青い日記帳 

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「アネット・メサジェ展」

森美術館で開催中の
「アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち」展に行って来ました。



六本木ヒルズの展望台(東京シティビュー)と森美術館の入館料が一緒になっているせいで、展覧会目的で美術館に足を運ばれたのではないであろう方々時折見かけます。それでも折角だからと一周しご覧になられるのが常。

ところが、今回の「アネット・メサジェ展」は様相が違います。
会場から逆走し退出される方を何人か見かけました。「美術館」だと思って入館したにも関わらず如何せんこれ↓ですから。無理もありません。

会場を入るやいなや、薄気味悪い鳥のぬいぐるみが天井から無数に吊るされている下を鑑賞者は歩むことを強いられます。それらを見上げると底に鏡が付けてあり、自分自身の姿が「鳥の一部」のようにして写し出されます。

それを避けようと横の小部屋に逃げ込むと、薄暗い中にまた「鳥たち」が。

寄宿舎たちの一休息

剥製に手編みのセーターを着せた作品。
東大博物館で開催された「鳥のビオソフィア」を一瞬だけ想起させますが、対象の捉え方扱い方の次元が違い過ぎ比較することがナンセンスなこと。

この時点では自分も「逆走し退出」したいかなと。少し弱腰に。

こちらプレス向けの内覧会の様子を映したものでしょうか。
ひとまずどんな展覧会なのかお分かりになれるはずです。


カラフルなぬいぐるみを多数用いて強烈で鮮烈なメッセージをダイレクトに投げかけてくるメサジェの作品を観るには、いつもよりも体力が必要なことは勿論、心も鍛えておくことも重要かと。

ただ、何も可愛げがありながらも、グロテスクな作品をどうだ〜と言わんばかりに誇示しているだけではありません。付き合い方があるようです。

画像はポンピドゥーセンター・パリ国立近代美術館での展示の様子です。森美術館の有する広い空間が今回の展覧会でも効力発揮しています。ここでなければ出来ない展覧会だったでしょう。


つながったり分かれたり

人や動物(家畜)のパーツが上下、左右にランダムに動き不気味さを増長。「動物と人間の双方の関係を問いかけ」た作品だそうです。つい最近まで同じ場所に展示されていたデミアン・ハーストのホルマリン漬けの切断された牛の方が余程「可愛らしく」思えてしまうほど、メサジェのやり口は巧妙且つ狡猾です。

イギリス人とフランス人。男性と女性。
などと単純な二元論で語れないことは重々承知。
それでもそう思えてしまい、答えを急かされているような気にさせます。

レアステーキやタン塩を食べる前に、ハーストとメサジェどちらの作品を観たら食欲が失せるかは明明白白。フランス人料理を美味しく食べることも知っていますが、逆に不味くする手段も心得ているかのようです。

「つながったり分かれたり」を観て、わけわからないけどこりゃ凄いぞ!と思い立ち去るどころか、もっと観たいと思うまでに。

現代の妖怪」が観られる展覧会ではないかと。
(小松和彦氏が扱われていらっしゃる所謂「妖怪」ではありません。「妖怪」を駆逐してしまった現代人たちの心の中に現れた姿形を持たぬ恐ろしい物体のことです。それは畏敬の念なく動物を葬り、また実の親であっても「ついカッとなって」殺してしまうことができるそれはそれはオソロシイ妖怪です。)



何だか怖くて恐ろしい展覧会だと無暗に煽っているようですが、そんなことありません。観に行って大正解でしたし、また期間中に出かけたと思っているほどです。嫌悪感からスタートしましたが鑑賞していくうちに、心にしっくりくるものあり首ったけに。

メサジェの作品から気持ち悪いといった類の理由で目をそむけることは我々には許されていません。「本当のこと」や「現実」はかくも無慈悲で惨たらしいものです。

中にはほっとさせられる作品もあります。

2005年ヴェネチア・ビエンナーレのフランス館で展示された「カジノ」という作品など画像だけでは何だかさっぱり良さが分かりませんが、その場所に居合わせたなら思わず拍手を送りたくなるようなエスプリの利いたインスタレーションです。


カジノ

同じ六本木、国立新美術館で開催された「アーティスト・ファイル2008」に出展されていらした祐成政徳さんや市川武史さんの作品がこうであったらな〜と叶わぬ願いを一瞬だけ込め、あとはアネット・メサジェの掌中で心地よい時を過ごすことができました。「カジノ」は唯一デートで来ても彼女喜んでくれるはずです。

送風される空気によってふわりふわりと。流れ的には「血の池地獄」がお似合いですが、この作品に関しては恐怖心は皆無。逆に大海原の上を漂うような気持にさせてくれます。



因みに上から垂れ下がってくるのは「サキエル」じゃないようです。
ソフビ魂 サキエル 
サキエル

他にも書きたいこと山ほどあるのですが、女子サッカーとソフトボールの試合に熱中していて時間切れとなりました。また後日。

最後に「今日の一枚


キマイラ」の前に立つアネット・メサジェ。

「アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち」展は11月3日までです。


The Messagers: The Messengers
The Messagers: The Messengers
Annette Messager

それでは最後に「今日の美味


ロンドン郊外のポルトガル料理屋さんで食べた「チキン
展覧会観たあとにあらためて見ると…

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お知らせ
可喜庵にて、住宅建築の大家「宮脇檀」氏と法政大学建築学科宮脇ゼミナールによるデザインサーベイ図面展を開催していらっしゃるそうです。
この土曜日23日には工学院大学教授・中山繁信先生(宮脇ゼミOB)のギャラリートークも行われるそうです。ご興味ご関心のある方是非!

ブログ「つれづれ可喜庵

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1488

JUGEMテーマ:アート・デザイン


「アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち」展は、フランスを代表する女性アーティスト、アネット・メサジェを紹介する日本初の大規模な個展です。
1970年代から絵、写真、記事、拾い集めたオブジェ、言葉、剥製、ぬいぐるみ、布、刺繍、糸、編み物など、日常のさまざまな素材用いて、創作活動を行ってきたメサジェ。 彼女は聖と俗、ユーモアと恐怖、愛と悲しみ、女性と男性、動物と人間、子供と大人、生と死、表と裏など、人間の相反する複雑さを日常の視点から浮き彫りにします。 収集癖や身体への関心、ぬいぐるみや玩具との戯れ、言葉遊びなどから生まれる作品には、子供のような無邪気さと残酷さが共存し、私たちは、メサジェの紡ぎだす物語の世界からさまざまなメッセージを読み取ることができます。 人間の負の感覚にも正面から向き合いつつ、そこに小さなユーモアを潜ませる独特のエスプリは、世代を超えて多くの人びとの心を捉え、魅了します。
チャーミングで幻想的、そして時に奇妙で不可思議なかたちで私たちの前へ現れる作品群。それらは人の心の奥深い部分へ何かを投げかけてくる「使者」といえます。

本展はパリ(ポンピドゥーセンター)をはじめ、フィンランド、韓国を巡回した国際展です。日本では森美術館のギャラリー空間を生かしたスケールの大きな展示をお楽しみいただけます。展示は2005年の第51回ヴェネチア・ビエンナーレで金の獅子賞を受賞した《カジノ》をはじめ、代表作《つながったり分かれたり》などを含む約30数点の作品によって構成されます。
展覧会 | permalink | comments(9) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

Takさ〜ん。
お疲れさまです(笑)
rossaも最近、女性現代美術家さんって、う〜〜ん。なんか、くどい。というか(笑)すごい、ボリュームで、こわい系が目立つ。と思います。グロテスクなほうが、それらしい?(笑)感じ。ってするのでしょうか?
rossa | 2008/08/22 10:12 AM
おもしろそうですね。
六本木はしょっちゅういっているので、ぜひいってみたいと思います。
ウインバレー | 2008/08/22 2:54 PM
@rossaさん
こんばんは〜☆

疲れました。。。
時間との戦いでもありました。
来週あたり今一度観に行ってこようと
思っています。日本人の若手の作家さんでも
同じような作品こしらえている方いますが
毒が足りません。その点メサジェは徹底しています。

@ウインバレーさん
こんばんは。

これ、良いですよ。
中途半端でないところが。
やるなら徹底的でないとね。
Tak管理人 | 2008/08/22 9:31 PM
はじめまして!
昨日東京都美術館へ行きフェルメール展を鑑賞して来ました
光と陰のコントラスは思った以上に圧倒されました
もう一度フェルメールを知りたくなり検索していてあなたのブログにいきあたったんですが、(ヴァージナルの前に座る若い女)がなかった。というより違っていたんですが、なにが違うのでしょうか教えてください。どちらもフェルメールの作品なんでしょうか?東京都美術館を検索したらその絵がわかると思います。
スーチャン | 2008/08/26 12:55 PM
@スーチャンさん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

メサジェとフェルメール関係ありませんが。。。

ご指摘の「ヴァージナルの前に座る若い女」は
今回の東京都美術館に来ている小さな作品のことですか?
あちらに関しては、サイトでは特に触れていません。
ただしこちらのブログでは何度か記事にしています。

尚、詳細は今月号の「芸術新潮」に掲載されています。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーにある
「ヴァージナルの前に座る女」とは別の作品です。
Tak管理人 | 2008/08/27 1:01 AM
今この展覧会の感想書いていたのですけど。
「今日の美味」見て、きゃ〜〜やめて〜っと思いました。
Takさん巧すぎ。
ogawama | 2008/08/29 10:46 PM
@ogawamaさん
こんばんは。

「今日の美味」も何かしら関連付けないと
面白くないので、自分でも。。。
自分が楽しめるのが一番ですよね。
何事も。
Tak管理人 | 2008/08/30 12:03 AM
会期終了間近にやっと行ってきました。
好きか嫌いかと言うことになると悩むけれど、またあればまた見に行くことは間違いがなさそうです。
Cos | 2008/11/03 8:01 PM
@Cosさん
こんばんは。

この方、とても女性らしい作品を
残しているかと思う反面、ちらっと
男性的な面も見え隠れします。
上手く言葉にはできませんが。。。
Tak管理人 | 2008/11/03 11:18 PM
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