青い日記帳 

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「鍋島」展

戸栗美術館で開催中の
開館20周年記念「鍋島−至宝の磁器・創出された美−」展に行って来ました。

→サントリー美術館の「鍋島展」の記事はこちら



焼き物の本当の良さがいつまで経っても分らず、中々展覧会に食指が動かない自分でも、こと鍋島焼に関しては積極的になれます。

理由は簡単。

「鍋島」は絵画鑑賞と同じような感覚で楽しむことができるからです。


左:「色絵 蒲公英文 皿 鍋島
右:「色絵 小手毬文 皿 鍋島

共に17世紀末から18世紀初頭にかけて焼かれた鍋島焼の皿。
用いられているのは赤、黄、緑、青のわずかな色。
口径20cmばかりの面をキャンバスに見立てそれぞれの花の特徴を生かしつつ
大胆な構図を用いながらも、皿としての用途を失うことない意匠には舌を巻きます。

コデマリの花は他の焼き物でも(例えば志野焼)しばしばデザインに用いられていますが、これほど生き生きとまたこれほどまで発色良く表現されることはありません。これこそまさに鍋島の魅力。

「絵になる皿」です。

展覧会は以下のセクションに分かれており、それぞれ魅力的な鍋島を存分に味わうことができます。
・鍋島焼とは
・組食器としての鍋島
・初期の鍋島(17世紀後半)
・鍋島の文様
・初期の変形皿
・盛期の鍋島(17世紀末〜18世紀初)
・斬新な構成
・吉祥と鍋島
・中期以降の鍋島(18世紀)
・図案帖
・鍋島青磁



左:「色絵 七宝菊文 稜花皿 鍋島
右:「色絵 柴垣桜花波濤門 皿 鍋島

左は初期の鍋島焼。更紗文様で器面を埋め尽くされています。一般的に抱く鍋島のイメージがまだこの時期の皿にははっきりと見出すことができません。
ところが、右の盛期の鍋島焼となると、余白が現れモチーフを散らすような意匠に変わっていった変遷が見て取れます。

そもそも鍋島焼は「佐賀藩(鍋島藩)において藩直営の窯で製造された高級磁器」で専ら「藩主の所用品や将軍家・諸大名への贈答品などの高級品」として江戸幕府への献上品としての性格が大変濃かったそうです。

・鍋島焼とは
江戸時代初期、日本で唯一の磁器生産地を持っていた鍋島藩が、現在の佐賀県・有田町の優秀な陶工を集めて大川内山(おおかわちやま)でつくらせた磁器です。国内外に流通した伊万里焼とは異なり、鍋島焼は将軍や幕府高官などへの献上品や贈答品という特別な目的の為に、最高の技術と厳選された材料で作られました。五寸・七寸・尺と規格の定まった木盃形(もくはいがた)の皿には、染付・赤・黄・緑の上絵具で精緻な文様が描かれています。

今回初公開となるこちらも必見。

色絵 桜霞文 皿 鍋島(十客)

七寸皿(21cm)が10枚無傷で揃って現存していること自体驚き。
もし我が家にあったら1,2枚は必ず欠損しているか割れてしまっているはず。。。

画像ではすべて同じ柄に見えますが、1枚1枚手描きで絵柄が施されているため、会場で観ると微妙に色や葉っぱの形や大きさが違っていたりするのが手に取るように分ります。まさにハンドメイド.

冒頭で「絵を観る感覚に似ている」と書きましたが、この10客の色絵皿だけとってみてもそのことご理解いただけるのではないかと。

繰り返しになりますが、
製作年代によって違いも明らかなのも絵画に通ずるものがあります。

右:「色絵 毘沙門亀甲文 皿 鍋島
中:「色絵 波牡丹文 皿 鍋島
右:「青磁染付 雪輪文 皿 鍋島

「青磁染付 雪輪文 皿 鍋島」などまさに今の季節にぴったりのデザイン。エメラルドグリーンの青磁の上に雪輪がランダムに配置されています。不思議と冷たさを感じさせず逆に春の訪れを予感させるような印象さえ受けます。

これら基本的に直径20cmの決まった大きさの円の中にデザインされている点も見どころの一つかと。また以前「サントリー美術館 開館記念展供/紊叛犬る」展で拝見した「Afternoon Tea」のショップに陳列されていてもおかしくない意匠と同じお皿も展示されていました。

円形の七寸皿の他にも「変形皿」としてこんなものも。

左:「色絵 牡丹文 変形皿 鍋島
右:「色絵 牡丹文 変形皿 鍋島

同じボタンをデザインしたお皿でも随分と違いがあります。右はお花は中心下部にひっそりと佇み両脇の大部分を葉っぱが包みこむように配置されています。愉快。

紹介したのはほんの一部。全部で90点以上の鍋島焼が展示公開されています。
焼き物苦手な方も絵画鑑賞のつもりでお出かけになると宜しいかと。

今日の一枚」はこちら。


染付 桃文 皿 鍋島

桃桃桃桃桃桃桃桃桃……

ミッドタウンで先日、観てきた「POST切手」展に展示されていた中條正義さんの切手のデザインの元ネタって鍋島なの?
「270円切手 飛ぶ桃」

現代でもちっとも色褪せて見えなず、かえって斬新に写る鍋島焼の文様。
流行りのデザイン知りたければ渋谷の戸栗美術館へ行くべし!

ちなみに、戸栗美術館が建つその敷地は、旧鍋島藩屋敷跡地。
鍋島焼と切っても切れない深い縁がある美術館での鍋島展。
これ見逃す手はありません。

開館20周年記念「鍋島−至宝の磁器・創出された美−」展は3月23日までです。


【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | 「水と生きる展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「上野の桜」は8日まで。
- 弐代目・青い日記帳 | 「華麗なる伊万里、雅の京焼展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「出光美術館名品展 II」
- 弐代目・青い日記帳 | 「館蔵品展 江戸の粋」
- 弐代目・青い日記帳 | 「戸栗美術館名品展供
- 弐代目・青い日記帳 | 「ロートレック展」

鍋島―後期の作風を観る (2)
鍋島―後期の作風を観る (2)
小木 一良

それでは最後に「今日の美味」?


渋谷・麗郷の「ピータン豆腐
香菜(コリアンダー)山盛り。。。
豆腐とシャンツァイは大の苦手。
老舗台湾料理屋麗郷のメニューの中で最も苦手な一品。

泣く泣く再掲悲しい運慶の仏像、来月競売 
【ニューヨーク15日時事】英競売商クリスティーズは15日までに、米ニューヨークで3月18日に開催されるオークションに、鎌倉時代の仏師、運慶の作品とみられる大日如来像(個人蔵)が出品されることを明らかにした。予想落札価格は150万〜200万ドル(約1億6000万〜2億2000万円)としている。
 同社の資料によると、この仏像はヒノキ製で、高さ66.1センチ。割矧造(わりはぎづくり)と呼ばれる手法で制作されており、表面は金で彩色されている。作風などから運慶が鎌倉初期の1190年代に手掛けた作品とみられている。

Christie'sのサイトには紹介画像付きで掲載されています。

Estimate 1,500,000 - 2,000,000 U.S. dollars

Lot Description
A Highly Important Wood Sculpture of Dainichi Nyorai (Mahavairocana)
Kamakura period (1190s), attributed to Unkei (d. 1223)
Carved and assembled from cypress wood in warihagi zukuri technique and modeled as Dainichi Nyorai seated in the lotus position with the hands held in the "knowledge fist" gesture, the hair arranged in a tall standing top knot and adorned with a crown; applied with gold lacquer and pigment; the interior of the body containing three dedicatory objects: a wood placard with five-stage pagoda-shaped finial, crystal ball supported by a bronze lotus stand, and a crystal five-stage pagoda
26in. (66.1cm.) high

ちなみに、ロットナンバーは200.競りは3月18日に開催されるそうです。。。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1294

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財団法人戸栗美術館は、当館創始者戸栗亨が長年にわたり蒐集して参りました陶磁器を中心とする美術品を永久的に保存し、広く公開することを目的として、昭和62年11月21日に旧鍋島藩屋敷跡にあたる渋谷区松濤の地に開館いたしました。コレクションは伊万里、鍋島などの肥前磁器および中国・朝鮮などの東洋陶磁が主体となっています。収蔵品は現在約7000点にのぼり、日本でも数少ない陶磁器専門の美術館として活動してまいりました。
当館の展示は毎回、館蔵品の中からテーマを決めて展示しておりますが、今年で開館20周年を迎えるにあたりまして、一年を通して四回にわたって記念展を開催しております。今回はその最後といたしまして、戸栗美術館が誇る鍋島コレクションを展示いたします。

展覧会 | permalink | comments(9) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

運慶の仏像海外流出の危機の件、マスコミの報道も消極的な気がしますし、悲しいですね。
心ある日本人の資産家が落札してくれませんかね…
なかよし | 2008/02/16 5:39 PM
運慶作?の仏像海外流出。
落札できる大金をもたないしがない一日本人としては、
この仏像に対するこれまでのアレコレについて
ブライト艦長に一言いっていただくしかないです。
「弾幕薄いよ!」
菊花 | 2008/02/17 12:38 AM
@なかよしさん
こんにちは。

後手後手に回っているようですね。
仰る通り日本の資産家や企業が
落札してくれればよいのですが・・・

@菊花さん
こんにちは。

「それでも男ですか。軟弱者」
とセイラさんに一喝してもらいたいです。
文化庁に対して。

道路を作る金は潤沢でも
文化財を保護する金は…

Tak管理人 | 2008/02/17 11:06 AM
こんにちは
日本の焼き物の中では鍋島焼が最愛です。
特に椿や桜、紫陽花などなど花の絵柄が好きです。
'05夏にも戸栗では鍋島展があり、そのときも随分愉しみました。
鎖国したからこそ生まれた美意識かな、と思ったりします。
こことサントリーと大阪市美術館と、今では引っ越してしまった栗田美術館とで鍋島のよいのを多く見せてもらってきました。
ホント、可愛いですね。
遊行七恵 | 2008/02/17 1:27 PM
@遊行七恵さん
こんばんは。

鍋島は良いですよね〜
文句なしに。

>鎖国したからこそ生まれた美意識
仰る通りかと。
狭い七寸皿の中に非対称的で
有機的な絵柄を制限された色で
あれだけ見事にしかも
バラエティー豊かに表現できるのは
まさに「鎖国」の生んだプラス面の極致かと。
Tak管理人 | 2008/02/17 11:53 PM
全体としてのバランスやデザインにも舌を巻きますが、細かいところも精緻に描かれているので感心しました。単眼鏡を持っていって良かったです。
とら | 2008/02/19 7:31 AM
@とらさん
こんにちは。

この展覧会はかなりお勧めですよね。
珍しくかみさんも長いこと観ていました。
Tak管理人 | 2008/02/20 6:02 PM
こんばんは。いただいたチケットで鍋島を拝見してきました。仰るように本当に絵として楽しめますよね。戸栗も初めてでしたが気に入りました。

鍋島というと栗田美術館を思い出します。私としては鍋島はTakさんとのご縁を感じる器です。


はろるど | 2008/03/21 10:43 PM
@はろるどさん
こんばんは。

戸栗はこの時季で正解です。
暑い夏の日に行くと途中で嫌になります。

栗田美術館またご一緒したいですね。
車出しますよ〜
Tak管理人 | 2008/03/23 1:13 AM
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戸栗美術館の鍋島展 | いづつやの文化記号 | 2008/02/16 10:21 PM
 戸栗美術館の開館20周年記念で、色鍋島が沢山展示されている。3会場にびっしりと鍋島が並んでいるところはまことに壮観。ポスターの《色絵 鳳凰文 皿》は華やかだが落ち着いた雰囲気を有している。 有田焼というと古伊万里、柿右衛門、色鍋島の3つに分類される
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「戸栗美術館名品展 鍋島」 戸栗美術館 | はろるど・わーど | 2008/03/21 10:34 PM