青い日記帳 

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「アートは心のためにある」展

森美術館で開催中の
「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」展に行って来ました。



昨日の記事で4月25日から森美術館で始まる「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」のことについて書いている途中、今開催中の「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」の記事のリンクを貼ろうと探したところ何とまだ記事自体を書いていないことが判明。

ということで、慌てて書きます。

2月2日から始まったこの展覧会。二度ほど会場へ足を運びました。一度目は、2月9日に行われた森村泰昌アーティストトーク「芸術のココロはどこにある?人間のココロはどこにある」に参加。二度目は「ムートン・ロスシルド ワインラベル原画展」に行ったついでに。

今回の展覧会に出展されているスイスを拠点に置く世界規模の金融機関UBSのコレクションは、実際のオフィスにも普段飾られているそうで、その雰囲気を森美術館でも出そうと展示室内にやたらと机椅子が置いてありました。

一度目に行った時は予備知識全くなかったのでさほど気にせず疲れたら普段の展覧会と同じく座る程度のもとだと思っていました。それだがオフィスを演出する小道具だと知った後、二度目に訪れた際は意識してそう見ようとしましたが、あの会場をオフィスだと想定するにはやはり無理があるのでは。

ちっともオフィスらしく思えませんでした。
(尤も自分がイメージするオフィス像とUBSさんや森ビルさんが想起するイメージとは天地ほどかけ離れているのでしょうが・・・)

因みに会場はこんな感じです。「アートのあるオフィス空間



今日あらためて自分の仕事場をしげしげと眺めてきましたが、最初から絵なんて飾る余裕ありません。出光美術館から頂戴したセンガイのカレンダーを掛けておくのがやっとです。

さて、さて曖昧な記憶をたどりつつ展覧会をば。
セクションは3つ.

・ポートレイトから身体へ
・造られた世界
・ランドスケープから宇宙へ


このセクション分けはとても分り易く明確。
「自分」や「他者」という身近な存在から「世界」そして「宇宙」まで。
数多いコレクションを如何に意味付けて見せるかは現代アートの展覧会では
大変重要なポイント。分る人だけが分ったふりをしているような展示は×

この展覧会の優れている点はまさにここ。
それぞればらばらの現代アートを巧みに関連付けて示してくれています。
シンディー・シャーマンの隣りに森村さんとか。

そんなナイスな構成の会場で一際光彩を放っていたのがこちらの作品。

アンドレアス・グルスキー「99セント
(アンドレアス・グルスキーは奇妙なサッカー場を写した「フォルトゥナ・デュッセルドルフ」という作品もありこちらもかなり観入りました)

アメリカにも100均ショップならぬ「99セント」ショップがあり、NYで何度か入ったことがあります。この作品のように「広大な」店舗ではありませんでしたが、イメージは確かに重なります。それは「色」

とにかくショッキングでセンセーショナルな「色」たちが鉄砲水のように来店者を容赦なく襲い、降りかかってきます。

ダイソーやドンキとは違った独特の圧迫感があります。

それらをアンドレアス・グルスキーの写真は見事に集約し更に嫌悪感を見事なまでに増幅させています。たった一枚の何気ない写真に見えてその実、こう見事なまでにこちらに訴える一枚を撮るのは並大抵のことではないはずです。

私は二度ともこの作品の前で長く立ちすくんでしまいました。
様々な問題が頭の中に浮かんできます。現代社会が抱える病の。

例えば手前から三列ほどは全てお菓子の棚です。ガム、キャンディー、チョコレート、クッキー他に何かあるにせよ、お菓子自体の品としてはせいぜい6つか7つでしょう。それなのにこの信じられないほどの種類の商品は一体何なのでしょう?

現代を読み解くキーワードとして「多様性」があげられ尊奉されていますが、アンドレアス・グルスキーの一枚のこの写真はそれを嘲笑うかのように「多様性の異常性」を示唆しています。

値段は99セントです。さて我々はこの色の洪水のような商品の中から何を基準に選び取ればいいのでしょう。駄菓子屋が妙に懐かしく感じるのは、物があふれすぎていて選ぶのにも選べないそんな現代社会のカウンターでもあるのでしょう。

ガムなんて「ノラクロのフーセンガム」一個あれば十分幸せでしたものね。

荒木経惟の「さっちゃん」というモノクロの写真がありました。1962年に撮影されたもの。町中の無邪気な子供が見せる笑顔は今でもどこかに行けばまだ見られるのでしょうか。

そうそう、お菓子で思い出しました。甘いものも展示してありましたよ〜
(これ「今日の一枚」にします)

オスカル・ムニョス「ピクセル

甘い甘い角砂糖を敷き詰めた作品です。
中に茶色い色をしたものがありますが、コーヒーを染み込ませているのだと無料のイヤホンガイドが教えてくれました。なるほど〜気が付きませんでした。

しかも、ぼんやりとした輪郭をたどってみると、この作品人の顔が「描かれて」いるのがわかります。

角砂糖とコーヒーで顔を表現しちゃうなんて、おしゃれ〜なんて思う間も与えずにガイドは「この作品はコロンビアで惨殺された人々の顔です」と驚きの説明が、更に間髪入れずに「砂糖とコーヒーはコロンビアの特産品でもあります」と。。。

甘い現代アートなんて無いこと思い知らされました。
しかしこれオフィスに飾ってあったら嫌ですよね。。。

UBSさん太っ腹ですので自社のサイトで作品を公開しています!
UBS - The UBS Art Gallery

「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」は4月6日までです。
同時に「もうひとつの風景:森アートコレクションより」も開催中です。
山口晃さんの作品も展示されています。

それでは最後に「今日の美味


六本木芋洗坂にある魚洋水産(うおひろ水産)の「焼きそら豆
見た目は悪いけど中身はホクホクのそら豆が。
冷凍品が多い枝豆とは違い季節感の感じられる食べ物です。

蛇足ながら、そら豆といえばこの絵本です!
そらまめくんのベッド (こどものとも傑作集)
「そらまめくんのベッド」なかや みわ

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JUGEMテーマ:アート・デザイン
ウォーホル、リキテンスタイン、バスキア、リヒター、グルスキー、荒木経惟、森村泰昌、杉本博司、宮本隆司、畠山直哉・・・・・。アメリカ、ヨーロッパからアジアまで、世界有数のアーティスト60人による約140作品に囲まれ、見て、感じて、想像するためのワークスペースをつくりました。美術館と企業コレクションの新しいバートナーシップ、アート&ライフの提案です。

スイスに拠点を置く金融機関UBSの現代美術コレクションは、1950年代以降のアメリカ、ヨーロッパの絵画と1990年代以降のヨーロッパを中心とした写真作品を中核に、近年はアジアや中南米の作品にも視野を広げ、よりグローバルな企業コレクションとして拡大しつつあります。本展では1000点以上におよぶコレクションから、「1.ポートレイトから身体へ」、「2.造られた世界」、「3.ランドスケープから宇宙へ」という3つのテーマで作品を選び、それぞれの作品やアーティストのアイディアが世界とどのように繋がっているかを探ります。
展覧会 | permalink | comments(9) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

丁度私もこの感想書いた所でした(見に行ったのは
結構前なんですが)。
角砂糖の絵は私も気になってましたが、なんと、
コロンビアで惨殺された人の顔だったとは!
そして砂糖とコーヒーまでもがコロンビアに繋がっ
ていたとは!新たな驚きでした・・・.
KIN | 2008/04/01 12:58 AM
Sweetyなまとめ方ですね。甘さの中に苦さあり。
森はとても現代アート体験にぴったりの造りです。
次回は horrorな味付け?
panda | 2008/04/01 12:57 PM
「99セント」「角砂糖」の写真にはいろんなメッセージが込められてそうですね。


写真って見にいこうかな〜って思ってるうちに開催が終わっちゃいます。
アートは心のためにある、まさしくそうですね。
ついつい、自分の好きなものばかり目が行っちゃうけど
新しいもの、今まで知らなかったものももっと見たいです。
ひょっとして偶然見たモノを好きになるってことありますもんね。
サッチャン | 2008/04/01 4:51 PM
焼きそらまめ、すごく美味しいいですよね。
私も先日食べました。

角砂糖の絵は、すごいメッセージ性を持っていますね。
でも溶け出したりしないんでしょうか・・・それはそれでまたもっと深いメッセージ性が出てきたりして・・。

食べ物に弱くてすみません。

gakko | 2008/04/01 11:11 PM
@KINさん
こんばんは。

いつでもいいやと思っていると
ずるずると書き延ばしてしまいます。
今もまだ書いていない展覧会が。。。
夢でうなされそうです。
イヤホンガイド聞かなければ分りませんでした。
かなり詳しく解説してくれたので助かりました。

@pandaさん
こんばんは。

ちょっと立て込んでいて淡白に
さらりと書こうとしたのですがついつい。
悪い癖です。
次は必ずホラーネタかと。。。

@サッチャンさん
こんばんは。

写真作品だけではないのですが
特に気になった作品をリストアップしたら
こうなってしまいました。

>偶然見たモノを好きになるってことありますもんね
あります、あります。
それに今の自分の価値観で良いと思えなくても
5年後10年後は分りませんからね。
また敢えて嫌いなジャンルも観に行くようにしています。
記事には滅多に書きませんが。

@gakkoさん
こんばんは。

そら豆の美味しい時季ですね。
こればかりは季節ものいただかないと!
薄皮まで食べてしまいます。

角砂糖作品はケースに入っていたので
きっとその辺の対策は万全なのかと
蟻の一匹でも入ったらそれこそ・・・
Tak管理人 | 2008/04/01 11:54 PM
こんばんは。
10年ほど前にUBSのオフィスを見たのですが、実際にアートワークはあちらこちらに掛かっていました。家具もとてもスタイリッシュでした。オフィスとアートが一体という点では素晴らしかったです。落ち着くかというとまた違うのですが。。。
mizdesign | 2008/04/02 8:41 PM
@mizdesignさん
こんばんは。

実際に掛けてあるのですね。
ああいった作品が掛けられるオフィスなんて
羨ましくもありますが、自分だったら
落ち着かないだろうなとも思います。
Tak管理人 | 2008/04/02 11:50 PM
こんばんは。昨日はどうもありがとうございました。たくさんいただいて本当にお腹いっぱいになりましたね。

今回はともかく99セントに釘付けでした。巨大なショッピングセンターなどに行くと、その場の雰囲気にのまれるというか圧倒される時がありますが、そんな気配に近いような作品だったと思います。

角砂糖は種明かしをされてショッキングでした。
口の中の甘さも吹っ飛びます。

はろるど | 2008/04/06 7:48 PM
@はるるどさん
こんばんは。

昨日はほんと心もお腹も満腹になりましたね。
話題もいちになく豊富で場所が場所だけに
ぶっちゃけトーク全開で楽しかったです。
設定してくださったあおひーさんに感謝!

99セントはこの俯瞰気味のアングルも
迫力さを増していますよね。
中々こうは撮れないと思います。

さて、お次の展覧会はどうなることやら。。。
Tak管理人 | 2008/04/06 11:41 PM
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