青い日記帳 

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「絵師がいっぱい」

板橋区立美術館で開催中の
「絵師がいっぱい お江戸の御用絵師と民間画工」展に行って来ました。



連休のご予定まだ一日でも空いているようでしたら、迷わずこの展覧会に足を運ばれることお勧めします。

理由その1
板橋区立美術館といえば様々な展示の工夫をこれまでもしてきました。昨年開催された「戸方庵井上コレクション名品展」では作品解説を「なかなか細かいですね。」「楽しいですね。」「でも、難しいんです。」といった具合に親しみ易くまた簡潔に館長自ら書いたりしてきました。

今回の展覧会では作品名と共に「現代タイトル」も併記。例えば「唐子遊図屏風」は「チャイニーズ・キッズ」といった塩梅。


狩野典信「チャイニーズ・キッズ

全ての作品に「現代タイトル」が付けられています。こういう事って簡単そうで難しいですよね。あまりふざけ過ぎてもいけないし。お堅い作品名を何とか我々に理解できるよう知恵を絞られたことかと。館長さんや学芸員さんのご努力の賜物。

板橋区立美術館のサイトに出展作品リストと共に「現代タイトル」も掲載されています。これ読んだだけでもどんな作品だかあらかた想像できるかと。

館長さんがこの本の著者だけのことあります。
美術館商売―美術なんて…と思う前に (智慧の海叢書)
「美術館商売―美術なんて…と思う前に」 安村敏信(館長さん)
読売新聞書評(2004/8/8)
美術館?面白いの?堅苦しそうだし、敷居が高そう。ゴッホ展でもやっていればね。もっと楽しいところに行こうよ?
ちょっと待ってくださいお客様。うちの美術館、ひと味違いますよ。いいモノ集めてるだけじゃない、展示の面白さはどこにも負けません(度肝を抜くディスプレイ、作品に近づける露出展示、お出迎えのマスコット人形)。記念写真撮影もでき、グッズも豊富、工夫した図録も楽しめます……
美術品を拝んで勉強する美術館から、普通の人が気軽に入れる娯楽施設としての美術館へ。来てもらってなんぼの商売という腹の括(くく)り方は、手練(てだ)れの学芸員としての筆者の経験に裏打ちされている。美術館に厳しい昨今の状況を生き抜くための、過激で真っ当な処方箋(せん)だ。心して服用したい。
苦労話を越えるヴァイタリティに感動する。舞台裏を明かす膝(ひざ)打ちネタも多く、一読の価値あり。美術館、そこまでやっていいの? いいんです。
理由その2:
全ての展示作品が写真撮影okです。

先ほどの「チャイニーズ・キッズ」もこんな風に展示されていました。


もちろんアップでも撮影してきました。

子供達のおかしな髪型してます。笑いをこらえてぶれないようにして撮影。

今回は全て板橋区立美術館所蔵の作品だけということで、撮影が許可されているそうですが、それにしても「フラッシュ焚いても構いません」とまで言われてしまうと流石に躊躇してしまいます。(フラッシュ無しで撮影しましたけどね)


連休中といのに来館者はまばら。独占ひとりプレビュー状態。
行きたくなって来ましたでしょ。
価値観の違いはあれどディズニーランド行くなら板橋区立美術館。


鳩鳩斎栄里「芸妓図」(現代タイトル「何かご用?」)

すらりとした八頭身美人。注目は足元。
全体の画像ではその「良さ」分かりませんがこれまたアップで撮影すると…


足が着物の合間から見えています。艶めかしさ倍増。
足だけ撮ってきた自分もどうかと思いますが…

とにかく「メモ」代わりにデジカメに記録できるのは嬉しいことです。尤も写真撮影だけに熱心で肝心の絵を観る時間が損なわれては元も子もないでご用心。

写真撮影okなのは、今回が初めての試みだそうです。
この点だけでも美術館サイドの大変前向きな姿勢が伺えます。

先ほどご紹介した館長である安村氏の著書「美術館商売―美術なんて…と思う前に」の中にお客様に「来てよかった。」と思っていただく為に写真撮影をなるべく許可すべきだという件があります。一部引用させていただきます。
そもそも、美術館で写真撮影を禁止しているのは不当な複製品制作の防止と著作権の保護のためだろう。著作権は現在、作家没後五十年は保護されるのだが、考えてみれば、古美術の作家は没後百年をはるかに越えていて、保護の対象外である。とすれば、美術館には作品の所有権があるだけで、それを守ればよいではないか。
不当な複製品制作の防止、という点も、展示場に飾った古美術(その多くはガラスケースの中)を素人がカメラで撮っても、好品質の複製品を作るに足る映像など、撮れる訳がない。せいぜいプライベートな思い出づくりの映像ぐらいしか撮れないのであれば、気に入った作品のひとつと出会い、記念撮影するという行為がどれほど教育的効果をもたらすだろうか。
記念撮影してよいとなると、お客様も気に入った作品を探そうと熱心に作品を見始める。ちょっとしたワーク・ショップ以上に、熱心な観察を勧める効果があるのだ。(中略)
展示場で撮った写真が複製されて、何かに使われたとしても、その作品が広く周知されるということだから、宣伝になるではないか。複製を作れば、その数だけ、当館の作品を普及してくれているのである。そう考えれば、益々、展覧会場で写真を撮って頂きたくなるではないか。
素晴らし過ぎる…
特に後半部分。
どの業界にも世界にも優れた先達はあらまほしき事なり。

理由その3:
お座敷コーナーで屏風を露出展示しています!

百聞は一見に如かず。
こちらをご覧あれ。



眩暈がしてきそうでしょ。
プライスさんもガラスケースに入れられた屏風なんて見せたくないと、東博他で露出展示されていましたが、板橋は更にそれの上を行く企画。



座布団までご用意して下さって至れり尽くせり。
真中にどかんと腰を下ろし堪能させていただきました。

理由その4:
館所蔵品の中から、親しみやすい作品ばかり選りすぐりの40点を展示。


柴田是真「猫鼠を覗う図
(現代タイトル「ネズミちゃん、気づいてないな」)


川又常正「青楼遊客図」(現代タイトル「行かないで」)


菊池容斎「塩冶高貞妻出浴図」(現代タイトル「のぞいちゃダメよ」)

どれもこれも、小難しい解釈や蘊蓄なくても素直に楽しめる作品ばかり。
これに現代タイトルと思わず笑みがこぼれるような解説付きなのですから
大人から子供まで「江戸絵画」を楽しむことできること間違いなし!

酒井抱一や鈴木其一、司馬江漢などといったメジャー絵師の作品も展示。
伝狩野探幽「風神雷神図屏風」など一見の価値ある作品も。

幕府御用絵師狩野派から民間の画工、南蘋派や浮世絵など見どころ満載。
それぞれの作品を通じて江戸時代の生き生きとした「風」を感じることできます。

理由その5:
これだけ江戸絵画を贅沢に満喫・堪能できながら観覧料無料

やることなすこと、他の美術館では考えられないことばかり。
東京23区内で初めての区立美術館だけのことはあります。

やっぱり館長さんや学芸員さん、そして受付の方など人材がしっかりしていらっしゃる美術館て違いますね。いくら良い作品を持っていてもそれを生かせないようではね。これもまた「美術館商売―美術なんて…と思う前に」の中にしっかり記されています。江戸東京博物館のスタッフに読ませてやりたい。

これからも常に美術館界のパイオニアとして邁進されること期待しています。

最後に「今日の一枚

遠坂文雍「葡萄ニ栗鼠図」(現代タイトル「このブドウ 君にあげるよ」)


本当にブドウを一粒手にしているんですよね〜このリスさん。
カワイイ。

館蔵品展「絵師がいっぱい お江戸の御用絵師と民間画工」は5月18日まで。
善は急げ!板橋区立美術館へgo!!


関連イベント:「日本美術講演会」午後2時より約90分。
5月3日(土)「鈴木春信」
小林 忠(学習院大学教授)

5月5日(月・祝)「彦根屏風と狩野長信」
黒田泰三(出光美術館学芸課長)

5月10日(土)「室町水墨画の東と西〜関東水墨画をめぐって〜」
相澤正彦(成城大学教授)

5月17日(土)「18世紀の京都画壇」
佐藤康宏(東京大学大学院教授)

う〜ん、佐藤氏聴きたいけど…仕事だ、、、


【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | 「戸方庵井上コレクション名品展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「ミッフィー展」
- 弐代目・青い日記帳 | 別冊太陽『江戸絵画入門 驚くべき奇才たちの時代』

それでは最後に「今日の美味


CENTO ANNI GINZA(チェント アンニ ギンザ)」の「アクアパッツァ
スペインでムール貝を嫌というほど出されてそれ以降口にしていなかったのですが、これは美味しかったです。味付けがくどくなくて。

おまけ
京都まで行けそうにないので。。。安村氏監修によるこちらの本でも。



この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1369

JUGEMテーマ:アート・デザイン


 江戸時代、江戸では徳川幕府の御用絵師である狩野派や住吉派の画家たちや、民間の画工である浮世絵師など、さまざまな流派の画工たちが活躍し、絵画の注文のために日々筆をふるっていました。やがて武家・町人の階層を越えた交流がはじまり、様々な流派の画工たちが刺激を受けあうことによって多くの名作が生み出され、大江戸画壇は活気に充ちていきました。

 今回は館蔵品によって、こうした官民両画工の多様な姿を展示いたします。また、お座敷コーナーでは屏風を露出展示し、作品を直にご覧いただきます。お江戸の絵師たちの息遣いをご体感ください。


展覧会 | permalink | comments(14) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

記事を読んで板橋区立美術館に行きたくなりました。
お座敷コーナーも魅力的ですが、それぞれに
現代タイトルがついているっていうのが面白いですね。
ぜひ連休中に足を運ぼうと思います。
一日一人 | 2008/04/28 12:17 AM
これはinvitingですね。記事も写真撮影も講演も。
とら | 2008/04/28 8:42 AM
おぉ!
板橋美術館、素晴らしいですね〜
写真OKなんて!
しかも展示に個性があるんですね☆
行ってみたくなりました。
サッチャン | 2008/04/28 9:52 AM
@一日一人さん
こんにちは。

行きたくなりますでしょ。
実際はもっともっと感激します。
予定を急遽変更し伺ったのですが
大正解でした。

@とらさん
こんにちは。

お手本のような美術館です。
随所に笑いも散りばめられていますし。

@サッチャンさん
こんにちは。

うちからだと外環使うと
意外とすんなり行けるんです。ここ。
東京大仏が近くにあったりと
半日はゆっくりこの辺で過ごせるかと。
お時間あれば是非。
Tak管理人 | 2008/04/28 12:20 PM
こんにちは。
行きたくなりました!
座布団に腰を下ろして屏風鑑賞が素敵です。
これでお茶菓子のオプションがあれば完璧ですね。

講演会も面白そうです。
連休中に行くか、17日に行くか。
そこが迷いどころ。。。
mizdesign | 2008/04/28 1:22 PM
 板橋区立美術館ゆえの魅力的な展覧会
館長の魅力も加わり、美術館まるごと美味しそう♪
ここは江戸と絵本と毎回おいしい企画満載で好きです。
 様々な流派が登場 江戸の賑わいが聞こえそう。
暁斎が 浮世絵+狩野派+土佐派 やがて戯画スタイルを
生み出したように、展覧会の絵同士が賑やかにお喋り
しそうですね。
 行かなくっちゃ♪
panda | 2008/04/28 6:05 PM
こんばんは
ここは今のところ、わたしにとっては一度もハズレなしのいい美術館なんですが、いかんせん遠すぎまして。
駅から現地までナゼか誰にも会わないことが多々あるんで、行く根性がないんです〜
それにしてもいい内容ですね。
そしてTakさんのカメラワーク、素敵です。

>展示場で撮った写真が複製されて、何かに使われたとしても、その作品が広く周知されるということだから、宣伝になるではないか

唸りました。えらい、えらすぎる。
現にTakさんの撮られた写真、めっちゃエエ広告だと思います。
そういえば暁斎の妖怪引き幕、ここで最初に見たのでした。
遊行七恵 | 2008/04/28 9:13 PM
はじめまして!
KINさんのところから伺って、よく拝見させていただいてました。
これを読んで行く気が湧いてきました。
写真撮影歓迎ってすごいですね。丸亀の猪熊弦一郎現代美術館の常設は撮影OKで、うれしくて館内の様子をバシバシ撮った記憶がよみがえりました。それに、先日友人が行って、見たことのない絵の写真をたくさん見せてくれて“また行きたいなぁ”と思いましたもの。
長々と失礼しました。
またよらせてもらいます。
内容の充実ぶりに驚かされ、参考にさせてもらってます。
marco | 2008/04/28 10:49 PM
こんにちは。
いいですよね〜板橋区立美術館。もっと近くにあったなら・・・と思います。
3〜4年前のこの時期、やはりお座敷があって、娘とくつろいできました。
休日は子ども関連のヤボ用が多くて、美術館自体なかなか足を運べないわたしです。
tsukinoha | 2008/04/29 6:23 AM
@mizdesignさん
こんにちは。

行きたくなったでしょ!
大きなキャプションも健在ですし。

確かに座布団に座って
お茶でも飲みながら鑑賞もしたいですね。
贅沢だ〜

@pandaさん
こんにちは。

絵本と江戸ものの企画展は既に定着していますよね。
テーマを絞って大型巡回展に翻弄されることなく
着実に企画展示を続けていく姿好感が持てます。

ちょっと不便な場所にあるのでなかなか
お邪魔することできませんが、
行けば必ず「何か」ある。そんな美術館です。

@遊行七恵さん
こんにちは。

電車利用だと行き方が面倒なので
毎回車で行ってしまいます。
外環道が空いていると一時間かからずに着くので。

暁斎の引き幕ってここで展示されたこと
あるのですか!やるな〜
行けなかった展覧会に「お宝」たくさん埋まっているようです。

連休後半は少しでもお客さん増えるといいですね。
折角の展示なのにもったいないです。

@marcoさん
こんにちは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

丸亀では自分も随分と撮影してきました。
特に「建物」を中心に。
撮ってなにするわけではないのですが
撮れるとなると無性にパチパチ撮りたくなります。
普段抑圧されているから?!

丁度、八重桜がきれいに咲いていました。
都会でありながら自然にも恵まれた美術館です。

今後とも宜しくお願い致します。

@tsukinohaさん
こんにちは。

好評のお座敷コーナーと書かれてありました。
いいですよね、自分は初体験でしたが
真中にどかんと腰かけて(できれば寝そべりたかった)
屏風絵に魅入ってきました。
お子様と行っても飽きさせることない美術館ですよね。
Tak管理人 | 2008/04/29 8:27 AM
はじめまして!
ポコと申します。
いつもこちらのブログを楽しく拝見しております。

遅ればせながら、こちらの記事を拝読し、
昨日板橋区立美術館に行って参りました。
Tak様のおっしゃるとおり、正に一見の価値がある展示でしたね。

事前に館長さんの本を拝読したこともあり、
とても楽しい時間を過ごせました。
横浜からはるばる行った甲斐がありました。

ご紹介頂きありがとうございました!
ポコ | 2008/05/04 2:21 PM
@ポコさん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

自分が良かった!と思ったものですから。
筆も進みました快調に。

私は千葉に住んでいますが
やはりはるばる行く価値のある美術館だと思います。

当たり外れ個人差ありますが
少なくともこの展覧会は
そのブレがかなり少ないのではと思います。

今後とも宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2008/05/05 12:20 AM
こんばんは。板橋の取り組みはいつもながら本当に素晴らしいですよね。もちろん他の美術館でも全てが出来るわけではありませんが、それこそ爪のあかでも煎じて飲んで欲しいと思ってしまう所もたくさんあります。(以下自粛…。)

17日、まだ未定ですが、出来れば聞いてくるつもりです。若冲のお話などがたくさん出ると嬉しいですね。

はろるど | 2008/05/10 11:48 PM
@はろるどさん
こんばんは。

17日は仕事が終わりそうになく完全にアウトです。
頼みます!もし行かれるようでしたら。

そうそう、すべてここと同じことやれなんて
大仰なこと言いませんがせめて…ということは
沢山ありますね。
Tak管理人 | 2008/05/11 10:11 PM
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