弐代目・青い日記帳 

  
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「若冲を愉しむ」その2
京都国立博物館(平常展示館2階10・11室)で展示中の
小特集「若冲を愉しむ」を観て来ました。→(その1)



笑ってやって下さい。↑ポスターを再現してみました。

狩野永徳展」最後の展示室(10号室「壮大なる金碧大画」)「国宝 檜図屏風」狩野永徳、「重要文化財 松図襖」が展示してあった場所にこのポスターが掲示してありました。欲しかったけどたとえ入手できたとしてもこれから高松へ戻り、翌日は金刀比羅宮へ参詣せねばなりません。身軽なことが肝心肝要。写真に収め撤収。

小特集〈若冲を愉しむ〉三種類のポスター

前回10室に展示されていた「百犬図」「果蔬涅槃図」「雪梅雄鶏図」「鶏頭蟷螂図」「燕子花小禽図」の5点の感想を書いたので、今回はお隣11室に控える「群鶏図障壁画」(海宝寺旧蔵)「石灯籠図屏風」「群鶏図押絵貼屏風」「群鶏図押絵貼屏風」(金戒光明寺蔵)を。

まずはじめに「群鶏図障壁画」(海宝寺旧蔵)から。
1790年

素地水墨画による10mの連続画面。水墨画といえども鶏冠の部分などのツブツブ表現は顕在。目の周りにもドットで細かくツブツブが。花粉症で腫れてしまったようにも。そういえばそろそろ花粉飛散していますね。目が痒い。

群鶏図障壁画」は若冲晩年期の水墨画の基準となる作品だそうです。中でもとりわけこの部分は若冲の描く鶏さんの典型的な基本パターン。剥落、変色などコンディションはお世辞にも良いとは言えませんが、描かれた番いのニワトリはどれも皆、今にも動きださんとする生きのよさ。

大阪・西福寺所蔵の伊藤若冲「仙人掌群鶏図」(重要文化財)と比較してみると、その類似性が一目で見て取れます。
「仙人掌群鶏図」

もう一ヶ所。こちらが今回観た「群鶏図障壁画


で、こっちが「仙人掌群鶏図
雄鶏が両羽を広げたポーズなどそっくり。

これについて静岡県立美術館の福士雄也氏は「若冲晩年期の様式に関する一考察−西福寺の襖絵を中心に−」でこのように述べられています。ご参考まで。
西福寺の襖絵をそれまでの作品群と比較したとき、そこには大きな画風上の変化がみられる。とくに、若冲がその画歴の初期から描き続けてきた鶏の描写は、佐藤康宏氏が指摘するように、水墨画における筆勢を着色画にそのまま用いたような折衷スタイルによっており、≪動植綵絵≫などでみられたような緻密な描写とは明らかに異なっている。これを以て若冲における鶏画の一つの到達点とする佐藤氏の見解は、妥当なものといえるだろう。
しかし、西福寺の襖絵は、その後制作される晩年期作に多く共通する様式的特徴を孕んでいるという意味で、晩年期の様式を決定づけた作品としても捉えうる。具体的には、鶏の形態、画面構成などがその様式的特徴の中心となるが、それはつまりこうした要素が晩年期以降定型化され繰り返し用いられていることを意味する。それを明らかにすることは、若冲自身の制作活動のありようを理解する上で重要であるだけでなく、今後若冲とその周辺画家の問題を考える手掛かりにもなるだろう。
細見美術館が所蔵している鶏の絵にも確かそっくりなポーズで描かれているものあったはずです。類型化しているとなると贋作も多くあるでしょうが、若冲が描いたとして間違いないと思われる作品数点だけでもいいので一度京博さん集めて比較展示してくれないでしょうか。

西福寺さんも毎年11月3日の一日だけの公開なんて難儀なこと言わんといて。

続いて「石灯籠図屏風




今回最も観たかった作品。
本やサイトでは何度も目にしてはいても、これは特に実際にどのように描かれているのかこの目で観てみないことには「納得」のいかない作品です。

スーラやシニャックが用いた点描画の画法と同じものを若冲も用いていたのだと思っていましたが、実物を観てみるとどうやらそうではないことが判明。

確かに「点々」で描かれてはいますが、点描?で描かれているのは石灯籠と石柵のみ。斬新な画法のように見えてしまいついついここだけに目が集中してしまいがちですが、全体を抱え込むようにして観るとそれはあくまでも「石」の質感をツブツブで表したものに過ぎないことが分ります(キャプションにもそのように解説されていましたし「若冲展」図録にもそう記されています)

若冲は何も特殊な技法を駆使したわけではなく、ただ眼前にある「石」の質感を本能的に点々で表しただけなのだと。展示を観終えて京博の中庭にある石灯籠をまじまじと見てみると、、、確かに若冲が表現したかった質感そのもの。

対象を徹底的に観て、その本質を描きだす能力。天晴です。

手前に描かれた石灯籠から目を離すと、若冲らしい表現があちこちに見て取れます。たとえば右隻の上部に描かれた木。小鳥が一羽とまっています。また幹の描写が前室で観た「鶏頭蟷螂図」の鶏頭の幹の表現に通ずるものがあります。
 

また左隻の三分の一を占める木の葉っぱも独特です。

昆虫が集団で冬眠しているようにも見えますし、
「マウス」が集団で冬眠しているようにも……

各、縦横159cm,363cmもある作品です。永徳ならこれくらいの大きさに見合った迫力ある主題を画面全体に描くのですが、如何せんこの若冲の「石灯籠図屏風」は、余白を生かしつつ、お得意のちまちまとした描き方がなされているので、縦横159cm,363cmというサイズが異常に大きく感じられました。

続いて「群鶏図押絵貼屏風


若冲が晩年暮らした京都は深草周辺の人々の求めに応じて描いたとされる作品だそうです。2000年の若冲展に際し調査し地元の素封家に伝来していたのを発見したとか。「八十三歳画」と記されていました。


四面とも鶏が干し藁か何かの上に乗っている様子が描かれています。
ぶっちゃけ、あまりバランスのヨロシクない作品でした。鶏さんがいまにも落ちてしまいそうな危うい感じさえ。手を抜いたかな若冲。それとも体調不良?左下に押されていた印もまがっていたように見えました。

11室最後は「群鶏図押絵貼屏風」(金戒光明寺蔵)

六面からなるとても良い作品でした。箒の上に鶏が乗っていたり、片足上げていたりといつものように生き生きとした鶏の姿が描かれています。こちらはとってもバランス良く。尾っぽも流れるように「シャッ」と勢いよく描かれていて爽快。

ゲームのキャラクター紹介画面のようにも見えました。
それぞれの鶏、キャラが立っています。

全部で8点の若冲作品を一度に観ることが出来ました。
無理して京都まで来た甲斐がありました。お釣りがもらえるほどです。

異能の画家伊藤若冲 (とんぼの本)
異能の画家伊藤若冲 (とんぼの本) 狩野 博幸

思わぬ出会いもありました。見覚えある方が「群鶏図押絵貼屏風」を鑑賞されていました。先方も我々に気付いて下さった様子。こういう時は男性から声をかけるのが「古事記」の昔からの慣わしです。しかも相手は専門家。色々と興味深いお話もお聞きすることでき、お茶までご一緒に。聞けばやはりこの展示を観る為だけに関東から日帰りでいらしたとか。若冲パワー恐るべし。

その彼女曰く「これで「乗興舟」が出てれば完璧だったのに」

それでは、「今日の一部分


「石灯籠図屏風」の一部分。
若冲が描く植物には必ず病葉や虫食い穴のあいた葉っぱが描かれています。
灯籠だって例外ではないようです。こんな壊れた灯籠もさりげなく描いています。
好きなんでしょうね〜こういったもの。深い愛着の念感じずにはいられません。


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- 弐代目・青い日記帳 | 京博「若冲を愉しむ」その1


最後に「今日の美味

 
JR高松駅構内にあるうどん屋「連絡船
駅構内にあるからといって舐めてはいけません。
ここはうどんの本場讃岐の玄関口。
これから京都へ向かうアホな夫婦の胃袋と満たしてくれました。
(右は岡山行きの快速マリンライナー)

もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品 (ABCアート・ビギナーズ・コレクション)
もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品 佐藤 康宏


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水墨画中心、伊藤若冲を小特集 京都国立博物館
 京都国立博物館(京都市東山区)の常設展で、十八世紀の京都で活躍した個性派画家・伊藤若冲(じゃくちゅう)(一七一六-一八〇〇年)の小特集「若冲を愉(たの)しむ」が開かれている。
 「海宝寺旧蔵 群鶏図障壁画」「石灯籠図屏風(いしどうろうずびょうぶ)」など水墨画の秀作を中心に計九点を出展。「奇想の画家」として近年人気を集める若冲画を、これだけの数・質で常設展示できる辺りが、古都の“美の殿堂”たる京博のすごさ、底力だろう。
 鶏を飼い、写生に励んだとされる若冲は、「鶏の画家」とも呼ばれる。会場にはリアルで写実的な鶏だけでなく、墨で描かれた、軽妙洒脱(しゃだつ)でユーモラスな鶏たちの図もずらり。
 若冲は濃密な彩色を施した精密な花鳥画で知られるが、これら墨画は、画家の遊び心や余裕も感じさせる。
 同じく墨画の「果蔬涅槃(かそねはん)図」も、「釈迦(しゃか)の死」という厳粛な仏画のテーマを、野菜や果物で表現した一種の戯画・パロディー。縦一八一・七センチ、横九六・一センチある掛け軸で、横たわる大根(釈迦)の周りを、弟子や動物たちに見立てたナスやカボチャなどが囲み、死を嘆く。
 若冲は、京・錦市場の青物問屋の長男。身近で見慣れた野菜を素材に、力まず筆を走らせたのだろう。思わず笑みが浮かびそうになるが、この絵の背後には、母の死や家業の繁栄の願いなども込められていたようだ。


| 展覧会 | 23:24 | comments(5) | trackbacks(2) |
こんばんわ。
やはり私も石灯籠の朽ちたところが気になりました。
植物の虫食いと一緒ですよね。

西福寺の「仙人掌群鶏図」の実物、是非見てみたいものですね。

しかし、今回の展示を見に東京近郊から京都へ行った人って一体どのくらい居るんでしょうね〜。
| あおひー | 2008/02/05 11:46 PM |

@あおひーさん
こんばんは。

東京から行った人、
自分が知っているだけでも・・・
かなりの数になります。

若冲熱は中々下がりません。

西福寺で観たいですね。
雨が降ったら中止というので
かなりのギャンブルになりそうですが
狙ってみます?文化の日。
| Tak管理人 | 2008/02/05 11:58 PM |

こんばんわ。関西に住んでますので若冲は2000年の展示や京博の3年前の小特集や西福寺もチェック出来て幸せです。しかし関東には足が遠いですが・・。
| KAZUPON | 2008/02/06 12:18 AM |

いつも興味津々になっちゃうレポート
楽しませていただきました。
分かりやすくて、石の描写など肉眼でみたくなりました。
東京にもこないかな〜〜
| chie | 2008/02/06 12:53 AM |

@KAZUPONさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

西福寺も行かれたのですか!
それは羨ましい。関西にお住まいの特権ですね。
若冲展までご覧になられたとなると
かなり筋金入りの若冲ファンですね。
小生とは大違いです。

@chieさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

お裾わけできたらと思い頑張ってみました。
東京に何点でもいいので来てくれないですかね。
ゆっくり観たいものです。
旅先だとどうもアウェー感あって
落ち着いて見られないものです。
| Tak管理人 | 2008/02/06 11:34 PM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/1277
小特集「若冲を愉しむ」(京都国立博物館)
というわけで四国のこんぴらさんで応挙、若冲を見た後にその足で京都へ。 15時半に琴平を出発。行きにはポイントがつかめなくて巧く撮れなかった瀬戸大橋からの海。 ちゃんと特急の窓側からばっちりと撮れました。 陽の光に照らされた輝く海面が奇麗。 17時45分に京
| あお!ひー | 2008/02/05 11:42 PM |
お正月は若冲から
京都国立博物館新年の企画として「若冲を愉しむ」(1/2〜2/3)2室にわたって展示されている。記憶では3年ぶりの展示かな?絵巻物の展示スペースの10室には軸物が5点。 「果蔬涅槃図」(京博蔵)これは野菜による釈迦涅槃図ですね。大根がお釈迦様。パロデイなのか母の成仏
| 美術館見聞録 | 2008/02/06 12:09 AM |
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