青い日記帳 

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ヴィルヘルム・ハンマースホイ展へ急げ!

何年かに一度、「この展覧会を見逃すと一生後悔する」類のハレー彗星の如き展覧会がこっそりと開催されます。「○○美術館展」(特にルーヴル)など毎年のように開催されどう考えても食傷気味。

それとは全く対照的な「今行かなくてどうする系」「これ見逃すと絶対に悔やむ系」の展覧会。それが現在上野国立西洋美術館で開催されている「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」展です。



既にこちらの記事で、展示作品や会場の様子、またこの展覧会を企画された佐藤直樹氏の解説も添えてあります。どこがそんなにいいの〜と半信半疑の方是非。
ハンマースホイ展は、2008年6月28日から9月7日まで先行してロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(RAA)で開催され、9月30日から12月7日まで東京の国立西洋美術館で開催されます。
両展とも、ハンブルク展のキュレイターであったフェリックス・クレマーと、国立西洋美術館の佐藤直樹が共同で企画しました。出品作品はロンドンでハンマースホイ約70点、東京ではハンマースホイ約90点にハンマースホイと同時代に活躍したデンマークの画家ピーダ・イルステズとカール・ホルスーウの約10点を加えた総数約100点となり、これまでにない大規模の回顧展が東京で実現する運びとなりました。
前回の記事で紹介しきれなかったハンマースホイの作品を数点。


ローマ、サント・ステーファノ・ロトンド聖堂の内部
1902年 オーデンセ市立美術館
Photo © Odense Bys Museer / INFERNO, Wermund Bendtsen Fotografi ApS

ハンマースホイの作品の特徴として「メランコリックな表現」と「誰もいない人気のない空間」があげられます。まさにこれなどその代表格。

イタリアに3度も旅行に出掛けているハンマースホイですが、旅行中自ら筆を執り描いた作品はほとんどありません。イタリアへ赴き感化されあまたの風景画を残した作家さんが常。ハンマースホイはその「常識」から大きく外れています。

それでは、何故イタリアの風景を描こうとしなかったのか?それは弟宛てに書いた手紙にヒントが隠されているそうです。「自分はこの教会堂を見つけた。この教会堂はのがれている。

「のがれている」とは一体何から?それはローマの喧噪からであり、他の観光地と違い旅行者から逃げ隠れるようにしてひっそり佇んでいるこの教会堂の静けさに惹かれたのでしょう。(図録にはもっと詳細に書いてありました)

パリに旅行に行っても同じ。ラテンの土地はどうやらハンマースホイには受容出来ない場所だったようです。ロンドンでは市街地を描いていますが、やはり人っ子一人いない光景です。


陽光習作
1906年 デーヴィズ・コレクション B312
Photo © Pernille Klemp

こちらは自宅の部屋。
誰もいない室内だけを描くことは西洋絵画の歴史においては大変稀なこと。

妻イーダの後姿すら消え去っています。
床に窓からの明かりが。ハンマースホイの作品は極端に薄塗りです。
もし願い叶うならキャンバスを手に取りライトにかざしてみたい。
きっと裏まで透けて見えるほどかと。

それなのにドアノブもなくこの部屋から出ることのできない閉塞感を目を少し右のドアに転じると強く一挙に感じ襲いかかってきます。

でも、心地よいから「ここ」に居続けてもいいかも。。。


白い扉、あるいは開いた扉
1905年 デーヴィズ・コレクション B309
Photo © Pernille Klemp

17世紀オランダ絵画を写真をもとにして知っていたハンマースホイはしばしば、フェルメールやホーホなど当時を代表する画家の作風と似通った作品を多く残しています。(これは以前も書きました

しかし、人っ子一人いない室内画はフェルメールもファン・ミーリスも描いていません。前述しましたが、誰もいない室内を描くことは西洋絵画の世界では極めて異例なことです。

展覧会最後のセクションにこうした作品がまとめて展示されています。誰もいない室内画。でも誰かの気配は強く残っています作中に。

インタビューに生前こう応えたそうです「誰もいない室内に美を感じたから」描いたと。しかしハンマースホイは完全に人気を消し去ってしまったのでしょうか?実際に作品に囲まれて得た感想は……

サーモグラフィーで誰もいない室内画を計測したたぽつりぽつりと今まで誰かがそこに居たであろうことが分かるかも!

「目に見えるものだけが真実」という価値観に侵された現代人のパラダイムにグラグラと揺さぶりをかけてくるそんな作品です。ちなみに絵の中の歪みは意図的なものではなくキャンバスを張る時に出来てしまったものだそうです。

逆にいい味出しています。

いい味といえば、こちら。

前回「今日の美味」でも取り上げたアンデルセンオリジナル、ヴィルヘルム・ハンマースホイ展〜焼き菓子詰め合わせ。

ヴィルヘルム・ハンマースホイの生まれたデンマークは、アンデルセンがいつもお手本にしている国。そのデンマークの伝統的なお菓子クランセケーがはいったヴィルヘルム・ハンマースホイ展の限定商品です。クランセケー(2個)/手焼きスネールクッキー(1個)/手焼きジンジャークッキー(1個)/ 手焼きチョコチップクッキー(1個)

デンマークの伝統的なお菓子クランセケー(Kransekage)も入っています。我が家ではあっという間に食べつくされてしまいました。。。これ9月30日から3週間の期間限定品です。早いとこもう一度観に行かなくちゃ!



「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」は12月7日までです。
静かな作品を混雑する前にお早めに!!

そうそう、今日から上野では「大琳派展」も始まりましたね。
12日に、はるるどさんと共催で「大琳派オフ」開催します。
お時間、ご都合宜しい方是非。2次会からの参加も大歓迎です。

・mixiにアカウントをお持ちの方
 「大琳派オフ」専用のコミュニティがあります。そちらへご参加ください。
 http://mixi.jp/view_community.pl?id=3716102

・mixiにアカウントをお持ちでない方
 メールを、はろるどさん(harold1234アットマークgoo.jp)へ。

集合は午後3時、東京国立博物館の正門入口です。
その前に「ハンマースホイ展」観て来ます!

そうだ、、、江戸博でこちらも始まりましたね。

ボストン美術館 浮世絵名品展
10月7日(火)〜11月30日(日)

浮世絵師列伝 (別冊太陽)
浮世絵師列伝 (別冊太陽) 小林 忠


「芸術の秋」毎年のことながら忙しないです。

そんな中、やっぱりイチオシはハンマースホイ展かな。

ギャラリートーク・スライドトークも金曜午後6時から!

日時:10月10日(金)、10月24日(金)
   11月7日(金)、11月21日(金)
毎回18:00〜(約40分) 解説: 佐藤 直樹(国立西洋美術館主任研究員)/萬屋 健司(大阪大学大学院) 会場: 国立西洋美術館講堂 定員: 先着145名 

期間中どうしても行けない!という方、サイトから図録購入できます。

【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | 「ハンマースホイ展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「ハンマースホイ展」(ロンドン)
- 弐代目・青い日記帳 | 「ボストン美術館 浮世絵名品展」公開記者発表会
- 弐代目・青い日記帳 | 肉筆浮世絵展「江戸の誘惑」

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1535

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ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864-1916)は、生前にヨーロッパで高い評価を得た、デンマークを代表する作家の一人です。没後、急速に忘れ去られましたが近年、再び脚光を浴びています。ハンマースホイの作品は17世紀オランダ絵画の強い影響を受け、フェルメールを思わせる静謐な室内表現を特徴としています。室内画の舞台は自宅であり、登場人物として妻のイーダが後姿で繰り返し描かれました。イーダの後姿は、我々を画中へと導いてくれるのですが、同時に、陰鬱な室内と彼女の背中によって、我々は「招かざる客」かのような拒絶感も覚えることとなります。しかしながら、ハンマースホイの室内画が決して居心地が悪いというわけでありません。モノトーンを基調とした静寂な絵画空間が綿密に構成されているためでしょう。まるで音のない世界に包まれているような感覚に浸れるのです。
ハンマースホイの芸術世界を日本で初めて紹介する本展では、同時期に活躍した、デンマーク室内画派とよばれるピーダ・イルステズやカール・ホルスーウの作品も合わせて紹介します。デンマーク近代美術の魅力に触れることのできる大規模な回顧展となる予定です。
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この記事に対するコメント

この展覧会を見逃すと一生後悔する
ヴィルヘルム・ハンマースホイ展。
あんまり日本で開催されることはないんですね。
上野だったら電車で一本なので、気軽に行けそうです!
コンドル | 2008/10/08 1:59 PM
静かな感じなのになにか気になる絵ですね。
この後ろ姿の女性、すっごく気になります。
なぜ黒い服を着てるのかしら?
手に持っているのはお盆?
う〜ん、直に見てみたい。
サッチャン | 2008/10/08 3:00 PM
@コンドルさん
こんばんは。

とりわけ女性の方に絶対支持される画家かと。
観ておくべきです、これは。
私少なくともあと二回は行きます。
すっかり虜です。

@サッチャンさん
こんばんは。

後姿の女性は大概奥様のイーダです。
黒い服を着ているのは彼女が
病気がちだったことも影響あるかも
実際はハンマースホイのほうが
早くこの世を去ってしまうのですけどね。
Tak管理人 | 2008/10/08 10:46 PM
はじめまして。
私も今日展覧会を見てきました。
この画家、全然知らなかったのですが上野を歩いていたら気になって・・・
行って良かったです。ものすごく素敵な展覧会でした^^
リュカ | 2008/10/21 7:59 PM
@リュカさん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

私もちょっと前まで全然知りませんでした。
しかし知ってしまった今は無視すること
全くできないどころか頭から離れません!
ここまでお勧めな展覧会も滅多にありません。

今後とも宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2008/10/21 8:51 PM
Tak さんがロンドン展を紹介した記事を読んで以来、ずっと、気になっていたんですけど、なかなか観に行けなくて、ようやく昨日行ってきました。紹介してくれなかったら知らない作家だったので、教えてもらってよかったです。
とてもいい展覧会でした。観終わった時に、美術館通いが趣味そうな、ご婦人が「今まで観た事のない作風の画家よねぇ」と、しみじみ、お友達と話しているのが印象的でした。ホントに、不思議な印象を与えてくれる作品ばかりでした。
ちなみに、アンデルセンの焼き菓子詰め合わせ、私も買いました。クランセケーって、香ばしくて美味しいですね。やみつきになりました。
えび | 2008/10/24 3:39 PM
@えびさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

ロンドンよりも何倍も
上野の方が落ち着いて観ること出来ました。
ロンドンの会場は狭く押しくらまんじゅう状態。
それに比べ日本はかなりゆったりしていたかも
それにあの構成がやはり泣かせてくれます。

お菓子は甘味が抑えてあり
自分も大変美味しく頂きました。
これ買って正解でした!
Tak管理人 | 2008/10/24 8:51 PM
たしか99年頃の「オルセー展」に「休息」が来てました。
が、ほとんど覚えてないんですよねぇ…。
でも今回は、どれもこれもセンセーショナル!
ホント素晴らしかった!万感迫るものがありました。
パレットにも額にも唸らされました。
個人蔵と、西洋美術館所蔵数の多さにも驚きです。
かくしてたのねぇ。。。
奥様のお名前「Idaさん」と仰るようですが、
アメリカに「ida(アイダとよむ)」というアーティストがいて、
まったりと静かな曲調と、優しい歌声が、Ida奥様の後姿の絵と
合ってる気がしました。
いや、ホント、良かったです(><)!
nao | 2008/10/24 11:56 PM
@naoさん
こんにちは。

オルセー展の時に妙に惹かれるものがあり
ポスト―カード買ってしまいました。
探したらちゃんと出て来ましたよ!

パレットは笑ってしまうほどグレーでしたね。
特徴ありすぎ。分かりやすいです。

西洋美術館は今年の4月にハンマースホイを
一点購入したそうです。この展覧会が終わっても
常設展で楽しむことできますね!
Tak管理人 | 2008/10/26 2:27 PM
こんにちは。初めて、お便りします。
ぼくも、この間、一人でハンマースホイ展を観に行って,感動した一人です。
職場に行っても、こんな会話できるはずもなく、自分一人で暖めていました。
それで、偶然にこのサイトを開いて、「ああ、こんなにも共感できる人たちがいるんだ。」とうれしくなりました。

前置きが長くなりました。
Takさんを始め、たくさんの方がハンマースホイについて書かれているのですが、自分はちょっと、違う見方なので,どうかなと思って書いてみます。
まず、室内画について。フェルメールとの比較で、影響されている点を指摘されています。確かに、フェルメールから影響を受けている事は間違いないのですが、ぼくはこのハンマースホイという人は画家というよりは建築家に近い感性を持っていたんではないだろうかと思います。
例えば、前半は妻の後ろ姿を入れて、室内画を描いていますが、後半は誰もいない,室内画のみを描いています。これはある人にとっては『孤独」に結びつけたりしますが、ぼくの考え方は違います。それは「たまたま、妻がいた。」『たまたま,妻がいない」それは舞台装置のようなもので、今いない部屋でも、もしかしたら、何分後かに誰かがくるかもしれない。そうした,ことを暗示させる、時間的空間を描いているのではないか?

ある絵は西日の差し込むソファーを描いていますが、ちょっと前に誰かが座っていて、たまたま、別の部屋に行った時の情景を描いたのではないか。
ビデオをずっと撮っていて、その一部分ではないか?そんな気がします。
大抵の画家は、その時、起こった瞬間を絵にします。
モネにしてもそうです。でも、このハンマースホイという人はそんなこと関係ない。ソファーがあるなら,いずれ,誰かが座るだろう。永遠に座らないかもしれない。でも、そこにはソファーがある。そうした場所を提供する事が,次の展開を予想させたり,安心感を生んだりしているのかなと思いました。そういう意味ではハンマースホイはその時の情景を描いているのではなく、その物がある限り,ずっと続く、永遠の時間を表現しているように思いました。

とても,丁寧に様々な展覧会の事を書いているこのサイトが気に入って、思わず,生意気な事を書いてしましました。すみません。
これからもたくさん展覧会を紹介してください。



akira | 2009/01/11 6:53 PM
@akiraさん
こんばんは。
初めまして。コメントありがとうございます。

ハンマースホイに共鳴して下さる方いらして
うれしいかぎりです。
終わってしまった展覧会ですが
心の中にざわざわとした余韻いまでも
はっきりと残っています。

建築家ですか。
なるほど、それも納得できるかも。

自分は写真家と感じました。
かなり構図にこだわる。

何度も繰り返してコメント拝読させて頂きました。
akiraさんはブログとかやっていらっしゃらないのでしょうか。
これだけのこと書ければ、ここよりもっともっと
充実した内容の濃いブログできそうですね。

コメントどうもありがとうございました。
また図録出してきて眺めてみます。

これからもどうぞ宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2009/01/12 11:10 PM
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