青い日記帳 

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直島・護王神社

今年の年賀状に使った写真、どこで撮影したものか分りました?



去年の夏に行った直島で撮影してきた護王神社の写真です。
(実際はこの前に疲れた顔した夫婦が写っている写真を使用)

ベネッセハウスや地中美術館がある地区と港の中間に位置する木村地区という集落で「家プロジェクト」と名づけられたアートプロジェクトの一環として、再建されたのがこの護王神社です。

小さな集落の中の道を歩いていると突然鳥居が目の前に現れます。
 
それは小高い古墳の入口のようですらあります。
なだらかな斜度の石段を登って往くと目の前に護王神社が見えてきます。

さして段数も登っていませんが、まるで今までいた集落とは別世界の雰囲気。

森閑とした中にも厳としたそんな空間に社殿は建っています。

汗ばんだ身体のままでは神様に失礼です。
手水舎で手を清め、口を漱ぐのは最低限の礼儀。

 
足利時代に起源を持つこの神域は、江戸初期、当時の領主高原氏によって整備され、また明治初期の火災後に建て替えられたことが、本殿の棟札から読み取ることができる。その後、大がかりな改修は加えられずに百年以上の歳月が経過し、近年になってほぼ全面崩壊するに至った為、御神体を別宮に遷座し、新築に近い改修が行われることになった。 杉本博司著「苔のむすまで」より。

苔のむすまで
「苔のむすまで」 杉本 博司

護王神社の再建プロジェクトに指名されたのが、写真家・杉本博司。
直島には係わりの深いアーティストさんでもあります。
(詳しくはこちらの記事で。「直島の杉本博司」)

写真家がどうして神社を建立するのか?謎ですよね。
その疑問を杉本はこう答えています。

Q.写真家だと思われているあなたが、なぜ神社を建てることになったのですか。
A.写真家といっても水と空気、それと光を扱ってきました。
 建築も似たようなものです。

建築家の青木淳氏との対談もご参考になるかと。


そうは言っても、普通に神社を再建するはずがありません。展覧会の会場でさえも自分であつらえるほどのこだわりを見せる人物です。

引き受けたら他に類を見ない、神社をこしらえてしまうはずです。そして予想通りの展開に。

でもこうして見る限り平凡な小さな神社にしか見えません。
もう少し、近寄ってみましょう。
すると…

何と階段がシースルー!
分厚い光学ガラスで出来た階段。カメラのレンズ等に用いる最高のものを使用しているそうです。神様の前でそろばんはじいてみたい心情に駆られます。


この光学ガラスで出来た階段は「人」が通るものではなく「神」がお通りになるものだそうです。地上にある本殿と地下にあり石室をつなぐのがこのガラスの階段の大きな役目。

杉本はこの神社を一から作り上げるに際し、伊勢神宮の中でも最も古い形が残っているとされる瀧原宮(たきはらのみや)を参考にしたそうです。(故にこの護王神社、家プロジェクトとしては「Appropriate Proportion」アプロプリエイト・プロポーションというタイトルが付けられています)

地下にある石室にも入ることができます。ぐるっと回って脇からですが。

ちょっとした「墓荒らし」の気分に。。。

中は撮影が禁じられている為、写真はありません。
どうしてもご覧になりたい方は「苔のむすまで」かこちらの本で。カラー写真で紹介されています。先ほどの光学ガラスの石段が確かに地下の石室まで続いていることがそれでわかります。
直島 瀬戸内アートの楽園 (とんぼの本)
直島 瀬戸内アートの楽園 (とんぼの本)

夏の暑い日差しが照りつける中の訪問でしたが、護王神社の石室内は天然のクーラーで温度管理がなされており、そのままいつまでも居続けたい気分にさせる空間。また外光がわずかに入り込むだけの薄暗い場所。

普通であれば暗くて狭い空間に長いこと居たいとは思わないはずですが、そこの心地よさと言ったら、なんと言いましょうか刷り込まれた遠く昔からの記憶を甦らせ、遺伝子レベルでそこに居る続けることを身体と脳が要求するそんな場所でもありました。

そして重い腰をあげ、元の世界に戻ろうとすると…
こんな景色が眼に飛び込んで来る仕掛けとなっています。

眼前に広がる瀬戸内の海と光
写真家杉本博司の光に対するこだわりがこんなところでも具現化されています。

こちらは一昨年の朝日の記事です。ご参考までに。

米国で目覚めた日本の美 現代美術家・杉本博司
 ニューヨークを拠点に世界中の様々な被写体を追いかけ、とくに最近10年、写真作品が国際的に高い評価を受けてきた。来年、欧米の美術館で開かれる個展だけで10を数えるという。
 高い評価を受ける理由の一つに、「日本人の感性」をあげる。主に白黒で表現される作品は、端正で洗練された印象を与える。欧米の美術界は、そこに東洋的な「美」や仏教的な「無」の反映を見てとろうとする。「作品には日本史全体を通観する視点や、日本人の基本的な感性を出したいと思ってきた」と自身も歓迎する。
 もっとも日本の美に目覚めたのは、70年にアメリカに渡ってからだ。立教大でマルクス経済学などを学んだ後、就職はせず、単身カリフォルニアへ。そこで社会を変えようという若者たちによるカウンターカルチャー運動に興味を抱き、美術学校に通うことに決めた。
 その若者たちの間で流行していたのが、禅や東洋の神秘主義だった。慌てて日本の文化を勉強した。だから自らを「アメリカ製日本人」と呼ぶ。
 日本を知るもう一つのきっかけが、アメリカでのおぼつかなかった作家生活を安定させるために始めた日本古美術の商売だ。日本各地を回って仏像や民具を集めながら、鑑識眼を磨いた。「古美術には長い時間を生き延びてきた力が、形として表れている。自分の作品を作る時、そんな優れた古美術品には勝てないまでも、負けていないかを意識する」という。
 近年、写真以外に表現の幅を広げる。瀬戸内海の直島では、「護王神社」(02年)の再建という建築を手がけた。開催中の個展には、数式を巨大な3次元模型で表した立体なども並ぶ。
杉本博司の個展が12日まで銀座にあるギャラリー小柳で開催されています。

はろるど・わーど:「杉本博司 漏光」 ギャラリー小柳
徒然と(美術と本と映画好き...): 杉本博司展『漏光』(ギャラリー小柳)

ギャラリー小柳で開催中の「杉本博司 - 漏光」展のオープニング

それでは最後に「今日の一枚

あらためまして

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ところで、直島、3月にでもご一緒しません?
帰って来てすぐ「また行きたい」と思わせる場所そう滅多にありません。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1253

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この記事に対するコメント

直島、もっと行きたくなりました。
去年の日記を読ませていただいてから、同居人に「直島に行きたい」「直島に行きたい」といい続けておりますが、いまだ実現せず。
今年は絶対!!
gakko | 2008/01/07 3:21 PM
@gakkoさん
こんばんは。

直島結構簡単に行けると思います。
高松までの往復航空券もさほど
高くありませんし。
それよりも金比羅山へ…行きたい。
Tak管理人 | 2008/01/07 11:09 PM
金比羅山、行きたいですね。

3月と言うのは、職業柄でしょうか。
期末で、結構忙しいんですよ。

今年行きたいところ
直島もそうですが、米沢経由(洛中洛外図をゆっくり見る)で、庄内(土門拳記念館)に行きたいです。
鼎 | 2008/01/07 11:28 PM
はじめまして。
昨夏の『Parma展』で知って以来、
いつも日記を楽しく拝読させて頂いております(^^)。

「直島」、今イチバン行ってみたいところです!
3月また行かれるんですか〜? うらやましぃナ。
気が早いですがw、今から日記を楽しみにしていまーす☆
*Sa* | 2008/01/08 2:07 PM
@鼎さん
こんばんは。

三月末は一番動ける時期です。
なんて言いつつも結構しがらみがあって中々。

鼎さんのお考えのコースも
これまた魅力的ですね。
米沢でゆったりと再会したいものです。
永徳と。

@*Sa*さん
こんばんは。はじめまして。

拙い日記読んでいただき恐縮です。
ありがとうございます。

直島行かれるならちょっと奮発して
ベネッセ関係のホテルがお勧めです。
金比羅とからめてこっそり進行中です。計画。

これからもどうぞ宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2008/01/09 12:17 AM
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