弐代目・青い日記帳 

  
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別冊太陽『江戸絵画入門 驚くべき奇才たちの時代』
お待ちかね、別冊太陽日本のこころ150号特別記念号『江戸絵画入門 驚くべき奇才たちの時代』がいよいよ発売になりました。


江戸絵画入門―驚くべき奇才たちの時代 (別冊太陽 日本のこころ 150)
江戸絵画の流れを分野別にコンパクトにまとめ、名画の図版約200点を掲載。代表的な画家を網羅するとともに、美術的価値の高い作品を集めた、最適の江戸絵画入門。

10月に佐野市吉澤記念美術館で開催された、東京大学名誉教授、秋田県立近代美術館館長でもあり「菜蟲譜」発見にも貢献された河野元昭先生の講演会を拝聴した際に、河野先生が「年末に面白い本が出ますから期待していて下さい」と太鼓判を押していた本です。

河野元昭氏
開館5周年記念特別講演会「関東の文人画と吉澤コレクションの近世絵画」
160人でつくる若冲模写巻物伊藤若冲の「菜蟲譜」

その河野氏が監修を務め満を持して数日前に発売になったのが『江戸絵画入門―驚くべき奇才たちの時代』です。

一口に「江戸絵画」と言っても若冲や琳派、そして浮世絵など実に多彩。
それらを7つに分類し、それぞれ超一流の執筆者が担当。
文章もさることながら一番の見所はその美麗な江戸絵画の数々。
そうビジュアル面がとっても充実しています!

↓この表紙からもその片鱗窺い知る事できますよね。

狩野探幽から光琳、大雅、応挙、若冲、白隠、北斎まで、250年の絵画史を分野別に構成し、新しい視点で名作を収録した決定版ビジュアル入門書。

書店で思わず保存版としてもう一冊購入しようか真剣に迷ってしまうほどの出来栄え。不肖ながら私も推させていただきます。絶対に「買い」です。

平凡社のサイトでさっぱり宣伝していないので代わりに7つのジャンルご紹介。
執筆者と作品も少々。

狩野派」:安村敏信氏(板橋区立美術館館長)
紆余曲折しながらも江戸絵画史に君臨した狩野家一門



狩野永敏「花鳥図壁貼付」17世紀前半
フェルメールと同じ頃描かれた作品。
風に揺られ梅の枝のみならず幹までが波打つように描かれています。ありえない光景が描かれています。しかし枝の先にとまる鳥たちは風を全く感じていないかのように逆に微動だにしていません。何とも不思議な作品です。

琳派」:仲町啓子(実践女子大学教授)
京都の町衆に支えられて誕生した琳派、江戸でも花開く


尾形光琳「蔦図香包」18世紀前半
香包(こうづつみ)とは、香木を炷き出す前に包んでおく紙のことだそうです。
中にお香を入れ折りたたんで使用したそうです。なんて贅沢なんだ〜
どんなに高級なブランド品のチーフよりもこちらの方に魅力感じます。

また、以前こちらの記事で紹介した、深江芦舟「蔦の細道図屏風」も見開きでどーんと掲載されています。

酒井抱一ファンの方、7ページも割かれていますよ!

南画」:佐藤康宏(東京大学教授)
憧れの中国、描かれた日本。遊説的に浮かび上がる画家の〈私〉


南画は江戸絵画の中でも一番興味関心が薄いのですが、執筆者が佐藤氏なので俄然読む気になります。こういう点もこの本の良いところかと。


浦上玉堂「山雨染衣図」19世紀初 重要文化財
手前の木々など本当に濡れているかのような錯覚さえ感じさせる筆捌き。
前ページに掲載されている蕪村の「春光晴雨図」と共通する点があると指摘。
南画の魅力はもしかして雨?!

奇想の画家」:河野元昭(東京大学名誉教授、秋田県立近代美術館館長)
因習を破壊して登場したアヴァンギャルドな画家たち

岩佐又兵衛


曾我蕭白

そして伊藤若冲に長沢芦雪とお馴染みのメンバーが勢ぞろい。
河野先生美味しいとこ持って行ってます。

長沢芦雪「冨士越鶴図」1794年
芦雪が描くと富士山こうなります。
そして戦隊を組んで丹頂鶴が飛来します。(秘密基地は太陽か?)
芦雪大好き!!

因みに、芦雪好きにはたまらない一冊が本日発売になりました。
無量寺・串本応挙芦雪館の内部の写真がどーんと掲載されています。
東京 大人のウォーカー 2008年 01月号 [雑誌]
東京 大人のウォーカー 2008年 01月号 [雑誌]
ついでに紹介するのとても勿体無い充実した内容の一冊。
買いそびれると泣きます。

写実画」:金子信久(府中市美術館学芸員)
伝統的日本画の常識を覆す、本物の「奇想」の画


安田雷洲「危嶂懸泉図」19世紀前半〜中頃
既にこの時代になると西洋の遠近法や西洋画が日本にも伝わってきていました。それらの影響をもろに受けた奇妙、奇天烈な作品が生み出されます。この章では司馬江漢や佐竹曙山、小田野直武らを中心に紹介されていますが、最後の隠し球としてこの安田雷洲が待ち受けています。乞うご期待!

禅画」:山下裕二(明治学院大学教授)
「公的な美術史」から、はみだしてきた「禅画」


白隠慧鶴「大燈国師像」18世紀
白隠、仙僉東嶺、風外ら四人の作品を山下先生の語り口で紹介。
それにしてもこの作品の僧の目つきかなりきてますね。
足の爪も戦闘準備万端。「いつでもかかってこいや〜」

松岡正剛の千夜千冊 『夜船閑話』白隠

浮世絵」:浅野秀剛(千葉市美術館学芸課長)
大衆文化とともに生まれた、多彩な絵師を生んだ浮世絵


浮世絵のはじまりからバリエーション豊富な作品を完璧に網羅。
かなりのページ数割いています。今年注目を浴びた肉筆浮世絵も勿論。
絵入版本まで紹介されています。


葛飾北斎「千代の海 総州銚子」1833年頃
北斎の「波の表現」について見開きで紹介しています。
曰く「造形の化神による筆魂のすさまじさ」

以上がこの本に収録されている7ジャンルのほんのごく一部。
なにせ200ページを超える大ボリューム、オールカラー版です。

でも、7人の執筆者にこの大御所がいませんね。。。
奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)
奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)
辻 惟雄

心配ご無用、お弟子さんである河野氏と辻先生の中身の濃い対談「江戸絵画のパイオニアたち」がしっかり収録されています。それにコラムも多数。

そして驚いたのは巻末に「江戸絵画史年表」なるものが掲載されていること。
また「画家別・掲載作品索引」まで丁寧に付けられています。
こういう仕事ってとても時間と手間かかるものです。
これだけでもかなり価値があるかと。

これだけエッセンスが凝縮されていて2600円は超お買い得。
冗談でなく「保存用」にもう一冊買っても悪くありません。

江戸絵画入門―驚くべき奇才たちの時代 (別冊太陽 日本のこころ 150)
年末の「忘年会」での出費考えれば安いものです。

一家に一冊、別冊太陽『江戸絵画入門』

平凡社もっと宣伝しなくちゃ!こんなに良い本作ったのだから。。。
勿体無いお化け出ちゃいます。


美術史家、大いに笑う―河野元昭先生のための日本美術史論集

いや〜凄い本出来ちゃったな〜

この記事のURL
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| 読書 | 22:50 | comments(9) | trackbacks(1) |
先日、書店で見かけて即効でレジへ向かいました。
一瞬、2400円という価格に躊躇しそうになりましたが、やはり手元に一冊欲しくなる内容で納得でした。
| あおひー | 2007/11/29 2:23 AM |

こんばんは。見ました、ですぐに買いました。待望の一冊ですね。巻頭の河野先生の文も力が入っています。

>平凡社もっと宣伝しなくちゃ!こんなに良い本作ったのだから。。。
勿体無いお化け出ちゃいます。

別冊太陽はいつも地味に新刊が出ますよね。立派なつくりなのですから、仰るようにもっと宣伝すればよいのにと思います。
| はろるど | 2007/11/29 10:28 PM |

@あおひーさん
こんばんは。

これ出るの楽しみにしていたんです。
ビジュアル版でこれだけ充実しているもの
他に類を見ないかと。
絶対にお買い得ですよね。
| Tak管理人 | 2007/11/29 10:29 PM |

@はろるどさん
こんばんは。
コメント入れ違いになってしまったようです。

河野先生の気さくなお話を
伺ったあとだったので
余計に親しみが湧いてくる一冊ですよね。
偉い先生なのに、あのフランクな態度は天晴れです。

別冊太陽、平凡社さんもっともっと宣伝してもいいのに。
佐藤氏まで執筆者に加わっているのですから。

ほんと勿体無いお化けでちゃいます。冬ですが。
| Tak管理人 | 2007/11/29 10:33 PM |

うわああああっっっっっ!
明日、さっそく本屋へ走ります。
「別冊太陽」も素敵だけれど、
ブツスキーには「大人のウォーカー」も魅惑的です。
情報、ありがとうございます。

そういえば、高島屋のお歳暮ポスター見ましたか?
神坂雪佳、素敵です。
あれを見るとお歳暮を出したい気持ちになります。
| 菊花 | 2007/11/29 10:46 PM |

 平凡社の別冊太陽「日本のこころ」シリーズはもともと永久保存版に相応しい本つくりをしてくれます。(博物学美術系に強いですから)
 「江戸絵画 驚くべき奇才」辻先生が名づけ再評価されたのは時代の潮流にあわせて上手いですね。すごい影響力です。NHKも東博も便乗しましたから。
 11/29読売アート面で紹介されましたし、何よりこのBlogでTakさんがイチオシしているのが、一番すごい宣伝力だと思いますよ。
 私もお奨め!Vermeerの図書カード壱萬円で大人買いです。
| panda | 2007/11/30 1:36 AM |

@菊花さん
こんばんは。

ずっしりと重く内容も濃く
申し分のない一冊です。
「大人のウォーカー」は
今までで一番よい特集かと。

春には薬師寺から仏像さん
やってきますしね。

高島屋さんここ何年か
目を楽しませてくれていますね。

@pandaさん
こんばんは。

vermeer図書カード愛用者です。
あれが財布に入っているだけで
嬉しい気分になります。
ついつい買いすぎてしまうのが
玉に瑕。
アマゾンもカードをもうちょっと
お洒落にできないものでしょうか。

辻先生一派(東大)強しです。
しかしここまで花ひらくのに
数多の苦労あったかと。
| Tak管理人 | 2007/11/30 11:16 PM |

こちらで拝見して早速購入しちゃいました!
いつも有意義な最新情報満載でお世話になってます。
これからも素敵なブログ楽しみにしてます。
なんて、年の瀬のご挨拶みたいになっちゃいました^^;
まだ年末まで1ヶ月あるのに!
| はな | 2007/12/02 8:30 AM |

@はなさん
こんばんは。

はなさんと今年ブログでお知り合いになれて
色々とこちらも刺激を受けました。
お礼を言いたいのはこちらのほうです。

あと残り一ヶ月。
師走を猛ダッシュで!
お体ご自愛あれ。
| Tak管理人 | 2007/12/02 11:58 PM |










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『奇想の系譜 』辻 惟雄 (著)
意表を突く構図、強烈な色、グロテスクなフォルム?近世絵画史において長く傍系とされ
| Anonymous-source | 2007/12/11 11:34 AM |
編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ』(世界文化社)が2月18日に発売になります。


青い日記帳(編集)『美術展の手帖』小学館より発売中です。


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