなんとか踏みとどまりました。

京都はまだまだ未確定です。
日帰りになってしまうかもしれません。
でも、逸翁美術館はしっかりメモしておきます。
情報ありがとうございました。

@アイレさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

私もあの野菜があった展示室を最初に見て
これはこれはと感心しきり。
そして若冲の真向かいにあった衝立も中々。
これから呉春もしっかり見ないといけないようです。
Tak管理人 | 2007/09/18 5:48 PM
Takさん、こんにちは!
またまたぎりぎりに行ってまいりました。
私も尾形乾山の《椿図》がとても気に入りました。
肩に力の入ってない、でも「素朴」とか「朴訥とした」というのではない、あのなんともいえない感じがいいです!

ところで、伊藤若冲《海棠目白図》の枝に点々と描かれている「青」は苔なのですか?
はな | 2007/09/22 2:41 PM
こんにちは
TB遅くなりました。呉春「蔬菜図巻」は、よかったですね。
ak96 | 2007/09/27 1:12 AM
@はなさん
こんばんは。

乾山の作品て力の抜け具合が
たまらなくいい感じですよね。
現代の感性にぴったり。

>伊藤若冲《海棠目白図》の枝に点々と描かれている「青」は苔なのですか?
ですね。
フツーはあんなに青くポツポツとは描かないはずですが。。。

@ak96さん
こんばんは。

呉春をこれからもう少し
しっかり見ようと心しました。
Tak管理人 | 2007/09/28 11:20 PM
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