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TNM&TOPPANミュージアムシアター「国宝 聖徳太子絵伝」

凸版印刷と独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館が文化財や文化遺産の新しい体験の場として国立博物館内に先月オープンした「TNM&TOPPANミュージアムシアター」へ行って来ました。



東博の資料館に座席数30人程のミニシアターがオープンしました。
凸版印刷が手がけるVR(バーチャルリアリティ)技術により、東博所蔵の作品が今までにない楽しみ方で体験できる新名所です。その第一弾として「国宝 聖徳太子絵伝」が選ばれました。

技術的なことはさっぱり分かりませんので
詳しいことお知りになりたい方はこちらで↓

【「TNM&TOPPANミュージアムシアター」について】
 「TNM&TOPPANミュージアムシアター」は、東京国立博物館と凸版印刷が共同で東京国立博物館資料館内に開設する、最先端のデジタル技術で文化財と文化遺産の体験を提供する場です。フルハイビジョンの約4倍という超高精細の画像表現が可能です。文化財保護の観点から常時展示することのできない国宝などの貴重な収蔵品の魅力や美を余すことなく公開し、それらの繊細な線の表情、微細な描写までも克明に描き出しす事を可能にします。シアター内では、各ナビゲータが作品の世界を分かりやすくご案内します。
ミュージアムシアター
上:シアターイメージ図  下:実際のシアター内

五反田ビルで開催されている「ルーヴル−DNPミュージアムラボ」を意識していることは間違いないかと思われます。
ルーヴル−DNPミュージアムラボ(「銃騎兵」)
ルーヴル−DNPミュージアムラボ(「うさぎの聖母」)

あちらさんがフランス・ルーブル美術館と手を組むなら、こっちは東博と!とそんなやり取りあったかどうか定かではありませんが、意識していることは間違いないかと。ただし凸版印刷さんの場合は既に「印刷博物館」にVRシアターを構えていますのでその技術の貸し出しのようなものなのでしょうか。

現在はベルギー、アントワープにある「プランタン=モレトゥス博物館」について、次回は「故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》第一部」だそうです。詳しくはこちら

「ルーヴル−DNPミュージアムラボ」と確かに似ている点もありますが、基本的なスタンスは違うようです。あちらは本物の作品は観られますが、他はあくまでも実験室(すぐトラブル発生するし)。一方、凸版さんは実際の作品こそないもののかなり洗練された完成度の高いものだと感じました。

さて、実際に体験してきたことを簡単にレポートいたします。
「TNM&TOPPANミュージアムシアター」は「ルーヴル−DNPミュージアムラボ」と違い事前にweb等で予約が出来ません。当日(毎週金・土・日曜日および祝日・振替休日)直接博物館へ出向き予約をします。場所は表慶館を入って右側。

受付で名前を告げるだけでok.丁度出かけた時間が開始10分前で座席も空いていたのですぐ観ることが出来ました。受付の方曰く「今日は朝一から満席が続いております」とのこと。「大徳川展」終了し現在、特別展は何も行われていない博物館ですが、それでもかなりお客さんいらしているようです。

案内係の方にカルガモの子供の如く先導され表慶館裏口から出て、一路資料館へ。
左が資料館。右が表慶館。

資料館へは初めて入りました。一階にTNM&TOPPANミュージアムシアターはあります。誘導に従って着席。「ルーヴル−DNPミュージアムラボ」は各個人が勝手にあちこち見てまわる形ですが、こちらは静かに着席しナビゲーターの説明・解説に耳を傾けます。

今日のナビゲーターは武藤さん。これから観る「国宝 聖徳太子絵伝」とこのシアターのシステムの簡単な説明が。「コンピューター画像をスクリーンに映し出します」と。そして予期もせぬ発言が「皆様にお願いがございます」何?何??「これからご覧になる映像はリアル過ぎて目が回る虞が御座います。もしご気分が悪くなられましたら一度映像から目を逸らすか、目を閉じて下さい。」えーーそんなに…何だか心配。

「ボーン・アルティメイタム」の再来?(一村雨さんご心配かと)

不安が一切払拭される間もなく、「それでは始めさせていただきます。」と元気の良い声。なるしかならない。と覚悟を決めるやいなや、るんるんキーンコ〜ンカーンコ〜ンムードと小学校の授業が始まるような緩いチャイムが鳴りスタート。アゲサゲ激しいって。

これから約20分の映像が目の前の巨大スクリーンに映し出されるわけですが、単なる映像による作品紹介ではありません、運命は全てナビゲータの武藤さんが握っているのでした。手にはゲーム機のコントローラーが!これで武藤さんの思うがままに映像を動かせるそうです。

例えば、この法隆寺、夢殿の映像も自由自在に。夢殿の裏手にある「絵殿」と呼ばれる建物の中に「国宝 聖徳太子絵伝」はあったものだそうです。

「それでは、絵伝の中に入ってみましょう」とコントローラーを操作。どうでもいいことですが、武藤さんが「絵殿」というと「Eden」と聞こえてしまうから不思議。最初のうちは「エデンの園」が頭を巡り混乱しました。

絵伝の中です。
 でも現在の絵殿の中様子とは違います。元あった場所に「国宝 聖徳太子絵伝」をはめ込んだ映像です。
 現在は江戸時代に吉村周圭によって描かれた「聖徳太子絵伝」の模写があるそうです。

↑の二点の画像、どちらも「本物」ではありませんのでご注意を。
実際に観ていても、これが本当に作り物なの?と疑いたくなるほどの出来。

さて、「国宝 聖徳太子絵伝」には聖徳太子の生涯が約60のエピソードによって具に描かれているそうです。それを全て説明していたのでは何時間あっても足りません、それに途中で寝てしまいます。。。(暗くて静かだとすぐ寝てしまいます)

数点のエピソードに絞ってナビゲーターさんが解説を加えてくれます。勿論手元のコントローラーで拡大は思うがまま。「こちらをご覧下さい」と言うやいなや、グリンと手元で操作し画面は一エピソードの場面を映し出します。

例えば、有名なこのエピソード。
豊聡耳(とよとみみ)
厩戸皇子がある時、人々の請願を聞く機会があった。我先にと口を開いた請願者の数は10人にも上ったが、皇子は全ての人が発した言葉を漏らさず理解し、的確な答えを返したという。wiki

こちらは今日初めて知りました。

厩戸皇子の驚くべきジャンプ力。
作品の痛みが激しくはっきりと分からないかもしれませんが、地上にいる五人の見上げる視線の先には驚異的な跳躍力で空を飛ぶ太子の姿が(雲間に見えます。かすかに)こういったシーンもフルハイビジョンの約4倍という超高精細の画像表現によりシアター内ではもっと鮮明に見えます。

それでも剥落などにより、全く絵が分からないシーンは前述した江戸時代に吉村周圭によって描かれた「聖徳太子絵伝」の模写でサッと画面上で確認することが出来ます。これまた武藤さんの操作次第。


左が実物。右が模写。
中央に十七条憲法を記す太子の姿や、遣隋使小野妹子の姿も確認できます。

そうこうしているうちにあっという間に時間は過ぎ終了に。映像終了しシアター内に明かりが点くと自然と拍手が。それだけナビゲーターさんの解説が優れている証かと。来週の金曜日から解説するエピソードを変えるそうです。またこの作品ではない「新作」も着々と準備されているそうです。次回もまた是非参加してみたいと思わせる大変優れた企画です。

ルーヴルなんかに負けないでね!

TNM&TOPPANミュージアムシアター
日程: 開館日の、毎週金・土・日曜日および祝日・振替休日
時間10:00〜、11:00〜、12:00〜、14:00〜、15:00〜、16:00〜
※整理券を、下記受付場所にて9:30〜15:50の間、配付しています
上映場所: 資料館 TNM&TOPPANミュージアムシアター
席数:30席
料金:無料(ただし、当日の入館料は必要です)
受付場所:表慶館エントランス シアター受付

NHK「その時歴史が動いた」 日出づる処の天子より~聖徳太子、理想国家建設の夢~
NHK「その時歴史が動いた」 日出づる処の天子より~聖徳太子、理想国家建設の夢~

国宝 聖徳太子絵伝」について
 法隆寺の東院伽藍、夢殿の北側東西に舎利殿と絵殿が並び建っています。いま法隆寺宝物館に展示・収蔵される「聖徳太子絵伝」は、もとこの絵殿の三方(東・北・西)の壁に貼られた障子絵でした。現存する聖徳太子絵伝のうち最古で最大の遺品で、摂津国(大阪府)の絵師秦致貞が延久元年に描いたものです。飛鳥地方から中国の衡山におよぶ壮大な空間の中に太子の六十近い事蹟をちりばめ、各場面を表す銘文が、貼り付けられた色紙形に記されています。建武五年(一三三八)以降、いくども修理がほどこされ、天明八年(一七八八)には二曲五隻の屏風に改装されましたが、帝室に献納され当館に引き継がれた後、保存のために十面の額装に改められました。現在の絵殿には天明修理時の、吉村周圭の模写がはめ込まれています。
 立涌文の綾に描かれた画面は、度重なる修理のために当初の彩色のほとんどを失い、綾地そのものが欠失した箇所もありますが、全体の構図はほぼ踏襲されていると考えられています。現在、当初の綾や彩色の残り具合を、科学研究費補助金の交付を受けて調査研究しています。「博物館ニュース」より



尚、現在「国宝 聖徳太子絵伝」の展示行われておりませんが、他にも「聖徳太子絵伝」はたくさんあります。今だと法隆寺館と本館二階でそれぞれ違った「聖徳太子絵伝」を鑑賞することできます。
(昨年、鑑賞した際の記事はこちら。)

本館二階に展示されていた「聖徳太子絵伝」
14世紀、作者不詳

法隆寺館では…

右端の作品。

これを「今日の一枚」にします。

「聖徳太子絵伝」
上野法橋但馬房、1305年

同じように見えてちょっとしたところが違うようです。
シアター内で説明があった太子の愛馬「黒駒」が富士山を飛び越えているシーンですが、上野法橋但馬房が手がけた絵伝にはこのように描かれています。


ところが、「国宝 聖徳太子絵伝」では…

こういった違いをひとつひとつ調べ比較し研究していったらさぞかし楽しいでしょうね〜時間がいくらあっても足りません。太子のようには「奇蹟」起こせたらな。。。

そんな夢のような話はさておいて、十七条憲法でも。
九に曰わく、信はこれ義の本(もと)なり。事毎(ことごと)に信あれ。それ善悪成敗はかならず信にあり。
(九にいう。真心は人の道の根本である。何事にも真心がなければいけない。事の善し悪しや成否は、すべて真心のあるなしにかかっている。)

心に刻みます。はい。

聖徳太子、法隆寺といえば、真っ先に思い起こすのがこの一冊。
隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)
隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)梅原 猛
懐かしいな〜学生時代食い入るようにして読んだ覚えあります。
この一冊で梅原猛に嵌まってしまった。。。今はいい好々爺ですが。


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1224

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東京国立博物館が所蔵する、価値ある文化財の数々。
その魅力を引き出す新しい鑑賞方法を実現したのがTNM&TOPPANミュージアムシアターです。
シアターでは、超高精細の臨場感あふれる映像を大型スクリーンで上映し、各ナビゲータが作品の世界を分かりやすくご案内します。
公開作品の第一弾は、「国宝 聖徳太子絵伝」。現在は東京国立博物館法隆寺宝物館に収蔵されるこの絵伝を、バーチャルリアリティ(VR)技術でかつて収められていた法隆寺東院伽藍の絵殿に戻して鑑賞します。
およそ1000年の時を越えて鮮やかに蘇る伝説の物語絵。息がかかるほどの臨場感でお楽しみいただけます。
展覧会 | permalink | comments(7) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

こんにちは
初日に行ってきました。
とても良い企画だと思いました。
印刷美術館のノウハウがあるだけ
凸版>DNPでしょうか。
とら | 2007/12/10 9:33 AM
TB御礼!
凸版に感謝あるのみでした。
カレンダーの立体印刷技術で驚いたのは数十年前
梅原猛の「京都に住んで50年になる」でカナワナイと
ショックを受けたのは10年前ぐらいでしょうか。
お札から太子か消え数年・・・
大好きな聖徳太子に会えた幸せな時間でした。
ちー | 2007/12/10 11:46 AM
@とらさん
こんばんは。

流石です。
スタートダッシュ相変わらずお早い!

>凸版>DNPでしょうか。
そのような気がしました。
完成度が高いです。
それに身近に感じました。

@ちーさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

そういえばお札から聖徳太子の姿
消えて久しく経ちますね。
今の子はもしかして知らなかったりして?
聖徳太子はいなかったなんて説も
大学の先生が大真面目で語っている昨今。
太子人気衰えていない証拠かと。
Tak管理人 | 2007/12/10 11:41 PM
こんにちわ。

ぼくは仕事柄こういうデジタル映像には辛口になってしまいますが、企画としてとてもおもしろいなと思います。何より、DNPのように「ご勝手にどうぞ」ではなく、ちゃんと説明していただけるところがいいです。やっぱり、人の説明があると、理解度も違いますね。

映像的には、やっぱり実物とは違うので、DNPと違って実物がないのはどうかなという気もします。そこらあたりをどう捉えていくかというのが、こういうシステムの課題ですね。
すた | 2007/12/12 6:57 PM
@すたさん
こんばんは。

実物が保存の観点から常時展示できないので
ゆくゆくは現在展示できる作品にあわせて
映像も変えていけたらよいのでしょうね。
的を絞るのもよし。実験的にあれこれ試すのもよし。
曼荼羅のようなものも期待大です。

仰る通り人が解説その場でしてくれるのは
何だか新鮮な感じすらしました。
この辺がバーチャルと現実との境目の
難しいところかもしれません。
Tak管理人 | 2007/12/12 10:27 PM
こんにちは。
見てきました。
その場で申し込めるので、行き易くて助かります。
内容も素晴らしかったです!
mizdesign | 2007/12/20 1:08 PM
@mizdesignさん
こんばんは。

「次も行きたくなる」
そんなシアターですよね。
人がある程度介することの
大切さを学んだように思えます。
Tak管理人 | 2007/12/21 11:04 PM
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 《聖徳太子絵伝》は、平安時代、1069年に、摂津の絵師秦致貞が聖徳太子の一生を描いたものである。この絵はもともとは太子信仰の聖地、法隆寺東院伽藍内・絵殿の障子絵であったが、現在は10面に分けて額装され、東京国立博物館の法隆寺宝物館で年に一度、一ヶ月間のみ
2007年11月2日(金) 公開 東京国立博物館、凸版印刷は、当館資料館に超高精細の画像表現が可能なシアター、 「TNM&TOPPANミュージアムシアター」を新たに開設します。 上映する映像作品第1弾は、国宝「聖徳太子絵伝」のバーチャルリアリティコンテンツです。 国宝「聖
■ 東京国立博物館/TNM&TOPPANミュージアムシアター | 今日なにした?明日なにする? | 2007/12/10 11:34 AM
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TNM&TOPPANミュージアムシアター@東京国立博物館 | 柏をたのしむ@水上デザインオフィス | 2007/12/20 1:04 PM