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「没後50年 横山大観」展

国立新美術館で開催中の
「没後50年 横山大観―新たなる伝説へ」展に行って来ました。



気乗りしない展覧会に限ってお誘いを受けたりするもの。
ありがたく拝見させていただきました。休館日に。

「大観展」毎年どこかで開催しているし、大観を何も六本木で観なくてもと思ったりもしますが、「代表作ずらり。」となるとやはり少しは気になるものです。

1889年(明治22年)まだ東京美術学校の学生だった頃に描いた作品「官女模写」「仏頭写生」「海岸図」から1955年(昭和30年)亡くなる三年前に描かれた「風蕭々兮易水寒」まで年代順に展示されていました。
こちらのページに会場の様子が載っています。

明治時代に描かれた作品の中に、1904年(明治37年)頃アメリカ滞在中に描かれたとされる作品「帰牧図」「月夜の波図」「海図」「金魚図」の四点が所蔵先のボストン美術館から里帰りし展示されていました。

中でも「金魚図」はこれが大観の作品か!と目を疑ってしまうほど、シンプルで上品な作品。透き通るように水に遊ぶ金魚を描き、はらりと桜の花びら散らせています。

大正時代に移ると一気にメジャーな作品が列をなします。

焚火」1915年(大正4)

「お芋でも焼いているのかしら」とお隣のご婦人がお話されていました。確かに、そう見えますね。思わずうなずいてしまいました。こういう時下手に絵についての知識があったりするとそういった楽しみ削がれかねません。「これは『寒山拾得』を描いたものだよ」とか。


老子」1921年(大正10)

ひょうきんな表情の老子が「何か用か?」と言いたげにこちらを振り向いています。傍らに寝ている子供は随分と身体の柔軟なこと。寝くじったりしないでね。視線を子供から一気に作品上部へ転じるとそこにはシュールな世界が広がっています。この岩場どうなっているのやら。

国立近代美術館所蔵の「生々流転」が全巻展示されています。約40mもの長い長い展示。これでも実は制作当時のものと比べると半分しかないというのですから驚き。この前に「荒川絵巻(長瀞之巻、赤羽之巻)」が展示されており、渋滞スポットに。近美で「生々流転」公開された際にご覧になった方は背中越しでも十分かと。

もう一種類のチラシに用いられている「秋色」1917年(大正6)

↑こちらが左隻。↓が右隻。
  

どう見ても琳派の影響大。
っということで、特別出品として尾形光琳の「槇楓図屏風」を並べて展示。
これは佳い企画
目茶目茶意識し光琳を越えてやる!という意気込み感じられます。
ただし、その意気込み多少空回り気味かと。力技ではありません。

昭和になってすぐの大作お馴染み「夜桜
1929年(昭和4)
所蔵先の大倉集古館やその他展覧会で目にしてきた中で、今回が一番良く観えたのは多分場所の所為かと。広々とした展示空間にこの屏風絵は似合います。


海に因む十題 波騒ぐ」1940年(昭和15)は茨城県の五浦の海を描いた作品。ボストン美術館所蔵の「月夜の波図」と並べて鑑賞したい気分。そういえば昔宿泊した五浦観光ホテルで食べたキンキの煮付けは美味しかったな〜とか、別館・大観荘の露天風呂で危うく転びそうになったな〜とか全く関係ないことばかり頭に浮かんできました。それだけ、この作品が五浦の海のイメージを見事に表現している証?

生涯にどれだけ富士山の絵を残したのでしょうか。大観展といえばお決まりの富士山。今回もまた何点か出ていました。その中でもこの絵は他と違い好きな部類に属します。

山に因む十題 雨霽る」1940年(昭和15)
左奥に富士山の頭だけ見えます。手前の山々には靄が立ちこめています。
タイトルから雨後の山々の様子を描いたことが分ります。それまで雲に隠れていた富士が晴れて顔をのぞかせた瞬間。朦朧体もこうして使うと効果抜群。

さて、大渋滞は「生々流転」だけかと思いきやまだこの先にもありました。「四時山水」1947年(昭和22)も全長26mもある大作。これまた全幅展示です。国立新美術館のだだっ広さこういう時は役立ちます。

それでは最後に「今日の一枚


風蕭々兮易水寒」1955年(昭和30年)
今回の展示作品の中で最も晩年の作品。亡くなる三年前。

タイトルは「かぜしょうしょうとしえきすいさむし」中国、戦国時代の荊軻(けいか)が詠んだ一節だそうです。ただそんな知識は無くとも、ここに描かれた一匹の犬の姿に大観の姿を重ね合わせることは容易。

足を広げ大地をしっかり踏みしめながら、目の前に広がる広大な河を見やり思いはせている孤高の犬。画家としてこれだけ名声をあげた大観をしてまだ何を思うのでしょうか。「まだまだ」という心の呟きが聞こえてきそうなそんな一枚。

今回の展覧会へ出向いた一番の収穫はこの作品に見られるように動物を一匹だけぽつんと描いた作品が何点もあったこと。しかも晩年だけでなくほぼ全期にわたり描かれていたようです。それぞれの時代時代で大観は自分の姿を一匹の小動物に喩え表現していたのでしょうか。生前からあれだけの名声を得ていた大観でも孤独感にさいなまれることもあったのかな〜と考えてしまいました。

これから展覧会観に行かれる方、その辺も要チェックかと。

「没後50年 横山大観」展は3月3日までです。
足立美術館から何点も名品が出展されています。

「横山大観」殺人事件 (中公文庫)
「横山大観」殺人事件 (中公文庫) 内田 康夫

最後に「今日の美味
 
国立新美術館2Fのカフェ「サロン・ド・デ・ロンド」の「シャルロット・ポワール
別の日に行った時に食べました。
それにしてもこのカフェ落ち着かないったらありゃしない。。。
もうちょっとなんとかならなかったのかな〜



美術館開館前に館内を撮影してきた写真
こちらにまとめてアップしてあります。
まだレストランやカフェに何にもない状態も奇妙。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1287

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 近代日本画壇のゆるぎない巨匠、横山大観(1868〜1958)は、東京美術学校(現・東京藝術大学)の第1回生として入学して以来、明治から大正、昭和の戦前戦後を通じて活躍を続けました。やまと絵、琳派、水墨画などに学び、自らの絵画世界を築いて数々の名品を生み出しました。本展は、大観の没後50年を飾るにふさわしく、初期から晩年までの代表作を集めて展示するほか、海外からの里帰り作品などもまじえ、大観芸術を一望し、現在の視点から見直す格好の機会となるでしょう。

横山大観の世界
横山大観の世界
横山大観記念館,横山 大観
展覧会 | permalink | comments(16) | trackbacks(12)

この記事に対するコメント

こんばんは。
大観展を詳しく書いていただいて、また行きたく
なりました。ありがとうございました。
やっぱりちゃんと観ないといけないですね。
最後の「風蕭々兮易水寒」は、ほんとうに
惹かれました。あの犬は、ああそうだったのですね。
すぴか | 2008/02/07 11:50 PM
夜桜は11日までなんですよね〜
行ってみようかと思ってます☆
サッチャン | 2008/02/08 10:50 PM
@すぴかさん
こんにちは。

大観が好きではなかったので
行かないつもりだったのですが
行ったら行ったでかなりハマりました。
これだから展覧会通いはやめられません。

「風蕭々兮易水寒」の解釈は私の独断です。
他の見方もきっとあることでしょう。

@サッチャンさん
こんにちは。

行くと印象変わりますよ。
後期の展示品にも惹かれるものあります。
まずいな〜大観好きでないはずなのに・・・
Tak管理人 | 2008/02/09 11:16 AM
こんばんは
今回行くか行かぬか悩んでます。池之端の大観記念館に行く予定はあるんですが、大集めのこっちにゆかないのもなんかひねくれてるようで、うーんうーんです。
大観は人物画がけっこう好きです。それと小品が。

「風蕭々兮易水寒」・・・わたしが最初にこの詩を知ったのは実は少年マンガ『男組』のラストからでした。当時サンデーで読んで、そこから漢詩が好きになったのです。
大観のこの絵を見たとき「なんで犬?」しかも不思議な犬 
と思ったものでしたが、やはり胸を衝くものがあると思います。
遊行七恵 | 2008/02/09 6:28 PM
こんにちは。
この展覧会作品解説が全くついていないのがいただけない。
冒頭の「無我」からして、小さな子供の姿で何を表現したいのか普通の人は戸惑うでしょう。
しょうがないから音声ガイド借りましたよ、僕は。
TAKさんはそんなもの必要ないですよね。
けどおっしゃられるように大倉の「夜桜」は素晴らしかった、お隣の「紅葉」とあわせてほれぼれです。
ちなみに遊行さん、この展覧会もチケットありますよ!
oki | 2008/02/10 12:44 PM
@遊行七恵さん
こんばんは。

大観展と名のつく展覧会
毎年のように開催されていますからね。
たまにはパスしたくなる気持ちも分ります。
自分も今回、ご招待うけなければ
きっと行かなかったはずです。

「男組」って懐かしいですね。
サンデー経由で漢詩を好きになった方も珍しいかと。
昔読んだ漫画とか意外としっかり覚えていたり
頭にこびりついていたりして時折顔出したりしますよね。

@okiさん
こんばんは。

解説はあってもなくてもどちらでもいいです。
大観に関しては、ほとんど知識もなく
どちらかといえば「嫌い」なタイプなので
ある意味でいい位置関係で作品と対峙できました。

近代美術館悔しかったでしょうね。
開催すること出来ずに。
東山魁夷展で名誉挽回でしょうか。
Tak管理人 | 2008/02/10 7:48 PM
休館日のご観覧とは羨ましい限りですね。
会期初めにと思い、確か二月第一週に行ってきましたが、
思いの外混雑していて驚きました。「大観+新美」の力は偉大です。

>動物を一匹だけぽつんと描いた作品

これは気が付きませんでした。
仰るような大観の境地があったとすると、そこに新たな伝説が生まれてくるかもしれませんね。
はろるど | 2008/02/12 10:41 PM
@はろるどさん
こんばんは。

たまには良いこともあります。
ここの美術館でやって良かったですね。
近代美術館だとすこし窮屈かな〜
近美の人悔しいだろうなー

好きでない絵描きさんの作品は
ある程度距離をおいて観られるので
思わぬ発見があるのかもしれません。
Tak管理人 | 2008/02/13 5:56 PM
やっと行ってきました。
「新しい伝説へ」とやらのキャッチフレーズは結局理解できませんでした。
とら | 2008/02/15 11:32 PM
@とらさん
こんにちは。

「新しい伝説へ」は単に亡くなって50年経つので
著作権切れますよーー程度の軽いノリなのかも。
しかし混んでいるようですね。。。どうしてかな〜
Tak管理人 | 2008/02/17 10:54 AM
こんばんは
私が行ったのは平日のお昼なのにこれまたよく混んでました。
本を買う気にはなりませんが、初見がいくつかあり、それらが絵葉書になっていたのは嬉しいことでした。
しかしここに来ると体力不足を感じますよ〜〜
遊行七恵 | 2008/02/22 12:04 AM
@遊行七恵さん
こんばんは。

お疲れ様でした。
図録の出来はイマイチですね。
足立美術館に行ってみたくなりました。

来月からモディリアーニ始ります。
その時はご一緒に。
Tak管理人 | 2008/02/23 11:30 AM
コメント&トラバありがとうございました。
まとめて見たら解るかと思いましたが、更に解らなくなりました。
長生きした画家にありがちな変容も無く淡々としてる気もするし…
《朦朧体》の魅力が意外に大観からは伝わりにくく…
“良くわからん”ままで見終わってしまいました。
るる | 2008/02/24 11:14 PM
@るるさん
こんばんは。

良く分りません自分も。
東博で以前やった時も
同じような感想でした。
うーーん死後50年経ち
評価これからどうなるのでしょうね。
Tak管理人 | 2008/02/25 11:38 PM
>生前からあれだけの名声を得ていた大観でも孤独感にさいなまれることもあったのかな〜

なるほど〜。
今回は特に「富士がすごい!」とか思うわけでもなく、↑のTakさんのような視点に気づいたわけでもなく、ほんわかマイペースでみてきました。

同じ展示を見ても人それぞれ違うように、同じ企画を同じ自分という人間一人が見ても、観るときのコンディションによって思うことが違うんだろうな〜と思いました。
はな | 2008/02/28 4:53 PM
@はなさん
こんばんは。

同じ展示でも確かに観る時によって
違って観えてきます。二度目の方が
良く見える時もあればその逆もまた。

コンディションは大事です。
特に海外へ行ったりしたときなど。
美術館に辿り着くまでにヘトヘトです。
Tak管理人 | 2008/02/29 6:11 PM
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