青い日記帳 

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「ヴェネツィア絵画のきらめき展」

Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の
「ヴェネツィア絵画のきらめき-栄光のルネサンスから華麗なる18世紀へ-」展に
行って来ました。



数年前、ローマ、アッシジ、フィレンツェ、ラベンナ、ヴェネツィア、ベローナ、ミラノとイタリア縦断の旅をし終え、「どの街が印象に一番残っていますか?」と聞かれた際、迷わずに「ベニス(ヴェネツィア)」と答えました。

どの街も長い歴史に支えられた様々な魅力がありますが、ベニスだけはそれに加えて「他にはない」ものを持っている街です。市内は車の乗り入れが禁止されている為、現在でも主な交通手段はゴンドラ、船。もしくは徒歩。これだけひとつとってもまるでテーマパークに迷い込んだかのような印象を受けます。

ヴェネツィア - Wikipedia
これ読んでいるだけでも高揚感が。。。

この特異な土地でルネサンス期に花開いたティツィアーノやティントレット、ヴェロネーゼ、ベッリーニらが描いた華やかな絵画が「ヴェネツィア派」

ただし、今回の展覧会はヴェネツィア派だけでなく18世紀まで幅広い年代の様々な画家さんの作品を紹介する展覧会となっています。良い意味を込めて「ヴェネツィアごった煮」展とで呼べましょうか。自分のように特にヴェネツィア派に対して思い入れのない人にとっては「色々」観られて良かった〜と思えますが、ご専門の方にはちょいと不満かもしれません。

ただし誰しもが納得する一枚が「第一章 宗教・神話・寓意」に登場。

ティツィアーノ・ヴェチェリオ「洗礼者聖ヨハネの首をもつサロメ」1515年頃

ヴェネツィア派最大の巨匠ティツィアーノの初期の名品が会場入ってすぐの展示室に飾られています。チラシで観るよりもはるかに鮮やかな色彩を放っています。特にサロメの衣装に用いられている(サロメの右肩から胸の部分を覆っている)「赤」は見事。流石色彩の魔術師。対照的にヨハネの鼻の上に少しだけ描かれた左二の腕辺りはどす黒い「赤」が。ヨハネの血を表しているかのようです。

また大きく開いた胸元の明るいこと。色白美人さんにこの輝く胸元の白さが加われば誰でも男はひれ伏します。絵の前でひざががくがくしていました。
これ一枚だけ観るだけでも価値ある展覧会かもしれません。

もうひとりのヴェネツィア派の雄ティントレットは心動かされる作品ありませんでした。でもジャンバッティスタ・ティエポロという名の伏兵がいました。このジャンバッティスタ・ティエポロさん、実に様々なバリエーションの作品を残しています。

あれもティエポロ、これもティエポロ…千変万化ピエトロさんの作品だけを追って観て行ってもそれだけで楽しめます。 Giambattista TIEPOLO

これもヴェネツィア絵画なの?と驚かされる作品も。魔法の世界です。

ヨーゼフ・ハインツ「アイソンを若返らせるメディア」1650-60年頃

その一部。

どう考えても、ヒエロニムス・ボシュ(ボス)の影響を受けていること明白。


ヒエロニムス・ボシュ「聖アントニウスの誘惑」1500-05年頃

こうした北方絵画の影響は場所柄イタリア国内でも最も早くベニスは受けたに違いありません。そういえばイタリア版画展の時もそんな話ありましたね。

因みに、「聖アントニウスの誘惑」とくれば国立西洋美術館のこの作品。

ダフィット・テニールス(子)の「聖アントニウスの誘惑


ヒエロニムス・ボスが描く世界をよりコミカルにしたような場面がそこかしこに描かれ展開しています。いつもこの作品の前ではニヤニヤあやしい笑みをついつい浮かべてしまいます。

閑話休題。
第二章 統領のヴェネツィア
このセクションは主に肖像画が数点だけ。
でもティエポロはここでも存在感を。。。

ところで、肖像画に描かれた人物が片方だけ手袋をはめているのは何故?

第三章 都市の相貌
ヴェネツィアほど風光明媚な場所もまずありません。
この記事の始めに書いたイタリア周遊旅行の際、デジカメで撮影した写真が最も少ないのが何を隠そうヴェネツィアなのです。カメラを構えることすら忘れさせる。そんな街です。

最後のセクションで紹介されているのはそんなどこをとっても絵になる街ヴェネツィアを描いた作品です。興味深いのは描かれた時と現在でほとんど街の様子に変化がないこと。日本人には俄かに信じられないことです。

展示された作品と自分が撮影してきた写真を合わせてご紹介。
(数少ない写真から何とかチョイス)


カナレット「サン・ジョルジョ・マッジョーレ島と税関」1728年頃



ベルナルド・ベロット「サンマルコ広場」1747年以前


展覧会をご一緒した「Megurigami Nikki」のNikkiさんがヴェネツィアで購入して来たガイドブックを持参して下さったので絵に描かれたベニスの街並みとガイドブックにそれを比較しながら鑑賞できました。ほんと変っていません。驚くほどに。

帰宅し探したら家にも同じ本ありました。。。

でも、ガブリエル・ベッラという画家さんが描く街並みはちょいと変っていました。
アンリ・ルソーがベニスを描いたらきっとこうなるだろうと思わせる作風。
ヘタウマって訳でもないし、ただ憎めないいい感じに力の抜けた作品です。
Gabriel BELLA
これ、もしかして一番の目玉?

迷宮都市ヴェネツィアを歩く―カラー版 (角川oneテーマ21)
迷宮都市ヴェネツィアを歩く―カラー版 (角川oneテーマ21)
陣内 秀信

それでは最後に「今日の一枚


ジャンバッティスタ・ピットーニ「聖母子と聖ヨセフを礼拝する聖女テレサと聖ペテロ、聖女ウラスル、司教
キャプションに製作年が記されていないものが二点。その内の一点がこれ。

身体のひねり具合や色使いなどパルマ展で観たマニエリスムの作風。
楽しかったパルマ展が頭を過ります。

次イタリアへ行ける時はヴェネツィアとパルマ中心でスケジュール組みます!

おまけ:パノラマ機能付きのカメラ昔ありましたよね。
それで撮影したヴェネツィアのひとコマ。

中央に見えるがドゥカーレ宮殿です。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1155
 世界中の旅人を魅了する水の都ヴェネツィアは、かつて東方貿易の拠点として繁栄を誇り、独自の文化と芸術が華開いたことでも知られています。『東方見聞録』を書いたマルコ・ポーロもヴェネツィアの商人です。またこの町は、各地からの美の出会いの場でもありました。その比類なき富を背景に多くの美術品がもたらされただけでなく、ビザンティン美術やイスラム美術、さらにフランドルなど北方ルネサンスの要素が、ヴェネツィアの画家たちによってイタリア・ルネサンスに取り入れられ、その栄光をさらに推し進め、華麗にして独自の発展を遂げることになったのです。
 本展では、ティツィアーノやティントレット、ヴェロネーゼらの巨匠たちを輩出したルネサンスから、カナレット、ティエポロ、ロンギなどが活躍した18世紀までのヴェネツィア絵画の黄金期を、イタリアの個人コレクションや国公立美術館所蔵の作品を中心に、40作家による71点で紹介します。神話や宗教画だけでなく、幻想的な風景画、祝祭に彩られたヴェネツィアの市民生活を描く風俗画など幅広いテーマの作品により、水の都とその精華ともいうべき絵画芸術の魅力を、ヴェネツィア絵画が隆盛を極めた15世紀から18世紀に焦点を当て、3つのセクションでご紹介します。
展覧会 | permalink | comments(14) | trackbacks(10)

この記事に対するコメント

こんばんは。

ヴェネツィア派の特徴はパルマ派のようにはよくわかりませんでした。でも、個人的にはパルマよりヴェネツィアのほうがずっと行ってみたいですけど。車が走っていない街って!
サロメの絵は実際に見ると本当に色が鮮やかでしたね。ご指摘のように、胸元の白さがさらに際立っていました。
キリル | 2007/10/03 12:52 AM
Takさん
こんばんは

カナレットの作品を観て、無性にヴェネツィアに行きたくなってきました。
というわけで、まったく関係ない記事をTBさせていただきます。
lysander | 2007/10/03 1:00 AM
ボッシュの絵を生まれて初めて見たのは、ヴェネチアのドウカーレ宮でした。
何回行っても、又行きたい・・・行きたい・・・と思う場所です。
迷路のような道で目的地につかなくて迷子になりながら探す感覚がなんともいえません。
gakko | 2007/10/03 10:22 AM
私も「再訪したい街はどこですか?」と聞かれたら、
迷わずヴェネツィアです(っていうか既に再訪してるけど)。
自分の中ではヴェネツィア派→ヴェロネーゼなのですが、
今回来ている作品はどうでしたか?「エッケ・ホモ」とか。
秋津(Arthur-co. in mixi) | 2007/10/03 12:22 PM
こんばんは。
サロメは美しかったですね。
でも全体としては微妙。
決して悪いわけではないのですが。。。

「期待させるほど満足させてはくれない」というキャッチフレーズがここにはピッタリに思えます。
mizdesign | 2007/10/03 8:14 PM
そうかあ…ヴェネツィアの風景はあの絵も今もかわっていないのですね。
私の薄れゆく記憶と合致していたようで一安心しました(自分の記憶力もまだ大丈夫かな、ということで)

私もまたイタリアいきたいです!
はな | 2007/10/03 10:37 PM
Takさん、こんにちは♪
ヴェネツィアは他の陸の都にくらべるとやはり印象の残り具合が違いますね。異国にいるということをとても強く感じるすてきな街です。

>アンリ・ルソーがベニスを描いたらきっとこうなるだろう
↑ガブリエル・ベッラについてのこの記述にふんふんと頷いてしまいました^^
chat_noir | 2007/10/04 12:56 AM
@キリルさん
こんばんは。

この展覧会ではヴェネツィア派の特徴は
掴めませんよね。看板にちょいと偽りありです。
しかし本当にベニスには車が走っていません。
自転車すらNGです。
サンマルコ寺院は地盤沈下が激しく
でこぼこしていたりと「見所」満載です!?

@lysanderさん
こんばんは。

カナレット=ヴェネツィアですね。
彼の描く水面がたまりません。空もね。
船自分で操縦し運河をそこかしこ・・・
なんて夢のような話ですね。

@gakkoさん
こんばんは。

そうなんですよね。
一度行くと、二度。
二度行くと、三度と
まさにディズニーランド状態。
あの迷ったかのような感覚がたまりません。
魚介類とワインも最高でした。

@秋津さん
こんばんは。

ヴェネツィア派と称していますが
今回来ている作品はそれ以降の作品が
多かったように思えます。
「エッケ・ホモ」はヴェロネーゼの作品が
一枚だけありました!

@mizdesignさん
こんばんは。

先日はどうもありがとうございました。
>全体としては微妙。
でしたね。。。
あれひとりで行ったらあんなに楽しむこと
できなかったかと思います。
あれこれ突っ込みながら観て丁度いいかと。

頑張れBunkamura!!

@はなさん
こんばんは。

イタリアいいですよ〜
まずヨーロッパへ行かれるならイタリアです。
ヴェネツィアもそうですが、ほとんどの街が
昔からの古い町並みを残しています。
(空襲をうけていなければ)

@chat_noirさん
こんばんは。

男の中の男と言いますが
ヴェネツィアは異国の中の異国。
脳裏に焼きついて離れません。
ホテルも古い館をそのまま利用していたりして
使い勝手の悪さは別として趣きたっぷりです。

ガブリエル・ベッラ展希望します!
Tak管理人 | 2007/10/04 11:16 PM
私も西美のテニールスの「聖アントニウスの誘惑」の
悪魔の空中対決がお気に入りです。Takさん同様、
おっ、今日も戦ってるなっとニヤニヤしてしまいます。
だから、私も「アイソンを若返らせるメディア」には
はまってしまいました。
何やら妖しげな錬金術師を連想して楽しいです。
一村雨 | 2007/10/05 5:57 AM
@一村雨さん
こんばんは。

西美の「聖アントニウスの誘惑」は
「悲しみの聖母」同様に常設展へ行く
楽しみのひとつです。ニヤニヤしますよね。
ついつい。
「アイソンを若返らせるメディア」は妖しさ
たっぷりです。裏のヴェネツィアの姿かも。
錬金術は大きく関わっていそうですね。
Tak管理人 | 2007/10/05 10:43 PM
Takさん、こんばんは。
やっぱりアレは見た瞬間「ボス」を思い出しますよね。
西美のあの絵、私も好きです。
ヴェネツィアには興味があるのですが、旅行になかなかいけなくてじれったいですが、Takさんは色々なところへお出かけされていてすごい!と思います。
現地の写真と並べるとやっぱり石作りの都市の基本は変わってないのがわかって面白いですね。
しのぶん | 2007/10/11 10:24 PM
@しのぶんさん
こんばんは。

ボスですよね、あれ。
まさかこの展覧会で
ああいった類の作品に出逢えるとは
思ってもいませんでしたので嬉しかったです。

以前はフットワーク軽く海外も行けたのですが
今は中々、、、過去の遺産にすがり生きながらえています。
ヨーロッパの石の文化は毎度のことながら驚かされます。
Tak管理人 | 2007/10/12 12:04 AM
ティツィアーノ《洗礼者聖ヨハネの首をもつサロメ》綺麗でしたね!このサロメを観れただけで幸せいっぱいです♪(笑)
ヴェネツィア、今も昔もほとんど変わっていないんですね〜
ビックリです!!w(°o°)w おおっ!!
水没の危機にありますが、このまま変わらずに維持して欲しいですね。
りゅう | 2007/10/28 1:42 AM
@りゅうさん
こんばんは。

温暖化に一番敏感なイタリアの都市ではないでしょうか。
オランダの比ではないでしょうけど。
ヨーロッパってほんと何処でも基本的に
何百年も前の町の様子のまま。
古きものに価値観を覚える感覚見習いたいです。
Tak管理人 | 2007/10/28 10:30 PM
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