青い日記帳 

  
TB&リンク大歓迎です!
地中美術館
直島にある地中美術館へ行って来ました。
(財団法人 直島福武美術館財団)



その名が示す通り、建物のほとんどが「地中」にある美術館。↑のリーフレットのようにこの美術館全体の外観写真を撮ろうとするなら空から撮影するしか方法がありません。直島や瀬戸内海の風景をなるべく損ないたくないという建築家・安藤忠雄氏の思いが世界的にも例を見ない稀有な構造体の美術館を作り上げました。

2004年、地中美術館が完成した。敷地は丘陵の南斜面。かつて塩田だった場所だ。環境に埋没する建築、風景の継承、私はこれらの主題をさらに推し進め、すべてを地中に埋め込んだ。地中という闇の申で、空間を浮かび上がらせていくのは「光」だ。光を頼りにして、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品との出会いを楽しむことができる、そんな非日常的な空聞をつくりたいと考えた。
『直島 瀬戸内アートの楽園』より。


宿泊したベネッセハウス「ミュージアム」の部屋から地中美術館の一部が見えました。分かりにくいかもしれませんが、赤丸の部分です。瀬戸内海を一望できるこの場所は展示室ではなく「地中カフェ」になっています。

「地中カフェ」から逆にベネッセハウスを見るとこんな様子。


ベネッセハウス「ミュージアム」から地中美術館チケットセンターまでは山道を上り下りしながらおよそ20分ほど。タイミング悪くバスに乗り遅れてしまいましたが、海野音を聞きながら歩くのには丁度良い距離でした。



まず美術館の手前に位置するチケットセンターで要らない荷物を預け、チケットを購入。大人2000円は正直「高い」とこの時は思いました。が、しかしそれも美術館を出る頃には「安い」に変容を遂げていました。もっと言うならお金では買えない何かがある(byマスターカード)美術館かと。

チケットセンター
ロゴデザイン祖父江慎氏

チケットセンターから地中美術館までは歩いて数分の距離。途中にモネの睡蓮をイメージして作られた「地中の庭」が目を楽しませてくれます。手入れが隅々まで行き届いていました。感服。



さて、いよいよ待望の地中美術館へ到着です。

撮影はここまで。
館内は展示作品を含めて建物も全て撮影不可。残念。

以下建物についてパンフレットから借用。
安藤忠雄の建築を構成する主な素材は、コンクリート、鉄、ガラス、木です。当館は、その4つの素材を使用し、デザインを極限まで切りつめて、設計されました。建築的外観は、地上にわずかに見える構造体のコンクリートの輸郭だけです。安藤は、地上に立ち上がる外観のデザインを退け、地中だけで構造体を構築しました。それは、非モニュメンタルでいて、建築的という相反する意味を両立させています。

ところで、この地中美術館。
名前や直島にあることは知られていてもどんな作家のどんな作品が展示されているのか意外と知られていないのではないでしょうか?かく言う自分も今回ここを訪れる直前に本やwebで知りました。

特別展を開催するようなスペースは一切なく、三人の作家、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品を恒常的に展示する為だけに作られた美術館なのです。

始めは福武總一郎が惚れ込んで新しく購入したモネの「睡蓮の池」(2m×6m)を展示するスペースを作ろうという目的だったそうです。それと一緒に展示できる作品ということで白羽の矢が立ったのがアメリカの現代作家ジェームズ・タレルとウォルター・デ・マリアの二人。モネの描いた光と永続性の継承者として二人が選ばれたそうです。

地中美術館には作品を観る順路というものはありません。地上から離れ外光だけを頼りに不思議な空間で構成された館内を歩いていると、ふと作品に出逢える。そんな構造になっています。

真っ先に辿り着いた部屋が「モネ・ルーム」
ここへ入るには靴を脱ぎ特製のスリッパに履き替えます。
真っ白な壁、薄暗い空間。奥から漏れてくる光を頼りに
足を進めてゆくとそこには「睡蓮の池」(2m×6m)を
中心に据え、周りを同じくモネの「睡蓮」で取り囲む空間が。

地中につくられた空間でありながら、自然光のみでモネの絵画4点を鑑賞することができます。部屋のサイズ、デザイン、素材は、モネの絵画と空間を一体にするために選定されました。作品は、オランジュリー美術館の大装飾画(グランド・デコレーション)に代表される最晩年の「睡蓮」シリーズです。

人は始めて目にするモノに対し拒絶受諾のどちらかの態度を示すものです。この真っ白なインスタレーションとも捉えることが出来る空間を目の前にして「拒絶」の意思を示す者はまずいないでしょう。100%受け入れることの出来る空間。「受諾」というより身を全て委ねてしまいそうになるそんな経験したことのない場所が存在するのです。地中に。

その初めて接する空間に対する極端なまでの安心感は様々な工夫から成り立っています。当然電灯は用いられていません。全て自然光。また靴を脱ぎ履き替えたスリッパは底厚になっていて床からの衝撃を緩衝しフワリフワリとまるで雲の上を歩いているかのような心地にさせます。そして極めつけは床。小さな数センチ四方の大理石が一面に敷き詰められているのです。


展示室内では座って鑑賞することも出来ます。ごろんと横になって寝ながら睡蓮を観ることも可能です。少し汗ばんだ背中を大理石の床に付け大の字になることも。これだけでも入館料2000円の元は充分取れます。

これだけで驚いていてはいけません。
他の二人の作品もまた別の意味で凄いです。

オープン・スカイ
光そのものをアートとして提示するジェームズ・タレルの作品は、それを正確に体験するためのスペースを伴うものであり、形態やサイズはタレル本人によって設計されます。当館の3作品は、タレルの初期から現在までの代表的なシリーズの中から選ばれたもので、タレルが求める光を年代をおって体験することができます。

タレルの作品は3作品展示されていますがとりわけ「オープン・フィールド」という体験型の作品は何とも摩訶不思議な感覚を与えてくれます。光の壁を突き破る経験が出来ます。これは千万言尽くしても語ることできません。是非機会があれば地中美術館で体験なさって下さい。別の記事で紹介しますがタレルは家プロジェクト「南寺」でもこれと同じような光の空間を出現させています。

ウォルター・デ・マリアの空間は姿勢が自然と良くなるようなそんな場所。
デ・マリアと安藤氏で打ち合わせをしこの空間を作り上げたそうです。
タイム/タイムレス/ノー・タイム
ウォルター・デ・マリアは、巌密な寸法とともに空間を提示し、その空間に直径2.2mの球体と27体の金箔をほどこした木製の彫刻を配置し、空間を構成しました。作品スペースの入口は東側にあり、空間の長辺と東西の方向が一致しているので、日の出から日没の問、作品の表情が刻々と変化していきます。

この場所でしか鑑賞できないモネ、タレル、デ・マリアそれぞれの作品。
現代アート特有の小難しい解釈などここでは全く無用です。

そこにただ身を委ねてあげるだけで全身の毛穴から身体の中に
三人の作家が発信する感動を受け入れることが出来るのです。

地中美術館の内部の写真やそれぞれの作品についてはこちらに詳細に掲載されています。家プロジェクトや野外作品、ベネッセハウスも含めて。


『直島 瀬戸内アートの楽園』 (とんぼの本)
秋元 雄史,安藤忠雄 ほか

それでは「今日の一枚

ベネッセハウス「MUSEUM」から地中美術館へ歩いて行く途中で撮影した一枚。


作品Aは小さくてよく分からないですが、杉本博司の「海景」です。こんな場所に!ぽつんと「展示」されています。
作品Bはジャニファー・バートレットの「黄色と黒のボート」同じ作品がミュージアム館内にも展示されています。

【関連エントリ】
- 弐代目・青い日記帳 | ベネッセハウス「ミュージアム」
- 弐代目・青い日記帳 | ベネッセハウス ミュージアムレストラン
- 弐代目・青い日記帳 | 直島から戻りました。
- 弐代目・青い日記帳 | ミュージアムリンク・パス
- 弐代目・青い日記帳 | コンプリート!!「ミュージアムリンク・パス」
- 弐代目・青い日記帳 | 「安藤忠雄 2006年の現場 悪戦苦闘」
- 弐代目・青い日記帳 | 講演会「闘う建築家・安藤忠雄氏と語る」
- 弐代目・青い日記帳 | 「ル・コルビュジエ」展パブリックプログラム"私とル・コルビュジエと住宅建築"
- 弐代目・青い日記帳 | 東京ミッドタウンの「デザイン」&「アート」


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1137
地中美術館は、自然と人間を考える場所として、2004年に設立されました。
財団法人直島福武美術館財団により運営されるこの美術館は、瀬戸内海に浮かぶ島、直島の南側に位置し、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品が安藤忠雄設計の建物に永久設置されています。
| 直島 | 23:11 | comments(7) | trackbacks(2) |
日頃の行いが悪いのか、入る時に「たっけ〜!」と思ってた入場料、出る頃にも「まったくナメてるよなー」のまま変化なし・・・
スタッフの白装束集団の対応にもちょっとぎも〜〜ん。

思ったんだけどさ、直島ってベネッセに泊まらない人にとっては、あんまり楽しめない施設なんじゃないのかしら・・・
どこもかしこも要予約のうえ、やたら金とるし・・・
なんだか非常に腑に落ちなかったわ〜〜
これも心が貧しいせいかしら・・・
| サノア | 2007/09/15 2:20 PM |

待ってました...(^^)
| lysander | 2007/09/15 9:48 PM |

同じく、いつアップされるのかな〜と思ってました。
この直島でタレルの大ファンになりました。
光の芸術素晴らしいです。
| meme | 2007/09/15 10:50 PM |

思い出しました...「モネ・ルーム」♪
タレルの「オープン・スカイ」は混んでいてちょっと興ざめでしたが、南寺ではガツンとやられました。
| ogawama | 2007/09/16 12:41 AM |

@サノアさん
こんにちは。

あの白装束衣装は確かにどうかな〜と
思いました。それと対応とかもね。


ベネッセハウスに泊まれる数が少ないので
民宿やらほかの宿を利用されている方も
多いようですね。そういった楽しみもあると
思います。今回は初めてだったのでとりあえず
無難にベネッセハウスに宿泊してみました。

@lysanderさん
こんにちは。
TBありがとうございます。

師匠。こんなもので宜しいでしょうか。

@memeさん
こんにちは。

こちらもアップしたと思い込んでいました。。。
遅くなってしまいすみません。
タレルって飛行気乗りだったそうですね。

@ogawamaさん
こんにちは。

南寺はすぐ出てきちゃ駄目だよと
安藤さんからいわれていたので
じっくり腰を据えて「見えるもの」が
見えるまで我慢しました。
| Tak管理人 | 2007/09/17 12:28 PM |

「オープン・フィールド」には驚きました。
それだけでも足を運んだ甲斐がありました。

初めは「何にもない島だな」と思ったのですが、
屋外のあちこちに作品があって、わくわく探検気分も味わえました。

次に行った時、どう感じるのか、今から楽しみです。
| suzukimitsuru | 2009/08/25 10:40 PM |

@suzukimitsuruさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

直島行かれたのですね。
ここは癖になるというか
必ずまた来よう!という
気持ちにさせる不思議な
魅力をもった場所ですよね。

次いついけるかな〜
| Tak管理人 | 2009/08/25 11:21 PM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/1137
そして直島へ...(その3 地中美術館)
さて、地中美術館です...直島は二度目だったのですが、五年前には なかった美術館です。この美術館、何の前知識も持たずに出かけま した。安藤忠雄設計... この美術館にはカメラの持ち込みができません。建物自体が作品で あるとのこと。私は安藤の建築をさまよい歩く
| 徒然と(美術と本と映画好き...) | 2007/09/15 9:46 PM |
そして直島へ...(その6 ジェームズ・タレル)
さっき銭湯に行ってきた。サンダルつっかけ温泉タオル一枚ぶらさ げて... スーパー銭湯とか言われるとちょっと引いてしまうのですが、我が 家の近所にある銭湯は適当な大きさで丁度よい。それでも露天風呂 からサウナ、水風呂、ジャグジー、ミルキー風呂、寝風呂、電気
| 徒然と(美術と本と映画好き...) | 2007/09/15 9:47 PM |
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