青い日記帳 

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「屋上庭園」

東京都現代美術館で明日から開催される
「屋上庭園」のプレスツアーに参加して来ました。

:写真撮影、掲載許可を得ています。



都内は連休中とあって車の量が少なく思っていたよりもかなり早く美術館に到着。時間を潰す場所もないのでとりあえず館内へ。丁度、プレスツアーの真っ最中。参加しても構わないと機転の利く対応。何度でも引き合いに出すけど両国の博物館とはえらい違い。

同じく明日から開催される「大岩オスカール」展の解説を大岩オスカールさんご自身がなされていました。最後の方しか伺えませんでしたが、それはまた後日。

引き続き「屋上庭園」プレスツアー。企画展示室3階を使っての展示。
セクションは全部で10.

まず、エスカレーターで三階まであがると目の前にはメルヘンチックな「入口」が。ここがセクション1「グロテスクの庭」とは、はていかに?

ここで用いられている「グロテスク」は不気味で奇怪な意味ではなく、古代ローマ時代に描かれた壁画からの語源に近い「装飾壁画」の意。

部屋の黒い壁すべてに白いペンで様々な文様が描かれています。
手がけたのはニコラ・ビュフ氏.(フランス出身。日本に2年以上お住まいとか)


そのニコラ・ビュフ氏ご自身が「作品」解説をして下さいました。
背面の作品は「黄金時代」。部屋を取り囲む壁それぞれにテーマが設定されているそうです。中には風神・雷神の姿や「ドスッ」といった擬音語まで書き入れられています。グロテスクという言葉とは裏腹なウキウキする楽しい気分にさせられます。(でも描いてあるもの見ると決してそんなに単純ではないのですけどね)

セクション2は「庭を見つめる
たまたま先日足利市で観てきた大正から昭和にかけて活躍した画家河野道勢の作品を中心とした展示。河野道勢ちょいとブレイクな予感。

セクション3「掌中の庭」東京都現代美術館が所蔵する版画誌(版画同人誌)を紹介するコーナー.明治から昭和にかけて浮世絵とは違った版画の道を進んだ作家たちの試行錯誤を垣間見ることできます。

ガラスケースに入っていますが、主要な版画誌はカラーコピーされ実際に手にとって拝見できるように工夫されています。親切だ〜

版画同人誌が大切な庭のように手をかけ手間をかけ作られたという比喩的な意味を込めこのセクションを設けたそうです。担当された関直子学芸員さんの展覧会に対する細やかな心遣いが見え隠れします。

続いて「夏の庭

牧野虎雄の作品が紹介されています。
「白を多用した作家さんです」との解説に言われて初めて気が付きました。

セクション4、5は「夜の庭」「閉じられた庭」と展開。シュルレアリスムに影響を受けた作品や、アンリ・マティスの「シャルル・ドルレアン詩集」「ロンサール恋愛詞華集」などが紹介されています。葉っぱが見どころかな。

次の「閉じられた庭」には版画家、中林忠良氏の作品を数多く展示。
中林氏自ら解説して下さいました。


Transposition-転位-」は腐食銅版画を実験的に試みた意欲作だそうです。銅板を腐食させるその過程を作品としておさめていく手法。思いもよらぬ「形」が現れてくるそうです。それは自然界にみられる「形」と同じだとか。

しがらくモノトーンの世界が続きます。

次のセクション8「記憶の中の庭」は唯一のビデオ作品。
ブノワ・ブロワザ氏による作品は真っ白な色の抜け落ちた「The World of GOLDEN EGGS」の世界のよう。尤もお騒がせな登場人物は誰一人として登場しませんが。。。

白黒の世界から一転、展示室のコーナーを曲がるとお待ちかねの内海聖史氏による「三千世界」が目の前に広がります。「キター」と叫ぶこと必至。

こちらでも書きましたが、本当にこのチラシ良くできています。
こんな気持ちのいい清々しい気分にさせてくれるチラシも珍しいかと。

内海さんの作品はもう一点巨大な作品「色彩の下」が用意されています。資生堂ギャラリーの二倍の横幅を持つこの作品。巨大な現代美術館の展示スペースををも凌駕しそうな圧倒的スケールの作品。でも近くに寄って観ると実は大変繊細でナイーブな作業の集積によって出来上がったものだとわかります。

8ヵ月を完成に要したという内海さんのお話も納得。

シャイな内海さんに作品の前に立ってもらいポーズ?を。

美術館の照明でオレンジ色がかってしまっていますが、実際の壁は真白。それに880個の「色彩」が規則正しく配置されています。次の展示室に続く通路の上のスペースにも作品がずらりと。「作品の下を通れるっていいでしょ!」と無邪気にお話して下さる内海さん。

そんな内海さんお勧めの鑑賞法は「斜め」に見上げることだそうです。試してみて下さい。正面から見るのとはまた違った「世界」が現れます。

内海聖史氏のブログ「色彩の下

↓因みにこちらは現在森美術館で展示中のダミアン・ハーストの作品。
美術手帖 2008年 04月号 [雑誌]美術手帖 2008年 04月号 [雑誌]

最後のセクションは気がつかないでそのまま出口へ足早に向かって行かれる方もいらっしゃいました。狙い通り?須田悦弘氏の「ガーベラ」がひっそり一輪置かれています。

「起承転結」または「序破急」が完璧な展覧会。
グロテスク文様から流れるように鑑賞し最後の内海さん&須田さんで見事フィニッシュ。「承」の部分が流過ぎるんじゃないとの意見もありましたが、その分、「転結」が映えているのでよろしいのではと。

「作品を作ることは、庭を作ることとパラレルな関係にあるのでは」とお考えになり直接的にまたは比喩的に様々な「庭」のイメージを最上階の展示スペースで見せてくれている好企画。

時代的には100年ほどの間しかない作家たちの普段観られない隠れた所蔵作品を中心に構成された点も素晴らしいかと。担当された関直子学芸員さんのきらりと光るセンスが随所に観ることできます。

お金をかけた「SPACE FOR YOUR FUTURE展」より、優れた企画展です。

「屋上庭園 Roof Gardens」は7月6日までです。

同時開催大岩オスカール:夢みる世界展


明日、関連イベント開催されます。
〔大岩オスカール×山下裕二 トークイベント〕
4月29日(火・祝)15:00〜

最後に「今日の一枚


自然光が差し込む三階展示室。タイトル「屋上庭園」もここから由来。
出来れば晴れた日に自然光の下で。特に内海さんの作品は!


【関連エントリー】
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- 弐代目・青い日記帳 | 「SPACE FOR YOUR FUTURE展」

おまけ

岡本太郎「明日の神話」が公開延長となり2008年6月29日(日)まで常設展示室で観ることできます。騒がしい渋谷に引っ越す前に是非(写真撮影okです)

特別公開:岡本太郎「明日の神話」

それでは最後に「今日の美味


レセプションで振る舞われたワイン。
車で行ったので一滴も飲めませんでした。。。悲しい。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1370

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見どころ

 ̄れたモダンのコレクション
東京都現代美術館は、1926年に上野公園に開館した東京府美術館(後に東京都美術館に改称)が収集した美術作品のコレクションと図書資料を受け継いでいます。それゆえ収蔵作品の制作年代は、一世紀以上の広がりをもちますが、戦後美術の紹介を核とするため公開の機会の少ない貴重な作品群があります。本展では、大正期の細密描写を代表する河野通勢による素描、植物の繁茂する夏の庭を描き続けた牧野虎雄の油彩コレクション、昭和前期のシュルレアリスムの作品、近代版画の揺籃期に詩想をはこぶメディアとしても重量な役割を果たした創作版画心のコレクション(美術館図書館蔵)、そして膨大な日本人の動画軍版の中核を中林忠良による腐食銅版画など、当該主題をめぐる作品をまとまったかたちでご紹介します。

∈Fの視点で「庭園」を捉える
更にニコラ・ビュフのグロテスク模様のウォール・ドローイングやブノワ・ブロワザの映像、須田悦弘の木彫の花や、内海聖史の油彩など、近年の庭をめぐる作品を通して、モダンからコンテンポラリーまでを包含する美術館ならではの、本主題を歴史的に展望する機会となるでしょう。
展覧会 | permalink | comments(12) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

「大岩オスカール展」は行くつもりだったのですが、「屋上庭園」は全くノーチェックでした。
素敵な展覧会ですね!
ぜひ観てみようと思います。
えりり | 2008/04/29 5:17 AM
行きます。行きます。
ここは 家から歩いて5分なので
必ず 観てまいります。(ウチは 深川なんですよ。)

わたくしも 両国の博物館 好きではありません。


真珠 | 2008/04/29 7:20 AM
@えりりさん
こんにちは。

オスカール展もこの展覧会も
どちらも素直に作品に接することができる
良い展覧会だと思いました。
是非!!

@真珠さん
こんにちは。

深川ですか!
ちょっと(かなり)イメージと違うような…
コーディネートした学芸員さんのセンスが光ります。

>わたくしも 両国の博物館 好きではありません。
握手!!
Tak管理人 | 2008/04/29 8:34 AM
えっと、「屋上庭園」
私、ガーデニングなのかと思っていました。

写真OKっていいですよね☆
やっぱり分かりやすいですよ〜

あ、この白ワイン、冷えててそそられますね〜
これを見るだけだと辛いですね…
サッチャン | 2008/04/29 11:32 PM
屋上庭園早く行きたいです!
須田さんも好きだし、今回はなんといっても自分の個人蔵作品がMOTに飾られてるなんて、ちょっとドキドキです。
しかし、880枚の中から自分のを探し出せるか・・・

先日、水戸芸の宮島達男を見てきたので、常設の「それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く」が見るのも楽しみです。
あれ、何度行ってもあきないんですよね。設置されたイスに座って、いつもボーっとしてしまいます。
かっきー | 2008/04/30 10:12 AM
@サッチャンさん
こんばんは。

確かにタイトルだけだと
そう思ってしまいますよね。

お庭に見立てての企画展です。
アプローチも多彩なので楽しめます。

ワイン飲みたかったな〜
でもいつも車なんでなかなか。。。

@かっきーさん
こんばんは。

須田さんは最後の部屋にぽつりと展示してあり
いつものように気付く人だけ観ればいいって感じでした。
須田さんと会場で初めてお会いしお話できました。
大変穏やかな方でした。

内海さんの作品はもう言葉が出ません。
圧倒的です。

水戸芸行けるかな〜
次もまた気になるしなーー
Tak管理人 | 2008/04/30 10:36 PM
あの中では「天空にひろがる庭」がダントツでした。あとはお好みですね。TBします。
とら | 2008/05/01 7:29 AM
@とらさん
こんばんは。

内海さんのために設定された展覧会と言っても
過言ではないですよね。ぱっと花開いたようでした。
Tak管理人 | 2008/05/01 11:48 PM
Takさん
こんばんは

期待にたがわない展示でした。
うちの白い壁もかざってみたいなぁ...
lysander | 2008/05/07 1:00 AM
@lysanderさん
こんばんは。

レンタルしますよ。
縦横90cmのスペースを
確保しておいてください。
Tak管理人 | 2008/05/08 9:51 PM
http://hiyoko.tv/blog/art/eid111.html
遅ればせながらようやくアップです。
(うちはTBできない仕様なのでごめんなさい)
都会のオアシス的な清々しい展覧会でしたね。
このブログを見ていて本当によかったです。
ありがとうございました。
ひよこ | 2008/07/11 2:17 PM
@ひよこさん
こんばんは。

記事拝読しました!
なんだか随分と拙ブログについて
ご紹介して下さり、大変恐縮です。
ありがとうございました!!

内海さんのブログに撤収作業の様子が
アップされています。
三千世界またどこかで体験したいです。
Tak管理人 | 2008/07/12 9:46 PM
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屋上庭園 @東京都現代美術館 | Art & Bell by Tora | 2008/05/01 7:24 AM
この展覧会のタイトルは素敵だなぁ...屋上庭園。10個の庭からなる 本展の、私の好きな庭を紹介しておきます... □掌中の庭 版画雑誌のコーナー。何冊かの雑誌の復刻版を手に取ることができ ます。『版画』という雑誌の『展覧会の会場研究』というコーナー。 岸田劉生の
屋上庭園 (東京都現代美術館) | 徒然と(美術と本と映画好き...) | 2008/05/07 1:01 AM
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