弐代目・青い日記帳 

  
TB&リンク大歓迎です!
「ガレとジャポニズム」展
サントリー美術館で開催中の
開館1周年記念展「ガレとジャポニスム」に行って来ました。



突然ですが、この絵の作者は誰でしょう?


雪の積る松の枝に鷹が一羽寒さに耐えるようにとまっています。もう一羽頭上から共に暖を取るつもりでしょうか、舞い降りてきています。鳥たちの描写もさることながら松の葉や幹などの表現も大変写実的です。

作品名「雪中松に鷹」描かれたのは1900年頃。
驚くことなかれこの絵を描いた張本人こそ今回の展覧会の主役に他なりません。
そうです、アール・ヌーヴォー期を代表するフランス人芸術家エミール・ガレ(1846-1904)その人本人が描いた作品です。

ガレが描いた絵だと分かると画面右端に描かれた細長い瓶のデッサンも納得がいきます。ポーラ美術館所蔵のガレ作・花器「雪中松の鷹」と一緒に展示してあります。

正直サントリー美術館で「ガレ展」を開催すると知り、行こうかどうか躊躇しました。サントリー美術館がまだ赤坂見附にあった頃、何度かこちらのガレ・コレクションは拝見させて頂いていました。直近だと2004年に開催された「没後100年記念 エミール・ガレ展」だと記憶しています。


またガレの作品はあちこちの展覧会で数点ずつ目にしていること多いため「渇きに乏しい」作家さんでもあります。(「美の壺展」や「ベル・エポックの輝き」展等など)

ところがです。別用もあり、六本木へ出かけることになり、折角だからガレ展でも…と鞄もロッカーに預けず気ままに展示室へ入ると。。。想像していた「ガレ展」をはるかに質・量ともに上回る素晴らしい展覧会であることが経験知的に識別できました。

断言出来ます。
今までの「ガレ展」の中でダントツに優れた展覧会であること間違いありません。
地方や海外で開催された未見のガレ展とは比することできませんが
少なくとも都内、もしくは近郊で開催された展覧会の中ではずば抜けています。

自分と同じく「ガレちょっと観飽きた感あるし…」と二の足を踏んでいらした方、騙されたと思ってミッドタウンまで足を運んでみて下さい。こんなにも素晴らしい「ガレ展」やってしまわれると来年以降開催する美術館さん苦労すること間違いなし。

展覧会の構成です。今回は特にこれが大事。
第1章:コラージュされた日本美術…ジャポニスム全盛の時代
第2章:身を潜めた日本美術…西洋的表現との融合、触れて愛でる感覚
第3章:浸透した日本のこころ…自然への視線、もののあはれ
第4章:ガレと蜻蛉


日本美術、主に浮世絵や北斎漫画に影響を強く受けたガレ。当時のヨーロッパ人でしたら多かれ少なかれ見知らぬ国からやってきた見たこともない作品に対して驚きを持ったことは印象派の画家たちを見ても分かるとおり。

前回の「ロートレック展」で殊更日本美術との関連性を強調しなかったのに対し、今回の「ガレ展」ではタイトルにまで「ガレとジャポニズム」展と付けるほどの徹底ぶり。これが今回単なる「ガレのガラス器を並べただけの展覧会」と大きく違う点。

更に、ガレが日本美術をいかにして自分の作品に取り入れ昇華させていったのかを年代順に第1章から第3章に区分し提示してくれています。(セクション分けが大変上手くできています)

第1章:コラージュされた日本美術…ジャポニスム全盛の時代
蓮に蛙」オルセー美術館
初めて目にした日本美術に驚きを覚えつつモチーフをそのまま転用している作品が主。ほんとそっくりそのまま写し取っただけの作品もあり可笑しいほどです。

第2章:身を潜めた日本美術…西洋的表現との融合、触れて愛でる感覚
アモールは黒い蝶を追う
次第にそのまま映し取ることは影をひそめ、日本美術からアイディアを受けそれを自分の中にある西洋的な感覚と上手く融合させた作品を作りだしていきます。

第3章:浸透した日本のこころ…自然への視線、もののあはれ
花器「蜉蝣
第2章よりもさらに日本美術の心奥までガレなりに解釈、理解して作品としていきます。「もののあはれ」をもしかして今の自分よりもガレは理解していたのでは?と思うほど、精神性の高い作品を作りだしています。

第1章ではガレだけでなく、同時代のクリストファー・ドレッサー、フランソワ・ウジューヌ・ルソーなどの日本美術の影響を受けたというよりも、そのまま浮世絵に描かれているものを意味も分らず写し取ったガラス器なども展示されています。和服姿の「日本人女性像」が描かれた壺や何と「富士山」がモチーフとして使用されている花器も多々ありました。

この展覧会の優れている点は他にもいくつも挙げられますが、中でもガレがモチーフを写し取ったり影響を受けたりした浮世絵なども同時に展示されている点です。

例えば一番最初の展示にガレの花器「」1878年がありますが、これは葛飾北斎の「北斎漫画 魚濫観世音」をそっくりそのまま拝借した作品であることが同じ展示室内で実際に観て確かめること出来ます。


更に丁寧なことに歌川広重のこんな作品まで並べて展示されています。

魚づくし「鯉」

よくこういった趣向の展覧会でありがちなのは「ジャポニズムの影響を色濃く受けているのが分かる」なんて解説がされていながら、具体的にどの作品からどのように影響されているのかさっぱり素人の自分などでは分らないこと多々ありますが、今回のサントリー美術館さんはそんな「悩み」や「もやもや」を一発解消してくれるある種、爽快感溢れる展覧会です。

先ほど紹介したオルセー美術館所蔵の「蓮に蛙」に描かれたカエルもまた北斎漫画からそのままコピペしたものだったりします。
北斎漫画
これもまた当時に展示されているので一目瞭然!
トンボもありますね〜これ第4章で単独で出てきます。

これに加えて、一番最初にあげたガレ自身が描いた絵やデッサン、下絵なども展示されているので全く見ていて飽きることありません。また照明もそれぞれのガラス器に合ったもので作品の雰囲気最大限に生かされています。

北斎、広重はもちろん丹山陸郎、尾形乾山、高島北海、正阿弥勝義、宮川香山、野々村仁清、小川破笠、柴田是真、本阿弥光悦、俵屋宗達などなど、関連する日本美術もたっぷりと観ることできます。

以前の記事でご紹介した北斎のこちらの作品も観られます。

「かわせみ、しゃが、なでしこ」
「著莪」(しゃが)についての記事はこちら

サントリー美術館の学芸員さんの気迫のこもった開館1周年記念展「ガレとジャポニスム」はまだ始まったばかりです。会期は5月11日まで。「ガレ展」にして今までの「ガレ展」にあらず。おススメの展覧会です。

それでは最後に「今日の一枚


エミール・ガレ「梅に鳥」1899-1900年
これもまたガレの描いたものです。
こんな作品も観られます!

今の日本人よりも確実に「日本の心」理解してた人なのかもしれませんね。

もっと知りたいエミール・ガレ―生涯と作品
もっと知りたいエミール・ガレ―生涯と作品 鈴木 潔

それでは最後に「今日の美味


京都「柳桜園」のかりがねほうじ茶「光悦」と「
ほうじ茶好き!しかもこの缶の「鳥獣戯画」のデザインがまたいい!
さちえさんから頂きました。有難うございました。多謝。

【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | 芸術姉妹都市
- 弐代目・青い日記帳 | 「ベル・エポックの輝き」展
- 弐代目・青い日記帳 | 「美の壺展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「ルオー展」チケットプレゼント
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- 弐代目・青い日記帳 | 「ルイ・ヴィトン時空を超える意匠の旅」展
- 弐代目・青い日記帳 | 箱根ラリック美術館
- 弐代目・青い日記帳 | 「旧朝香宮邸のアール・デコ展」(夜間開館)
- 弐代目・青い日記帳 | 庭園美術館「上下」
- 弐代目・青い日記帳 | おとなの美術館


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JUGEMテーマ:アート・デザイン


19世紀後半、海を越えヨーロッパに渡った日本の美術品は、ジャポニスムと呼ばれるブームを巻き起こしました。日本の美は、その土地の美術や文化に取り入れられ、絵画、彫刻、陶磁器、ガラス、そして建築など、多様なジャンルに影響を及ぼしました。フランス・アール・ヌーヴォー期を代表する芸術家エミール・ガレ(1846-1904)は、そんな時代に、ナンシーでガラスと陶器の創作活動を開始したのです。ガレが手がけたガラス、陶器、そして家具には、さまざまな形で日本美術との結びつきが見受けられます。多くの芸術家たちがそうだったように、彼もまた、当初は表面的なモチーフの転用から出発しました。しかし、ガレに与えた影響は、日本の美意識への理解が深まるとともに次第に深化しつつ、彼独自の芸術性を確立する上で、重要な一端を担うことになったのです。その姿は、当時の批評家をして「ナンシーで日本人として生まれた運命のいたずらを、祝福してあげようではないか。」と言わしめるほどでした。
本展では、ガレにみられるジャポニスムの変遷を、国内外のガレ作品他、約140件の作品で紹介する試みです。また、30年余にわたるガレの名品を見ることによって、ものの真髄を赤裸々なまでに表現する、ガレ芸術の醍醐味を味わっていただければ幸いです。
| 展覧会 | 23:43 | comments(17) | trackbacks(4) |
こんばんは。
ガレ展のすばらしさにびっくりしました。
もう一回よく勉強?してから出直したいと思ってます。
ジャポニズムってこんなにすごかったなんて
今まで何を聞いていたのだろうと、やはり具体的な
展示ってすごいですね。
| すぴか | 2008/03/24 12:46 AM |

こんばんは〜
あ、あれ?
ガレ@ミッドタウンですか?
今日の午後、私も行ってましたよー
またもやニアミスですかねぇ・・・w
| クロエ | 2008/03/24 2:24 AM |

ガレって言うと「キノコのランプ」のイメージです。
この「雪中松に鷹」は日本画だと思いましたヨ。
10年ほど前、ナンシーに知人が留学してて
遊びに行った時にガレを教えてもらいました。

このお茶缶、飲み終えた後にも使えますよね☆
| サッチャン | 2008/03/24 9:32 AM |

おはようございます。
ワタシもガレをまとめてみたのはナンシーです。
今回のはとても良い展覧会みたいですね!
何より驚いたのは彼の絵!!ほんとにびっくりでした。
| OZ | 2008/03/24 1:39 PM |

ガレってスタンドのイメージしかないけど(うちにもニセモノがあります)
「蓮に蛙」なんて素敵ですね。
混まないうちに行ってみよう。
ほうじ茶は結局自分にも買ってしまいました。
「光悦」と「金」の味の違いはどうでしたか?
| さちえ | 2008/03/24 8:14 PM |

Takさん、こんばんは。
諏訪の北澤美術館に行ったことがありますが、ここまでジャポンな作品はありませんでした。
面白そうですね。
| ほんのわ | 2008/03/24 9:08 PM |

ガレもガラスもさほど感心なかったので
今回はスルーするつもりだったのですが、
いやはや、なかなか見応えがありそうですねぇ。
チャンスがあれば、足を運びたいです。
(すみません、腰が重くて・・・。)
| m25 | 2008/03/25 12:56 AM |

@すぴかさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

具体的で尚且つ丁寧な展示でしたね。
無理やりこじつけ的に日本との
関連性を示す展覧会とかにはうんざりしますが
これは素直に(まざまざと)それを
みてとることできました。

@クロエさん
こんばんは。

ニアミスですね〜
会場内でお会いしたかも!
エプソンが配布していた
パズルもらいました?!

@サッチャンさん
こんばんは。

キノコのランプもしっかり展示されていましたよ
しかも電灯も点いて!!
あれサントリーさんご自慢の一品ですからね。

以前、Bunkamuraでナンシー派展を
開催しました。あの展覧会もこれとは違いますが
良かったと記憶しています。

@ozさん
こんばんは。

ガレの絵驚きますよね!
上手いというか、よく真似たなと。
しかし模写としてもここまで描けるとは。
やっぱり芸術家さんは違いますね。素地が。

@さちえさん
こんばんは。

味の違い試してみます。
まだ飲み比べていないもので。。。
違い分かるかな〜自分に。

今回も終盤は混雑するかと思います。
地味めのチラシですが中身は凄いです。

@ほんのわさん
こんばんは。

北澤行かれたことあるのですか!
あそこは一度訪れてみたい場所のひとつです。
長野県って本当にいい美術館ありますよね。
メルシャンも気になっています。今。

@m25さん
こんばんは。

行ってみて下さい。
是非。
サントリーの回し者ではありませんが
これだけの展覧会は中々他ではできないと思います。
大変御苦労があったと思われる展覧会です。
| Tak管理人 | 2008/03/25 1:36 AM |

ほうじ茶がお好きなら 是非加賀棒茶もお試しあれ
ちょっと高いですけど(^^A
加賀棒茶で検索すれば ネットでも買えます
都内のデパートでも扱ってるところあるかも

わたしは子どもの頃 お茶といえばほうじ茶か玄米茶でした
こっち(東京)では緑茶ばかりでびっくり
| タオルミーナ | 2008/03/26 12:31 AM |

@タオルミーナさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

加賀棒茶ですか。
メモして覚えておきます。
買ってこないと!

玄米茶いまでも好きです。
ペットボトルだとなかなか
売っていませんが。。。
| Tak管理人 | 2008/03/26 1:21 AM |

はじめまして。
ほんとに今回のガレ展は 格段によかったです。
見ごたえが ありました。
いま 諏訪の北澤美術館(新館)では 野村陽子のボタニカル・アートとガレやドームのガラスの並列展示をしていて これまた楽しめます。
北澤美術館の公式HPの「ガイドボランティアからのメッセージ」「私の好きな作品」シリーズを書いています。
読んでいただけたら うれしいです。
| pape | 2008/05/06 3:57 PM |

@papeさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

>北澤美術館の公式HPの「ガイドボランティアからのメッセージ」「私の好きな作品」シリーズを書いています。
そんな畏れ多い方からコメント頂戴し恐縮です。
読みます読みます。読ませていただきます。

諏訪へは行ったことありますが
まだ北澤美術館を訪問したことはありません。
次回そちら方面に行くときは必ずや。
| Tak管理人 | 2008/05/07 12:04 AM |

こんばんは。作品を見ながらガレの生き様を追うような展覧会でしたね。あれこれ感心しっぱなしでした。

それにしても自分は運が良かった(?)みたいです。
Takさんが「ダントツに優れた展覧会」とまで仰る展覧会で初めてガレを見ることが出来ました。蜉蝣の儚さ。ガレにその重みを教わった気がします。
| はろるど | 2008/05/09 10:10 PM |

@はろるどさん
こんばんは。

もっと知りたいガレの生涯。
確かにそんなつくりの展覧会でした。
苦悩の様子うかがい知ることできました。

サントリーさんのガレの展覧会は
まずハズレがないのですが、今回は
今まで以上に力入っていました!
| Tak管理人 | 2008/05/09 10:40 PM |

おはようございます。
コメント遅くなりました。

ガレを通して、日本の美の再発見でした。
蓮と蛙のお皿には、
揖保の糸そうめんを、
ところてんを、
抹茶かき氷を、
グリーンサラダを、
などなど手に入れた後の不埒な妄想にふけりました。

よく思い返せば、本当に熟慮企画された展覧会だったと
サントリーの底力を感じました。
| あべまつ | 2008/05/12 10:48 AM |

@あべまつさん
こんばんは。

実はうちもかみさんと観にいくと
同じように、この器には
かき氷が合うね。
なんて他愛もないこと話ながら観ています。

器は使ってこそですので。
っと一応自分に納得させる。

サントリーさん現在でもコレクション
続けているそうです。
また5年後あたりに是非。
| Tak管理人 | 2008/05/13 11:16 PM |

こんばんは
大阪のサントリーミュージアムでもこの展覧会が始まりました。最初から随分賑わいでます。
どうも大阪では絵画より工芸品の方が男性客多いようです。

これまでガレと言えば大阪では大丸が北澤美術館の名品展をよく開催してくれてますが、サントリーや他コレクションはなかなか見れなかったような気がします。
とても楽しめました。

チラシの違いが東西の違いのようで、面白いです。
| 遊行七恵 | 2008/06/05 10:04 PM |










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法隆寺金堂内陣は、普段は大変暗い上に太い円柱に加え、金網が廻らされており、その詳細はなかなか見ることができません。今までに撮影された写真も鮮明さということでは満足のゆくものではありませんでした。今回は最新の撮影技術により、南面(正面)のみならず、北面(背面)からも撮影。その結果、全く見たことがない写真を目の当たりにすることになりました。仏像の質感と量感、豊かな色彩に感嘆し、感動をおぼえる一冊となっています。
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不肖・私がフェルメール30作品の解説執筆と全体の編集に携わった一冊です。オールカラーB5版。96ページから成る、これまでにないフェルメールパーフェクトガイドです。主に「フェルメール初心者」に向け丁寧に噛み砕いた表現で綴られているので、美術の専門用語を知らずともフェルメール作品について一通りの知識を得ることが出来ます。

お手に取って頂ければ幸甚です。よろしくお願い致します。
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日本美術のことば案内 (JUGEMレビュー »)
日高 薫
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日本美術鑑賞の際に、よく出てくる言葉を満載。絵画、彫刻、工芸品などの具体的な写真をふんだんに使い紹介
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