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「蜀山人 大田南畝」展

太田記念美術館で開催中の
「蜀山人 大田南畝−大江戸マルチ文化人交遊録−」展に行って来ました。



大田南畝(おおたなんぽ)初の展覧会が開催されています。

南畝(1749〜1823)は、表の仕事は騎乗を許されない下級武士(御徒)。そして裏の顔は…別号、蜀山人(しょくさんじん)。狂歌師としては四方赤良(よものあから)。狂詩を作る際には寝惚先生(ねぼけせんせい)などと数多くの別名を持つ江戸時代のマルチな人物。

さしずめ現代ではいくつものハンドルネームを使い分け、複数のブログやサイトを運営している時代の寵児のような人物。

当然、そんな江戸時代の人気者、大田南畝の人脈は幅広く多岐に渡っています。今の時代にいたらマイミクどれくらいだろう?

ざっと「マイミク」列挙しただけでもこの錚々たる顔ぶれ。
・浮世絵師
鈴木春信
窪俊満
北尾政演(山東京伝)
北尾政美
喜多川歌麿
鳥文斉栄之
北斎

・戯作者
平賀源内
山東京伝(北尾政演)
恋川春町
式亭三馬
朋城堂喜三二

・狂言師
唐衣橘州
鹿都部真顔
朱楽菅江
智恵内子
宿屋飯盛
元木網
平秩東作



・文人画家
谷文晁
酒井抱一
鍬形澪悄碧免政美)

・詩人
大窪詩仏
菊池五山

・儒学者
亀田鵬斎
菊池衡岳

・歌舞伎役者
五代目市川団十郎

・大名
増山雪斎
恐るべき人脈ネットワーク。。。

こちらは勝川春章の肉筆画浮世絵
遊女と燕図
上部に文字()が書かれていますが、これを記したのが大田南畝その人。
南畝の賛は当時から人気が高く、ニセモノも生前から出回っていたほどだそうです。浮世絵界における当時の大田南畝のポジションをうかがい知ることできます。


喜多川歌麿「三保の松原道中
こちらの浮世絵にも大田南畝が賛を寄せています。

今まで浮世絵は数多観てきましたが、賛を書いたのが誰かとはほとんど気にすることありませんでした。これでまた見方がひとつ増えたことになります。

こちらは前期(5月25日まで)展示される貴重な一品。

葛飾北斎「富嶽図」/大田南畝・賛
浮世絵界のスーパースター北斎と人気者南畝の共同製作した扇。
「夢のコラボ実現」なんて仰々しい掛け声だけのコラボレーション花盛りの今の世の中では、これだけの人気者同士のコラボ作品はまず考えられません。

また南畝は浮世絵評論家・研究家でもあり『浮世絵類考』を著しています。
31人の浮世絵師を端的に評価。一筆斎文調や磯田湖龍斎の評価がかなり低かったのには驚きました。それと写楽も。鈴木春信や北尾重政などは逆に高評価。

地下の展示室(浮世絵研究家・大田南畝)では実際に展示されている作品の脇に南畝の評価が書き添えてあります。

浮世絵が中心ではありますが、狂歌、漢詩、平賀源内が序文を寄せている『寝惚先生文集』鈴木春信が挿絵を書いている『売飴土平伝』また文壇の寵児でもあった南畝の執筆した本(長崎奉行所を訪れた際に記した風景と漢詩が載せてある『崎鎮八絶』)なども数多く紹介されている、まさにマルチな展覧会。

それらに加えて…
松に鶴亀図
鶴を酒井抱一、松を鈴木其一、亀を春木南湖がそれぞれ担当し描いた作品。
大田南畝(蜀山人)をめぐる文人たちの残した作品も併せて展示されています。

これだけ交友関係が広いと本業である武士としての仕事が疎かになってしまわないかと、お節介ながら考えてしまいますが、スーパースターに対しそれは全くの杞憂でした。

75歳で亡くなるのですが、何と70歳を過ぎてからも仕事をしていたそうです。御徒という下級武士でありながら真面目で勤実な態度が評価されたのか、後に支配勘定まで出世もしています。


石崎融思「大田南畝肖像

そしてお勤めが終わればそれこそ引く手あまたの人気者。
「仕事がで出来る人は遊びも出来る」とよく言いいます。
まさにその言葉は江戸時代マルチ文化人・大田南畝を指し示しています。

こんな「お手本」のような人物が江戸時代に居たなんて!!
勝手ながら師匠と呼ばせて頂きます。今後。

連休ボケの頭も一気に刷新され、また明日から仕事に精を出すこと出来そうです。きちんと仕事やってこそ「遊び」が充実し楽しめるもんですよね、寝惚先生!

「蜀山人 大田南畝−大江戸マルチ文化人交遊録−」展は6月26日までです。

最後に「今日の一枚


歌川広重「東都名所坂つくしの内 牛込神楽坂之図
南畝が生まれ育ったのがこの辺りだそうです。
坂の向こうには「職場」である江戸城が見えますね。


蜀山人 狂歌ばなし―江戸のギャグパロディーの発信源
蜀山人 狂歌ばなし―江戸のギャグパロディーの発信源
春風亭 栄枝

それでは最後に「今日の美味


原宿のクレープ最初のお店 カフェ・クレープの「クレープ
何十年かぶりに原宿でクレープ食べました。若者に交じって。。。

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 蜀山人(しょくさんじん)の名前でも知られる大田南畝(おおたなんぽ)は、江戸時代中・後期、下級武士でありながら、狂歌師や戯作者、また学者としても人気を博したマルチな文化人です。この南畝を中心にして、武士や町人たちの身分を越えた交流が生まれ、さまざまな絵画や文芸が花開きました。
 江戸時代研究者の中では非常に重要な存在として考えられている大田南畝ですが、これまでまとまった形での展覧会は開催されておらず、また、現代の私たちにとってすっかり馴染みの薄い人物になってしまいました。
 本展では、大田南畝の活動を軸にしながら、武士や町人たちの身分を越えた交流関係、さらにはそこから生まれた絵画や文芸などを紹介し、江戸の庶民文化が持つ多彩な世界を改めて見直します。
展覧会 | permalink | comments(6) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

こんにちは。
今日はとても暑くなりましたねぇ。
教養溢れる遊びができる人達のサロンに、
もの凄く嫉妬に近い憧れを持ちました。

近くにこんなに真面目で面白いおじさんが居たら、
現代の男子達も毎日楽しく過ごせる
ヒントを頂けるでしょうにね。
私も師匠と呼びたくなりました。
憧れます!
あべまつ | 2008/05/07 5:31 PM
@あべまつさん
こんばんは。

まだ五月というのに既に
夏日を観測したようですね、
地震もあってなんだか落ち着きません。

ネットも携帯もなかった時代に
これだけの人脈を形成し
機能させえたのは驚嘆します。

見習うべき点多すぎです。
Tak管理人 | 2008/05/08 9:57 PM
おはようございます。

この記事を拝見して大田南畝について興味が湧き、
図書館で調べに行きました。

70歳過ぎても現役の武士として働き、
当時の一流の役者が挨拶に来るなんて、
人生の最後の最後まで華麗に活躍していた人なのですね。

人生のモデルをまた一つ見つけた気がします。
ご紹介いただき有難うございました!

ポコ | 2008/05/13 5:09 AM
@ポコさん
こんばんは。

勉強熱心ですね。
素晴らしいです。
その行動力。

昼しっかり働くからこそ
夜楽しく遊べる。
制限あってこその自由。

どうもこの辺を今の人たち
すっかり忘れてしまっているようですね。
Tak管理人 | 2008/05/13 11:18 PM
こんばんは。早速のTBをありがとうございました。
こうしてマイミクさんを挙げられると本当に壮観ですね。
今までバラバラだった絵師や劇作者が皆繋がっていくようで面白かったです。

もっと評価されるべき方だなと思いました。
今回の太田は当たりです。
はろるど | 2008/06/27 10:56 PM
@はろるどさん
こんばんは。

先日、浅間鬼押し出しに行った際に
大田の碑が立っていて驚きました。

仕事をしっかりやるからこそ
遊びが生きてくるわけですよね。
耳が痛いです。。。
ふ〜
Tak管理人 | 2008/06/27 11:03 PM
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