青い日記帳 

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「液晶絵画」展

東京都写真美術館で開催中の
「液晶絵画 Still/Motion」展に行って来ました。



今年2月から三重県立美術館、大阪国立国際美術館と巡回し8月下旬より写真美術館で始まったこの展覧会。これは面白そうな展覧会だと東京へやって来るのを心待ちにしていました。

また、チラシの森村さん扮するフェルメール作「真珠の耳飾りの少女」がどうしても気になってしまい、展覧会開始後間もなく写美へ。


森村泰昌「フェルメール研究(振り向く絵画)」と実際のフェルメールの作品を比較してみると、寸分違わずほぼ完璧に扮装し似せてあります。「根性」という言葉がまっ先に頭に浮かびました。「私淑」やはたまた「信念」などではなく目の前にあるのは森村氏のただならぬ「根性」のみ。

横浜美術館で拝見した「絵画芸術」に登場する人物に扮した作品よりも、単体ながらこちらの方が見えない部分や「振り向く」以前は何をしていたかなど、個人の想像に委ねられる部分を丁寧且つ予定調和的にまとめていらっしゃいます。



フェルメール・ファンが最も愛する作品に描かれている可憐で無垢な少女に、おっさんが扮するわけです。中途半端なことをしたらそれこそ袋叩きにあうこと間違いなし。それでも敢えてこの作品に挑戦したのですからやっぱり「根性」入っています。

観る前よりも観た後の方が作品(森村氏)に対する印象良くなるはずです。単なるコスプレ好きなおっさんかもしれませんが、ここまで徹することができ、「物語」も文脈に沿って用意されているので画像で観ている時よりはるかに好印象を得ること出来るはずです。嫌悪感お持ちの方も少しは和らぐかと。

「絵画」は絵画。「動画」は動画と森村さんの場合きとんと区分重なる部分はあろうとも、双方がバランスよく「不可侵条約」を結んでいるように観えます。

今回の展覧会に出展されている作品の優劣を付けるとするなら、この部分が採点基準として大きなポイントとなるのではないでしょうか。展覧会のチラシには以下のように記されています。この中で絵画と映像の「二つの領域の境界を揺るがせ」ることについてはさほど異論ありませんが、「ジャンルの概念そのものを組み替える可能性がある」という表現については承諾できかねないと観に行く前からぼんやりと考えていました。

誕生して高々半世紀ちょっとの映像芸術が絵画芸術と比肩するかのような表現は、願望も含まれているとしてもあまりにも先走ったものかと。そうして自分自身の立ち位置を失ってしまうこと現実の社会でもよくあることです。尖がるのも大切ですが謙虚な心無くしては全てが水泡に帰してしまいます。パイクが泣きます。

展覧会始まり早々に出かけた割には記事を書く気が起らなかったのはその所為。(今日はお気に入りの服をゲットし機嫌がいいので書く気になった)

言いたいことは、ほぼ書いたのであとは流します。
以下出展作家と主な作品です。


ビル・ヴィオラ Bill Viola 「プールの反映
今回はこれ一点のみ。森美術館で最高の演出の下ビル・ヴィオラの作品をこれでもか〜と堪能したので今回はパッとしない印象を受けた。(「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」)目が贅沢になっていると実感。


イヴ・サスマン Eve Sussman 「浮上するフェルガス
ビル・ヴィオラの「ラフト/漂流」とイメージのだぶる作品。過度なスロー再生で起こる「事件」は一度見始めてしまうと離れられなくなる。結局全部観た。


サム・テイラー=ウッド Sam Taylor-Wood「スティル・ライフ
隣に展示されていたイヴ・サスマンとは対照的に朽ち果ててゆく様子を超高速で我々に提示。時間の概念が吹っ飛ぶ。タイトルもシニカルで好い。


ジュリアン・オピー Julian Opie 「イブニング・ドレスの女
馴染みのあるせいもあるが、オピーが最も巧みに液晶動画を扱える作家であることはこの展覧会をざっと見ただけでも明らか。絵画にあって映像にないもの。映像にあって絵画にないもの。そういった見方で(はっきり両者を分け隔て)一定の距離を保ち作品を制作しているように思える。


ドミニク・レイマン Dominik Lejman 「Yo Lo Vi
誰もが簡単に悪の加担者となれることを、映像というリアルな手段を用いて教えてくれる作品。何度も何度も「鑑賞」してみた。最後は足を振り上げキック!


千住博 Senju Hiroshi 「水の森
「芸術は時代の科学の最先端と結びついている故、日本画といわれている表現にはこんなにもいろいろな可能性があるのだ、ということを伝えたい」のだそうだ。残念でした。浮世絵からあの作品を作り上げたオピーの爪の垢でも。。。


やなぎみわ Yanagi Miwa 「Fortunetelling
何とも恐ろしい作品。やなぎみわは本当に巧い。年をとり老いること、誰かと対立すること、我々の日常から切り離すことのできない事柄を童話仕立てで観させる。刮目せよといわんばかりに。

そろそろタイムアップなのでこの辺で。鷹野さんの作品好きだな〜はじめ一時笑いを持って接することができ、次第に「これってもしかして…」と考えさせられることの出来る作品仕立てる手腕はお見事。

ミロスワフ・バウカ Miroslaw Balka
ヤン・フードン Yan Fugong
チウ・アンション Qiu Anxiong
鷹野隆大 TakanoRyudai
小島千雪 Kojima Chiyuki
ブライアン・イーノ Brian Eno

期待せずに行くと宝物の原石に出会えるかもしれない展覧会です。

「液晶絵画 Still/Motion」展は10月13日までです。

最後に「今日の一枚


ジュリアン・オピー「ペンダントをつけたキエラ

この作品を観て、間違いなく正当な歌麿の継承者はオピーだと実感。
巧過ぎ!これ嫌いな男子いないって。

「オピー師匠」と呼ばせてもらうことにしよう。

Fairly Tale 老少女綺譚
Fairly Tale 老少女綺譚
やなぎ みわ,セス・ヤーデン

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それでは最後に「今日の美味


ゾーンジェラート(ZONE GELATO)の「マンゴージェラート
「健康に良い甘いもの」という言語矛盾を抱えた商品ながらそこそこ美味い。でも今さらカロリー気にしてもな…

おまけ:今回の展覧会で使用されている液晶はシャープさんの提供。
話がループしますが、シャープと言えばCMにフェルメール使っていましたね。



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真珠の耳飾りの少女 通常版
真珠の耳飾りの少女 通常版

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JUGEMテーマ:アート・デザイン


ビデオの技術は視覚文化に大きな影響を与えてきました。1960年代に登場したビデオ・アートもそのひとつ。ナム・ジュン・パイクを嚆矢とするビデオ・アーティストたちは、映画とはまったく異なった映像の可能性に注目し、ビデオならではのさまざまな実験的作品を試みてきました。そして近年、液晶ディスプレイをはじめとする映像環境は飛躍的な技術的発展をとげており、以前では考えられなかったような高精細の画面を実現しています。本展はそうした状況を背景に、映像表現による現行の新たな可能性を切り開きつつある、日本、中国、欧米の作家14名の作品をご紹介いたします。
共通する特色は映像表現の中に絵画的な世界の効果を生かしているというところにあります。時間軸が絵画に介在し、映像に絵画と同質の空間が立ち現れるような、時間芸術と空間芸術とが相互に融合したような、不思議な世界を私たちは目の当たりにすることでしょう。屏風状に配した液晶ディスプレイの中で山水が微かな動きを宿す作品(千住博)、フィルメールをテーマとした展示空間によって、タブローの世界と映像の世界とを往来する試み(森村泰昌)、スローモーションで動く絵画的な美しい画面と音楽とを精妙にシンクロさせた作品(ブライアン・イーノ)、水墨的技法によるアニメーション作品(チウ・アンション)などのユニークな試みは、私たちに、新鮮な世界の発見と驚きを与えてくれるに違いありません。


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この記事に対するコメント

私は三重でこの展覧会を見ました。やはり場所柄(笑)人が少なくて、とても楽しめました。

ひとつひとつは物足りないかもしれないけれど、初心者にとってはすべてを見たあとには「現代あーと」への垣根がなくなる・・・素敵な企画だなあと思いました。

やなぎみわ氏は女子にとってはたまらん魅力を持っています。よく言ってくれた!みたいな・・・。
トレメンス | 2008/09/22 12:55 AM
@トレメンスさん
こんにちは。
コメントありがとうございます。

「液晶絵画」と一口に言っても
ほんと様々なものありますよね。

逆にその辺が物足りなさを感じた
ところでもあったのですが
まだまだ歴史的に日の浅いジャンルですから
これはこれでよいのかな〜と

絵画以上に見る側を選ぶものだと
あらためて思わされました
Tak管理人 | 2008/09/22 8:03 AM
Takさ〜ん☆
東京都写真美術館さまは、《これ》チラシにお使いになったのですか?!
わぁ。。。。大胆な(絶句)
むしろ、絵画芸術のほうが。。。って。思ったり。
rossa | 2008/09/22 9:22 AM
こんにちは
現代アートがニガテなわたしも楽しませてもらいました。
森村さんとやなぎみわさんが目当てでしたが、やっぱり行くと色々目を開かれますね。
多少見たくないものもありましたが、それはそれで対峙しなければ何も起こらない、と改めて実感しました。
遊行七恵 | 2008/09/22 12:38 PM
昨日、行って来ました。TBします。
玉石混淆というのはこのことでしょうか。
この忙しい現代では、あの超スロー作品は困り者。
とら | 2008/09/22 9:48 PM
@rossaさん
こんばんは。

写真美術館のチラシ
フェルメール展を
開催していることもあり
宣伝効果抜群です。
ドキッとさせられますしね。

@遊行七恵さん
こんばんは。

観なくてもいいような作品もちらほら。
横浜トリエンナーレではその数が
かなり多く、スルーしてしまった
映像作品かなりありました。

横トリ行ったあとに恵比寿に行くと
もしかしてとっても「良心的」な
展覧会に見えるかもしれません。

@とらさん
こんばんは。
TBありがとうございます!

ほんと玉石混合でしたね。
好き嫌いのはっきり分かれる作品。
作品としての完成度からも
鑑賞者としての立場からもそれぞれ。
Tak管理人 | 2008/09/24 6:17 PM
TB有難うございました!

>間違いなく正当な歌麿の継承者はオピーだと実感。
うわー、上手いことおっしゃいますねぇ。
シンプルで迷いのない線は、確かに歌麿を髣髴とさせます。
偏屈王 | 2008/10/08 6:58 AM
@偏屈王さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

実際に歌麿の浮世絵から
着想を得てこの類の作品を
オピーは制作しているそうです!
Tak管理人 | 2008/10/08 10:44 PM
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液晶絵画 /Still Motion ■会期 2008年4月29日(火・祝)〜6月15日(日) 国立国際美術館 平成20年5月18日(日)「国際博物館の日」は、 「コレクション1」、「液晶絵画展」ともに観覧無料です。 ■東京展:8月23日(土)〜10月13日(月・祝)東京都写真美術館
液晶絵画 /Still Motion | Art with You&rossa-blog | 2008/09/22 9:16 AM
 今年の3月ころ、知り合いの方から「液晶絵画」という企画を三重県立美術館でやって
液晶絵画という創造 | It's a beautiful noise | 2008/09/22 11:42 AM
国際美術館で『液晶絵画』展を見てきた。 三重県立美術館から巡回し、大阪の後は東京にゆくそうだ。写真美術館で8/23から。 スティル/モーシ...
『液晶絵画』を眺める | 遊行七恵の日々是遊行 | 2008/09/22 12:34 PM
 水戸の《オピー展》など、液晶ディスプレイを使った現代美術を見る機会が増えてきた。今回もそういう意味で期待して見に行った。 しかしはっきりいうと、玉石混淆の展覧会である。また、この美術館はサービスが悪いというか工夫が足りない。小さい字のパンフレットが
9月23日の祝日に「液晶絵画 STILL/MOTION」展を観に行った。 MOTやICCではなく、写美でこの展覧会を開催というのは意外。 「ビデオ・アート」というと手垢の付いた感じだが、「液晶絵画」というと途端に新鮮で知的な響き。 フェルメールのブルーを効果的に使ったポ
「液晶絵画 STILL/MOTION」展 | キネオラマの月が昇る〜偏屈王日記〜 | 2008/10/03 9:36 PM
液晶絵画&ヴィジョンズ オブ アメリカ東京都写真美術館    9月6日(土) 時々   HP  「液晶絵画」  先日、「フェルメール展」で本物を見て来たのですが、ちょっと森村泰昌さんのフェルメール研究っていうものが気になっていました。
液晶絵画&ヴィジョンズ オブ アメリカ | 京の昼寝〜♪ | 2008/10/04 8:48 AM