青い日記帳 

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「乾山の芸術と光琳」展

出光美術館で開催中の
「乾山の芸術と光琳」展に行って来ました。



琳派を代表する尾形光琳&乾山兄弟の展覧会と思いきや、弟、乾山が中心の展覧会でした。五歳違いの兄弟、実生活では弟の方がしっかりものだったそうです。今回兄、光琳は目立たず乾山を引き立てる脇役に。光琳が後世にこれだけ名を残すことが出来たのも弟、乾山のサポートや叱咤激励があったからこそ。そのちょっとした「恩返し」として今回は脇役に徹しています。

さて、その尾形乾山といえばゆる〜い力の抜けた絵柄が真っ先にまず頭に浮かびます。チラシに用いられている重文の「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」だって真上から見たらこんな緩々。松の木ではなく鍋物に入ったキノコのようです。

尾形乾山「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」重要文化財

またこのような斬新なデザインのものもまた乾山の特徴のひとつ。

尾形乾山「色絵紅葉文壺
緑地に紅葉型で白抜きし更にその中に青・赤・黄色・黒の四色を配置。こういった意匠は何かに影響を強く与えた別の物が存在したのでしょうか。

しかし、今回の展覧会の目的はこのような乾山の作品をただ単に並べて紹介するだけのものではありませんでした。それだけでしたら一昨年、東京国立博物館で開催された「特別展 華麗なる伊万里、雅の京焼」の方が見応えがあったように思えます。今回の展覧会の趣旨は別のところにありました。

・以下出光美術館のサイトから引用。
尾形乾山が京都の右京、仁和寺の奥に位置する鳴滝に窯を築いたのは、元禄12年(1699)でした。この鳴滝窯は、昭和初期に発見されて以来、じつは正式な発掘調査がなされることがなく、謎のままでした。
そこで、平成12年(2000)に「法蔵寺鳴滝乾山窯址発掘調査団」(出光美術館も参加)が結成され、初めて科学的な研究のメスが入れられました。5年間におよんだ発掘調査により、予想を超える種類の陶片が採取され、本展は、その成果を踏まえて浮かび上がってきた乾山焼の姿を、新たに提示することを目的にしています。


鳴滝窯に関してはこちらの本の72頁「陶片は語る」にも記されています。
すぐわかる琳派の美術
「すぐわかる琳派の美術」 仲町 啓子

また、「尾形乾山(おがたけんざん)について」こちらのサイトにも画像入りで詳しく紹介されています。

展覧会の構成も「鳴滝時代:乾山焼の異国趣味」「鳴滝時代:乾山焼における王朝の伝統美」「鳴滝時代:琳派的造形への展開」と鳴滝窯で焼かれた作品の紹介がメインとなっていました。っというか、今までどこの窯で焼かれていたものかなど全く考えずに只「緩いな〜いい感じだな〜」「斬新だな〜」と観ていただけなのでこうして学術的調査をもとに理路整然と窯ごとに分けて紹介していただけると見慣れたはずの乾山も新しい見方ができるから不思議です。

鳴滝時代の他にも二条丁子屋町時代、入谷時代、晩年、そして聖護院窯と。ただしあくまでもメインは鳴滝時代。聖護院窯の展示はリニューアルした「陶片室」の一角で展示されていました。(あれ?佐野はないのかな〜)

さて一応?お兄ちゃんも。

伝・尾形光琳「紅白梅図屏風」(一部)
12月4日からは国立博物館所蔵の尾形光琳作「竹梅図屏風」が展示されるそうです。


尾形光琳「茶碗絵手本
弟、乾山宛に送った絵手本の一部。
お手本の段階でこれだから、実際焼き物に描くとああなるのですね、きっと。

尾形乾山(光琳画)「銹絵寿老人図六角皿」重要文化財など兄弟コラボの完成品も展示されていました。

また、二人の交友関係、人脈の広さを物語るように、宋入、野々村仁清などの作品も展示してあり焼き物好きには結構たまらない展覧会になっています。

本阿弥光悦「赤楽兎文香合
「うさぎの聖母」に描かれた兎さんとは違いふくよかでピョンピョン飛べなそうな一羽の兎。この香合、とてもお香をたく道具には見えませんでした。カスタネットかと。それはいくらなんでも。。。

出光美術館で開催する展覧会にしては珍しく、多くの他の美術館から出展されているのも大きな特徴かと。ざっと並べただけでも京都樂美術館、大阪市立美術館、MOA美術館、MIHO MUSEUM、湯木美術館、細見美術館、福岡市立美術館、大和文華館、妙法寺など等国内中から選りすぐりの乾山作品が一堂に会しています。「これも乾山なの??」の連続でした。きっと知らない、見たこともない乾山に出会えるはずです。

キャッチ・コピー「あなたの知らない乾山に会える」なんてしたらいいかも。

それでは最後に「今日の一点

MOA美術館所蔵の優品。

尾形乾山「色絵吉野山文透彫反鉢

吉野の山のサクラをモチーフにしています。乾山といえばお得意は秋の紅葉、モミジ。その印象がとても強いのでこの作品を最後の方で見たときは、一瞬誰の作品だろう?と会場内を間誤付いてしまいました。

しかし、観れば観るほど完成度の高い一品です。計算され尽された意匠と配置。今回の展覧会で一番「欲しい!」と感じた作品でした。抱いていたイメージをすらされるのも悪くないこと知りました。

「乾山の芸術と光琳」展は12月16日までです。
その後以下の美術館を巡回するそうです。
MOA美術館:2008年1月18日〜2月26日
京都文化博物館:2008年3月8日〜4月13日

光琳乾山兄弟秘話 (RIBUN BOOKS)
光琳乾山兄弟秘話 (RIBUN BOOKS)
住友 慎一

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江戸時代中期(17世紀末期〜18世紀前期)に京都のやきもの界に一大革命を起こした乾山焼。乾山焼は、琳派の大成者・尾形光琳の実弟の尾形乾山が興したやきものです。王朝趣味の伝統意匠や、琳派的な華麗な装飾でうつわを飾り、京の懐石器の原点として現代人をも魅了しています。
尾形乾山が京都の右京、仁和寺の奥に位置する鳴滝に窯を築いたのは、元禄12年(1699)でした。この鳴滝窯は、昭和初期に発見されて以来、じつは正式な発掘調査がなされることがなく、謎のままでした。
そこで、平成12年(2000)に「法蔵寺鳴滝乾山窯址発掘調査団」(出光美術館も参加)が結成され、初めて科学的な研究のメスが入れられました。5年間におよんだ発掘調査により、予想を超える種類の陶片が採取され、本展は、その成果を踏まえて浮かび上がってきた乾山焼の姿を、新たに提示することを目的にしています。
この度の調査の結果、乾山はそれまでになかった芸術性の高いやきものを創出し、京焼の世界に新しい地平を切り開いたことが明らかになりました。乾山は当時、長崎を通じて中国の最先端の文化が流入していた黄檗宗の嵯峨野・直指庵に参禅し、霊海の号を得ていました。この国際色豊かな教養やファッション性をもっていた黄檗宗のネットワークのなかで、乾山は和漢の国際的な文化を背景とした、懐石のうつわなどへ積極的に取り組んでいたのです。
乾山焼の真の姿、そしてその造形の魅力とは、いったい何だったのでしょうか。今回はその点を追求していきます。本展では、重要文化財11件をはじめとする、館外の秀逸な名作を出品し、現在実現できうる最高の「乾山焼」の展覧会を目指します。陶芸ファンばかりでなく、広く日本の古美術愛好家の方々には見逃すことのできない盛りだくさんな内容です。
うつわに描かれた美の世界の醍醐味を、存分に堪能していただけると幸いです。
展覧会 | permalink | comments(6) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

面白い展覧会でしたね。
乾山は裕福な家の子なのに、何を間違ったか黄檗宗のもとで修業し、当時の最先端を吸収したみたいですね。
やはりNHKが絡むと違うなー日本全国から展示品が集まってきましたね。
僕が行った時はお客様ガラガラでしたがTAKさんのときはいかがでしたか。
これが「ぐるっとパス」で無料かーパスをやはり買おうかな。
oki | 2007/11/18 11:06 AM
尾形乾山「色絵吉野山文透彫反鉢」・・・いいですね。
思わず手にとり、そっと口をつけてしまいたくなります。
実物を観たらもっとそうなるのでしょう。
観ていて体が反応してしまうものっていいなあと感じます。
乾山の世界を堪能したくなりました。
ティダ | 2007/11/18 11:44 PM
こんにちは
京都をじっと待ちます。
時期的にいい頃合なので、光琳のお墓参りにも行けそうです。
雁金屋兄弟の展覧会は、こちら限定で小さい展覧会がここ数年行われているので、集大成的な感じかな、と期待しています。
遊行七恵 | 2007/11/19 9:04 AM
@okiさん
こんばんは。

乾山はしっかりした人物だったようですね。
お兄さんの体たらくが余計に目立ったかと。

今回の展覧会はとにかくあちこちから
様々な乾山をよくぞ集めてきたといった感受けました。
私がお邪魔したのは金曜夜だったのですが
随分と混雑していました。夜にしては。

@ティダさん
こんばんは。

良いでしょう〜
乾山らしくない絵柄。
乾山っててっきり秋の作家とばかり思っていました。
紅葉モチーフ多いですよね。
派手なこういった作品だけでなく
日常生活に風情を持ち込むような
そんなシンプルな陶器もありました。
それに陶片も。。。

@遊行七恵さん
こんばんは。

待てば海路のなんとかです。
ハレとケの特色ある作品が
一堂に会しています。
実際に使いたくなる品も。
乾山いいな〜
Tak管理人 | 2007/11/19 8:26 PM
Takさま こんばんは。
ご無沙汰です。
乾山よかったですぅ!!!
本当に一挙に大展覧でした。
陶工としてだけじゃなくって、人として
相当好きなおじさんになりました。
やっぱ、サラブレッドの作るものは
すごいやぁって、ため息でした。
あべまつ | 2007/11/30 10:39 PM
@あべまつさん
こんばんは。

こちらこそ。
乾山あれだけ作風が違うもの
一挙に目にするとこの人は
どんな人だったのだろうと
それまで以上に関心がわきます。

お兄さん思いの職人肌。
いい弟に恵まれて光琳は幸せですよね。
Tak管理人 | 2007/11/30 11:23 PM
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東京・丸の内の出光美術館で「乾山の芸術と光琳」展を観てきました。前にも書きましたが、出光美術館は小さな美術館ですが、僕の好きな美術館のひとつです。展示に独自の特徴があること、静かなこと、景色がいいこと、等々、好きな理由は幾つかあります。年に数回は必ず
出光美術館で「乾山の芸術と光琳」展を観た! | とんとん・にっき | 2007/11/20 9:23 PM
乾山はお兄さんの光琳があまりにも大きくて、獏としていた存在になりがちだが、 今回ほどリアルに彼の真に迫った展覧はなかったと思う。 平成12年から結成された、鳴滝窯発掘団の調査結果を踏まえ、黄檗宗との関係も明らかになった乾山の魅力たっぷり感じられるすば
今朝の、新日曜美術館(NHK教育 毎週日曜日午前9時〜)は、出光美術館で開催されている展覧会「乾山の芸術と光琳」(会期11/3〜12/16)を取り上げていましたが、美術館へは、昨日、行ってきたところでした。 番組のほうは、「乾山 日本のうつわを変えた男」という
乾山 日本のうつわを変えた男@出光 | 南風録ぶろぐ | 2007/12/08 9:57 PM