青い日記帳 

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「北斎 富士を描く展」

日本橋三越本店・新館7階ギャラリーで開催中の
「北斎 富士を描く」展に行って来ました。


北斎の富士山に取り組む意欲は、「冨嶽三十六景」では収まり切れず、のちに天保5(1834)年より『富嶽百景』(3冊)を上梓しました。本展は、北斎の二大富士シリーズ「冨嶽三十六景」と『富嶽百景』を同時に紹介するものです。

とても楽しみにしていた展覧会。仕事帰り初日に立ち寄って来ました。
葛飾北斎という90歳近くまで活躍したお化けのような絵師の奥深さ
未だにうかがい知ること出来ません。今回もまた驚きの連続でした。

「北斎展」と名のつく展覧会へ行く度毎に
「北斎オソルベシ」と叫んでいるようです。


チラシ等に使われていれる「冨嶽三十六景 甲州石班沢」の“変わり摺り”
46図から構成される「冨嶽三十六景」全て展示されているのに加え、こうしたカラフルに彩色を施された“変わり摺り”が4点展示されていました。三島と遠江ともう一ヶ所。(←忘れてしまいました。。。詰めが甘い。)

この50点を観るだけでも人によっては小一時間はゆうに必要かと。

そしてこの展覧会のメインである「富嶽百景」がこれに続きます。


富嶽百景 登龍の不二

富士山を包み込むような妖しげな泡を龍が両手から出しているようにしか見えません。。。怪獣アボラスか…

龍と泡のようなもこもこを北斎描きたかったのでしょうね。きっと。


富嶽百景 夢の不二

一富士二鷹三茄子。一度も初夢はおろか普段の夢にすら出てこない。
それにしても「一富士」の印象の随分薄いこと。
それとは対照的に「二鷹」は存在感ありあり。
「三茄子」小脇に抱え込み片足で頭掻いています。

こちらは鷹が描きたかったのでしょう。

そんなこと、いちいち言わずとも分かるよ!と怒ること勿れ。
ここ重要です。ここが「冨嶽三十六景」とは明らかに違う点です。
「「冨嶽三十六景」はどこそこの場所から見た富士という具合に
具体性を有していますが「富嶽百景」での富士は性格が違います。

どこそこの場所から見た富士といった枠が取り払われてしまっています。
よって当然のことながら自由度が飛躍的に増し↑で紹介したような
作品が出来上がってくるのでしょう。

富嶽百景
武蔵野の不二」と「見切の不二

もうこうなると北斎のイメージの世界。想像力の成せる技の領域。
「冨嶽三十六景」は版元の縛りもあって窮屈な思いもあったのでしょう。
しかし「富嶽百景」では「描きたいように富士を描い」ています。
さぞかし楽しかったことでしょうね。北斎。

富嶽百景
橋下の不二」と「網裏の不二

本当にこんな橋があったとは俄かに信じられません(自然の木を支柱にし架けられた橋です)でも北斎は富士山を跨いでみせたかったのでしょう。さもありそうな橋をこしらえてしまいました。

一方「網裏の不二」ではご覧の通り、富士山を捕獲してしまいました。

観ていてこれだけ楽しく愉快だということは、描いた北斎もまた同じくらい、それ以上愉快にほくほくしながら描いたことでしょう。

こんな富士いいな できたらいいな
あんな富士 こんな富士 いっぱいあるけど
みんなみんなみんな かなえてくれる
ふしぎな北斎 かなえてくれる

半分過ぎくらいからずーとこの奇妙な歌詞頭の中リフレインしてました。

それでは最後に「今日の一枚


富嶽百景 羅に隔る不二

とうとう富士山、蜘蛛にまで捕えられてしまいました。
それにしてもこの蜘蛛の巣もとても変な作りしていますね。
蜘蛛が富士山の麓に穴開けているようにも見えてきます。

先ほど、北斎はこうした富士の姿を愉しんで描いたと描きました。
そしてそれはこうした洒脱の利いた絵を共に喜んで受容した
江戸庶民の姿も必然的にそこから見て取ることができます。

テレビもケータイも何にも無かった300年昔の方が、精神性は遙かに裕福であったことまた知らされました。ひとりの天才絵師によって。

もっと知りたい葛飾北斎―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
もっと知りたい葛飾北斎―生涯と作品 永田 生慈

「北斎 富士を描く展」日本橋三越での開催は3月2日までです。
こちらでも書きましたが、三越に、自分が写した富士山の写真や描いたイラストを提示すると入場無料となるそうです。携帯の写メでもok!

それ以後は以下の美術館へ巡回します。
佐川美術館 7月19日〜8月24日
松坂屋美術館 10月25日〜11月16日


会場で1日にギャラリートーク開催するそうですが、人さばき切れるのかな〜
・大久保純一(国立歴史民俗博物館准教授)
・3月1日(土) 午前11時〜/午後2時〜(約30分)

質問:どなたかこちらの本お持ちの方いらっしゃいますか?
北斎の「富嶽百景」すべて載っているなら即買いなのですけど。。。
富岳百景図録
富岳百景図録 葛飾 北斎

それでは最後に「今日の美味


ガスエビ
一昨日六本木うおひろ水産で飲んでいる時に話題となりました。
昨年の春に金沢の市場で食した海老。
日本海で獲れる甘エビの一種です。
その場でここままいただきました。

【関連エントリー】
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葛飾北斎(1760-1849)の「凱風快晴」「神奈川沖浪裏」などのタイトルは知らなくても、雄大な赤富士や、逆巻く大波の画像を印象深く覚えている人は多いことでしょう。これらの作品が含まれた「冨嶽三十六景」シリーズは、風景版画というジャンルを役者絵、美人画と同じ位置に高め、北斎の名を不動のものにしました。北斎の富士山に取り組む意欲は、「冨嶽三十六景」では収まり切れず、のちに天保5(1834)年より『富嶽百景』(3冊)を上梓しました。本展は、北斎の二大富士シリーズ「冨嶽三十六景」と『富嶽百景』を同時に紹介するものです。「冨嶽三十六景」は全46図に、同図ながら彩色が異なる4図を加えた50点、『富嶽百景』は図版を一点ずつ額装した全102点に、極めて早い時期に摺られた原本3冊の合計155点を展示します。北斎にとって富士とは何であったのかを探るとともに、北斎芸術の新たな魅力を再確認することができることでしょう。
展覧会 | permalink | comments(13) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

きょう、三越本店に友人の個展を見に行ったら、チケットをくれたので!見てきました。
よくもまああんなに富士山を描けた物ですね。
着想が面白すぎ!!
蜘蛛は絶品。

でも細かい白黒の絵を見て、目が痛くなってしまいました。

ドラえもん歌、ドラちゃんもびっくり!
gakko | 2008/02/26 12:04 AM
はじめまして。
いつも楽しく拝見しております。
今日はコメントさせていただきます。

今回の北斎の富士山は・・・一部垂れ幕(緞帳)のように見えますね!
垂れ幕を左右に開けた時のように見えます。
>登龍の不二、夢の不二、武蔵野の不二、羅に隔る不二

いつもメインであるものがそんなふうに脇にやられると
余計に目立ってきますね!

北斎の性格がちょっと垣間見れ、おもしろいですね。
ガゼール | 2008/02/26 12:51 AM
@gakkoさん
こんばんは。

ですね。
富士山をほとんど無視しているような
構図もあったりして愉快でした。
面白いですよねーー

作品自体の状態もよく
大満足でした。

なんでも描けちゃう北斎すごい!

@ガゼールさん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

垂幕。
確かに仰る通りですね。
平面性がかなり強調されていますからね。

端に追いやってもなお
想いはしっかりのこっているあたりがニクイです。

今後とも宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2008/02/26 11:49 PM
富士山って日本人にとっては
心のふるさとって感じの存在ですよね。
オーバーかしら?
北斎がひかれたのも分かる気がします。
サッチャン | 2008/02/27 12:43 AM
@サッチャンさん
こんばんは。

いえいえ、オーバーではないですよ。
新幹線乗ると必ず富士山見えるかな〜
って気になりますからね。
今も昔も信仰の対象かと。
Tak管理人 | 2008/02/27 6:14 PM
こんばんは。
TBとコメントを頂きまして有り難う御座いました。
保存状態の良い作品ばかりで、本当に見応えがありました。
もし北斎が上方の人であったら、あのような作品は生まれなかっただろう、江戸で生まれ育ったからこそ、あのような作品を描けたのではないかとも思いました。
palpal | 2008/02/27 9:07 PM
こんばんは。
今日2回目の北斎展行きました。芸艸堂の「富嶽百景」を確認したら、102点の富嶽百景全図に8点のおまけ付でした。ただ、並び順は版本とおりではありません。
今年は北斎展が目白押しで楽しみです。
masa | 2008/02/27 9:32 PM
僕は三越の展覧会には行く予定はないですが、NHKプロモーションのサイトを見たら図録を2200円で販売しているようですね、図録だけ買おうかなー。
三月になると太田記念でも「北斎」ありますよね。
Takさんは行かれますか?
oki | 2008/02/27 10:22 PM
@palpalさん
こんばんは。

見応えありましたね。
とても百貨店で開催される
展覧会とは思えないほどでした。

上方に北斎が生を得ていたなら
若冲のような絵師になったのでしょうか。
それとも芦雪かな。。。

@masaさん
こんばんは。

芸艸堂の「富嶽百景」に富嶽百景載っていましたか!
確認わざわざしていただきありがとうございました。
記事に「追記」として掲載させていただきます。
手元で楽しみたいですよね。

@okiさん
こんばんは。

開催期間が短いですから
中々思うように観に行くことできませんよね。
通販で図録が購入できるのは良いことかと。
持ち帰るのも重かったりしますし。

太田記念美術館どころか来月の予定すら
まだたっていません。。。
Tak管理人 | 2008/02/29 5:59 PM
こんばんは。
おかげさまで、写真持って、ぎりぎり行ってきました。
すばらしい展覧会でした。
富嶽百景があんなに面白いとは、自由自在に富士山を
ながめつくして、それでいて、やっぱりよく観察して
ますね。あの蜘蛛の巣でも、私など気づかず風景
写してたら、あんなふうに風景全体を蜘蛛の巣が
捕らえてたことあります。
すぴか | 2008/03/01 11:59 PM
行ってきました。今回の「富嶽百景」は良かったですね。
芸艸堂の「富嶽百景」とは比べ物にならない質の高さ。
半紙本が3冊揃っていて、おまけに両ページ合わせたものまですべて額装で展示ということにも驚きました。どこのコレクションなのでしょう?
とら | 2008/03/02 2:57 PM
昨日、小布施の北斎館で、芸艸堂の「富嶽百景」
立ち読みしてきましたが、雑な印刷で、というよりも
原版がよくないのでしょうが、がっかりしました。
三越のこのコレクションの質の高さが目を見張りました。
横レスですが、上のとらさんのコメントに
富嶽百景は、浦上満氏のコレクションだとのことです。
一村雨 | 2008/03/02 6:58 PM
@すぴかさん
こんばんは。

間に合いましたか!
それは良かったです。
富嶽百景涙ものですよね。
富士山を特別な存在として捉えず
そこらへんの木や電柱のような
感覚で描き込んでいるようでした。

すぴかさんが撮られた富士山の写真にも
興味があります。アップされません?

@とらさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

とらさんをして質が高いと
言わしめるとなるとかなりのレベルだったのですね。
出来れば今一度行きたかったのですが生憎仕事が忙しく
断念せざるを得ませんでした。
コレクターさんがうらやましく思えてなりません。

@一村雨さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

>富嶽百景は、浦上満氏のコレクションだとのことです。
フォローありがとうございます。
日本橋に店を構えていらっしゃる古美術商の方なのですね。

小布施行かれたのですか!
それは羨ましい〜
一度は訪ねてみたい北斎の聖地のひとつです。
芸艸堂の「富嶽百景」踏み留めます。購入。
情報ありがとうございました!
Tak管理人 | 2008/03/02 8:48 PM
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