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「小袖 江戸のオートクチュール」展

サントリー美術館で開催中の
初公開!松坂屋京都染織参考館の名品「小袖 江戸のオートクチュール」展に行って来ました。



六本木に移ってからの「サントリー美術館無敗神話」(ここで開催される展覧会はハズレなし)も今回の「小袖」展でお終いかと正直思っていました。

ところが、ところがです。
これがまた素晴らしい展覧会!

「ただ古い着物が飾ってあるだけでしょ?」と言うこと勿れ。
しっかりアートしてます。


流水に菊模様小袖

ドットが強烈な印象を与える、リキテンシュタインの作品のような「流水」応挙や若冲、蕭白らと同じDNAを持つ波は雄々しく「画面」ならぬ生地全体をうねるように蛇行していますが、それに負けないばかりか逆に波模様を逆手に取り存在感を現している菊の花々。

はじめは派手な波模様に目がいきますが、全体を見渡すとここの主役はやはり、菊花たち。江戸時代の女性たちの気強さのようなものが感じられます。


紅葉に舞楽模様振袖

今回展示されていた着物の中でもかなり「余白」を生かしている一枚。
背中から腰にかけて何も意匠ない分、裾にちょこっとだけ施されています。舞楽の舞台に大太鼓、それに左側には「胡蝶」の舞が描かれています。

それにしても大胆なデザインです。この背中部分の「余白」によって背後からこの着物を纏った人を見た時、すらりとした背が高くスマートな印象を街ゆく人に与えたことでしょう。特にすれ違った時に振り向いて見た時は効果抜群だったはずです。

江戸時代の着物ですから、虫喰いがあったり、所々解れていたり、切付(アップリケ)が取れかかっていたりとマイナス面多々あるのですが、それを補うに十分の素晴らしい照明技術によって、まるで今作り上げられた着物のような生き生きとした印象を観る者に与えてくれます。

当然ながら、東京国立博物館の木下史青氏もこの展覧会をご覧になり、感心されるとともに驚いたと仰っています。曰く「照明の勝利」と。


西川ひな形」享保3年 1718

また、小袖など着物のデザイン画である、「雛形本」(現在のファッション雑誌のようなもの)も展示されています。刊行された年代にそって年表と共に展示されているので、当時どのような意匠が好まれたのかその推移を追うこともできます。衣装デザインなどの勉強をされている方など絶対に観に行くべきです。素人でさえもこれだけ感動しているのですから。


雪持ち水仙に仔犬模様振袖

水仙の周囲に白い点々が見えますでしょうか?これ染め残しで表した雪だそうです。現物だとはっきりとそれと分かります。アトリビュートの如く水仙の根元にしっかり「雪輪模様」が描かれているのもニクイ。これによって一層リズミカルな「画面」構成となっています。

おまけに応挙、若冲顔負けの可愛らしい子犬がそこかしこに、愛くるしい姿で配されています。これはズルイ。今でも確実に売れるデザインです。


ただ、こうした着物は大事に床の間に飾っておくものではありません。実際に使用するものです。そこに用の美が生まれるわけですが、当然「寿命」もあります。何らかの事情で着ることの出来なくなった着物を、昔の人は別の用途に用いたそうです。例えばこちら。



書の「表装」として使えなくなった着物を立派に甦らせています。
我々がとうの昔に忘れてしまった、物を大事にする心がまだあった証。
考えさせられるものありました。最近江戸時代の人から学ぶばかり。

最後に「今日の一枚


網に魚介模様浴衣

何という大胆なデザイン!フグ、カツオ、タコ、それにイセエビ!
花火大会これ羽織って行ったら間違いなくスターです。

そういえば、前回の展覧会(「KAZARI−日本美の情熱−」展)でも「伊勢海老」に度肝抜かされましたね。

「小袖 江戸のオートクチュール」展は9月21日まで。
和服で行かれると300円お安くなるそうです。

因みに会場内は女性率異常なまでに高かったです。
(それなのに、はろるどさんと男二人で行ってしまった…)

それでは最後に「今日の美味


沖縄を代表するアイスクリーム・ブランド「BLUE SEAL(ブルーシール)」が期間限定で東京ミッドタウンにオープンしています。(9月15日まで) 写真は、ベニヤマイモを用いたアイス「ウベ

おまけ
着物関連で、こんな展覧会も秋に開催されるそうです。

「古渡りの更紗−江戸を染めたインドの華−」
五島美術館 10月25日〜11月30日まで

更紗といえば、先月千葉市美術館で拝見した「インドネシア更紗のすべて」展が大倉集古館で10月18日〜12月21日に巡回し開催されます。

また、東博でも7月29日より東洋館で「東南アジア染織 ジャワ更紗(バティック)と経緯絣(グリンシン)」を展示するそうです。


着物と日本の色着物と日本の色弓岡 勝美

【関連エントリー】
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江戸時代の服飾形式の中心であった小袖は、形がシンプルなため、模様や色などの意匠を見せることが重視された衣服です。上層階級の女性たちは、小袖の意匠に想いをめぐらし、常に新しい表現を求めました。呉服商は、注文主である女性たちへ意匠を提案し、作り手との仲介者となり、小袖が仕立てられました。小袖はまさに江戸時代の高級注文服(オートクチュール)として生み出されたのです。
季節や着用の場面に合わせて選ばれた小袖の意匠には、花や草木、風景の表現が多く見られ、自然の情緒を大切にする日本人の季節感が豊かに表出されています。また、身辺を飾る多彩な調度や器物を斬新な意匠へと昇華させるとともに、和歌や物語などの古典文芸を思い起こされる意匠を表すなど、小袖における独創的な表現からは背景となる日本の文化がうかがえます。
本展では、松坂屋京都染織参考館が呉服意匠創出のために収集した染織資料から、江戸時代初期より後期までを網羅する内容の小袖と、意匠の変遷を辿る上で重要な資料となる雛形本をはじめ、多彩なコレクションの一端を示す能装束や調度品など約300件をご覧いただきます。
展覧会 | permalink | comments(17) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

波〜、菊〜、胡蝶〜、水仙〜♪
綺麗でした!
着物は着ないのですが、眺めるだけでときめきました。
日本文化は素晴らしいです。
現代に生きる私たちも、頑張って美意識を高めないと。
ogawama | 2008/08/16 7:16 AM
たしか和服で行くと割引があるんですよね。この暑さだと浴衣でも辛そうですけど、着物の人はいましたか?
えび | 2008/08/16 3:01 PM
>ここの主役はやはり、菊花たち。
呼ばれたかと思った・・・ドキドキ(勘違い)

私はこの展覧会300円割引狙いで浴衣で行きました。
で、実際に浴衣で行ってみてわかったのですが、
(たとえ展示されている素敵着物たちと張り合う気など毛頭なくても)
ガラスケースの向こうとこちら側のあまりの落差に
なんとなく「トホホ」な気持ちになるのですね。
菊花 | 2008/08/16 10:24 PM
こんばんは
楽しい展覧会でした〜〜
もう場内わくわくwalkでしたよ。

Takさんの記事を眺めてて「あっわんこ!」思い出しました、可愛かったですよね。

記事を書く前に自分の持ってる資料を確認したりすると、けっこう似ているものが多くて、同じ工房のかも・・・とか想像するのも楽しかったです。

インドネシアの更紗、いま細見美術館に来ているのでまた見てきます〜
遊行七恵 | 2008/08/16 10:45 PM
@ogawamaさん
こんばんは。

綺麗でしたよね〜
これ展示替えが何度かあるので
また必ず行こうと思っています。
目先のことしか見えていない自分には
こういった展覧会は大変刺激的です。

@えびさん
こんばんは。

着物の方いらっしゃいましたよ。
300円割引です。
男性の方でもいらっしゃいました。

@菊花さん
こんばんは。

>ここの主役はやはり、菊花たち。
勿論「狙い」です!
勘違いではありませんよ〜

おーー浴衣で行かれたのですか〜
それはお会いしたかったですねー
むさくるしい男二人で行っても
これだけ楽しめた展覧会。
和服で行けば何倍もまた愉しめたことかと。

@遊行七恵さん
こんばんは。

更紗、そうでしたね、今細見さんとこでしたね。
千葉、京都、東京と東西と移動しんどそうですね。
暑い中御苦労さまです。

流行のようなものも当然あったでしょう。
時代順に比較できるように「次回」があれば
展示していただきたいものです。

それにしてもサントリー美術館
この展覧会のために誂えたようでしたね。
Tak管理人 | 2008/08/17 1:04 AM
こんばんは。
この展覧会チケットがあるのですがテーマと、女性ばかりという情報になかなか足が向かずにー。
けどTakさんがこうして記事にしてくださったから安心していけます。
次のサントリーはピカソですね、新国立と共催でどんな感じになるか楽しみです!
oki | 2008/08/17 11:27 PM
@okiさん
こんばんは。

これは良質な展覧会であり
滅多に出会えない貴重な展覧会です。
「絵」を観るように「着物」も
楽しんできました。
記事には書いていませんが
好き嫌いがありますね着物の意匠でも。
Tak管理人 | 2008/08/18 11:50 PM
私が行った時には、展示品に張り合うような立派な着物を着た若くてすらりとした美人に出会いました。
思わず見とれてしまいましたが、同行した家内も私と同じ意見なので事なきをえました。
平成の女性も着物も、江戸時代に負けていないことに遅まきながら気付きました。
とら | 2008/08/19 7:48 PM
@とらさん
こんばんは。

なるほど〜
その手がありましたか…
敢えて奥様にふるのですね。
心得ておきます。
Tak管理人 | 2008/08/19 11:52 PM
男も是非 着物姿で!
唐桟表着と花卉模様間着なんて粋ですし。
音声ガイドが良くて堪能できました。
なかなかTBできないうち、もう第二期が始まりました。
金糸の蝙蝠 まさに 黄金バット!
panda | 2008/08/20 6:20 PM
@pandaさん
こんばんは。

着物姿で行ってみたくなる展覧会です。
その為だけにあつらえてもいいかなと
真剣におもうほど。

二期始まりましたね!行かねば。
TBお気になさらずに。
Tak管理人 | 2008/08/21 12:20 AM
こんばんは。今思うと、残り5%の男性(95%は女性)の中でも、男二人連れというのは皆無だったかもしれませんね。
しかしながらこれほどの展示とは思いませんでした。あの絵画性、江戸絵画好きにはもうたまりません。

ちゅら美味しかったです!
はろるど | 2008/08/27 10:30 PM
@はるるどさん
こんばんは。

楽しかったですね〜愉快愉快。
サントリー腐敗神話やぶられること
ありませんでした。

で、次はいつ行きましょう?
Tak管理人 | 2008/08/28 12:58 AM
こんばんは。
Takさんが、どんなお顔でご覧になったのでしょう?
など、想像します。
おばさん達の舌好調振りに、オヨヨでしたが、
つまりはアタシ達女のものだったんだし、
ひいながたから着物が作られて、
それを生身の女がきて動いたのですからねぇ。
クラクラしました。
メンバーなので、着物着なくてもガンガン行けます。
そんなこと言わずに、ちっとは着なければ、
とも思ったのでした・・・
いいもの沢山てんこ盛り見ました。
あべまつ | 2008/09/05 10:39 PM
@あべまつさん
こんばんは。

絵を観るように
拝見してきました。
着ることは想像できないので。。。

女性が身にまとった時に
身体のラインによって
どう「絵」が変わるのかも
想像しながら観ていました。

ここのメンバーはお得ですよね〜
Tak管理人 | 2008/09/05 11:29 PM
こんにちは。
着るのは女性。
でも職人は男性中心だったのではないかと?
現代においてもその傾向は変わらないように感じます。
女性の作り手は表舞台に出ず。それでいいかとも。
tsukinoha | 2008/09/19 5:35 AM
@tsukinohaさん
こんばんは。

そうか〜職人さんは男性ですよね。
なるほどなるほど。
そういう観点でみると
また違って見えてくるかもしれませんね。
Tak管理人 | 2008/09/19 11:58 PM
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 松坂屋京都染織参考館に保存されている小袖のコレクション。初公開とのこと。  観客の95%は女性で、5%の男性のうち50%は外国人。わたしも家内と同行。和服でこられた女性がおられたが、展示品に負けない着物と帯で、家内にねだられないかとヒヤヒヤした。
サントリー美術館(港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン・ガーデンサイド) 「初公開 松坂屋京都染織参考館の名品 小袖 江戸のオートクチュール」 7/28-9/21 1931年、京都で開設され、現在は染物資料を全1万点ほど所蔵するという、松坂屋京都染織参考館の小袖、約300
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サントリー美術館が新規オープンして早1年以上が経過。 なかなか出かける機会に恵まれず(「鳥獣人物戯画」も逃し・・・)にいましたが、ふと母が「小袖」の展覧会を観たい(電話で会話中に)というので、思いがけず出かけることに・・・。私は私でちょうど某Tシャツ案
481 小袖 江戸のオートクチュール | たまゆらデザイン日記 | 2008/09/19 5:24 AM
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