弐代目・青い日記帳 

  
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詳細:「消えたフェルメールを探して」上映記念トークショー
渋谷アップリンクで上映中の映画「消えたフェルメールを探して/絵画探偵ハロルド・スミス」の上映記念トークショーに10月5日に出席して来ました。(その時の記事



その時のトークの内容が文化的多様性サイト「webDICE」に「なぜ人々はこんなにもフェルメールに魅せられるのか?名画『合奏』をめぐるトークショー」として紹介して頂いています。

当日、素人がプロである小池先生を前にどんな話をしたのか興味関心多少はおありかと思います。もし宜しければご覧ください。

また、webスペースの関係上、掲載されなかった部分のトークにつきましては、自分がおぼろげな記憶を辿りながら以下にまとめてみましたので、合わせてお目を通して頂ければ嬉しく思います。



【以下webDICEには掲載されていないトークの内容です】

小池先生:フェルメールの作品の中で一番好きな作品、これを抱きしめて死ねたらな〜と思う作品をあげるとしたら何がありますか?

Tak:ひとつに絞れないのですが、人物を描いた作品ではNYメトロポリタン美術館にある「水差しを持つ女」がかっちりしていてとても好きです。またもう少し優しい雰囲気の作品ですとベルリンにある「真珠の首飾りの女」(真珠のネックレスを小さな鏡の前でかざしている作品)などはフェルメールらしくとても好きな作品です。ただし「一枚だけ」と言われたらマウリッツハイスの「デルフトの眺望」かな。(「誰か」と同じようにこの絵の前で死ねたらななんて思ったりします) 小池先生はどの作品がお好きですか?

小池先生:私は…やはり「デルフトの眺望」なんですよ。確かに女性を描いた作品は好きです。とりわけ黄色のテンの毛皮のガウンを羽織っている女性を描いた作品は黄色と青色は良いコンビネーションを成しているので惹かれるのですが、「デルフトの眺望」もよく観るとラピスラズリを砕いて屋根の部分などに置いているので、全体的に青の発色があってとても美しい。そう考えていくと最後に観るのは人の顔ではなくて風景かなと。

Tak:どなたかが書いていらっしゃいましたが、今回の「フェルメール展」でも7点ものフェルメール作品が来日していて、ここ数年毎年のように日本に何らかのフェルメールが来ていますが、「デルフトの眺望」が来るようなことがあったらもう終わりだなんてこと書かれていましたけど、本当にそうだと思います。




小池先生:そうですね(笑) ところで、フェルメールを映画に例えると小津監督の作品に似ているように思えます。レンブラントなんかだと黒澤なんですが。映画に喩えたり、もしフェルメールが日本美術を見ていたらなんて考えると面白いかもしれませんね。

Tak:(盗難に遭ったフェルメール作品についてざっと話す)

小池先生:フェルメールは盗難の問題をはじめ、贋作問題など美術史が持っているいろんな問題を考えさせる。総じて「所有したい」という気持ちを強く起こさせる絵なのではないかと思う。美術史は欲望だと私は思っていますが、結局ベレンソンにしてもイザベラにしても「自分のものにしたい」という「欲」が美術作品を動かしている。だから展覧会会場で綺麗に飾られている絵の裏には人間の欲望が渦巻いているのだということが今回の映画ではよく描かれているなーとも思いました。ところでTakさん盗んでみたいと思いません?

Tak:何て大それたことを!とんでもないですよ〜もし絵を自分で所有していてもそんなに楽しめないんじゃなかと思うんです。もうドキドキしちゃって。夜も眠れないくらい。実は一度「真珠の耳飾りの少女」(青いターバンの少女)のポスターを部屋に飾っておいたことあったのですが、眠れないんですよね。いつも見られているようで、きになってしまって。しかしこの作品がかつて大阪の天王寺に来たのには驚きましたけどね。

小池先生:混雑していたでしょう?フェルメールは人がいないところで観たいでしょ。頭越しに観るフェルメールほど悲しいものもないですよね。

Tak:そうですよね。でも、先日東京都美術館でザワザワしている中で観てもことのほか楽しめたんですよね。自分の中で何か変わってきたものがあるのかな〜なんて思いながら観ていましたけど。あまり独り占めして観たくなくなってきちゃったようです。ちょっとフェルメールに対する気持ち失せてきてしまいましたかね(笑)。そうは言ってもやはり一番贅沢なのはハーグのマウリッツハイス美術館で観ることでしょうか。あそこは別格です。「デルフトの眺望」もあるし。




小池先生:そうですね〜。そうそう、皆さんもし上野にいらっしゃることありましたら今、国立西洋美術館で「ハンマースホイ展」(デンマークの室内画家)をやっています。フェルメールをはじめとするデルフト派にとても影響を受けている画家で、室内ばかりを描いていてついには室内から人物まで消えてしまう。ハンマースホイとフェルメールを比べてみるのはとても面白いことだと思いましたね。

Tak:ハンマースホイ展とんでもなく良かったですよね。そして今なら「フェルメール展」と「ハンマースホイ展」セットで観られる幸せ。

小池先生:フェルメールは空間に関心があった画家だと思うかど、やっぱり人のあたたかさにも同じくらい関心があった。だからこそ画面から人がいなくなることはない。人と人との関係性が醸し出す雰囲気を捉えようとしたのだと思う。

Tak:ハンマースホイの場合そういった人との関連性が無くなってしまいますよね。

小池先生:そうなんです。だから怖い印象を受けたりします。でもとっても面白く興味関心をそそる画家でした。みんなフェルメールの方に行ってしまってもの凄く空いていました(笑)


最後は残念ながら「時間切れ」となってしまい、トークはここで終了。
あっという間の30分。聴いて下さった方ご満足のいく話ではなかったかと思いますが、小池先生のお話を拝聴しに行ったと思い我慢なさって下さい。

【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | シリーズ『美術史家に聞く』第一回:小池寿子先生

トークショーを担当されたアップリンクのTさん。そして小池寿子先生どうもありがとうございました。打ち上げでもやりましょう。美味いビール飲みながら。

因みに↑の写真でパラパラと私が見ているのはこちらの本です。
フェルメール (アート・ライブラリー)
フェルメール (アート・ライブラリー) マーティン ベイリー

フェルメール全作品が大きな図版で掲載されていて、見開きで解説も載っています。とても便利な一冊です。フェルメール関連の本で全作品が掲載されているもの一冊だけ勧めるとしたらこれかな〜やっぱり。(「ヴァージナルの前に座る若い女性」は掲載されていませんが…)西村書店さんのこのシリーズは他の画家さんでもまずハズレ無いかと。



消えたフェルメールを探して / 絵画探偵ハロルド・スミス
監督・撮影: レベッカ・ドレイファス
脚本:: シャロン・ガスキン
出演:ハロルド・スミス、グレッグ・スミス
2005年/アメリカ/83分
配給:アップリンク
字幕監修:朽木ゆり子


【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | 「ハンマースホイ展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「ハンマースホイ展」(ロンドン)
- 弐代目・青い日記帳 | ヴィルヘルム・ハンマースホイ展へ急げ!

- 弐代目・青い日記帳 | 映画「消えたフェルメールを探して」
- 弐代目・青い日記帳 | 「消えたフェルメールを探して」上映記念トークショー
- 弐代目・青い日記帳 | 見所満載!!映画『消えたフェルメールを探して』公式サイト


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| お知らせ | 23:50 | comments(8) | trackbacks(1) |
Takさ〜ん☆
詳しいお話☆ありがとう〜〜☆!聞きたかった☆です。
本物は、もっと、聞きたかった☆です。
rossaも、真珠の耳飾りの少女と、デルフト☆
でも、今回の、キリストも、ディアナも小路も、すごくすごく☆思いのほか、ほんと!3点並べると☆とても感慨深く、感動☆でした。
| rossa | 2008/10/24 1:02 AM |

この日記、待ってました(^-^)
お話の感じも堅苦しくなくって
でも、フェルメールにお詳しい方の対談なので
興味深いです。

おぉ!Takさんはデルフトがお気に入りなんですね。
私、あの絵を見てるとデルフトに行きたくなっちゃうんですよね。
それほど引き込まれちゃう魅力があの絵にはあるんでしょうね。
| サッチャン | 2008/10/24 12:18 PM |

@rossaさん
こんばんは。

日曜日に原稿チェックが終わり
早速、掲載して頂きました。
有り難いことです。

因みに写真はかみさんが撮影したものが
あちらのwebでも使用されています。

東京都美術館もう一度くらい
いらしてみてはいかがですか?

@サッチャンさん
こんばんは。

トークショーの時はもっと
くだけた感じでしたよ。
悲しい性で二人とも時折
笑いを取らねばという思いに
駆られるようで。。。

「デルフトの眺望」は何度観ても
飽きないどころかますます好きになります。
| Tak管理人 | 2008/10/24 8:38 PM |

こんばんは
楽しそうな雰囲気が伝わってきました〜
>真珠の耳飾の少女 がかつて大阪の天王寺に来たのには驚きましたけどね。

いまではそれを記念したフェルメールの小道なる通路が設けられてます〜(笑)。

>先日東京都美術館でザワザワしている中で観てもことのほか楽しめたんですよね

この文を読んでわたしもとても納得です。誰もいない空間で対峙するのも素晴らしいですが、ザワザワした中でも楽しもうとすれば、楽しめると実感があります。

フェルメールのお話だけでなく、ほかのことでも色々頷くことがありました。なんか嬉しいです。
| 遊行七恵 | 2008/10/24 9:34 PM |

蘇るトークショー!
あらためて、楽しかったこと噛締めさせていただきました。
フェルメールのみならず、もっともっとおうかがいしたい!
それにしてもフェルメール、
よくぞ、あんなに上野にも来てくれました!と、
こちらもあらためてシミジミ…。
「緑」、注意して観ちゃいました。

デルフトも行きたい!コペンハーゲン(ハンマースホイ)も行きたい!
私には所有欲はありませんが、美術史は欲望、、なるほどだわ〜。笑
| nao | 2008/10/25 12:07 AM |

@遊行七恵さん
こんにちは。

えーーフェルメールの小道ですか!
それは凄い!カラオケとかもうないのかな〜

何か今回はとりわけそう感じたんですよね。
がつがつ観なくてよくなったせいか
大勢の中でも心落ち着けて鑑賞することできました。

小池先生も自分も笑いを取ることばかり
考えていた割にはまともなトークとなりました。

@naoさん
こんにちは。

コペンハーゲン今までノーチェックだったのですが
ハンマースホイ展に行ってから俄然行きたい街へ。
また新日曜美術館でウィーンなんてやってくれちゃう
ものだからそちらにも関心が。。。
流されてばかりです、こうして。

上野のフェルメール展、風俗画、宗教画
風景画などなどさまざまなジャンルのフェルメール作品が
一堂に会している点も見逃せませんよね。
| Tak管理人 | 2008/10/26 2:24 PM |

Takさん、こんにちは。
この映画、見に行こうとしてアップリンクのサイトを見たら、
な、なに〜。takさんのトークショー!
だったらその日に行こう!と待ち望んでいたのに、その日に急に仕事が入り、行けなかったのでした。
楽しそうでしたね。
残念だったなあ私。

で、行く機会を逃し、映画はまだ見ていないのでした。
今日、オランダ政府観光局「オランダアート倶楽部」からこの映画のお知らせが来ていました。息の長い上映で、ありがたいです。
| Sa | 2008/10/30 8:53 PM |

@Saさん
こんにちは。

リアルに聞かずともこれで十分十分。
いっぱいいっぱいでしたから。
相槌だけはうまく打てたと自負しています?!

オランダアート倶楽部登録したはずなのに
メール届いていません、、、
再確認してみます。
この映画で盗難事件を知ったという方も
いらっしゃいます。捜査に進展があれば
いいのですが。
| Tak管理人 | 2008/11/01 7:42 AM |










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消えたフェルメールを探して
「シンイチ、知ってるかい?取られちゃったんだよ」 福岡伸一博士の「生物と無生物のあいだ」(今年読んだ本の中のベストでした〜というか、とにかくすんばらしいエッセイストだと思うんだわもう)〜その中で、福岡博士がボストンのハーヴァード大学医学部で、
| 覚え書き | 2008/11/03 4:47 PM |
編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ』(世界文化社)が2月18日に発売になります。


青い日記帳(編集)『美術展の手帖』小学館より発売中です。


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朝日マリオン・コム「ぶらり、ミュージアム」


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「展覧会に出かける前に準備しておきたい5つのこと。」

「展覧会を何十倍も楽しむために心がけたい5つの秘訣。」

フェルメールへの招待
國學院大學文学部教授の小池寿子先生監修。不肖私(Tak)が編集と一部執筆しました。詳細はこちら

【展覧会レビュー】
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