青い日記帳 

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「錦絵ってなんだろう?」

太田記念美術館で開催中の
「親子で見る浮世絵第二回 錦絵ってなんだろう?」展に行って来ました。



今年は太田記念美術館で開催する展覧会には全て行く意気込みでいたのですが、前回「江戸の祈りと呪い」展に行きそびれ早くも頓挫。でも切り替えが早いのがO型の特徴。「後悔三秒あとは前だけ見て行動」がモットー.

浮世絵の場合、展覧会の会期が短いのは止むを得ないことです。

で、8月1日から始まっている「錦絵ってなんだろう?」展。チラシを読む限りでは夏休みの子供向け、初心者向けの展覧会の様相。

初めて浮世絵に接する小学生や中学生の子どもたちはもちろん、浮世絵を今まで見たことがないという初心者の方々にも最適な展覧会です。

ところが、ところがこれが大当たりの展覧会。初心者にも子供さんにも分かりやすいのは勿論ですが、きっと目の肥えた浮世絵ファンも満足されるであろう構成、内容の展覧会です。


喜多川歌麿「五人美人愛嬌競 富本いつとみ

浮世絵ににはどんなことが描かれているのでしょう?という入門コーナーには「人気芸能人」(歌舞伎役者)、美しい女の人(美人画)、お相撲さん(相撲絵)、物語の中のキャラクター(金太郎と桃太郎の相撲)、都会の風景(江戸八景 日本橋)、自然の風景(近江八景之内 矢場帰帆)、花と鳥、動物、魚、おもちゃ(双六)と一枚ずつ歌麿や広重、渓斎英泉などの作品を用いて紹介。


歌川広重「雪中椿に雀

花と鳥を紹介するのにこれ以上ふさわしい作品はなかなかありません。深々と降る雪の中、花も雀も生き生きとした様子が表現されています。自然と共に生活し注視していないと決してこのような作品描くことできません。

それにしても、雀のなんてラブリーなことでしょう!

知っているようで知らない浮世絵の魅力を余すところなく紹介してくれているのが2階展示室。「錦絵のスゴいテクニック」コーナーは必見です。

↑で紹介した喜多川歌麿「五人美人愛嬌競 富本いつとみ」の唖然とするほど繊細な髪の毛の表現やこれなら蚊も確かに一匹も入ってこないだろうと納得できる「蚊帳」の細やかさ。描いたのならまだしも彫ったわけですからね。。。彫り師のスーパーテクニックのオンパレードです。

 
(この二枚は今回展示されていません)

そういえば「蚊帳」って多く浮世絵のテーマとして登場しますよね。季節感を表すものでもあり、もしかしたら彫り師の腕前を見せつけるには格好の材料だったのではと思ったりもしました。

そして、彫り師が凄ければ、摺り師もまた凄い!
「錦絵のスゴいテクニック」コーナーには摺り師の超美麗テクニックも紹介され、う〜んとひとり唸りながら鑑賞。


歌川広重「江戸名所百景 真乳山山谷堀夜景

自分も今回の展覧会に来るまで全く気付かず知らなかったのですが、この浮世絵の背景(女性の後頭部から木の枝葉の空間)に「模様」が入っているのが分かりますよね?これって版木に元々あった木目をそのまま生かして夜空の模様としているそうです。

出過ぎるとおかしなことになります。気が付くか気が付かないかの中庸。絶妙な力の入れ加減でこのような作品に仕上げているそうです。


歌川広重「名所江戸百景 深川木場

こちらもまた有名な一枚。ご覧になったことある方も多いはず。
雪降る中雀が空中を舞っています。その下に怪しげな黒い影が見えます。これは「ぼかし」のテクニックの一つで「あてなぼかし」というものだそうです。

グラデーションのようにぼかしを入れることはよくありますが、こうしてピンポイントに入れるぼかしテクもあったとは。画像は分かり易いように処理したものですが、実物はもっと「自然」な空の風景の一部として、欠かすことのできない存在となっています。これもひとつ力加減間違えると台無しです。

常々思うことですが、浮世絵や江戸絵画を観ていていると、こうした「遊び」の要素を大変スマートに作品に入れていることや、それを「面白い」と受容してくれる人々が江戸の町には溢れていたのではないかと。一種嫉妬にも似た羨望をよせずにはいられません。(過去を振り返っても仕方がないことですが…)

何と「豊かな」時代だったのでしょう。

この他にも「錦絵を裏側から見てみよう」というコーナーでは一枚の浮世絵の裏表両面が見えるよう並べて展示してあります。裏面はまるでパステル画のようです。

最後に「今日の一枚


二代歌川広重「東都名所 高輪夕景

多色刷りが可能な錦絵の世界であえて青一色を用いた大胆な作品。
青好きの自分の琴線にびんびん触れる一枚。欲しい…

太田記念美術館の「錦絵ってなんだろう?」展は8月20日までです。
外人さんが多くてびっくりしました。。。

そして次回の展覧会はいよいよ!!

ベルギーロイヤルコレクション展
2008年9月2日(火)〜28日(日)

江戸博の「ボストン美術館 浮世絵名品展」同様見逃せませんね!
「ボストン美術館 浮世絵名品展」公開記者発表会

鈴木春信名作撰
鈴木春信名作撰
鈴木 春信,福田 和彦

それでは最後に「今日の美味


地中海料理レストランARCO・IRIS(アルコ・イリス)の「旬のトウモロコシのババロアと北海道産帆立貝のマリネ

トウモロコシのババロアに舌鼓を打ちながら、昨夜はとっても嬉しくおめでたいお話が聞けました。祝

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「浮世絵」と言えば、江戸時代を代表する日本の絵画で、その人気は広く海外にも知れ渡っています。浮世絵について詳しくないという方も、喜多川歌麿や葛飾北斎といった浮世絵師たちの作品を、本やテレビで一度くらいは目にしたことがあるでしょう。そんな親しみ深い浮世絵ですが、もし日本の文化に興味をもっている外国の友だちに、浮世絵ってどういう絵なの?とか、浮世絵ってどうやって作るの?と聞かれた時に、皆さんは何て答えるでしょうか?案外答えに困ったりしないでしょうか?

「親子でみる浮世絵通史」は、親子で分かりやすく浮世絵について学ぼうという展覧会です。昨年に続く第2回目の今回は、たくさんの色で摺られた鮮やかな木版画「錦絵」について、鑑賞のポイントや作り方のテクニックなどを分かりやすく解説しながら、知っているようで知らなかった浮世絵の秘密に迫ります。

初めて浮世絵に接する小学生や中学生の子どもたちはもちろん、浮世絵を今まで見たことがないという初心者の方々にも最適な展覧会です。

展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

今晩は。
ベトナムについてのブログを書いています。
済みません。TBさせていただきました。
都合の良い時に訪問してみてください。
宜しくお願いします。
ha-nam | 2008/08/19 2:27 AM
錦絵、
と聞くとすぐに「お相撲さんの絵」と思っちゃいます。
浮世絵って版画なんですよね。
広重の「雪中椿に雀」を見てると、
こんなにぼかしが入ってるのに
描いたんじゃなく彫ったものとは思えないです。
すごい技術ですよね。
サッチャン | 2008/08/19 1:09 PM
太田記念美術館って、いつ行っても外国人観光客が来てますよね。以前、友人を連れて観に行ったら、私たち以外の観客が全員、外国からのお客さんで、ビックリしました。
えび | 2008/08/19 9:32 PM
太田記念、今回の展示は見逃すこと確定ですが、
「ベルギーロイヤルコレクション展」やったあ!
国貞の菅丞相、カッコイ!
国芳の戯画もたくさん来るんですよね。
わくわく。
菊花 | 2008/08/19 11:30 PM
@ha-namさん
こんばんは。はじめまして。

残念ながらベトナムのことは
ここでは書いておりませんので
消去いたします。あしからず。

@サッチャンさん
こんばんは。

描いたとしてもなかなか
こうは描けないし表現できないかと。
それを彫るわけですから。
そして摺り師もまた。
一枚の作品できるまでに
多くのプロの手を経て
やっと完成したのが浮世絵なんですね。

@えびさん
こんばんは。

そうそう、今回も外人さんの方が多かったです。
英語だけでなく、フランス語も聞こえてきました。
キャプションや解説が英語だけで大丈夫かなと
心配になるほど。

@菊花さん
こんばんは。

ベルギーも持っていますねーー
チラシの裏面だけ観ても
もうワクワクです。
国芳は来年か再来年
展覧会あるはずですよ。
Tak管理人 | 2008/08/19 11:48 PM
はじめまして、雨虹と申します。
フェルメールの作品に魅せられ、
ネットを彷徨っているうちにTakさんのサイトに出会いました。
フェルメール・ファン歴は極浅にもかかわらず、
この春ヨーロッパの所蔵美術館巡りを決行してしまい、
その際は大変参考にさせて頂きました。
ありがとうございました。

またTakさんのおかげで絵画への興味がどんどん広がり、
早速、太田記念美術館に行ってまいりました!
本当に初心者には嬉しい展覧会でした!
フェルメール巡りのパリで見つけた
素晴らしい装丁の広重の本が
今になって欲しくなってしまって・・・(笑)。

今後も楽しく拝読させていただきます。
長々と失礼しました。
雨虹 | 2008/08/20 1:50 AM
こういう楽しい展覧会にいけないのが悔しいです。
絵は感性で見ればいい、と言われたこともありますし、
確かにそうだと思うんですが、技術的な知識をいれると
腕の上下もわかって、なおさら楽しめると思うのです。
今回は多少なりともTakさんの解説リポートがあります
ので、とりあえず(という言い方も失礼ですが)満足することにしましょう。
OZ | 2008/08/20 11:19 PM
@雨虹さん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

参考になること少しでもあったなら幸いです。
ヨーロッパご旅行よいですね。
仕事で夏に行きましたが、個人でまた
行ってみたい衝動に駆られました。

絵画の世界はハマってしまいますよね。
高校時代の友人にたまに会うと
こんな趣味あったっけ?と
首傾げられます。

毎日更新することだけを
目標にしているブログですが
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

@OZさん
こんばんは。

感性という言葉はまやかしのような
ニュアンス含んでいてどんなときにも
使えてしまう便利な単語です。
感性も実は知識がないと駄目です。きっと。

感性の乏しい自分は尚更です。
Tak管理人 | 2008/08/21 12:06 AM
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表参道まで来るとこの美術館に立ち寄りたくなる。どんな展覧会が開催されているか知らずに出かけたのだが、親子で見る浮世絵通史というタイトルだった。実際は、浮世絵の歴史を学ぶという企画の2回目。多色摺りの「錦絵」についての紹介ということらしい。役者絵、女性
親子でみる浮世絵通史  浮世絵太田記念美術館 | つまずく石も縁の端くれ | 2008/08/20 5:33 AM