青い日記帳 

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「関東の文人画展」

佐野市立吉澤記念美術館で開催中の
開館5周年記念・アートリンクとりぎ2007「関東の文人画 谷文晁、渡辺崋山、椿椿山、高久靄僂伐写遒硫菴諭Π好家たち」展に行って来ました。
併催:吉澤コレクション「伊藤若冲《菜蟲譜》」「陶芸」



併催されている吉澤コレクション「伊藤若冲《菜蟲譜》」目当てで下野の国まで出かけたわけですが、この展覧会も予期せぬ良い作品に出逢えて為たり顔。

作品リストにはカラーで主な作品が掲載され解説まで丁寧に付されている丁寧さ。どこかの都内の美術館も見習って欲しいものです。これで入館料500円なのですから採算合わないことは素人考えにも明らか。

佐野市立吉澤記念美術館

そのカラー作品リストの表紙に書かれている文から志の高さを感じ取れます。

 平成十四年に開館した佐野市立吉澤記念美術館は、地元旧家の吉澤家で収集された美術コレクシヨンを活動の中心としています。このコレクションの出発点となったのが、豪農であった同家の江戸時代後期の当主、吉澤松堂による書画の享受であり、先述のような潮流の末に、現在の当館があるといっても過言ではありません。
 この展覧会では、早くから関東文人画の研究に取り組んできた栃木県立美術館の収蔵する関東文人画・下野画壇の優品を中心に、当館収蔵等を加えて展示を行います。意外な新鮮さにあふれる作品をごらんいただくとともに、「地方に住んで絵を楽しむ」「地方から発信する文化」ということについて、思いをめぐらせていただければ幸いです。


美術館自体平屋建てでお世辞にも広い展示室を確保できているとは言えませんが、この建物自体も吉澤家からの寄贈とあらば野暮な口出しは無用。立派なものです。


渡辺崋山「風竹図

吉澤松堂コレクションの中でもひと際光彩を放っている作品です。
風に揺られる竹を描いただけの作品と思いきや、讃には「この画はただの風竹ではない」と崋山自身の筆で記されているそうです。では一体何を表しているのでしょう?吉澤松堂は下野の国、葛生の豪農であり名手だったそうです。その吉澤に対し崋山は「風に吹かれて竹の羽音に民の辛苦の声を思え」とのメッセージを込め、この作品を描いたそうです。

そして実際に天保の飢饉の折に吉澤は私財を投げ打ち民の救済にあたったそうです。また「蛮社の獄」で投獄された崋山に対し支援、救済運動を椿椿山らとともに奔走したのが吉澤だったそうです。「益荒男」を栃木で見た思いがしました。

渡辺崋山
渡辺崋山
ドナルド・キーン

泉屋博古館分館で今年の夏に拝見した作品とそっくりのこの一枚。

椿椿山「花籠図

おめでたい雰囲気が見事に表現されています。観ていて清々しい気持ちになる一枚。西洋画の例えばブリューゲルが描いたような花の絵とは違った印象を受けるのは、描かれた花が自然界に咲いていたそのままの姿で生けられているからでしょう。人間の手が入っていることを西洋画に比べるとほとんど感じさせません。花瓶でなく「籠」というのも自然さをより一層際立たせているかと。


谷文晁「赤壁図

中国北宋代の政治家、詩人である蘇軾(そしょく)の名作『赤壁賦』にちなんだ作品。「三国志」の「赤壁」をも想起させます。この画像では分からないかもしれませんが、中央下に描かれている松の木。よーく観ると葉に緑色が差されています。初めは雄大な山々に目線が釘付けとなり気がつきませんでした。空に描かれた月でしょうか。そこから松までの距離がとてつもなく長く感じさせます。「宇宙」までも表現した作品。

谷文晁は江戸時代、西の円山応挙と比される東の巨匠だったそうで、没後に谷文晁、円山応挙の作品100幅を集め開催された展覧会の目録が展示されていました。美術館などない時代です。大きな料理屋さんで開催したのでしょうか?

それでは「今日の一枚


谷文晁「那須眺望図

バブル期以降の那須高原はお土産物屋やペンションが立ち並ぶ「リゾート地」になってしまいましたが、当時の那須はこんな様子。遠く富士山まで見渡せたそうです。少し高い位置から見下ろすように描かれています。那須岳中腹からの眺望でしょうか。それにしてもこの当時の「風景画」は珍しい。「名所図絵」のようなものなのでしょう、地名や名所を書き込んであります。これまた西洋の「風景画」とは大きな違いがあります。(神話の主題でもちょこっと描き込んでおけば…)

この展覧会は11月11日までです、「菜蟲譜」のついで何て言ったら怒られそうなほど小粒ながらも見応えある展覧会でした。

図解日本画用語事典
図解日本画用語事典
平山 郁夫,東京芸術大学大学院文化財保存学日本画研究室

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 江戸時代後期の関東では、谷文晁を頂点に、渡辺崋山、高久靄僉椿椿山ら、この時代を代表する画人たちが活躍しました。一般に「文人画」「南画」とよばれる彼らの作品は、東洋古典絵画に学んだ山水、実際の景観をえがく「真景図」、西洋的な写実性への関心がうかがえる人物表現をはじめとして、非常に多様な画風展開をみせ、いま見ても十分に新鮮で魅力的です。
 その活動を支えたのは、江戸のみならず全国各地に出現した富裕層たちでした。画を購入・注文するばかりでなく、画家たちを招き、また自ら画筆をとるなど、その地における文化活動をリードしました。また彼らの経済活動に伴う地域間ネットワークが画人たちの活動にも少なからぬ影響を与えたともいわれ、享受者たちの存在は、この時代の画家たちの活躍をみるうえで非常に興味深い要素といえます。片田舎の貧しい煙草切り職人であった高久靄僂、下野のだんな衆に画才を見出されて中央画壇への道を獲得したというのも、こういった時代の好例といえましょう。
展覧会 | permalink | comments(6) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

こんばんは。
私も昨日10日にやっと行ってきました。
ほんとにすばらしいものが多く、びっくりしました。
見てきた後なので、丁寧な解説が、よくわかって、
嬉しくなります。
私もいたって簡単なものを書きましたので、
TBさせていただきます。
すぴか | 2007/10/11 11:57 PM
@すぴかさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

いかれましたか!!佐野。
遠かったですよね。
それでも行く価値十分にあったかと。
若冲の記事だけでスルーするつもりでしたが
思いのほか良い作品と出逢えたので
記事書いてみました。
Tak管理人 | 2007/10/12 12:07 AM
こんばんは。改めまして先日はありがとうございました。
内容が一部重なってしまいましたが、
拙ブログでも感想を書いてみました。
素朴ながらも良い展示でしたよね。華山の笹が結構好みです。

板橋の文晁も行かなくては!
はろるど | 2007/10/12 10:00 PM
@はろるどさん
こんばんは。
TBありがとうございました。

佐野ラーメン、講演会、若冲それにアウトレットと
何だかごちゃ混ぜの一日でしたが楽しかったですね。
しかしあれだけ短い区間で事故が三箇所とは!
無事帰ってこれてよかったよかった。
Tak管理人 | 2007/10/12 11:23 PM
こんばんは。
料亭で展覧会を開く話は、先日の千葉氏美術館での講演会でも出ていました。
大きく分けて出開帳(見世物)と書画会及び展観会の二つに分かれ、後者は寺もしくは料亭で開かれたそうです。現代でいう公共空間がないので、広い場所を確保できるという点からこの二つの場所が会場になったそうです。
抱一と谷文晁の作品を集めた展観会の話も出ていました。
mizdesign | 2007/10/13 12:04 AM
@mizdesignさん
こんばんは。
出張先からのコメントありがとうございます。

千葉市美術館の抱一の講演会で
そんなお話があったのですね。
大変興味深いものあります。
当時は「美術館」などなかったわけで
大きく広く街中にあるとしたら
やはり料亭になるのでしょうね。
まさか大名屋敷でやるわけにも…
Tak管理人 | 2007/10/14 1:16 AM
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佐野市立吉澤記念美術館 関東の文人画展 | すぴか逍遥 | 2007/10/11 11:59 PM
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「関東の文人画展」 佐野市立吉澤記念美術館 | はろるど・わーど | 2007/10/12 9:59 PM