青い日記帳 

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「能楽と歌舞伎」展

国立劇場 伝統芸能情報館で開催中の
「能楽と歌舞伎」展に行って来ました。



伝統芸能情報館は平成15年3月に国立劇場の敷地内にオープン。
行こう行こうと思っていながら今まで一度も足を運んでいませんでした。


左が国立劇場.右が伝統芸能情報館です。

ここ何年かぱったりと観に行かなくなりましたが、
以前は年に三、四回は歌舞伎鑑賞に出向いていました。

「能楽と歌舞伎」展のチラシを他の美術館で目にした時
すぐさま予定を変更し伝統芸能情報館へ向かったのも
そんな昔の「名残り」がまだ心のどこかで眠っていたからでしょう。

結論から言いますと、行って大正解の展覧会でした。
とかくごちゃまぜになりがちな歌舞伎や能の世界を
以下の5つのセクションに分けて展示した手腕はお見事。
伝統芸能情報館に屋号があれば大向こうから声掛けたいほどです。

1:「道成寺伝説の世界」
2:「石橋と獅子舞踊」
3:「安宅と勧進帳」
4:「紅葉狩〜平維茂の鬼退治」
5:「松羽目物のさまざま」


簡単に各セクションを紹介。

1:「道成寺伝説の世界」
歌舞伎の演目はお能から取り入れたものが多くあります。
道成寺はその典型的なパターン。

絵的には歌舞伎のものが当然派手で(カブキですので)見応えがあります。

豊原国周「京鹿子娘道成寺」1896年
能絵「道成寺」も展示されているので見比べれば違いは歴然。
尤も道成寺はお能の中でも派手な演出が見られるので
歌舞伎に移行するのもごくごく当たり前の流れだったかと。

2:「石橋と獅子舞踊」
先月、歌舞伎座で染五郎の「春興鏡獅子」を鑑賞してきたばかりだったので
この章は特に楽しく観ることができました。


豊原国周「春興鏡獅子」1893年
ここに描かれているのは9代目市川團十郎演じる獅子。
1893年(明治26年)初めて「春興鏡獅子」が演じられた時の錦絵。

可憐な少女「弥生」と勇猛な「獅子の精」をひとりが踊り分ける
とても「美味しい」見ごたえのある演目。新歌舞伎十八番の一つです。

重要な小道具「獅子頭」が展示されていたのもよろし。

3:「安宅と勧進帳」
何度も何度も飽きずに演じられるので「勧進帳」の舞台でもある「安宅の関」をもじって「またかの関」なんて戯言が出るほど人気の演目。


勧進帳」1852年
弁慶演じるのは7代目市川團十郎。

今回初めて気が付いたのですが、お能での弁慶の山伏の着衣と歌舞伎のそれとでは随分と見た目が違うのですね。もちろん後発の歌舞伎の方が派手で梵字が描き込まれている衣装身にまとっています。

それぞれの衣装も展示されていたので見比べること容易にできます。

↑のチラシ上段の絵はお能の「安宅」のワンシーン.

以前、「勧進帳」の主要な登場人物の誰の役を演じてみたい?と聞かれ
まっ先に応えたのが「富樫」
元が悪い人間なのでああいう人物をついつい演じてみたくなってしまいます。

4:「紅葉狩〜平維茂の鬼退治」
紅葉狩りに訪れた信州戸隠山で美女に化けた鬼に誘惑を受けた平維茂。
自分だったらホイホイ付いていってしまい食い殺されるのがオチ。


月岡芳年「平維茂戸隠山鬼女退治の図」1887年

平維茂は見事、女が鬼であることを見破って退治。めでたしめでたし。
「鬼女」であること見抜くコツ教えてほしいものです。維茂さんに。

こんな美しい振袖も展示されていました。

緋綸子流水鳳凰紅葉縫振袖

5:「松羽目物のさまざま」
今までのセクションではわりとコンパクトにまとまっていましたが
最後はそれらに入らない「松羽目物」をまとめて紹介。

能舞台には派手な演出はなく背後に松の木が描かれているだけです。
(サイドには竹)
そのお能の舞台にある松の木が歌舞伎の舞台でも登場する演目を
まとめて「松羽目物」と呼んでいます。見分け方はいたって簡単。
背景に松の絵があるかないかです。基本的に。


歌川国貞「素襖落」1903年
「素襖落」は歌舞伎を見始めの何もまだ分らない頃に観て
なんて退屈でつまらない演目だ〜とインプットされてしまい
良いイメージありませんでしたが、不思議なもので
次第に歌舞伎を観る回数が増えるとこれがたまらなく
面白く見えるのです。「素襖落」は元々狂言の演目です。

それでは「今日の二枚

お能の「船弁慶」と歌舞伎の「船弁慶」を比べてみましょう。

月岡耕漁「能楽図絵二百五十番『船弁慶』」1897年


歌川国貞「船弁慶」1890年

やっぱり歌舞伎は「かぶく」が語源通りのようですね。
こうして比較してみると一目瞭然です。

そうそう「へうげもの 6服」来週発売になりますね!

「能楽と歌舞伎」展は国立劇場 伝統芸能情報館 1階展示室にて
5月25日まで開催しています。会期中のお休みは4月14日と5月1日のみ。
紹介した作品などだけでなく映像で歌舞伎やお能の歴史も知ることもできます。

大事なこと書き忘れました。
入館料無料です。タダです。
地下鉄半蔵門駅から歩いて5分。
国立劇場の案内板そこかしこにあるので初めてでも迷いません。きっと。

歌舞伎手帖
「歌舞伎手帖」 渡辺 保

それでは、最後に「今日の美味


アンリ・シャルパンティエの新作ケーキ「ポム・ポム・ダムール
リンゴ飴をモチーフにしているそうですが、どう見ても毒キノコ。。。
でも中身はアーモンド風味のスポンジにフルーツカクテルがぎっしり。
それにしても食べにくいケーキだ…カブキモノはこれだから。。。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1324

JUGEMテーマ:アート・デザイン
立劇場伝統芸能情報館1階にて「能楽と歌舞伎展」を開催しています。
歌舞伎は先行芸能である能楽から様々な影響を受けて発展してきました。出雲の阿国によって始められた歌舞伎踊りは、能や狂言から舞を取り入れてその踊りを成長させ、さらには物語や演出も借用し、その演劇性を高めていきました。後には能や狂言をそのまま歌舞伎舞台に移した松羽目物と呼ばれる演目が作られるようになります。
本展では能楽と歌舞伎で共通のテーマを描いた演目について、「道成寺の世界」「石橋と獅子舞踊」「安宅と勧進帳」「紅葉狩」「松羽目物のさまざま」の各テーマに分け、装束・衣装や小道具、版画、油彩画等を通して紹介しております。
展覧会 | permalink | comments(6) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

 今日は素敵な繋がり有難うございました。
また能と歌舞伎の視点の紹介に感謝です。
 Takさんが紹介されると、歴史的な芸術も生き生きと現世で輝きを増します。ダイヤモンドも磨いてこそ輝 きを増すもの。Takさんに紹介されて輝く魅力ですね。
 伝統芸能と敬遠せず 現世の「かぶきもの」であれ。
panda | 2008/03/15 12:56 AM
私、年に4回以上国立劇場に足を運んでいますが、
芝居を観るのに体力を消耗してしまい、
これまで2度しか伝統芸能情報館に行っていません。

>「安宅と勧進帳」
先日、能「安宅」を見ていて気づいたのですが、
能と歌舞伎では義経一行の人数が違いますよね。
能「安宅」:義経、弁慶、山伏9人、太刀持ち?=計12人
歌舞伎「勧進帳」:義経、弁慶、山伏4人=計6人
人数では、能>歌舞伎 なのに、
舞台の広さは、歌舞伎>能
舞台上の人口密度は、能の方が圧倒的に高いんですよ。
それだけに、能の弁慶&山伏は「軍団」っぽい。
能「安宅」は、弁慶&山伏軍団VS富樫のガチンコ男対決で、
歌舞伎「勧進帳」は弁慶VS富樫の武士の美学対決
という感じがしたのでした。 
菊花 | 2008/03/15 1:00 AM
歌舞伎も能もそれぞれ1回しか観たことないけど
行ってみると面白かったですね〜
伝統芸能情報館というのがあるんですか。

勧進帳の「富樫」!!!
義経と分かっていて関所を通すなんて
確かに情の深いいい人ですよね。
ん?元が悪い人?
いえいえTakさんも富樫みたいないい方ですよ。
サッチャン | 2008/03/15 3:16 AM
Takさん、タイムリー♪
ちょうど四月大歌舞伎のチケット取ったところです(初心者)。

ogawama | 2008/03/15 11:18 PM
こんばんは
'90年代やたらめったら歌舞伎見てた頃、この前身の資料室へよく出向きました。芝居見ずともここの展覧会だけ見て帰ることもしたり。
演芸場の方の資料室も私好みの資料が沢山ありました。
(幕末の活人形、細工見世物、幻燈絵・・・)
当時のリーフレットを眺めると、けっこう色んな方向性の展覧会をしてたなーと感心します。
花柳章太郎の舞台絵とか戸板康二ゆかりの芝居絵とか・・・
キレイにリニューアルしてからの方が行かなくなりました。なんでかな〜。お芝居も最近見てませんし。
ちょっと衰退した自分を感じます。
遊行七恵 | 2008/03/15 11:20 PM
@pandaさん
こんばんは。

ご無事でしょうか。。。

お金もうけでやってないだけあって
宣伝もほとんどしていないようですね。
サイトもなんだか。。。
足を運ぶ価値ありの展覧会です。
pandaさんならすぐ行けますね!

@菊花さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

本物のお芝居観たあとだと
ここ立ち寄る気にはなれませんよね。

「安宅と勧進帳」の人数の違い
言われてみれば確かにその通りですね。
私は勧進帳しか観たことないので
まったく気がつきませんでした。

「軍団」って表現も的確ですね。
やはりお能は武士のもの。

やはり歌舞伎は庶民のもの。
こんなところからもわかりますね。

@サッチャンさん
こんばんは。

そうなんですよね。
実際に行ってみると面白いものです。

まずは行って観てなんぼです。
情が深すぎて実生活(仕事)では
うまくいかないこと多々あります。

富樫のように一本筋が通ってないとだめですね。

@ogawamaさん
こんばんは。

おお!それはそれは。
四月の演目も気になりますよね。
本当は今月行きたかったのですが。。。歌舞伎座

@遊行七恵さん
こんばんは。

遊行さんくらい幅広く
色々な知識お持ちなら
歌舞伎を御覧になっていても
さぞかし面白いでしょうね。
私なんぞは筋書き片手に
必死になって観ているだけです。
しかも最近は舞台装置や
着物などに目が行ってしまい
肝心のお芝居が。。。

紙ものはすべてとってあります。
(整理整頓はできていませんが)
ただ記憶が・・・
Tak管理人 | 2008/03/16 12:28 AM
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