2005.01.10 Monday
マルセル・デュシャンと20世紀美術展
横浜美術館で開催中の
「マルセル・デュシャンと20世紀美術展―芸術が裸になった、その後で」 に行って来ました。 「マルセル・デュシャン」という一種神格化された作家の名前を聞くと 真っ先に「便器」が頭に浮かんできてしまうことは、 ちょっと悲しいことかもしれません。 タッシェン出版の表紙も「便器」(泉)なのですが、 いまいち納得いきません。 「R.MUTT」(リチャード・マット)の偽りの サインがされた男性用便器が彼の名前を広く知らしめたことは 事実だとしても、果たして代表作かと言えば、はなはだ疑問が残ります。 だいたい、本物は紛失されて存在せず、現在あるのはレプリカのみです。 (あっ!レディ・メイドだからそれでいいのか^_^;) 美術館もわきまえていて、一応展覧会のアプローチとしてこの「泉」を 一番最初、入口すぐに展示してあります。とりあえずの掴みでしょう。 あまりに有名で毒気の強い作品は掴みで使うのが効果的なのだと知りました。 展覧会会場は7つのセクションに分かれて展示されています。 大変構成がよく拍手喝采です。 学芸員さんの努力の賜物です。 「1.画家だったデュシャン」という過去形の表現も上手いです。 確かにデュシャンは初めの頃は絵を描いていました(^_^) 「階段を降りる裸体 No.2」これがなんと言っても一番の代表作でしょう。 奇をてらうことなく、しかし、それまでに誰も描かなかった作品。 それがこの「階段を降りる裸体 No.2」だと思います。 フィラデルフィア美術館が今回貸し出してくれて 本物を観られる幸運は感謝に値します。 「チェスをする人たちの肖像」や「花嫁」などの作品も また後のデュシャンを知る上で また作品を理解するちょっとした手がかりとして大変重要な作品だと思います。 これらの絵画作品は7枚展示されています。とても贅沢な空間だと思いました。 今回の展覧会はデュシャンの作品だけただ展示するのではなく、 デュシャンに影響を受けた作品も同時に展示されています。 それの比較もできるように、16の作品には六角形の組番号がふられています。 観る側は番号の同じ作品を見比べて違いなどを 自分で考えることが容易にできます。 例えば、 「階段を降りる裸体 No.2」とゲルハルト・リヒターの「エマ(階段の上の裸体)」に それぞれ2番の番号がふられています。 このように16組の作品を観ていくだけでも充分楽しめる展覧会です。 余談ですが、久保田成子とナム・ジュン・パイクが夫婦だと 帰宅後彼女の作品を調べていて初めて知りました。 驚いたな〜〜でも、作品似ている…(そっくりですよね) そのあとはレディ・メイドのセクションです。 レディ・メイドの作品も他の美術館で1,2点ぽつんと観る時と 今回では見方が全然違いました。これもまた他の作家による 作品が番号をつけて展示されているので、普段より時間をかけて 作品を観ることができました。 「瓶乾燥器」なんて30秒も観たら飽きてしまいますが、 トニー・クラッグの「スパイラル・ジャイロ」という大きな作品と 一緒に観ることによってその鑑賞時間が何倍にもなりました。 レディ・メイドの作品?を経ていよいよ「大ガラス」 「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」のセクションです。 この謎に満ちた作品は何年も前に「理解」しようとして あれこれ格闘した記憶がある思い出深い作品です。 (理解なんてできないのですけどね、結局) この作品に関しては特に多くの作家がインスパイアされ 様々な作品を残しています。中でもリチャード・ハミルトンが この「大ガラス」に深く関わりがあることがよく分かります。 以前、ロンドンのテイト・ギャラリーでロンドン・バージョンの 「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」を観たことがあるのですが、 それを製作したのがハミルトンです。 (「グリーン・ボックス」の英訳も彼が行ったそうです) 今回展示してある「ある鏡の反射」には実際の花嫁(裸の女性)が 写し出されているこれまた興味深い作品でした。 吉村益信の「大ガラス」は笑えます。別の部屋に展示してあるのが謙虚です。 ローズ・セラヴィのセクションに 「ローズ・セラヴィよ、なぜくしゃみをしない」という作品がありました。 オカメインコを飼っていると何だか分かるものが使われています。 うちのオカメインコにお土産として持ち帰ってやりたくなりました。 森村泰昌さんは当然のようにこちらに登場します! 「待ってました!!」とファンから声がかかりそうです。 その後は「トランクの中の箱」や「ロト・リレーフ」「排水栓」などの作品?が 展示されています。これまた比較する作品ありです。 で、最後に問題の「遺作」(「与えられたとせよ 1.落ちる水 2.照明用ガス」) これはフィラデルフィア美術館から移動が出来ませんので 立体映像によって再現さて「展示」されています。 本物を観る事が大事なことなのかもしれませんが、 今回の展示で充分だと感じたのは私だけでしょうか。 そして出来れば「遺作」の比較作品として イブ・クラインのこの作品を展示してくれたら・・・ もう、言うことなしです ![]() 贅沢な話はさておいて、 最後にこの展覧会を企画した学芸員さんたちに拍手 ![]() 展示作品脇にキャプションを設置しないで ワークシートを上手いこと取り入れて、出口に「参考資料」として 本来キャプションにある説明書きを印刷しておく。 鑑賞後の種明かし。 これ読んでからもう一度展覧会会場観て歩くこともできますし、 一緒に行った方とこれ見ながら帰りにお茶しながら気軽に 現代美術語れたりしちゃいます。 「デュシャン展」行く前に・・・ 「チェックシート・プログラム」予習して行かれると良いかもしれません。
以下プレスリリース
この展覧会は、20世紀はじめの美術に大きな転機をもたらしたマルセル・デュシャン(1887−1968)の主要な作品75点と、デュシャンと向き合った世紀後半から現代までの芸術家34人による作品78点を対置し、美術とは何かを考える企画です。 |








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