青い日記帳 

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「舟越桂 夏の邸宅」

東京都庭園美術館で開催中の
「舟越桂 夏の邸宅 アール・デコ空間と彫刻、ドローイング、版画」展に行って来ました。



大絶賛の嵐の展覧会。
普段美術館に行かない妹ですら行って感動したとメールを送ってきたほど。

そこまで皆さんが持ち上げると逆にアラを見つけに行きたくなるのが天邪鬼の性。意気揚々と「あらさがし」をすべく白金まで。

2003年に東京都現代美術館で開催された「舟越 桂展」

現代の人物像でありながらも、古典的な雰囲気を持った舟越桂の彫刻は、親しさと同時に不思議な雰囲気を感じさせます。その独特の存在感は、数多くの文学作品の表紙を飾ることによって現代人の心をつかみ、日本において広く支持されるようになりました。本展は初期から未発表の最新作までを含む代表的な彫刻30点あまりを中心に構成する初めての本格的な回顧展です。初期から最新作までの作品の3分の1が展示されるとともに、発送の裏側を見せる自由なドローイング、木彫に取り掛かる前の大型のドローイングなどもあわせて紹介いたします。

舟越桂の名を馳せ一躍メジャー入りを果たした大変素晴らしい展覧会でした。それから5年。現代作家の性なのか徐々に舟越さんの作品に変化が。ウサギのような長い耳、乳房、男性器などが露骨に表現され直視することを憚らせるかのような作品が次々と。

記憶が曖昧で間違っているかもしれませんが、確か高村光太郎が彫刻は絵画に比べ「図々しい」ものだと述べていた文章を読んだことがあります。あくまでも二次元(平面)である絵画は脳内で視覚化する際に嫌な部分はオミット出来ますが、三次元(立体)である彫刻作品は目にしたものがそのままの形でダイレクトに我々の中に入って来ます。

ましてやそれが等身大に近い人間を現した彫刻なら尚更。
だからこういった作品はどうも苦手でした。


戦争をみるスフィンクス」2006

多かれ少なかれ、他の皆さんも同じような気持ちを舟越さんの作品に対し抱いているのではないかと推察。それなのにブログ他「舟越桂 夏の邸宅」に招かれた人は悪い魔法使いに騙されたかのように絶賛。

いくらアール・デコの館、庭園美術館で展示されたとしても、その厭味は消えないだろうと。そして自分だけは魔法使いに騙されないぞ!と意気込んで出かけたのですが、、、結論は。。。



今、最もお勧めする展覧会です。

行かねばなりません。魔女はいません。
そこに舟越作品が展示してあるだけ。
展示される空間によってこれだけ印象変わるとは。

この展覧会企画された方、きっと並はずれた才能の持ち主であることは当然として、素晴らしい想像力の持ち主でもあるはずです。いや〜参りました。

東京都庭園美術館ニュースに塩田純一氏(東京都庭園美術館副館長)がこんな文章をお書きになれていらっしゃいます。

「彫刻は空間に活かされるもするし、死にもする。ホワイトキューブの美術館ではとかくよそ行きになりがちな作品が、個人の邸宅では全く違う表情を見せてくれます。」(中略)「舟越さんの今回の個展が、作品鑑賞のあり方に一石を投じることになるのを、わたしたちはひそかに期待しているのです。」



「彫刻は空間に活かされるもするし、死にもする。」これ、頭では言わんとすること理解できても実際に兎に角この美術館に足を運んで自分の目で確かめないことには実感として理解出来ません。

今、ここの場所でしか味わえない感動。



また、そのチャンスを十二分に生かすべく舟越氏自身で何度も会場へ足を運び、どの展示室にはどの作品が合うのかを一点一点決めていかれたそうです。(↑の画像は舟越さんご自身と「言葉をつかむ手」)

展示空間を変えただけでもこんなに作品から受ける印象違います。


結局このヌードの女性像は朝香宮邸のバスルームへ展示されることに。


お風呂場を覗き見してしまったような後ろめたさを感じつつ鑑賞する経験なんて今まで、これ以降ないはずです。ドキドキ。

乳房や変てこな手が生える作品の毒もすっかり消され次から次へと部屋を訪ねる毎に出迎えてくれる舟越作品と展示空間のマッチングを思う存分楽しんで来ました。


二階の書庫(書斎)に独り専属司書のように待っていてくれた「夏のシャワー」が最も部屋との相性が良かったかな〜文句なしに。

「舟越桂 夏の邸宅」展は9月23日までです。
是非!行かないと泣きます。後悔します。

受け付けない今の舟越作品だけではありません。
古い作品もちゃんと展示されています!

最後に「今日の一枚


遠い手のスフィンクス

チラシ↑の画像と見比べて下さい。
普段中々開放していない「小客間」との相性抜群。

先ほど紹介した副館長さんの言葉を今一度。
彫刻は空間に活かされるもするし、死にもする。ホワイトキューブの美術館ではとかくよそ行きになりがちな作品が、個人の邸宅では全く違う表情を見せてくれます。

因みに普段は各部屋ごとに「小客間」や「大広間」といった案内板が設置されていますが、今回は舟越さんの強い要望によりそれ全て取り払ってあるそうです。そういえば無かったでしょう〜

余計な「情報」を入れたくないのでしょう。純粋にアール・デコの館と舟越作品のコラボによりそれぞれが、昇華するのに文字情報は邪魔なだけですからね。

おもちゃのいいわけ
「おもちゃのいいわけ」 舟越 桂


以前、お部屋だけの写真を撮影して来た記事。
「旧朝香宮邸のアール・デコ展」(夜間開館)

今年も写真撮影OKの展覧会開催されます。
アール・デコの館−庭園美術館建物公開−
2008年10月1日(水)〜10月13日(月・祝)*会期中無休 
開館25周年を記念してアール・デコ様式の建物自体を鑑賞していただくとともに、所蔵品やポスターなどの資料によりこの25年の美術館活動を振り返ります。また、茶室「光華」も公開します。
2階から3階のウィンターガーデンに登る途中に、未公開の部屋があります。そこは宮邸時代に納戸として使われていた部屋です。今回、多目的スペースとして整備したこの納戸を初めて公開いたします。
一部制限はありますが館内での写真撮影も可能です(ストロボ・フラッシュ、一脚・三脚の使用、商業撮影はご遠慮願います)。


【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | 庭園美術館「上下」
- 弐代目・青い日記帳 | 「宇治山哲平展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「ティファニー展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「華麗なるマイセン磁器展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「大正シック展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「建築の記憶」展
- 弐代目・青い日記帳 | Christmas in 「アール・デコの館」
- 弐代目・青い日記帳 | MOT屋上庭園へ行こう!
- 弐代目・青い日記帳 | 「屋上庭園」


それでは最後に「今日の美味


川中島白桃」。通称「川白」。
こんな美味い桃初めて食べた。皮まで食べられます。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1500

おおっ!1500エントリ達成だ!楽しい

JUGEMテーマ:アート・デザイン

1980年代はじめから木彫彩色の人物像によって日本の現代彫刻をリードしてきた舟越桂(1951―)は、近年謎めいた両性具有のスフィンクスのシリーズを手がけ、彫刻家として新たな表現領域を切り開きつつあります。この展覧会では各時期から厳選した珠玉の作品に加え、新作を含むスフィンクス・シリーズの果敢な挑戦をまとめて紹介します。
舟越桂は、彫刻と同じくドローイング、版画も重要な創造の領域と考えています。かれにとってドローイングは彫刻制作のための単なる習作にとどまらず、一つの完結した世界を構成しています。一方、1987年イギリス留学時に制作を始めた版画では、ドライポイント、アクアチント、リトグラフ、木版などさまざまな技法を駆使し、彫刻に従属しない自由な表現をつくりだしています。本展ではこの三つの領域に等しく光を当て、彫刻19点、ドローイング約40点、版画約20点により表現者舟越桂の全体像に迫ります。
もうひとつの見どころは、アール・デコ装飾に彩られた庭園美術館の空間と舟越桂の作品がどのように出会うかです。個性豊かな部屋と、そこに置かれた舟越の彫刻、ドローイング、版画は、ひとつの緊密な織物のようにからみあい、ほかでは体験できない稀有な空間と時間をかたちづくります。美術館は魔術的な驚きに満ちた「夏の邸宅」に変貌します。

展覧会 | permalink | comments(15) | trackbacks(10)

この記事に対するコメント

わたしも夏のシャワーが一番、気に入りました。
ホワイトキューブではない展覧会としては、奈良美智+graf「AtoZ」や村田朋泰展ー夢がしゃがんでいるーに匹敵するマッチングでしたね。
今後もこういった空間と合わせた展示を期待しちゃいます。

あおひーの妄想としては、今はもう廃止されてしまった京成電鉄の博物館動物園駅で展示とかやったら面白いと思うのですがいかがでしょうね〜。
あおひー | 2008/09/02 11:47 PM
Takさん
こんばんは

時にはくさしもするけれど、
私はやっぱり舟越さんの作品が好きなのだなぁ...
と改めて...
lysander | 2008/09/02 11:48 PM
こんばんは
お待ちしておりました!
舟越さんの記事で1500エントリーとは、これも素敵ですね。
おめでとうございます。

バスルームの「彼女」は、いくつもの部屋でモデルとして働き、疲れて、最後にそこでゆっくりしようとしたのに、いちばん多く視られてしまうのですね・・・うふふ。
遊行七恵 | 2008/09/03 12:01 AM
庭園美の副館長が凄く舟越さんの彫刻が好きで
この企画が実現したと聞きました。Viva!

私は「今更舟越さんかぁ、庭園美と舟越さんの
彫刻が似合うのは想像つくけどなぁ」な軽ーい
感じで行ってみたら・・・
「俺は今までこれを見ず、何を見て庭園美が
イイとか現代アートが好きだと言ってたんだ!」
って位、衝撃を受けました。

部屋に彫刻をおくだけ、何もしていない(よう
に見える)のになんでこんなに衝撃を受けるの
でしょうかね?

そして普段入れないあの部屋。ラパンの絵の壁。
係員が居なければ壁に頬擦りしている変な男を
一人見る事が出来たと思います。

なんて素敵何だろう!
KIN | 2008/09/03 12:40 AM
近かったら、絶対行きたい展覧会です。。。
関西なら大山崎山荘美術館で見たいかな(笑)

↑庭園美術館の館長のが舟越さん作品が好きで実現・・・・
いいなぁ。。
十六夜 | 2008/09/03 3:47 AM
私もこの展覧会いってきたばかりです。
見応えのある展覧会でした。
しかしTakさんのブログを読んでからいけばよかったな。
ウインバレー | 2008/09/03 1:22 PM
アールデコの建築様式、コンドルは大好きです。
米・マイアミビーチでは、ビーチの一角がアールデコ地区に
指定さてていて、さまざまなアールデコ建築物がたくさん
建っているんですよ!
コンドル | 2008/09/03 4:11 PM
最近のスフィンクスの顔が、もうひとつと思ってしまうのです。
舟越さんの目指しているものは、何なのでしょうね。
もう一度、行ってみるつもりです。
一村雨 | 2008/09/03 7:05 PM
この不思議な展覧会を満喫しました。作品とこの建物とのマッチングも絶妙でした。
現代美術展でも「個展」は分かりやすいですね。
とら | 2008/09/03 9:52 PM
こんばんわ。
船越桂展 ほとんどみたことがないため 行きたくなりました。
ご情報に感謝です。
ところで 「ホテル ルワンダ」という映画をごご覧になったことがありますか?
私は 最近 DVDをレンタルして 観ました。とてもすばらしい映画です。アフリカ音楽の素敵さも垣間見ることができます。
超お奨め映画です。
hidamari | 2008/09/03 10:11 PM
@あおひーさん
こんばんは。

夏のシャワーと書庫でしょうか。
二階が充実していたように感じたのは
初期の作品が多かったからかもしれません。

博物館動物園駅いいですね〜
以前、コンサートかな?
何かやった時いきました。
暗闇に浮かぶ舟越作品・・・

@lysanderさん
こんばんは。

舟越作品のファンですよ。
MOTで観たときの感動は
今でも忘れていません。

スフィンクスを理解するには
まだ至りませんが。。。

@遊行七恵さん
こんばんは。

ありがとうございます。
こつこつと1500.
我ながら暇だな〜と。

バスルームの彼女は
あくまでも覗き見気分。
眼が合わないのが救いでしょうか。

@KINさん
こんばんは。

そうなんですか〜
やはりね。
アイディア出す人が
いなければ実現しませんよね。
素敵な発案です。

空間を劇的なまでに変化させてしまう
力を有する三次元物。
想像をはるかに超えていました。

出向く途中でどうやって
否定的な文書いてやろうと
思っていたこと跡形もなく吹っ飛びました。

で、撮影会も行きます?

@十六夜さん
こんばんは。

そうそう!大山崎の山口さんの
個展のことも考えましたよ!
合わせて作品を制作しているとのこと。
負けず劣らず素晴らしい展覧会になるでしょうね。
行きます!

@ウインバレーさん
こんばんは。

これは紹介せずともその場の空気を
肌で感じ取れればokでしょう。
高村光太郎の文章まだ見つかりません。。。
明日までには何とか。

@コンドルさん
こんばんは。

NY好きですからね〜コンドルさんは。
自然とアールデコに触れているかと。
マイアミもそうなのですか!
知りませんでした、イメージ違っていました。
観たいな〜それ。

@一村雨さん
こんばんは。

そうなんですよね。
建築との融合は果たせても
作品自体へのモヤモヤは依然消えないままです。
lysanderさんと飲みましょうか。

@とらさん
こんばんは。

仰る通りですね。
「個展」でないと見えてこないものあります。
今回は建物との相性が全面にでましたが
これもありだと思います。ここでしかできませんしね。

@hidamariさん
こんばんは。

舟越桂さんの作品はぐるり360度
それぞれの角度から楽しむことできます。
仏像がそうであるかのように。
特に背面がお勧めかな。

ご紹介の映画記憶にありますが
観たかどうかは定かではありません。
Tak管理人 | 2008/09/03 11:39 PM
takさん、こんばんは。
はじめてコメントします。
ブログを拝見して、すごく見たくなって、4日に展覧会みてきました。
本当に行ってよかったー!ありがとうございました♪
古い「人間」時代の舟越さんの作品が好きだったのですが、
今回、初めて生で「スフィンクス」シリーズとかをみて、
以前のもののように親しさ・慕わしさをもっては対することはできないけれど、違う「美」として鑑賞できました。
それが「邸宅」マジックなのでしょうね。
私は、社会性とか時代性とか、そういう作品が沢山出てくる時期があってもいいと思います。好きかどうかは別として(笑)。

mugai | 2008/09/08 1:43 AM
@mugaiさん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

行かれましたか!良かったでしょう。
行く価値ありありですよね。
場所、空間によってこれほどまでに
見え方変わってくるものかと。
トリックに騙されているとしても
それはそれで心地よい気がします。
不思議な感覚です。

同じ時代を生きる作家さんの変化を
共感できることが現代アーティストの
最も素晴らしいことだと常々思っています。

今後とも宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2008/09/08 11:06 PM
こんばんは。
Takさんの記事をTBだけさせて頂いて、
コメント入れ忘れていたようです。

本当に詩情溢れる素敵な夏休みの邸宅でした。
建物と作品のコラボがこんなにマッチするなんて、
驚きでした。
ずっとここの住人であって欲しいと思いました。
あべまつ | 2008/09/11 9:55 PM
@あべまつさん
こんばんは。

コメントお気になさらずに。
TBだけでも十分嬉しく有難いです!!

この企画考え実行された方々に感謝ですよね。
元々舟越さんの作品は好きでしたが
この邸宅内で拝見しより一層その良さが。
「意味」が作品に付随したようです。
Tak管理人 | 2008/09/12 6:45 PM
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