青い日記帳 

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「上海−近代の美術−」展

渋谷区立松濤美術館で開催中の
「上海−近代の美術−」展に行って来ました。



タイトルや開催している美術館がとても地味な印象を与える為か、あまり(ほとんど)話題となっていないようですが、実は何と「台北の国立故宮博物院の作品が日本で公開される初めての」展覧会です。

どうして今まで日本で公開されることがなかったのかは、國立故宮博物院の成り立ちを踏まえれば当然と言えば当然。さらに現在の中国と台湾との関係を鑑みてもこれまた然り。

また「上海」という町もアヘン戦争以降特別なポジションとなった土地。展覧会は「19世紀後半から20世紀前半にかけて中国・上海で花開いた美術―書・画・篆刻の名品約200点」を紹介。

今でこそ西欧諸国の文化圏に含まれている日本ですが、長い歴史を顧みれば「中国文化」の影響下にあった時代がどれだけ長かったかは推して知るべし。またこれから3,40年先には国内総生産(GDP)がアメリカを抜いて世界第一位になるであろうと目されている中国。お隣さんの影響力は計り知れないものがあります。今後。


さて、さて展覧会は地下に絵画、二階に書・篆刻と故宮博物院の名品が展示。
書・篆刻はさっぱり分りませんでしたが絵画は見たことあるような作品ばかりなのでクリスマスソングが流れる渋谷の雑踏からそのまま入り込んでも違和感なく鑑賞することが可能(言い忘れました。これ去年観に行った展覧会です。。。)

虚谷(きょこく)「金魚図
「美の壺展」で観たDVDで、金魚は本来上から観賞するものだと教えてもらっていたのでこの絵もとてもスムーズに受け入れること出来ました。金魚のルーツもそもそも中国ですしね。

美の壺「壱のツボ 金魚は上から見るべし

早々にご覧になって来られた、とらさんの記事を拝見するとこの作品は「裕福」を表したものだそうです。またmemeさんogawamaさんもしっかりと感想お書きになっていらっしゃいます。

由来は知らずとも縁起良さそうな絵であることは一目瞭然。

任頤(じんい)「和合双仙図
こちらは、寒山拾得の姿を描いた作品。
サクランボを手に持ち、小鳥さんを誘っているなんて中々洒落ています。

長澤芦雪が描いた「寒山拾得」なんて…ただの酔っ払い。

自分も酔った勢いで描いたとか。結構好きですけどねこれ。

因みに人嫌いの若冲が描くとこうなります。

伊藤若冲「寒山拾得

山下祐二先生曰く「若冲って今人気者ですが、人は大嫌いだったようです。動物や植物はあんなに見事に描き表すのに、人物画は極端に少ない。この寒山拾得図だってイヤイヤ描いた感じ。右の拾得なんて背を向けてしまっています。」

(寒山拾得の故事は、森鴎外の小説『寒山拾得』や坪内逍遙作の舞踊劇(長唄)『寒山拾得』などでも知られている。また、良寛は『寒山拾得に題する賛』という詩を詠んでいる。)

室町、江戸と多くの絵師に多大な影響を与えた中国絵画の「残り香」を満喫できるそんな展覧会かと。残り香と言っても出がらしではなく、時代とともに洗練されつつも伝統をしっかりと踏まえた中国絵画の奥深さが有する上等なものです。

それでは最後に「今日の一枚


蒲華(ほか)「芝仙祝寿図

画面手前下に群れて生えているのは霊芝(れいし)。ピンク、紫、エメラルドグリーン、黄色でそれぞれ彩られています。高血圧や高脂肪の人には良いと聞きますが、どうなのでしょう。その上に水仙。そして赤い竹。台座となっているのは寿石と呼ばれるものだそうです。

言い伝えや効能など知らずとも観ているだけでおめでたい雰囲気になる一枚かと。「双仙献寿図」という作品では仙人自ら霊芝を持っているというこれまた無敵の組み合わせ。厄払いでもしてくればよかった。

最後になって思い出したので付け加えて書いておきます。
植物の表現が見事です。見どころの一つかと。

こちらはチラシの最下段に配された植物たち。「菜蟲譜」思い起こさせます。

展覧会のタイトルやチラシ一見地味ですが、よーく見るとかなり奥深い展覧会となっています。「応挙、若冲に影響を与えた画家たちの系譜」なんてサブタイトル付ければもっとお客さん来ると思うのですが、あえてそれをしないところがニクイ。流石中国文化。媚びたりしません。

国立故宮博物院案内
国立故宮博物院案内
清水 仁

「上海−近代の美術−」展は1月27日までです。
入館料300円也。

おまけ
今から10年以上前に台湾の國立故宮博物院へ行きました。
サイトにまとめてあります

で、その旅の帰りに羽田空港でちょっとした事件が…
新年一発目に笑っていただければ幸いです。こちら

それと台湾でちょっとハマってしまった「檳榔」(ビンロウ)

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1250

JUGEMテーマ:アート・デザイン


1912年、二千年あまりにわたった清朝帝政が終焉(しゅうえん)をむかえ、中華民国が成立しました。この歴史の転換期に民族の伝統文化の再構築を求めた人々は近代美術の創造へと動き出しました。アヘン戦争以後に開港した上海は、海外との貿易による経済の発展と西洋文明の舶来によって、中国各地から多くの芸術家が集い、独自の新しい作風を興す美術界一大中心地をなして、まさしく百花斉放の時代を迎えました。また、日本との文化交流も盛んに行われ、数多の文化人が往来したほか、中国からは数多くの留学生が来日して、新しい美術を学びました。
本展では、日本初公開の作品を多数含む、花鳥、人物、山水などの絵画・書・篆刻(てんこく)の優品約200点を国内外から集め、個性溢れる作品郡を紹介します。
また、台北の国立故宮博物院の作品が日本で公開される初めての機会となります。
展覧会 | permalink | comments(5) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

クリスマスの頃に行かれていたのですか。
この頃にもしっかりとした中日友好があったのですね。
拙記事を紹介していただきありがとうございました。
近くなので3期とも観てきます。
とら | 2008/01/04 9:17 PM
こんばんは〜。
この頃の上海には憧れのような気持ちもあって、興味津々で見てきました。
大陸の美術って近しいようでいて違和感もあって、立ち位置を決めにくいところなのですが、この展覧会は割と素直に見れました。
意外と初心者向けなのかもしれません。
図録買ったし、私も3期見たいと思ってます(行けるかな〜)。

ogawama | 2008/01/04 11:30 PM
@とらさん
こんばんは。

忘年会でmemeさんと共にお話を
伺いこれは年内に是非と思い
ジングルベル流れる中行って来ました。
とらさんお勧めだけあって大満足でした。
いつもありがとうございます。

三期とも記事楽しみにしています!

@ogawamaさん
こんばんは。

上海一度も行ったことありません。
やはり憧れの地です。
近代化の波にそれほど飲まれていないのは
流石大陸がもつ何千年の歴史ゆえと感心しました。
日本なんてそれに比べて。。。

図録お買いになりましたか!
気合入っていますね〜三期行けるますきっと。
ここのお店お勧めです。Galettoria(ガレットリア)
http://vermeer.jugem.cc/?day=20071226
Tak管理人 | 2008/01/04 11:42 PM
行ってまいりました!
ここが今年初の美術館詣ででした。
“近代中国”誕生の重要なトポスである上海に
こんな芸術の潮流が渦を巻いていたんだなあと思うと
思わず歴史のロマンにひたってしまいます。
自分的に出だし上々、という感じでした!
はな | 2008/01/09 5:24 PM
@はなさん
こんばんは。

初の展覧会が松濤美術館とは
これまた洒落ているではないですか
一年のスタート静かに切れましたね。

>自分的に出だし上々、という感じでした!
佳い年にきっとなります。
なるはずです。
Tak管理人 | 2008/01/09 10:46 PM
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今年最初の美術館めぐり、美術館初詣は渋谷にいたしました♪ 松涛美術館で開催中の「上海 近代の美術」にいってまいりました(会期:2007年12月11日から2008年1月27日まで)。 地下1階が絵画中心、2階の展示室は書と篆刻の展示です。 古き中国の残照と新しい時代の潮
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松濤美術館で「上海・近代の美術」展を観る! | とんとん・にっき | 2008/01/17 12:56 AM