青い日記帳 

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「八犬伝の世界」展

千葉市美術館で開催中の
「八犬伝の世界」展に行って来ました。



千葉市美術館はひっそりととてつもない展覧会を開催することで有名ですが、今回もまたやってくれました。unreasonableな展覧会。

曲亭馬琴(滝沢馬琴)が28年間の長期にわたり執筆した「南総里見八犬伝」。勧善懲悪を軸に描き出されるスペクタルな世界に映画、人形劇、歌舞伎、漫画などいずれかを通し一度は接し、胸躍らせた経験がおありのはず。

そんな八犬伝の世界を浮世絵を中心に観て行こうという企画展。当時から庶民の間にも絶大な人気を博していた八犬伝の名場面は浮世絵の恰好の題材。浮世絵師たちが放っておくわけがありません!


歌川国芳「八犬伝之内芳流閣」1840年

ご存じ国芳の作品。敵味方入り乱れての屋根上での大乱闘。騒動に驚き楼閣を後にする千鳥たち。屋根の上での決闘は典型的なパターンのようで、これに似た作品他にも何点かありました。


歌川芳虎「庚申山の場 赤岩一角に化けた怪猫と犬飼現八」1849-50年

芳虎は国芳の門人。中央に犬飼現八、右に対峙する化け猫。人間の姿で描かれているのは犬飼現八のみ。何ともオドロオドロシイ場面。


歌川国芳「犬飼現八信道 犬塚信の戌孝」1852年

丁度真中でシンメトリーの場面構成を成す、大判錦絵2枚続の作品。八犬師二人がそれぞれ左右で違いの見得を切っているかのよう。物語中どのシーンか失念してしまっても作品の魅力だけで十分ワクワクさせられます。

これこそ今回の展覧会の最も魅力的な側面。

長大な八犬伝の全ストーリーを細部まで覚えていなくても、ここぞ!という見せ場をチョイスして浮世絵に仕立ててくれているので絵を見ているだけでも、いつしか八犬伝の世界へのめり込むこと出来ます。またキャプションも簡潔且つ丁寧なのも魅力のひとつ。

千葉市美術館学芸員の田辺昌子氏が執筆された『南総里見八犬伝』のあらすじが会場入口でもらえます。これも凄い。5ページに渡りびっしりと「あらすじ」がそれぞれ場面ごとに書かれています。ある意味これだけ読むだけでも十分。

まさに至れり尽くせりです。


三代目歌川豊国「豊國揮毫 奇術競 犬山道節」1861年

豊国の「奇術競」シリーズ。火遁の術!!この一枚からも分かる通り、見どころの一つとして着物の柄があげられます。その文様、意匠により描かれた人物が誰だか当時の人ならたちどころに分かったのでしょう。

当然ながら他の作品では「八犬伝」故、犬をあしらった意匠があちこちに。お雛祭りに飾る伽犬(犬筥)までデザイン化されていました。

大首絵もたくさんあります。


二代目歌川国貞「八犬傳 犬の草紙帋逎 尼妙椿」1852年

善人だけではお話進みません。大事なのはヒーローにも引けを取らないほど魅力的な「敵役」の存在。八犬伝の悪役キャラと言えば玉梓ですがこの尼妙椿もまた。。。そういえば子供のころ観ていた戦隊シリーズや仮面ライダーにも女悪玉キャラがそれぞれいました。主役を食うほど存在感あったりしたことも。

遅ればせながら展覧会の構成を。
1:『南総里見八犬伝』の誕生と曲亭馬琴
2:錦絵「犬の草紙」にみる八犬伝の登場人物たち
3:八犬伝の名シーン
4:八犬士が揃う
5:八犬伝を熱演する役者たち
6:八犬伝に遊ぶ
7:八犬伝、現代に生きる−進化するイメージ


後半には河鍋暁斎や横尾忠則などの作品も。
そして「今日の一枚」としてこちらを。


鏑木清方「曲亭馬琴」1907年

晩年目が見えなくなってからも「八犬伝」を口述で書き続けた馬琴の姿。スピードばかり求められる今の時代、馬琴の執念に近い大作を超える作品は登場する場ないようです。(漫画の世界なら荒木飛呂彦がいるけど…)

千葉市美術館の「八犬伝の世界」は10月26日までです。
遊行七恵さん急いで!!

チケットのデザインも素敵!

仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌

こちらのサイトよくまとまってます。画像も豊富。
南房総データベース「南総里見八犬伝」

碧也ぴんくの原画も展示されていました。
八犬伝 (1) (HMB)
八犬伝 (1) (HMB)
碧也 ぴんく,滝沢 馬琴

個人的に「八犬伝」といえば「薬師丸ひろ子」かな〜

そうそう、大事なことを。「八犬伝の世界」と同時に所蔵作品展「ナンバーズ・数をめぐって」も開催しています。曾我蕭白「虎渓三笑図」や伊東深水「近江八景」シリーズなども。
伊東深水

また月岡芳年の「風俗三十二相」シリーズも全点展示されています。

月岡芳年「風俗三十二相 けむさう
 「三筆」「四天王」「七福神」など、同類のものをいくつかまとめ、一定の決まった数を添えて呼ぶ名称のことを「名数」といいます。名数が揃うことを素朴によろこび、心地よく思う気持ちは古今変わりがありません。「八景」「八態」「八種」などと、「八」を揃えた「八犬伝の世界」番外編をまずはお楽しみください。企画展には不出品の当館所蔵・寄託の「八犬伝」関連浮世絵も少数ですがあわせて展示します。
 版画揃物をはじめとして、作品の中の「名数」さがし、「百」「千」「万」のものづくしの諸相、時をあらわす数の世界など、所蔵作品のなかから、江戸時代から現代に至る数にまつわる作品のさまざまを展示いたします。
千葉市まで電車賃かけて行くだけの価値十二分にあります!

ついでに、千葉県立中央博物館でこんな興味深い展示が!

完本 八犬伝の世界 (ちくま学芸文庫)
完本 八犬伝の世界 (ちくま学芸文庫)
高田 衛


それでは最後に「今日の美味


ラーメン二郎松戸駅前店。このどう見ても身体に悪そうなラーメンが時たま無性に食べたくなるのはどうしてなのでしょう。。。

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曲亭馬琴(1767-1848)が、文化11年(1814)から天保13年(1842)までの長期にわたって執筆、刊行した読本『南総里見八犬伝』は、善悪入り乱れて様々なエピソードが繰り広げられる、全98巻106冊に及ぶ我が国最大の長編伝奇小説として知られています。
まもなく歌舞伎の題材として取り上げられ、関連する浮世絵なども多く制作されました。世代を問わず人々を夢中にさせた八犬伝の世界は、まさに江戸時代後期の文化を集約したものと言ってよいでしょう。
その人気は、明治時代以降も連綿と続き、現在に至るまで美術、文学、漫画、映画、演劇などの題材として取り上げられています。
原作を読む機会がなかったとしても、NHK人形劇『新八犬伝』や市川猿之助のスーパー歌舞伎「八犬伝」などで、物語に親しんだ方も多いことでしょう。

2008年は馬琴没後160年に当たります。本展覧会は、服部仁氏の八犬伝浮世絵コレクションを中心に、馬琴の資料、近代日本画、現代の歌舞伎、少女漫画に至るまでの多彩な作品約250点を通して、現代にも通じる「八犬伝の世界」の魅力を探るものです。

展覧会 | permalink | comments(7) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

南総里見八犬伝には、身体中の血が騒ぎます。
何しろ、名前からして、八剣士のうちの一人。
ましてや、我が祖先はもともと、南総、安房の出な
ものですから。
一村雨 | 2008/09/29 4:26 AM
@一村雨さん
こんにちは。

始まって間もなくご覧になって
いらっしゃいましたよね!
刀「村雨」も登場しますしね。
一村雨さんの解説付きで
もう一度行きたいです。
Tak管理人 | 2008/09/29 8:46 AM
こんにちは
こちらにもお邪魔して、途端「ううう」です。
呼びかけが〜〜っっ
10/18に参ります。
一村雨さん、Takさんと先達の記事をアタマに入れて、いざ!!!
遊行七恵 | 2008/09/29 12:50 PM
まさにその「安房」出身のモノです。
薬師丸ひろ子の八犬伝では、父がロケハンに協力して、
スタッフはウチの親戚のホテルに陣を構えました。
懐かしゅうございます〜

てコトは見に行かないといけないっすよね。
国芳ちゃーん!
最近浮世絵づいてるよね!
サノア | 2008/09/30 3:10 AM
@遊行七恵さん
こんばんは。

是非是非。
と言わずともいらっしゃいますよね。
これ遊行さんの為にあるような展覧会。
多分、4時間くらいは滞在されるのでは。
どうぞごゆっくりと。

@サノアさん
こんばんは。

おーー凄いレアな話。
薬師丸ひろ子の話題ふっても
中々ついてきて下さるかたいなくて。。。

浮世絵人気とどまるところしりませんね。
来週からはボストン浮世絵名品展も
始まるし!
もうわくわくです。
Tak管理人 | 2008/09/30 11:07 PM
5時間かけてゆっくり見てきました。
大した展覧会でした。
とら | 2008/10/05 10:00 AM
@とらさん
こんばんは。

ご、ご、五時間ですか!
それはそれは。
でも真剣に観たら確かにそれくらいかかりますよね。
Tak管理人 | 2008/10/05 10:42 PM
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