青い日記帳 

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極上の歌麿

NHKスペシャル「よみがえる浮世絵の日本〜封印が解かれた秘蔵コレクション〜」を観ていたら、益々10月7日から江戸東京博物館で開催される「ボストン美術館 浮世絵名品展」が楽しみになってきました。



先月お邪魔してきた「ボストン美術館 浮世絵名品展」公開記者発表会の様子。

番組の前半で紹介された、今回の展覧会チラシに用いられている「市川鰕蔵の暫」を描いた歌川国政という「謎の浮世絵師」についての紹介など、「へ〜」「ほーー」とテレビに向かって相槌打ちながらただただ感心。

と同時に江戸時代の浮世絵師と版元とのシビアな関係性の一端も、海外の浮世絵研究者の解明によって明らかにされるなど、今後浮世絵を鑑賞する際に有していて損のない情報も多々。

歌川国政は作品が少ないため「幻の絵師」と呼ばれていたそうですが、これだけの大胆な作品を作り出す技量を持ちながらも浮世絵史の中から忘れ去られてしまったのか等など。

豪雪地帯である奥会津から江戸に出てきた国政が熱中した芝居。その役者たちを真っさらな気持ちで描いていた頃の作品は役者の特徴を捉え江戸っ子に大喝采を浴び、同時代のあの写楽よりも、ぱっと見華やかで斬新な印象の役者絵は現代の我々にも新鮮な驚きを与えてくれます。


歌川国政「市川鰕蔵の暫

しかしながら江戸の生活にも慣れ、版元も大きな所へ移ると共に国政特有の大胆な構図を有する作品は影を潜めてしまいます。何年か後にまた最初の版元に戻り役者絵を手がけますが、芝居小屋で熱中し一心不乱に筆を走らせていた頃の作品は二度と戻ることなく38歳の若さでこの世を去ってしまったそうです。

そんな国政が最も輝いていた時代に描いた「市川鰕蔵の暫」初対面まで今しばらくの辛抱です。

番組ではこの他にも鈴木春信や広重などの今まで一般的に知られていなかった側面をボストン美術館に眠る「スポルディングコレクション」の中から紹介。


鈴木春信「寄菊

背景に黒を用いることによりそれまで表わすことのできなかった「夜」の情景を表現。この作品も「ボストン美術館 浮世絵名品展」に出展されます。

ボストン美術館に所蔵されている褪色の少ない極上品の浮世絵をこの目で拝むこと出来る日、刻一刻と。因みにこの展覧会三部作となっているそうで、その第一回が今回、次回は鈴木春信中心にした錦絵の誕生。そして最後は今注目されている浮世絵師歌川国芳を中心とした幕末の浮世絵を紹介するそうです。

公式サイト:ボストン美術館 浮世絵名品展

さて、さて、おまけとするにはスケールの大き過ぎる話題。
歌麿の浮世絵、競売に 予想落札価格、1億円超 
江戸・寛政年間に制作された喜多川歌麿の浮世絵版画の名品「歌撰恋之部 物思恋(ものおもうこい)」が9月18日、ニューヨークの競売会社クリスティーズのオークションに出品される。100万―150万ドル(1億900万―1億6350万円)の予想落札価格がついており、落札されれば、一枚で出品される浮世絵版画として、オークション史上最高額を記録する可能性が高い。
 同社で日本・韓国美術部門長を務める山口桂氏は「退色やシミなどの傷みがほとんどなく、明治時代にパリで活躍した名浮世絵商として知られる林忠正の印が押してあるなど、市場評価を押し上げる条件がそろっている」と話す。(日本経済新聞 - 2008年8月28日)
ukiyoe初の一億円突破が予想されている歌麿の「歌撰恋之部 物思恋」


Kitagawa Utamaro (1753?-1806)
Mono omou koi (Reflective Love), from the series of five prints entitled Kasen koi no bu (Anthology of Poems: The Love Section), c. 1793-94

クリスティーズのサイトを覗いてみると、来歴にHayashi Tadamasa (1853-1906), Parisとあります。そう明治時代にヨーロッパで活躍したあの有名な美術ディーラー林忠正の所有していた一枚のようです。

それにしても、歌川国政のように作品数自体が少ない浮世絵師の作品ではなくメジャーな喜多川歌麿の作品にどうしてこれだけの高値(Estimate $1,000,000 - $1,500,000)が付くのでしょう?その答えはクリスティーズのサイトにありました。

Reflective Love started its world tour in eighteenth-century Edo (modern Tokyo), the "Paris of the East." Unknown hands kept it dark for decades before releasing it in the 1880s into cargo bound for a Japanese dealer in Paris. A touchstone of the print's greatness is its almost miraculous condition: the fragile, friable pink mica ground has not cracked, the fugitive natural pigments have not faded, the edges have not been trimmed. This impeccable example, the best of seven published impressions, is as close as we may come to how Utamaro intended us to see it in 1793: soft grey contours and intense colorplay in a rose glow.

miraculous condition

長い間浮世絵の天敵である光の当たらない場所にあったため、めちゃめちゃ良いの状態のようです。背景にヒビすら入っていないとか。歌麿が1793年に手がけた時と同じ輝きと美しさを有している大変稀有な一枚のようです。

どれどれ。。。


程度がはなはだしい状態を古語で「ゆゆし」と言いますが、まさにゆゆしき一枚。



歌麿の描く指のラインがとってもいやらしく個人的に大好物なのですが、これまた「ゆゆし」。たまらないな〜


クリスティーズのサイトでズームアップして見ることできます。

落札見込価格の段階で既に一億円突破しているので、果たして最終的にどこまでつり上がることやら。18日以降のニュースに注目です。

今月の新刊!

すぐわかる楽しい江戸の浮世絵―江戸の人はどう使ったか
辻 惟雄,浅野 秀剛,田辺 昌子,湯浅 淑子

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1505

JUGEMテーマ:アート・デザイン


85年前、ボストン美術館に寄贈されて以来、封印されてきた6500枚の浮世絵版画がある。
「スポルディングコレクション」。昨年から調査が進められ、浮世絵の歴史を書き替える幾つもの新事実が明らかになってきた。

はじめて錦絵=多色摺版画を世に出した鈴木春信。“色彩革命”とも言うべき作品が、どのようにして誕生したかは、大きな謎だったが、コレクションは、その過程に周到な色彩実験があったことを語りはじめている。

また、写楽を凌駕するとさえ言われながらも作品が少ないため「幻の絵師」とされた歌川国政の傑作が多数眠っていた。天才絵師の実像とは?そしてそれは何故幻となったのか?

さらに「東海道五十三次」などで知られる巨匠・安藤広重の知られざる名品が三点発見。そこからは、幕末の日本で失われゆく江戸の風景を描き残そうとした絵師の、知られざる葛藤が浮かび上がる。

江戸の美を版画の中に表現しようとした絵師たちのドラマ。番組では学習院大学小林教授らの協力で秘蔵作品を分析しつつ、浮世絵の「日本」美誕生の軌跡を読み解いていく。
TV番組 | permalink | comments(6) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

この指のいやらしさ、本当にたまらないですね〜
今、春信は太田にも東博にも発色のすばらしい作品が
出ていますね。こちらも楽しみです。
一村雨 | 2008/09/08 1:22 AM
はじめまして

池上君のブログから

こちらにきました

よろしくどうぞ


もりしたゆたか | 2008/09/08 2:41 AM
オークションで100万―150万ドル。
凄い価値があるということなのですね!
浮世絵。日本が誇る文化という感じがしました!
コンドル | 2008/09/08 12:39 PM
@一村雨さん
こんばんは。

たまらないですよねーー
何て言いましょうか。
素面で話すよりも杯傾けながら。
実物観たいですね、これ。

@もりしたゆたかさん
こんばんは。はじめまして。

拙い素人ブログですが
どうぞ宜しくお願い致します。

@コンドルさん
こんばんは。

とんでもない価格だと思います。
浮世絵は何枚も刷れる版画ですからね。
それなのに一億円!!
どんどん自慢してよろしいかと。
Tak管理人 | 2008/09/08 11:02 PM
こんにちは。名古屋で見てきました。やはり色がいままでの色彩とはまったく違いましたので、驚きとショックでした。東京展も楽しみですね。
kazupon | 2008/09/11 11:35 PM
@kazuponさん
こんばんは。

おおーー既にご覧になられましたか!
やっぱり間近でこの目で観てみたいものです。
とっても楽しみな展覧会です。
秋は良い展覧会目白押しです!
Tak管理人 | 2008/09/12 6:49 PM
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