青い日記帳 

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「痕跡展」

東京国立美術館で開催中の
「痕跡−戦後美術における身体と思考」展に行って来ました。



「痕跡展」ストレートな名前に違わぬ展覧会です。
因みに辞書で「痕跡」を引くと
過去に何かがあったことを示すあと。あとかた。形跡。
「―をとどめる」
とあります。
これまた、その通り。
何かの跡、痕、址、墟の作品が約120点
以下の8つのジャンルにそれぞれ分けられて展示されています。

1. 表面 SURFACE
2. 行為 ACTION
3. 身体 BODY
4. 物質 MATERIAL
5. 破壊 DESTRUCTION
6. 転写 TRANSFER
7. 時間 TIME
8. 思考 IDEA

「琳派展」や「草間彌生展」では出口だった場所が入口です。
入口前には白髪一雄の「赤い丸太」が存在感見せてます。
「2. 行為 ACTION」に属される作品です。
作家自身が斧を振って切りつけた痕跡が残っていました。
導入からいきなりこれです。

「1. 表面 SURFACE」
「赤い丸太」と対をなすかのようにルーチョ・フォンタナの「空間概念」が
展示してありました。滋賀県立近代美術館所蔵の作品です。
フォンタナはこの他にも「穴」や「バロック」などの作品がありますが
個人的にはこの「空間概念」が一番好き。他にもう一枚展示されていました。

ポロックの「カット・アウト」も大原美術館から来ていました。

イブ・クラインの「炎の絵画」も久しぶりに見られて満足(^^)v
クライン自身がガスバーナーを持ちパネル(キャンバス)に直接火を噴きつけた痕跡(焦跡)がのこ「炎の絵画」です。よって青くありません。。。ちょっと残念。

李 禹煥などの“穴を空けた作品”がこの他に何点かありました。

「2. 行為 ACTION」
個人的にこの行為というジャンルはあまり好みでなないようで、
観るスピードも自ずと速くなってしまいました。
ジョルジュ・マチウの「豊臣秀吉」などインパクトの強い作品も
多く展示されてはいるのですが、どうも・・・

オットー・ミュールの「透明包装」など酷いもの。
同じ展示室にイブ・クラインの「人体測定」があるので比べられて
しまいかねませんが、方法は似ていても全く別ものです。

「3. 身体 BODY」
ここのジャンルが、中核をなしていると言っても過言ではないかと思う部分。
ただ、ある種の嫌悪感をいやでも味あわされ、見せ付けられる場所です。
体調や気分の優れない方はここはなるべく観るのを避けた方が懸命です。

「身体」の痕跡ですからね。
鷲田清一さんの身体論ではないですが、身体というくくりには
肢体だけでなく血や尿、精液までも含まれます。
そしてそれらが「痕跡」となり表現されています。

それだけならまだしも、自分の脚を噛んだ歯形や
レイプされた「痕跡」までもが作品として展示されていると
いくら健康体で行っても正視できないかもしれません。

救いはイブ・クラインの「人体測定」(広島市現代美術館)と
ロバート・ラウシェンバーグ&スーザン・ウェイルの「無題(スー)」くらいです。
特に後者は綺麗です。

「4. 物質 MATERIAL」「5. 破壊 DESTRUCTION」
この二つは無理に分けなくても良かったような気もしますが、、、
ただ「3. 身体 BODY」で感じた嫌悪感はここでは消えます。
相手が物になった瞬間に。
これは面白いことだと作品以外のことで感動していました。

高松次郎の「消しゴムのドローイング
これは秀作です。良いです。
消した跡に一定のリズムが感じられました。

「6. 転写 TRANSFER」「7. 時間 TIME」
共にあまり感じるものが無かった。
特に「転写」は???

成田克彦の「SUMI」を久しぶりに見て懐かしさを感じたくらい。

「8. 思考 IDEA」
思考の「痕跡」…例えば学生が受験勉強に使ったノート。
研究者が学会で発表するための資料。
アイデアをメモした紙。
全てこれに属するのかもしれません。

最後にきて、やっと自分の「手の届く」範疇に作品がやって来たという
嬉しさをおぼえる場所のような気がします。

メル・ボックナーは色々と面白いことやった芸術家のようです。
作品観て彼の事もっと知りたくなりました。

展覧会の最後、出口付近に
ソル・ルウィットの「ウォール・ドローイング」が
2点展示?されていました。
これは実際に美術館の壁に直接ドローイングした作品です。
ただし、作者が直接描いたわけではないのがポイント。

美術館側との折衝が済むと彼の方から「職人」を派遣してくるそうです。
(交通費などは美術館が出す)
その何名かの職人によってソル・ルウィットに指示されたように
ドローイングを描いていくというのです。

当然、彼の意図していないものになる可能性もあります。
(今回は高さの指定があっただけとか。。。)
そして、展覧会終了後は作品を廃棄するのも条件なのだそうです。

最後の作品は「痕跡」を残さない作品でした。
以下プレスリリース
画家の激しい身振りを想起させる飛び散った絵具やカンヴァスに青くなすりつけられた人のかたち、紙の上に残された自動車の車輪の跡。第二次大戦後、様々な斬新な表現が美術作品として登場しました。今日、画期的な表現として高く評価されるこれらのイメージは、肖像画や風景画のように「何かに似ている」のではなく、「何ごとかの結果として」意味を与えられているといえるでしょう。この展覧会ではこのようなイメージに「痕跡」という名を与え、戦後美術を新しい角度から見直してみたいと考えます。

 1950年代から70年代後半まで、およそ30年にわたる美術の流れの中に「痕跡としての美術」は多様に姿を変えて登場します。そして日本のみならず、アメリカやヨーロッパの戦後美術においてもこのような美術の系譜は脈々と続いています。日本における具体美術協会の活動、読売アンデパンダン展周辺の作家たち、もの派の動向、あるいはアメリカにおけるネオ・ダダやボディー・アート、コンセプチュアル・アート、そしてヨーロッパにおけるウィーン・アクショニズム。国籍も時代も表現も全く異なったこれらの動向を「痕跡」という視点から捉える時、現代美術の思いがけない同時性や共通性、表現の多様性と独自性が明らかになるように思います。

 ジャクソン・ポロックやアンディ・ウォーホルといったよく知られた作家から、ヘルマン・ニッチやアナ・メンディエッタといった日本ではほとんど紹介されたことのない作家まで、日本、アメリカ、ヨーロッパのおよそ60名の作家、120点の作品で構成された本展覧会は美術という営みを新しい角度から問い直す、得がたい機会となることでしょう。
展覧会 | permalink | comments(12) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

たけさん!
私、こういうの大好きです!
国立美術館で、このような展覧会がやっているとは不覚にも知りませんでした。
絶対行きます!
楽しみです。
ご紹介ありがとうございます。
epokhe | 2005/01/19 10:46 PM
@epokheさん
コメントありがとうございます。
マイナーな展覧会ですが、企画力は素晴らしいです。
こういった展覧会、年に何度もあるものではないです。
絶対にオススメです。

「○○美術館展」など客寄せパンダのような展覧会とは
わけが違います。その分、辛口で大人の展覧会です。
Tak管理人 | 2005/01/20 5:23 PM
トラックバックしていただきやってきました〜
すごく素敵なサイトですね!
自分が行こうと思い行きそびれた展覧会にも足を運んでいたり、その他美術に関する記事あれこれと、美術な毎日がつづられており、こういうの作りたかったっていう理想のサイトがここに実現されており、ビックリしました!今後もゆっくり見させていただきます〜

痕跡展は本当に面白い展覧会でしたね!藤田嗣治の絵を見ようと近美に行き、痕跡展を特に見るつもりはなかったのですが、ギャラリーガイドの方に勧められて見てみたら、現代美術が苦手な私にもすごく楽しめて!招待券をもらったので、もう一度足を運んでみようと思います。
aiueochiai | 2005/01/21 1:07 AM
@aiueochiaiさん
コメントありがとうございます。
初めはこのブログは展覧会や映画を観た感想だけを
書いていた日記の続きとして開始したのですが、
いつの間にか、つまらないことも合間合間に
書くようになりました。

痕跡展は京都から巡回してきたそうですが
時間をかけてゆっくり練られた展覧会という気がします。
画家の名前に頼らない良質の展覧会です。
多くの発見や出会いがありました。

拙いページですが、本館共々
今後とも宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2005/01/21 4:48 PM
こんばんは。
京都からの巡回だったのですか…。
ガラガラでしたが、企画力が素晴らしかった展覧会でした。

しかし「痕跡」って一体何なのでしょうね…。
未だに良くわからない部分があります。

TBさせていただきます。
はろるど・わーど | 2005/01/31 10:12 PM
@はろるど・わーどさん
コメント&TBありがとうございました。
ガラガラがもったいない展覧会ですよね。
集めるだけでも大変ですからね。
良い作品、そうでない作品
玉石混合の展覧会ですが、
企画力がとにかく勝っています。

痕跡・・・
こうして記録や言葉を残すのも痕跡。
この時間を生きた痕跡では。
なんてね(^_-)-☆
Tak管理人 | 2005/01/31 11:42 PM
こんばんは.

「痕跡」展,みました.
うまく感想が整理できないのですが,印象に残る展示でした.ぼくは企画に振り回された気がします.(やけくその記事を書いたので,よかったら見に来てください.)

この展示に関してはいろいろな方の感想を聞いてみたいです.(Takさんのレポートも楽しませてもらいました♪)
おけはざま | 2005/02/02 1:09 AM
@おけはざまさん
コメントありがとうございます。
ブログの記事読ませていただきましたが
イイではないですか〜
この展覧会はキレイな展覧会ではなく
不愉快な作品多いですし、絵を観に行こうという
純粋な気持ちで行くと足元すくわれてしまいます。

私はクラインが3枚もあったので
前向きに?観られました。何とか・・
Tak管理人 | 2005/02/02 7:58 AM
こんばんは。

この週末にようやく観に行ってきました。
僕は「絵を観にいく」気分で行ってしまったために(汗)思いっきり足元をすくわれてしまいました。
そういう気分だった(というよりも、たぶんそういうものの方が好きだということだと思いますが)ので、「転写」「時間」のカテゴリーのほうがしっくりきました。

「身体」は、かなりきつかったです。。。
DADA. | 2005/02/07 9:17 PM
@DADA.さん
コメントありがとうございます。
足元すくわれる展覧会ですよね。。。。
クライン観たさに気軽に行った私でさえ
その周囲にある作品のインパクトの強さ
毒の強さにあてられてしまった感じします。

DADA.さんがBLOGで書かれている通り、
理解以前に嫌悪感覚える作品も多数ありました。

毒好きな私でさえ(^^ゞ
Tak管理人 | 2005/02/08 5:40 PM
TBありがとうございました。
ただ単にメモを書き散らしただけのものにリアクションをい頂戴して、恥ずかしいやらなにやら・・・

大急ぎで少しばかりの追記+修正を施しました。
今後とも宜しくお願いします (^^
yasu | 2005/03/10 4:37 PM
@yasuさん
こんばんは。
コメント&TBありがとうございました。

メモと言われてもかなり内容の濃いものですね。
私なんてメモしたものが帰宅してから
何書いたのか分からないことしばしばです(^_^;)

こちらこそよろしくお願い致します。
Tak管理人 | 2005/03/10 10:12 PM
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東京国立近代美術館でやっている、 「痕跡――戦後美術における身体と思考」に無性に行きたい。 私、こういうの大好き。 何故だろう。 血が騒いで仕方ない。 絶対に行こうと予定している。 やっぱり時代は、 「思考する身体」と「身体する思考」 ですよ。 と
TRACES : Body and Idea in Contemporary Art | ◇◆Essayという試み◆◇ | 2005/01/22 3:37 PM
東京国立近代美術館(千代田区) 「痕跡-戦後美術における身体と思考」 1/12〜2/27 こんにちは。 日曜日は竹橋の近代美術館で「痕跡」展を観てきました。企画力に優れた展覧会でした。 さて、いきなりですが「痕跡」とは何でしょう。会場にあったパンフレットによる
行きたい行きたいと言っていた、TRACES : Body and Idea in Contemporary Artに行ってきた。 痕跡は「キズ」ばかりではないはずであるのに、「汚れた跡」としての表現が大多数であった。 そんな中、「明るい残骸」や「清々しい形跡」もいくつかあり、目を引くものが
『痕跡』 | ◇◆Essayという試み◆◇ | 2005/02/10 2:54 AM
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痕跡 | 歩行と思索 | 2005/03/10 4:31 PM