2008.09.25 Thursday
「モーリス・ルイス展」
川村記念美術館で開催中の
「モーリス・ルイス 秘密の色層」展に行って来ました。 ![]() 千葉県佐倉市にある川村記念美術館へはもう数えきれない程行っていますが、雨、しかも土砂降りの雨に降られたのは今回が初めて。「川村美術館=晴れ」の方程式崩落。こんな天気の日に行ったのではこの美術館の持つ良さの半分も感受すること出来ません。 ![]() それでも、日本で20年ぶりとなるルイス展(前回は1986年に滋賀県立近代美術館で開催)となれば雨をおしても出かける価値あろうかと。 ところで、モーリス・ルイスって誰?? Morris LOUIS(1912-1962)アメリカのボルティモアに生まれ、メリーランド州立美術工芸学校で絵画を学んだ。1936年ニューヨークに出て、シケイロスの工房などで働いた。1943年ボルティモアに戻り、1952年からワシントンで活動、翌年最初の個展を開いた。ヘレン・フランケンサラーの作品に触発されて、1954年から、絵筆を使わずに、薄く溶いたアクリル樹脂絵具を生のキャンヴァスに流して染み込ませる技法を用いるようになる。巨大なキャンヴァスに浸透した色彩の広がりによって形成される絵画空間の追求を行い、抽象表現主義に続くカラー・フィールド・ペインティングの代表的な画家として注目された。1962年、ワシントンにて没。(愛知県立美術館サイトより) 第二次世界大戦後アート中心はヨーロッパからアメリカへ。アクション・ペインティングという武器を引っ提げてその旗振り役を果たしたジャクソン・ポロック(Jackson Pollock, 1912年〜1956年)と奇しくも同じ年に生まれたモリス。 しかしながらポロックとは作品の画風から生き方までかなり違いが。 そして知名度の面でもポロックに大きく水をあけられています。 また同じ「カラーフィールド・ペインティング」に属するマーク・ロスコやバーネット・ニューマンにも。(川村には「ロスコ・ルーム」、「ニューマン・ルーム」があります) 同時代のアメリカの画家さんと比べるとちょっとマイナーな存在であるルイスですが、作品の前に立てばたちどころに「ファン」になること間違いなし。ポロックの何処がいいのかさっぱり分からない人など特にお勧め。 モリスは肺がんで亡くなる前の5,6年の間に今回展示されている全ての作品を「描いた」そうです。その数数百点。キャンバスを綿のまま(地塗りを施していない画布)使用。出来上がった作品が乾くとくるくると丸めて自宅の倉庫へ。1959年に開催された個展に出店する際初めて木枠に付けたそうです。 彼の作風に合わせ、展覧会も3つのスペースで構成。 「ヴェール」 「アンファールド」 「ストライプ」 やはりこの中で最も印象的でありモリス独自の世界を出しているのが「ヴェール」シリーズ。アクリル絵具を薄め、画布に直接流し込んで描かれたとされています。(真相は謎のまま)「スティニング」技法と説明がありました。 ![]() 「Green by Gold」金色と緑色 1958年 ![]() 「Gimel」 ギメル 1958年 ![]() 「Nun」ヌン 1959年 筆は一切用いていないそうです。ほとんどの作品が2.5m×3.5mほどもあるビックサイズ。アクリル絵具が乾く前に素早く描かねばなりません。一体どうやって?因みにルイスの奥さんは学校の先生。奥さんが昼間働きに出ている間にわずか4.3m×3.7mのスペースしかない自宅のアトリエで制作したそうです。 そのアトリエには生前その奥様でさえも入室が禁じられていたほど。彼がどのようにして描いたのか謎のままだとか。特に「薄めた絵具をどうやって端から端まで均等な濃度を保ってカンヴァスに定着させたのか?」など包み込まれそうな感覚に陥る巨大な作品の前でその謎は一層膨張し深まってゆくばかり。 でも、考えても分からないことに頭悩ますよりも、素直にモリスの「ヴェール」に包まれ身をゆだねてしまった方がどれだけ心地よいことか。諦めの早いO型の自分。早々に「ヴェール」に包まれる方をチョイス。 どこかしら植物的な雰囲気すら宿る作品群。 最初の展示室が最も見ごたえありました。 アクリル絵具で表現された巨大なキャンバスの上には、よどみのないモリスと重力が作りだした美しい世界が広がります。 因みにこちらは「Green by Gold」の上端の一部。 ![]() 幾重にも重ねられ作り出されたものであることの証。 モリスと重力そして神により定められた予定調和の世界。 美術学校を卒業後奨学金をもらいニューヨークで制作活動をするも、評価は得られず逃げるかのようにし故郷ボルチモアへ。そこで前述の奥様と出合い結婚。世間の目や評価に流されることなく自宅のアトリエ(ダイニングルームを利用)淡々と独自の世界を作り出していったルイス。 まるで「世捨て人」のような画家さんです。 お金が絡みに絡んだ「アートの潮流」に流されないポジションで誰にも邪魔を受けずに黙々と薄めたアクリル絵具を狭いアトリエで流し、妻の帰りを待ちながら制作していた頃の作品が最も輝いて見えました。 はっきり言ってもっともっと作品に触れてみたい。 今回のモリス展で唯一残念な点が出展作品数が少ないこと。 総数15点ではちょっと。。。 「ヴェール」シリーズの他に「アンファールド」シリーズ ![]() 「Omicron」 オミクロン 1960年 ![]() 「Delta Mu 」デルタ・ミュー 1960-61年 そして「ストライプ」シリーズも数点だけ。 ![]() 「Partition」 パーティション 1962年 アメリカの現代アートの作家さんの中では「止め時」をよく心得ている画家さんのように思えます。常設展にある大量のフランク・ステラの止め時を逸してしまった作品を展示しておくなら、モリスのヴェール・シリーズあと数枚展示した方が宜しいのでは。 尤も、止め時を逸し苦しみながら生きながらえているステラと止め時を踏まえそして肺がんで50歳の若さでこの世とお別れしたルイスを比較するには恰好の材料かもしれません。現代アート止め時見失ってしまうと、ポロックやロスコのように自ら死を選ぶことにも。 モーリス・ルイスの言葉です。 「どこで止めるかは、制作上とても重要なことです。」 「モーリス・ルイス展」は11月30日までです。晴れた秋の日に。 最後に「今日の一枚」 ![]() 「VAV」ヴァヴ 1960年 【ロスコ・ルームは閉鎖中です】の案内が… ロンドンのテート・モダンと川村記念美術館で、半世紀以上にわたって散逸したままのロスコ晩年の連作「シーグラム壁画」を集めた展覧会が開催。来年6月まではロンドンに貸出中の為、川村記念美術館の目玉「ロスコ・ルーム」は閉鎖。 テート・モダン 2008/9/26-2009/2/1 川村記念美術館 2009/2/21-2009/6/7 残念。。。その代わりに?テイトから「VAV」が。 貸し出し中のロスコの作品にそっくりなのは偶然なのかな〜 ![]() Mark Rothko おまけ:千葉日報のルイス展紹介記事。 ルイスの世界に浸って 佐倉の川村記念美術館 抽象画15点紹介 アトリエも再現 二十世紀アメリカ美術を代表する画家の一人で、モーリス・ルイス(一九一二−六二年)の抽象画を紹介、制作の秘密に迫る「モーリス・ルイス 秘密の色層」展が、佐倉市坂戸の川村記念美術館で開かれている。ルイスは、巨大なキャンバスに、薄めた絵具を幾重にも流し込む独自の手法で、美しい染め物のような作品を生み出した。現存する六百点のほとんどが幅三メートルを超える大作という。同展ではヴェール、アンフォールド、ストライプという三つの主要なスタイルの作品を中心に、国内外で所蔵されている十五点を展示している。 会場では、使用した絵の具や不思議なタイトル、制作手法など作品にまつわる「秘密」も紹介。ルイスがアトリエとし、制作中は妻にも入室を禁じたという、自宅のダイニングルーム(四・三メートル×三・七メートル)の空間が会場の一角に再現され、どのように幅五メートル以上の作品を描いたのか―など、謎を体感することができるユニークな試みも。 それでは最後に「今日の美味」 ![]() 銚子電鉄の「ぬれ煎餅」 うるち米(国産)と書かれているけど大丈夫かな〜 【関連エントリー】 - 弐代目・青い日記帳 | 川村記念美術館リニューアル - 弐代目・青い日記帳 | 「ピカソ展」ー幻のジャクリーヌ・コレクションー - 弐代目・青い日記帳 | 「マルク・シャガール展」&長谷川等誉「涅槃図」 - 弐代目・青い日記帳 | 「ゲルハルト・リヒター展」 - 弐代目・青い日記帳 | 「ロバート・ライマン -至福の絵画」展 - 弐代目・青い日記帳 | 「パウル・クレー展」 - 弐代目・青い日記帳 | 「アルベルト・ジャコメッティ 矢内原伊作とともに展」 - 弐代目・青い日記帳 | 「ハンス・アルプ展」 - 弐代目・青い日記帳 | 「驚異の深海生物」展 この記事のURL http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1523 JUGEMテーマ:アート・デザイン モーリス・ルイスは、1912年にアメリカの首都ワシントンD.C.に程近い港町ボルチモアに生まれました。地元の美術学校を卒業後、一時はニューヨークで活動しましたが、31歳で地元に戻ってからは、主にワシントンD.C.を制作の拠点としてきました。絵画講師のかたわら、自宅の小さなダイニングルームをアトリエとし、妻が仕事で外出している時間を、ひとり黙々と絵画制作に費やしたのです。 |




















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