青い日記帳 

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案に違わず「黒猫」発見

ひろしま美術館所蔵、フィンセント・ファン・ゴッホ作「ドービニーの庭」1980年



かねてより、この絵の左手前下に「クロネコ」が描かれていたと考えられていましたが、去る6月15日にひろしま美術館で一般にも公開され最新技術の「RI蛍光X線非破壊分析法」(どういったものかはよく分かりません)等を用い、吉備国際大の下山進教授らの協力の元調査を行ったそうです。

ここの黒丸の部分↑に加筆されたような痕跡があります。

ひろしま美術館所蔵 ゴッホ作「ドービニーの庭」の調査を行います。
(2008年06月12日)吉備国際大学サイト内ページ↑

ひろしま美術館へは過去二回ほど伺い、この絵を間近に観たことがあります。
また、2005年に東京国立近代美術館で開催された「ゴッホ展」では、展覧会の大きな目玉作品のひとつとして堂々と展示されていたこと鮮明に覚えています。

そしていずれの場所でも「黒猫」が描かれていたが後世誰かの手により塗りつぶされたと説明を受けたので、すっかりそれが真実だと思い込んでいました。

ところが、今日の朝日の記事には「美術愛好家の間では1920年代から、猫はいたがゴッホまたは第三者が塗りつぶしたという説と、最初から猫はいなかったという説との論争がある。」とあり、また中国新聞(6/10)には,ひろしま美術館が「90年に行ったX線調査では、ネコは見つからなかった。」との記事が。

「クロネコは元々描かれていなかった」説もあること今回初めて知りました。

因みに同じ年(1890年)に描かれたスイス、バーゼル美術館所蔵の同じタイトルのこちらの作品にはしっかりと「黒猫」が描かれています。


これが黒猫なのかも問題。。。

ぱっと見ネコに見えるかな〜

因みにバーゼル美術館所蔵の「ドービニーの庭」にはゴッホのサインがタイトルと共にありますが、ひろしま美術館のそれには何も記されていません。


「ドービニー夫人に贈るつもりで描かれ、事実、ゴッホの死後に遺贈されました。個人的な贈り物だったから、サインがないのかもしれません。」(古谷可由学芸員)
(「日経おとなのOFF 2006.11号)

サインの有無は「黒猫」の謎よりも厄介そうなので、素人は手を出さないようにし、クロネコ問題へ話題を戻しましょう。

15日に行われた調査の結果によると…ひろしま美術館所蔵の作品は「クロ」いや「シロ」と判断が下されたようです。要は「加筆部分にスイスの作品で黒猫を描くのに使われたとみられる青色の絵の具の主要成分を確認した。」(毎日新聞)

黒猫の尻尾の部分を拡大

朝日新聞だと判断はまだ先延ばし的な表現「問題の部分に青色絵の具の成分となる鉄の元素が含まれていた。下山教授は「猫が描かれていたかどうか断定するため、詳細に分析を進める」と話した。結果は10月4日に始まる同美術館の展覧会で発表する予定。」

はっきりと白黒つくのはもう少し先。今秋の特別展「まるごとひろしま美術館展供廚涼罎罵縦蠅靴討い襦嶌L世されるゴッホ《ドービニーの庭》の謎」(仮称)までお預け。

尚、日本のゴッホ研究の第一人者である大阪大学文学部教授の圀府寺司氏は、ひろしま美術館の作品は死後にゴーギャンの友人でもあるエミール・シェフネッケルが加筆(黒猫を塗りつぶした)可能性が高いと公言。

こちらの本の72,73ページにその詳細が書かれてます。
もっと知りたいゴッホ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
「もっと知りたいゴッホ―生涯と作品」  圀府寺 司


圀府寺先生曰く「1900年のオークションカタログに掲載された写真には黒猫がはっきり見えるので、これ以降塗りつぶされたことになる。」

【参照】以下リンク先に詳細な来歴とオークションの写真あります。
日蘭学会会誌第22 巻第2 号(通巻44 号)抜刷 1998 年3 月25 日
ファン・ゴッホ作<ドービ二一の庭>─その来歴と関連資料─ (PDF)
圀府寺 司

この作品が広島銀行(ひろしま美術館)のものとなる経緯も色々と複雑。。。

かれこれ10年以上前にひろしま美術館を訪れた際に購入した収蔵品図録西洋編の表紙は、この「ドービニーの庭」が大きく飾っています。

↑丁度本の「背」にあたる部分に黒猫が塗りつぶされた部分が来ているのは偶然?

この黒猫と喪服の女が描かれた作品を描いて間もなく
ゴッホは37歳の短い生涯を終えました。1890年7月27日.

おまけ:ニューヨーク近代美術館(MoMA)でゴッホの特別展開催するそうです。

Van Gogh and the Colors of the Night

Museum of Modern Art New York
21 September 2008-5 January 2009


The Van Gogh Museum and The Museum of Modern Art (MoMA) will collaborate for the exhibition Van Gogh and the colors of the night. It's the first time that these museums work together

追記:2008/10/4(読売新聞)
ゴッホの黒猫、広島にもいた!…ひろしま美術館が確認
 オランダ生まれの画家、ゴッホ(1853〜90)の名画「ドービニーの庭」を所蔵する、ひろしま美術館(広島市中区)は3日、X線調査の結果、絵の具で塗りつぶされた下に、スイス・バーゼル美術館にあるほぼ同じ構図の作品同様、猫が描かれているのを確認したと発表した。

 作品は、ゴッホが自殺する直前に描いた。スイスの作品には左下に黒猫があるが、広島のものにはなく、美術愛好家からは「自殺を決意したゴッホが『厄介な存在は消える』との意味を込めて描かなかった」との推論も出ていた。

 ひろしま美術館は、絵の具の成分から、第三者が塗りつぶした可能性が強いとしている。古谷可由・主任学芸員は「猫がいないこととゴッホの自殺を結びつける意見は論理が飛躍していたと思う。ゴッホはまだ絵を描く意欲は失っていなかっただろう」と話す。


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この記事に対するコメント

今年のゴールデンウィーク、またしてもボストンとニューヨークでゴッホさんをたくさん見てしまいました。

ゴッホさんの絵は疲れます。
彼の生涯とあの絵のタッチと重なるからでしょうか。
でもどうしても彼の絵に目が行ってしまいます。
初めてアメリカでゴッホさんをたくさん見たとき泣いてしまいました。

黒猫問題はとてもとてもややこしいことかもしれません。
gakko | 2008/06/17 1:10 AM
ゴッホの話なら自分も。
逆に僕は、この話を猫はいないという
立場の人の本で知りました。
小林英樹『ゴッホの遺言』情報センター出版局,1999年

上記の件で疑問点がいくつか。
1.スイスのネコと同じ絵の具があったとしても、
それはネコなのか?
2.ネコだとしたら、完全にネコに見えるもの
を描ききったのか、それとも、
ネコを描きかけて途中で変更したのか?

>「1900年のオークションカタログに掲載された写真

『ゴッホの遺言』によると、1900年前までに、
ネコがいたという説に対し、当時の写真はないと
あるのですが、1999年以後に発見されたのでしょうか?
Jun | 2008/06/17 3:03 AM
@gakkoさん
こんばんは。

海外でヘトヘトになって疲れている時でも
ゴッホの絵だけはそれとすぐ分りますよね。

命賭して描いているので
見る側も体力が要ります。
心が弱っていると持っていかれそうです。
部屋に飾る絵でないことだけは確か。

黒猫がクロネコに見えません。。。

@Junさん
こんばんは。

小林氏のその本も拝読しましたが
圀府寺先生の説に比べ脆弱な点が
多くあるので自分は黒猫が描かれていたと
思っています。最初からそう思い込まされていたので…

【参照】以下リンク先に詳細な来歴とオークションの写真あります。
日蘭学会会誌第22 巻第2 号(通巻44 号)抜刷 1998 年3 月25 日
ファン・ゴッホ作<ドービ二一の庭>─その来歴と関連資料─ (PDF)
圀府寺 司

本文中にリンク貼っておきました。
Tak管理人 | 2008/06/17 5:49 PM
>「もっと知りたいゴッホ―生涯と作品」  圀府寺 司

ネットで発注しました。
Jun | 2008/06/17 10:17 PM
黒猫、と言われれば、そう見えるけど…
考えると肩に力が入っちゃう。
絵を見るのも体力がいるんですね〜
サッチャン | 2008/06/18 9:47 AM
@Junさん
こんばんは。

このシリーズ、特に最近出たものは
まず外れがありません。買いです!

@サッチャンさん
こんばんは。

言われれば確かに見えるけど…
黒猫以外にも見えますよね。
真剣に真面目に絵と対峙すると
結構「体力」消費するものです。
Tak管理人 | 2008/06/18 11:50 PM
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