青い日記帳 

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東博は楽しい。

以前、こちらの記事でご紹介した東京国立博物館で公開中の特別陳列「キリシタン−信仰とその証−」(9月30日まで)「聖母像(親指のマリア)」だけでもいいから観ようとぶらりと出かけたのですが、これがまた他にも見所満載で、予定していた時間を軽くオーバー。東博へ行くといつもこうです。

「聖母像(親指のマリア)」


地球古図(フィッセル改訂ブラウ世界図)」
この地図、17世紀のオランダ、アムステルダムで刊行されたものだそうです。
17世紀オランダといえば…そう、フェルメール。
フェルメールの作品の中にもしばしば地図は登場します。
現在、六本木で展示されている「牛乳を注ぐ女」にも当初背景に
地図が描き込まれていたことが赤外線リフレクトグラフィー調査で分かっています。

また、鎖国時代のキリシタン関係遺品といえば「踏絵」
今回は数種類の踏絵が公開されていました。

「踏絵」=「キリスト像」と勝手に思い込んでいましたが、
このようにバリエーションは実に様々、多種多様。
「ピエタ」や「聖母子像(ロザリオの聖母)」まで用いられていたとは。
表面が磨り減り、一種不気味な輝きを真鍮踏絵は放っていました。

他にはこんなものも。

ロザリオ残欠
ドングリのように最初見えましたがロザリオでした。
お念珠の紐が切れ玉が散り散りになってしまった時のこと思い出させます。

さて、さて東博で長居をしてしまう訳はお目当ての展示の所為だけではありません。常設展示の面白さ、興味深さが他の美術館、博物館と比較にならないくらいに充実しているからです。例えばこちら。


深江芦舟「蔦の細道図屏風」江戸時代・18世紀
(これは10月8日まで展示されています)

「伊勢物語」の9段を描いた屏風です。深江芦舟という絵師は知りませんでした。
でもぱっとこの作品を見て一目惚れ。良いです。大和絵ブラボー!

この山の潔い描き方只者ではありません。落書きでもこうは描けません。
もっと上手に描こうとして余計にダメな絵になってしまいます。
芦舟はまるでお碗を描いたようです。それでも山に見えるから不思議。
それに何と言ってもこの赤い蔦。適当に描いたのかもしれませんが、
計算され人物の視線や動線と呼応しているようにも見えてしまいます。


狩野山雪「玄鶴芦雁図
こういう作品がフツーに展示してあるから凄い。
狩野は狩野でも山雪は中々お目にかかれません。

で、はろるどさんもご紹介されていましたが
今一番の目玉は酒井抱一の「秋草図屏風

(こちらも10月8日まで展示されています)
ガラスケースに照明が反射して中々上手く撮れませんので一部拡大図を。


東博所蔵の「夏秋草図屏風」とはかなり趣の違う作品に仕上がっています。
銀地と金地の大きな違いはありますが、描かれている草も雰囲気が違います。
「夏秋草図屏風」が風にそよぐ弱々しい感じを醸し出しているのに対し、
この「秋草図屏風」は月を飲み込んでしまわんばかりの草々の強い
生命力みなぎる作品に仕上がっています。大変対照的な作品です。

願わくば、機会があれば並べて展示していただければと。

そうそう、酒井抱一の「書状」も展示されていました。

流石、お坊ちゃま。流麗な筆さばき。お見事。
拍手

浮世絵展示室には菱川師宣の「見返り美人図」が。
まぁこれはさて置いて、「今日の一枚」はこちらで。


歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図

この三枚続きの錦絵を見て真っ先に思い浮かべたのが↓の作品。

ラファエル前派の画家、ハーバート・ドレイパー (1863-1920)が描いたこちらの作品を邦芳の作品とがだぶって観えてしまいました。今こうして比べてみるとさして似ていないのですが…

ユリシーズとセイレーン」1909

それなら、同じくジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849-1917)が1891年に描いた「ユリシーズとセイレーン」の方が国芳の作品に似ているのでは?と


確かにこちらの方が似ていますしウォーターハウス好きとしてはたまらない作品なのですが「ユリシーズとセイレーン」に関してはドレイパーに軍配が。

                      だってこれですよ、これ。
こんなセイレーンの歌声ならいくらでも

昨日発売の雑誌「一個人」は丸々一冊全国美術館特集。
一個人 (いっこじん) 2007年 11月号 [雑誌]表紙が国立新美術館と井上和香ってのは…
一個人 (いっこじん) 2007年 11月号 [雑誌]

勿論、東博も紹介されています。


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1150
 今回は、日本におけるキリスト教の布教とその受容の歴史を、キリシタン関係遺品などによって紹介します。『天正遣欧使節記』は、少年遣欧使節がヨーロッパ各地に起こした日本ブームの中で出版されました。シドッチ将来の聖母像(親指のマリア)をはじめ、ロザリオ、十字架などの遺品は、幕府によって没収されたものです。また、明治時代にも続いた弾圧のなかでの信仰を伝える紙捻りのロザリオなどもご覧ください。
その他 | permalink | comments(6) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

こんにちは
ラストの国芳とラファエル前派のがとても楽しいです。
なにしろどちらも大好きです。嬉しくてにこにこです♪

隠れキリシタン資料はわたしの近所にも色々ありますが、当時の人々の深い信仰心が、こんなにも見事な作品を生み出したのか、といつも驚きます。

それにしてもさすが東博、いつでも豊かな気持ちにさせてくれますね。
遊行七恵 | 2007/09/28 12:44 PM
こんにちは。
深江芦舟は良かったですよね。
私も聞き慣れない絵師だったのですが、とても面白い作品だと思いました。
今回の展示のベストかもしれません。

抱一は何だか一筋縄でいかないような不思議感の漂う作品でした。
会期が終わる前にもう一度行ってこようと思います。
はろるど | 2007/09/28 10:20 PM
@遊行七恵さん
こんばんは。

>国芳とラファエル前派のがとても楽しいです。
ありがとうございます。
まずこれが最初にネタとして頭に浮かびました。

如何せん、酔っ払って帰ってきて
書いた記事なのでメチャメチャぶりは
いつも以上ですがご勘弁下さい。

東博ブラボー!!

@はろるどさん
こんばんは。

芦舟はあの展示室に入った瞬間に
ただならぬ雰囲気を感じ横を見たら
この屏風が鎮座していました。
腰抜かしそうになりました。
描けそうで描けないタイプの作品ですね。

抱一は最近古本屋で一冊購入し
遅まきながら勉強中です。
ハロルド先生。
Tak管理人 | 2007/09/28 11:27 PM
学生の時、修学旅行は「巡礼の旅」(今考えるとなかなか貴重な旅でしたが)という事で萩・津和野・長崎をまわりました。踏み絵をみると、すり減った分だけの人の思いを考えます。
国芳・抱一も是非みたいです。東博じっくり行きたい所ですね。
ティダ | 2007/09/29 5:56 AM
こちらにはお久しぶりです。

ドレイパーに軍配だなんて正直な言葉には笑いましたが、
小さい画面でみても、肌のなまめかしさは写真の様ですね。
まさに水も滴る・・・といった趣き。
でも、足がちゃんとあると普通の人間みたいだから、
人魚みたいな感じの方がいいなあと思いました。

そして「一個人」、丸々一冊全国美術館特集というのは
そそられる企画ですが、表紙見ただけで萎えそうです。
中身の充実度はどんなもんでしょうか。
m25 | 2007/09/29 10:28 PM
@ティダさん
こんばんは。

長崎は一度も行ったことがありません。
九州の他の県は多分制覇しているのですが
何故か長崎だけ。。。
ハウステンボスにやこうした歴史的な見所
山ほどある県です。一度は必ず!

@m25さん
こんばんは。
お疲れさまです。

ドレイパーのあの表現には勝ち目ありません。
いくらウォーターハウスでも。
人魚と同じ扱いだったのでしょうか。
水もぬるっとしている感じがします。
身体に附着した海草もまたいい感じです。
そそります。

「一個人」の表紙は幻滅もいいところ。
中身はしっかりしているので勿体ないです。
しかしどうしてまた…
Tak管理人 | 2007/09/30 9:12 PM
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東京国立博物館 常設展 | あべまつ行脚 | 2007/09/28 9:25 PM
東京国立博物館 平常展・本館2階(日本美術の流れ)8室「書画の展開 - 安土桃山・江戸 - 」 「酒井抱一 - 秋草図屏風 - 」 ようやく風に秋を感じる気候になってきましたが、東京国立博物館の平常展でも秋を見る抱一の名品が展示されています。それがこの「秋草図屏風」
酒井抱一 「秋草図屏風」 東京国立博物館 | はろるど・わーど | 2007/09/30 12:23 AM