青い日記帳 

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「若冲を愉しむ」その1

京都国立博物館(平常展示館2階10・11室)で展示中の
小特集「若冲を愉しむ」を観て来ました。



笑ってやって下さい。
金刀比羅宮へお参りする前に、正しくは奥書院の若冲「花丸図」を観る前に日帰りで京都まで行って来ました。羽田から飛んで高松空港に到着したのが9時35分。高松空港でmizdesignさんと遭遇。相乗りして高松市内までタクシーを飛ばす。mizdesignさんは港から直島へ。香川へ来たならとても正しいルート設定。


デッキにmizdesignさんが居ます。見えないけど。

港でmizdesignさんを見送り、我々夫婦はJR高松駅へ。みどりの窓口で「京都まで大人二枚」と気遅れ気味に告げ切符を購入し、間髪入れず岡山行きの「快速 マリンライナー」に乗り込みました。岡山で「新幹線 のぞみ」に乗り換え一路目的地京都へ。我ながら呆れるばかり。

車内放送で「東京駅の到着時刻は15時何分を予定しています」と告げられると「あーこのまま東京に戻れてしまうんだ…」なんてことをも。そんな余計なこと考えているからでしょうか、急に二人とも睡魔に襲われしばしzzz…寝過して気がついたら東京に戻っていたなんて洒落になりません。(京都に向かっている次点で相当無理があるのですから)

無事?京都駅に着いたのが正午過ぎ。東京を飛行機で飛び立って5時間近くが経とうとしています。京都は遠いな〜。そんな東国から変てこなルートできた夫婦を嘲笑うかのように粉雪が舞って来ました。想像していた以上に寒いです。冬の京都。

前置きかなり長くなりましたが、こうしてやっとの思いで辿り着いた京博。これで若冲展示されていなかったら泣きわめき叫び狂います。


小特集〈若冲を愉しむ〉三種類のポスター.

今回展示されている作品はすべて今まで一度も目にしたことのないもの。
2000年の「若冲展」のカタログや書籍でしかお目にかかったことありません。

中でも今回どうしても観たかったのが「鶏頭蟷螂図」と「石灯籠図屏風
逸る気持ちを抑えつつ常設展館二階へ。
10室と11室に分けての展示。

まずはじめに10室の「鶏頭蟷螂図」から。

この部屋には他に「百犬図」という強烈なインパクトを放つ作品があるのですが、実際に見比べると「カマキリ」に軍配上げざるを得ません。

画面左下から生える「鶏頭」の茎がその一種異様な花の部分に勝るとも劣らず、時にはかくっと折れたように曲がり、として時にはループを描くように天空へ伸びています。基本的にクルクル系。葉っぱもくるくる。まるで「チョココロネ」のようです。

蟷螂は花の天辺で「天下取るぞ!」と空に向け両鎌を高く振り上げ何か叫んでいるかのようです。よく見ると触覚もピンと伸びきっています。ところで足が一本多くないですか?

また、花のドット模様や茎のグラデ表現など等他にも見所満載。堪能。

他にこの部屋(というより一角)に展示されていた作品は以下の4点。

百犬図
若冲が亡くなる年に描かれたものとされています。85歳過ぎてもこんな作品描こうという気力があったことにまず驚かされます。そして一匹一匹の体毛一本一本まで丁寧に描き込んでいるのを目の当たりにし驚きを通りこして呆れてしまうほどでした。

基本的に江戸時代の絵師さんて犬好きですよね、皆さん。

果蔬涅槃図
本来なら中央で横になっている大根の代わりにお釈迦様が描かれ「釈迦涅槃図」となりすが、それに見立て数々の野菜たちが亡くなったダイコン様を嘆き悲しんでいる様子。5秒で吹き出します。この絵の前に立てば。それほどユーモアあふれる一枚。

昨年、佐野市吉澤美術館で拝見した「菜蟲譜」の前半がやはり野菜尽しでした。ただしあちらは見事な彩色が施されておりさながら「野菜図鑑」のよう。その「野菜図鑑」から飛び出してきた野菜たちが「果蔬涅槃図」という寸劇を見せてくれているようにも思えました。

因みにこちらは同じく江戸時代の絵師、英一蝶による「見立業平涅槃図

中央で臥しているのが業平。取り囲むように嘆き悲しんでいる女性たち。
お姫様から白髪の老婆まで、流石天下の「まめをとこ」.
よく見ると男性の姿も…手広いな〜
現在この作品は出光美術館で開催中の「王朝の恋ー描かれた伊勢物語ー」展で展示公開されています。これもまた5秒で吹き出しこと請け合い。

閑話休題。若冲に戻ります。

燕子花小禽図
先ほどの「鶏頭蟷螂図」と比べると随分となよなよした感のあるカキツバタです。敢えてわざとこうしてウネウネさせ植物を描いたのでしょうか。それにしても若冲の作品にしてはさっぱりしています。あまり描きたく無かったのかな?

そうそう「小禽」ですが画面下方にいます。カワセミのような長いくちばしをした鳥が。蟷螂と違い、何やら思案中のように思えました。

10室最後はこの一枚。
雪梅雄鶏図」両足院蔵
得意の鶏と風景がちぐはぐな印象を最初に受けました。
後で専門家の方に伺ったのですが、この絵を描いた頃の若冲はまだ自分の作風を決めかねていた時期なのだそうです。よく知るところの「動植綵絵」はこうした試行錯誤があってこそ生まれたわけです。

全くの偶然なのですが、若冲の専門家である千葉市美術館のI氏に11室でばったり遭遇。そこで伺ったお話です。それにしても京都で会うなんて。。。でもおかげで色々とお話ができて良かったです。ありがとうございました。若冲のお導きですね。

さて、さて両足院の「雪梅雄鶏図」とそっくりな作品が、同じ京都市内にある細見美術館のコレクションに見ることができます。
比較してみますね。


左が両足院のもの。右が細見美術館の作品。どちらも若冲です。

雪や木々の表現が細見美術館の方が若冲らしいように見えます。
全体としては同じに見えても、実は細部でかなり違いがあります。


こんなことを考えながら鑑賞しているとたった5枚といえども、時間がいくらあっても足りません。破天荒な旅程ではるばる遠回りして京博まで来た甲斐が十分ありました。

時間がないので、次の11室は次回に。

おまけ:「芸術新潮」2000年11月号は伊藤若冲の大特集号でした。

あれから7年。装いも新たに内容も充実させ、画像も大量に増やし、新潮社「とんぼの本」シリーズから「異能の画家伊藤若冲」が先日発売になりました!



「百犬図」のわんちゃんたちがコロコロと表紙を飾っています。
本屋さんに平積みしてあったら思わず手にしてしまう一冊。
新潮社やってくれます。子犬嫌いな人いませんからね。

「異能の画家伊藤若冲」は狩野 博幸氏による若冲の解説と、芸術家モリムラ氏の若冲論「片隅的世界に見る無限の宇宙」(森村泰昌氏)、それに「斗米庵読み解き事典」等など読み応え十分。

更に「芸術新潮」には掲載されていなかった図版や「動植綵絵」全30幅。昨年の「若冲展」の様子など最新の若冲情報も満載です。一家に一冊。是非。

異能の画家伊藤若冲 (とんぼの本)
「異能の画家伊藤若冲 」(とんぼの本) 狩野 博幸

最後に「今日の美味

四国までいったのだからやっぱりこれ。

ぶっかけうどん
将八うどん琴平店

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2000年に当館にて開催した特別展覧会「没後200年 若冲」を契機に、江戸時代の京都の絵師 伊藤若冲(1716〜1800)は、ひときわ人気を集めています。
 若冲の作品は、展覧会終了後も何度か特集展示をしてきましたが、このたびは、当館の所蔵作品を中心に小特集としてご紹介いたします。

展覧会 | permalink | comments(16) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

こんばんわ。
やはりこんぴらさん〜京都へ行っちゃいますよね。
しかし、まさか高松から京都へ行ってそれから書院って!
Takさん、そのプランすごすぎます。

「鶏頭蟷螂図」のループはやはり好きですね。あの色も鮮烈で印象に残りました。

昨日、たまたま書店で「異能の画家伊藤若冲」を発見。即購入しました。考察も楽しいし、実際に見たことのない作品の図版が拝めるのは有り難いですね。
あおひー | 2008/01/30 12:54 AM
Takさん、笑わせてくれますね。
なるほど、そういう旅程になったのか。。。そら大変だ(笑)

いやーー
改めて解説ありがとうございました。
記憶がよみがえりましたわ!
あのお犬様とダイコン様は、実物見ると本気でわらかしますよね。

てか、こんぴらさん! 私も去年行きました!
こんぴらさん行ってもジャクチュは見られませんでしたが。。。
でも同じ将八のぶっかけうどんを琴平で食べたので
あのぶっというどんのコシが今口の中に広がっています。
ああ食べたい。。。。ちく天と一緒に。。。

いま、午前5時。どうしてくれるんですか。
akieda | 2008/01/30 5:04 AM
なんとなんと!
mizさんと出会ったのは、さもありなんと思いましたが
そのあとの行程には・・・
目が覚めたら東京ってのは、本当だったら、さぞ悪夢だったことでしょうね。

私も将八のぶっかけうどん、食べてきました。
一串110円のおでんもけっこうつまみました。
一村雨 | 2008/01/30 6:34 AM
「カマキリ」いいっすね〜
しかし、私も直島に行きたい派なので、そこから京都に行かれたご夫妻に頭が下がります。笑
直島は、行きたいと思うと宿が取れずまだ行っていません。
いついけるのかな〜
yuriko | 2008/01/30 10:28 AM
こんにちは
凄い旅程ですね・・・(尊敬の眼差しを送る私)
2/2に京博に行きますが、予習させていただきました。
ところで讃岐うどんのツルツルッもおいしいですが、
大阪の昆布とかつおだしのおうどん、京都のあんかけうどんは寒いときに深くシアワセです。
(わたしはうどんさえ食べてたらシアワセですが)
こんどこちらへおいでのときはどうぞ〜





遊行七恵 | 2008/01/30 11:43 AM
ホントにやっちゃったんですね(笑)
じゃ、わたしがお電話した夜は一体どちらに?
わたしも「百犬図」見て萌えたかったです〜

さちえ | 2008/01/30 2:19 PM
以前、金刀比羅宮にもぜひ行くべきとお伝えした際は、いろんな面で断念とおっしゃっておられましたが、やはり行ってしまったのですね。
しかも高松から京都とありえない旅程で!
羨ましい限りです・・・
かっきー | 2008/01/30 2:50 PM
コンピラさんと京都を一緒に行かれたんですか・・。
東京まで戻られなくて良かった良かった。

若冲のわんこ達、一見かわいいんだけど、よく見ると可愛くない感じしませんでしたか?

カキツバタナヨナヨ変でしたねえ。
燈篭の屏風も不思議で変だった。

私が京博に行った日も行き混じりで寒かったです
gakko | 2008/01/30 5:18 PM
@あおひーさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

アホと笑われるの承知で
決行してきました。
珍しくかみさんも
承諾してくれたので。

新刊本良いですね。
これでまた熱が上がりそうです。

@akiedaさん
こんばんは。

艦長と笑ってやって下さい。
指さして。

行けないと思っていたのですが
いざやってみるとなんてことはありません。
(大ウソ)

将八はタクシーの運転手さんが
美味しいよ〜と勧めてくれました。
わざわざ電話して営業時間も
確認してくれました。
琴平ふくめみな良い人ばかりと
感じたのは、気分上々だったからかな。

@一村雨さん
こんばんは。

ホテルの前まで行きました。
ここが一村雨さんが泊まった宿かと。
お疲れ様でした。

今度は直島ご一緒しましょう。
アート仲間と行けば全く違う旅になるかと。

@yurikoさん
こんばんは。

カマキリと鶏頭の組み合わせからして
斬新というかなんというか。

直島はちょいと奮発して
ベネッセに泊まるのが宜しいかと。

@遊行七恵さん
こんばんは。

遊行さんにすごいと言われるとなると
相当かと。アホです、完全に。
乗物に乗っていた時間を
計算したら眩暈しました。

大阪は本当に美味しいもの多いですよね。
是非「ゆっくり」と行きたいものです。

@さちえさん
こんばんは。

高松市内のホテルです。
京都から帰ってシャワー浴びた後でした。
未だに若冲の余韻が…

@かっきーさん
こんばんは。

行ってしまいました。
何とかなるものです。
かなり無理しましたが。
幸せいっぱいです。

シュラシュシュシュが頭の中まだリフレイン。

@gakkoさん
こんばんは。

>よく見ると可愛くない感じしませんでしたか?
応挙の描くわんことは違いました。
確かにおや?と思うやつ多数。
これは一体何?と。

灯籠の屏風はその大きさに驚かされました。
頭の中で分っていても実物目にすると
やはり圧倒されますね。

京博の展示の仕方にもやられました。
Tak管理人 | 2008/01/30 11:56 PM
こんにちは。
あぁ、本当に凄い行動力と、しうねん。
その若さが羨ましい、とねたみの目線@@
日本地図の尺が私と全然違うのです。
でも、お陰で目眩や乗り過ごしの脅迫にも逢わずに
こうして、レポ拝見できます。
地元京都の若冲はんだから、面白がって、
いろんな人がファンになったのでしょうね。
四国は、いずれゆっくりお遍路気分で回りたいと思います。
お疲れの出ませんように〜
楽しい記事でした!
あべまつ | 2008/01/31 2:58 PM
ベネッセが、いっつもとれないんだすぅ〜(泣)
yuriko | 2008/02/01 11:59 AM
@あべまつさん
こんばんは。

いくらなんでもこのスケジュールはと
自分でも思い考えましたが、限られた
日程の中無理しないと我儘叶えられません。

もう一方の展示室に若冲が住んでいた
深草の人たちの求めに応じて
描いた鶏の絵が展示されていました。
江戸の昔から人気者。

旅の疲れは残っていないのですが
上司との飲み会の疲れが…

@yurikoさん
こんばんは。

そうでしたか。。。あそこは人気ありますからね。
ネットで先に予約し、それに合わせて無理に
休みを取るのも手かと。
Tak管理人 | 2008/02/01 10:22 PM
Takさん、すごいです!そのご熱意に拍手喝采いたします。
こんぴらさんは、1月初めに行くことが出来て、若冲堪能いたしましたが、とっても近い京都に行くことが出来ません(涙)。体調崩したのと、あと急な用事で設定した日がダメになり、もう明日で終わってしまいますね。
Takさんの日記を読ませてもらって、雰囲気がよくわかったので少し行った気になれました。
あとは、とんぼの本を読むのが楽しみです。
いつも、いい本のご紹介ありがとうございます。(^^)
ダン | 2008/02/02 5:44 PM
@ダンさん
こんにちは。
コメントありがとうございます。

とんぼの本は芸術新潮の焼き直しですが
まるで違うないようのように読めます。
特に若冲が何歳まで実際に生きたかという
狩野氏の説にはあらためて納得。

若冲には人を惹きつける魅力がありますよね。
今回はかなり無理しました。
もう二度とこんなことはできないかと。

お身体ご自愛下さいませ。
Tak管理人 | 2008/02/03 4:28 PM
はじめまして、米子といいます。
先日、ネットをぶらぶらしていたら伊藤若冲の鶴図屏風と旭日雄鶏図を見つけ、お恥ずかしながら感動してモニターの前で大泣きしてしまいました(--;)
それ以来すっかり若冲の虜のなったわけですが、なにぶん北海道に住む学生の身分でして展覧会などにいけません(;ω;)
ので、Takさんの若冲に関する記事とか展覧会の記事を見ることが楽しみで楽しみで!

興奮して長くなってしまいました(笑)、これからもがんばってください!

米子 | 2008/02/23 12:27 AM
@米子さん
こんにちは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

若冲の絵はこってりしていて
気持ち悪いと言う人もいますが
私には一度もそう見えたことありません。

激しく感動されたお気持ち分ります。
私もその端っこのひとりですので。

「観たい」と思う気持ち持ち続けていると
願いは叶うものです。何年かかっても。

今後ともよろしくお願いいたします。
Tak管理人 | 2008/02/23 11:49 AM
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というわけで四国のこんぴらさんで応挙、若冲を見た後にその足で京都へ。 15時半に琴平を出発。行きにはポイントがつかめなくて巧く撮れなかった瀬戸大橋からの海。 ちゃんと特急の窓側からばっちりと撮れました。 陽の光に照らされた輝く海面が奇麗。 17時45分に京
小特集「若冲を愉しむ」(京都国立博物館) | あお!ひー | 2008/01/30 12:42 AM